→📚️賛否分かれる面白いショートストーリー(1分以内で読了限定)

ノアキ光

文字の大きさ
159 / 195

#159 不向きな仕事を頑張った結果・・・

しおりを挟む
無職歴十年。
そんな私が介護の仕事に就いたのは、他ならぬ親の圧力だった。

「やりたくないからやらないなんて甘えだ」
と詰め寄られ、渋々就職した介護施設。
性格も能力もやる気も、自分には全く向いていない。
利用者と話すたびに空気が重くなり、車椅子を押せば段差でつまずき、挙句、記録用の書類すらまともに記入できない。叱られ、ため息をつかれ、頭を下げる日々が続いた。

それでも、なんとか一年は続けた。  
だが、心は限界だった。施設の入口に足を踏み入れるだけで胃がキリキリと痛む。自分には絶対に合わないと分かっていたのに、どうしてここまで頑張ったのか――考えれば考えるほど、後悔しか湧いてこない。

そしてついに、最後の日がやってきた。  
「もう辞めます」  
支離滅裂な理由を並べた退職願を出し、上司からの呆れ顔を背中に受けて施設を後にする。荷物をまとめた帰り道、ようやく自由になれたと深呼吸をした。

その日は珍しく、快晴だった。  
「人生、ここからやり直しだ」  
空を見上げながらそう思った瞬間、ひときわ明るい閃光が視界を貫いた。

次の瞬間、轟音――地響き――全身を揺るがす衝撃波。
振り返ると、施設の方向から巨大な黒煙が立ち上っている。辺りに響き渡る悲鳴。信じられない光景が目の前に広がっていた。

施設の場所には、ぽっかりと巨大なクレーターができていた。  
あとで聞いた話では、隕石がピンポイントで直撃したらしい。全壊どころか、跡形もなく消えた施設。自分がいたら確実に巻き込まれていた。

「……これは、運命なのか?」  
自分が辞めたその日、たった数時間後の出来事。  
生き残ったのは、たまたま外出中だった利用者と、辞めたばかりの自分だけだった。

親は何か言いたげだったが、もはや関係ない。  
「やりたくないからやらない」という選択が、どうやら命を救ったのだから。  

空を見上げると、今度は不思議と清々しい気持ちになれた。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

兄になった姉

廣瀬純七
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

処理中です...