229 / 249
第六章 学園編 ──白銀の婚約者──
第227話 編入試験終了、動き出す物語。
しおりを挟む
ラグナ王子がキラキラのエフェクトをまき散らしながら遠ざかっていくのを、俺とザキさんはぽかんと眺めていた。
あの笑顔の裏、完全に鬼だったんですけど……。
引くわー……。
横でザキさんが、さっきの方向を顎で示しながらぼそっと言う。
「……なんや、あの王子様。めちゃめちゃキレてるやん。あないに人前でキレ散らかすキャラやったか?」
「いや、俺もビビったよ……」
思わず苦笑が漏れる。
まさか、人前であそこまで罵倒されるとは思ってなかった。
てっきり“王族の余裕と上品さ”みたいなのを振りまくタイプだと思っていたのに……。
でも、あれだ。
あの人、俺に地面にめり込まされた時の記憶が薄っすら残ってて……その恨みが爆発したという可能性も、無きにしも非ず的な……?
そんなことを考えていたら、周囲の受験生たちがヒソヒソ声を漏らしていた。
「お、おい……ラグナ殿下って、あんなキャラだったか?」
「今の見た?あの108番にめちゃくちゃ酷いこと言ってたよな……?」
「自分の魔法をコピーされたの、そんなに悔しかったのか?」
「いや……あれはもう嫉妬だろ……」
あー……ですよねー……
みんなの感想が想像通りすぎて泣ける。
確かに、王子ってああいう外面を死ぬほど気にしそうなタイプだ。
いきなり感情を露わにしてキレるイメージじゃなかったのに……。
すると、少し離れたところで長身お姉さんが仁王立ちしていた。
「あの態度はいただけないわねッ!男子たるもの、もっとドシンと構えなきゃダメよッ!」
完全に俺の味方として怒ってる。
え、何その感じ。ちょっと嬉しいんだけど。
ザキさんが肩をすくめ、
「アルドくん、気にせんとき。あの王子さん、腹でも減って気ぃ立っとったんやろ。」
と笑う。優しい。
ほんとこの人、いちいち救いの言葉くれるんだよな。
「ありがとねー、ザキさん。いや、びっくりしちゃうよね、あの豹変っぷり!」
何気なくそう言うと、ザキさんが俺の顔を、
まるで“素材をよく観察する料理人”みたいな目でじっと見つめてくる。
「……“びっくりした”ん? あの王子に凄まれて?」
「え? ま、まあね。あんな急にキレてくると思わないじゃん?」
次の瞬間、ザキさんの細い目が、一瞬だけ、人を斬る刀みたいに鋭く細まった。
「──人類最強とも言われとる、ラグナ第六王子にあんだけかまされて、“びっくりした”?」
にっ、と笑う。
あ、これダメだ。
俺の背筋が一瞬で冷えた。
しまった……そうだよな。
“恐怖”を感じる素振りがほとんど無かった。
俺の反応は人間としておかしいのかもしれない。
ごまかせるような相手じゃない。
こいつ、笑ってるけど目は全然笑ってない。
この人は……多分、強い。
笑って誤魔化すことを許してくれない“本物”だ。
ザキさんはさらに続ける。
「やっぱり、アルドくん……只者やないね。
ぶっちゃけ、ラグナ王子より強いんと違う?」
……もう誤魔化せないか。
俺は苦しく息を吐き、観念したように肩を落とした。
そして、静かに告げる。
「……そうかもね。もともと、“統覇戦”では、あの王子も倒して……俺が優勝するつもりだし。」
その瞬間、空気が変わった。
ザキさんはビクッと一瞬だけ縮こまった。
たぶん、俺の声に“龍”の響きが乗ったんだ。
だが次の瞬間には、いつもの笑顔を作っていた。
「……なるほどな。ま、そりゃそうやな。」
あはは、と笑いながらも、さっきの一瞬の“本音の瞳”は嘘をついていなかった。
ザキさんは続ける。
「──恐らく、実技テストで爪痕これだけ残した俺らが落ちる事は無いやろな。合格したら、俺と君ぃも……ライバルやな。」
ああ、そうか。
ザキさんは“統覇戦”の優勝を狙ってる一人でもあるのか。
俺は初めて、その事実にちゃんと気付いた。
ただの面白関西人じゃない。
この人もまた、“戦場に立つ者”なんだ。
「……そうだね。もし戦うことになったら、お互いベストを尽くそうね。」
そう言うと、ザキさんは冗談っぽく肩をすくめた。
「せやな~。まぁ……なるべくアルドくんとは戦いたないけどな?」
そう言って拳を突き出してきたので、俺も拳を合わせる。
コツン。
その音が、さっきまでの緊張をほんの少しだけ溶かした。
ふと、視線の気配を感じて振り返ると──
長身お姉さんが、じぃぃぃぃっとこっちを見ていた。
完全に見てた。
今の拳のとこまで見てた。
視線が合った瞬間、お姉さんはハッとして頬を赤くし、サササッ……!と、無言で逃げていった。
「……何なのよ……」
思わず呟く。
とりあえず、試験は終わった。
俺はザキさんに「それじゃ、また明日。合否発表でね」と手を振り、どっと疲れた足取りで、ゆっくりとルセリアの街の中心部へ歩き出した。
