上 下
49 / 50

人数が合わない話

しおりを挟む
私は美容院で働いているのですが、その日は昼から忙しくなっていて予約でいっぱいでした。



5人目までのカットが終わり、パーマをかけた4人目の会計をレジで行っていた時の事。
その方が突然、私まだパーマかけてないんですけど。との事。
仕上げたパーマは確かにあるのに。
レジもスタッフも、ポカンとしてしまいました。

ゆっくり慎重に店内を見回しても、先程パーマをかけたお客さんはいません。

事前に必ず予約表や名札で名前を確認しますし、カットを終えた他4人に確認しても、パーマの跡があった方はいません。

さっきパーマかけた人はどこ?
そもそも、パーマかけた人は誰だったの?
私もみんなも混乱していました。

その時、店の外から大きな音が聞こえました。
窓から見ると、
パトカーと救急車が停まっていて、人だかりができていました。

私は急いで外に出てみると、
そこには信じられない光景がありました。
パーマをかけたはずのお客さんが、道路に倒れていて、頭から血を流していました。

どうやらパーマをかけた後、何かの理由で店を出て、車に轢かれたらしいのです。

私はショックを受けて、そのお客さんの顔を見ました。
そこには、私が知っている予約表や名札に書かれた名前とは違う、別の名前がありました。

その名前は、私の幼なじみの名前でした。
しおりを挟む

処理中です...