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27 アリとキリギリスのいる旅館
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ある山奥に、小さな温泉旅館がありました。
そこで働くのが、まじめな従業員のアリ。掃除、配膳、布団敷き、すべて完璧。館主からは「アリ君がいなければ、この旅館は回らん」と言われるほど。
一方で、同じく従業員のキリギリス。館主が「お客さんを笑わせる役も必要だ」と無理やり雇った存在で、仕事中も「いや~、人生は温泉の湯加減次第ですよ!」とギャグばかり。浴衣姿で三味線を鳴らし、踊り出すのが日課でした。
夏の間、アリは汗だくで畳を拭き、障子を張り替え、食材を仕入れに走ります。
その横でキリギリスは「アリ君、ちょっと踊りの練習につきあって!」と、全力で三味線をかき鳴らしているのです。
秋になると、紅葉客が殺到。
アリは「よし、布団が足りないから倉庫から追加しよう」と大忙し。
キリギリスは「お客さーん! 紅葉より私の歌を!」と、勝手にロビーでショーを開く始末。
そして冬。雪が降り、宿泊客はぐっと減りました。
「ふぅ……」とアリは囲炉裏にあたりながら帳簿を整理しています。
そこにやって来たのは、鼻を真っ赤にしたキリギリス。
「アリ君、助けて! 給料前借りさせて! 実は、夏からギターも買っちゃって、楽器ローンが……」
アリは深いため息をつきました。
「君ねぇ、働くときは働かないと。温泉宿ってのは季節の波があるんだよ」
すると館主が奥から顔を出し、言いました。
「まあまあ、アリ。キリギリスのおかげで、この宿は”面白い旅館”として評判なんだぞ。ほら、”温泉と笑いの二刀流”って口コミ、読んだろう?」
アリは目を丸くしました。
帳簿を見直すと、確かにリピーターの予約がびっしり。「面白い従業員がいる」という噂で客が増えていたのです。
「……え、じゃあ私の雑巾がけは?」
「まあ、それも大事。でもお客さんは、笑い話を土産に帰るのさ」
アリは悔しそうに茶をすすり、キリギリスは三味線を鳴らしながら温泉へ。
結局、冬の間も二人は一緒に旅館でぬくぬく暮らすのでした。
ところが数日後。
館主が掲げた新しい宿の看板には、こう書かれていたのです。
「天然温泉・お笑い湯治場 ~アリもキリギリスも、働かずに浸かれます~」
アリ「えっ!? 私の努力の二文字、”勤勉”がどこにも無い!?」
キリギリス「いや~、世の中、湯加減とノリ次第だよアリ君!」
その瞬間、アリは湯呑みを落としながら叫びました。
「ここ、ブラック旅館じゃなくてギャグ旅館だったのかー!」
ロビーはお客の大爆笑に包まれ、結局アリ自身も笑われる名物従業員になってしまったのでした。
そこで働くのが、まじめな従業員のアリ。掃除、配膳、布団敷き、すべて完璧。館主からは「アリ君がいなければ、この旅館は回らん」と言われるほど。
一方で、同じく従業員のキリギリス。館主が「お客さんを笑わせる役も必要だ」と無理やり雇った存在で、仕事中も「いや~、人生は温泉の湯加減次第ですよ!」とギャグばかり。浴衣姿で三味線を鳴らし、踊り出すのが日課でした。
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その横でキリギリスは「アリ君、ちょっと踊りの練習につきあって!」と、全力で三味線をかき鳴らしているのです。
秋になると、紅葉客が殺到。
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そして冬。雪が降り、宿泊客はぐっと減りました。
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アリは深いため息をつきました。
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すると館主が奥から顔を出し、言いました。
「まあまあ、アリ。キリギリスのおかげで、この宿は”面白い旅館”として評判なんだぞ。ほら、”温泉と笑いの二刀流”って口コミ、読んだろう?」
アリは目を丸くしました。
帳簿を見直すと、確かにリピーターの予約がびっしり。「面白い従業員がいる」という噂で客が増えていたのです。
「……え、じゃあ私の雑巾がけは?」
「まあ、それも大事。でもお客さんは、笑い話を土産に帰るのさ」
アリは悔しそうに茶をすすり、キリギリスは三味線を鳴らしながら温泉へ。
結局、冬の間も二人は一緒に旅館でぬくぬく暮らすのでした。
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