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22 クマの出る観光地
しおりを挟む温泉と渓谷で名高い観光地「月影峡」は、近年ちょっとしたブームを迎えていた。きっかけは「クマ出没注意」という看板だ。
本来なら観光客を遠ざけるはずのそれが、むしろ逆にSNSで「スリル満点」「野性味あふれる」と話題を呼び、今では「運が良ければクマに会える町」として名物化してしまったのだ。
町はしたたかで、駅前の土産物屋には「出没クマ煎餅」「クマっと饅頭」、さらには「リアル遭遇祈願お守り」まで並ぶ。町長は胸を張り「クマと共生する観光地づくり」を宣言した。観光客は増え、経済は潤った。
ところがある日、本物のクマが現れた。
観光客は大喜びでスマホを構える。
「やった、当たりクマだ!」
逃げる者など一人もいない。逆に群がっていく。
しかし、クマは彼らに襲いかかることもなく、観光案内所へと向かった。そして中に入り、受付に座り込むと、落ち着いた声でこう言った。
「ようやく本当の住民登録を受け付けてもらえますか。ずっと“観光資源”扱いでは困りますので」
職員たちは凍りついた。
けれどクマは続けた。
「これからは宿泊税も払いますし、町おこしの企画会議にも出席しましょう。もっと効率的に“出没”を演出したいので」
観光客たちは歓声を上げた。
SNSには「クマさんガチ住民化!」の動画が溢れ、町はさらに栄えることとなった。
そして――数か月後。
観光地のランキングサイトに、奇妙な新着レビューが書き込まれた。
「楽しかったです! ただ……人間が出没するのは少し怖かったです。クマの住民に迷惑かけないでほしい」
投稿者名にはこうあった
クマ太郎
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