魔法仕掛けのルーナ

好永アカネ

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フリード編

ジョージ・ホーネット5

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 結果だけ言うと、ミス・サリーはよくやった。あのような出鱈目な物体を歩行させることに成功したのだから。それも三歩もだ。
 その後ゴーレムは転倒した衝撃と自重で崩壊してしまったが、女性二人は抱き合って喜んだ。見守っていた俺も思わず立ち上がって、彼女たちに心からの賛辞を捧げた。
 だって考えてもみろ。せっかく四本もある足が密集して一列に生えていたんだ。歩けそうに見えるか? 俺は到底不可能だと思っていた。全くもって、少女の執念の成せる業だった。確かにこんな経験は他ではできないだろう。よそで役立つとは思えないが。
 さて、始まった時のように魔法であっという間に片付けを終えると、サリーは資料を持って階上へ向かい、ヴィヴィアンが俺の方へ歩いてきた。
 俺は彼女が無言で差し出した手のひらに、持たされていた鉱石を乗せて返す。すると、彼女は代わりとばかりに真新しい封筒を差し出してきた。
「ご苦労様。今日の分よ」
 この身を差し出した報酬である。俺はありがたく頂戴し、上着の内ポケットに入れた。
 中身をあらためなかったためか、ヴィヴィアンが眉をひそめたが、俺は彼女のことは、デザインセンスを除いて全面的に信頼しているので、問題ない。いつも通り妥当な金額が入っているはずだ。
「次の誘いを楽しみにしてるよ」
 ウインクして甘く囁いたのだが、彼女の心が揺れた気配は全くなかった。
「それは当分先になるわ」
 平坦な声で即答される。彼女は涼しい顔のままで続けた。
「近いうちに帰郷するつもりなの。しばらく帰ってなかったから……数週間から数ヶ月、ここを空けることになるわ。また用ができたらこちらから連絡するから、それまでここに来ないで」
「どうして? あの子——サリーはいるんだろう?」
「だからよ。うちの子に何かあったら承知しませんからね」
「オーケイ、わかったよ」
 お手上げだ。彼女が俺のことを警戒するのは仕方がない。色々な意味で、ね。
「君をあてにできないとなると、このお金は大事に使わなくちゃいけないな」
 何とは無しにぼやくと、ヴィヴィアンが呆れ顔で言った。
「あんたこそ実家に帰ればいいじゃない。そっちでちゃんとした職を探しなさいよ」
「嫌だね」
 俺はふんと鼻を鳴らした。ヴィヴィアンに身を寄せ、瞳の中に俺の顔が見えるほど、彼女に顔を近付ける。
「君と離れたくないんだ。愛しいヴィヴィアン」
「ふざけないで。私は真面目に言ってるの」
 彼女は心底うんざりしている様子で、身をそらして俺から距離を置いた。
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