夕日が差し込む石畳の道路を歩きながら、
俺は思う。
──やばい日だったな……本当に。
でも、もっとやばいのはこれからだ。
そんな予感が、胸のあたりでずっとざわついていた。
───────────────────
受験番号014番──リニア・アシュフォードは、
重い鉛を括りつけられたかのような足取りで、試験会場の門をくぐった。
背筋はわずかに丸まり、肩は落ち、
彼の影は夕陽を受けてもなお薄暗く見える。
その表情には、生気がほとんど宿っていなかった。
まるで、魂の半分を置き忘れてきたように──。
リニアの生まれ育った領地は、王都から遠く離れた寒冷地にある。
慎ましくも豊かな農作地帯だったが──昨年の異常寒害で状況は一変した。
農作物の大半が凍死し、家畜は衰弱し、領民たちの収入は激減。生活は急激に苦しくなった。
領主である父は王国上層部に何度も支援を要請したが、返ってきたのは冷たく無責任な返答だけだった。
『大変なのはどこも同じだ。個別救済は行わん。』
冷徹な拒絶。
豊かだったはずの領地は、今や衰退の危機に瀕していた。
(……父上を……領民を……救わないと……)
だからこそ、リニアはここに来た。
──勅命権。
それを得れば、王国の制度の隙間を縫ってでも、
領地を救うための「絶対的な命令権」を得ることができる。
そのチャンスが“ルセリア統覇戦”。
そしてその出場権を得るには、
この難関・ルセリア中央大学の【編入試験】に受からなければならない。
そのために、リニアは、努力をしてきた。
暗記が苦手でも、
剣の腕が平凡でも、
体格が強靭ではなくても。
彼には、女神から授かったひとつのスキルがある。
──”詠唱短縮”。
呪文やスキルの発動速度を早める補助的能力。
派手ではないが、使い道によっては力になるはずだ。
そう信じて、必死に鍛え、ひたすら努力してきた。
(……それなのに……)
しかし。
筆記はそれなりにできた。
問題は実技だった。
リニアのスキルは派手さに欠ける。
火力が上がるわけでも、攻撃力が跳ね上がるわけでもない。
案の定、彼の実技スコアは──
【869】
その数字は、試験会場に掲示された瞬間、
リニアの胸に鋭い針のような痛みを突き刺した。
周囲の受験生たちのざわめきが耳を刺す。
「……あれ、ギリギリ落ちるやつ……」
「クイックキャストか……うーん……」
「ぶっちゃけ地味なんだよな……」
(……分かってる……分かってるさ……)
唇が震えた。
その心をさらに折るように、
次の受験生が、規格外の数字を叩き出す。
受験番号025番──
長身の美女が繰り出したのは……まさかの“頭突き”。
【19758】
「……は?」
何が起きたのか、本気で理解できなかった。
続く、受験番号052番。
糸目の青年が、居合のように剣を抜いた瞬間──
【24015】
そのスコアに会場がどよめき、
リニアの膝はがくりと震えた。
(格が……違う……)
もう、このレベルは同じ試験を受けている人間じゃない。
“ステージが違う”。
そして極めつけ。
受験番号108番──銀髪のあの少年。
アルド・ラクシズ。
彼は、淡々とした顔で指先を掲げ、
ラグナ第六王子の固有魔法を──
“無詠唱で、模倣して放った”。
眩しい閃光が世界を白く塗りつぶし、
スコア表示が光る。
【28286】
空気が震えた。
王子の顔が青ざめた。
(……ラグナ王子ですら焦りを見せる……そんな存在が……)
自分と同じ受験生として、そこに立っている。
(……無理だ……)
リニアの胸の奥で、何かが静かに折れた。
(……俺では……勝てない……こんな化け物たちに……? たとえ合格したところで……統覇戦で勝ち残れる訳がないだろう……)
視界が滲む。
頭では分かっていた。
努力したところで、届かないものがあることも。
だが──
父を救いたいと願ってきた心が、
今ここで音を立てて崩れ落ちていくのを、止められなかった。
(……俺にも……あいつらみたいな力があれば……)
その想いは、祈りではない。
純粋な“嫉妬”だった。
初めて感じた人間らしい黒い感情が、
胸の奥でじわりと渦を巻き始める。
試験会場の中央では、
ラグナ王子が怒りを押し殺しながら、
スコアTOP3の受験生たちへ近づいていった。
その光景を、リニアは虚ろな目で眺める。
(……どうせ……俺なんて……)
誰も、自分の存在なんて気にしていない。
いや──
気にする価値がないのだ。
何の力も持たず、
何の結果も出せず、
誰の胸にも印象ひとつ残せなかった自分には。
気づけば、視界は黒く沈んでいた。
リニアは、俯いたまま会場を後にした。
足取りは覚束ず、まるで霧の中を歩いているようだった。
夕陽は暖かいはずなのに、
彼の背へと落ちる影は異様に冷たかった。
その胸の奥。
深い絶望と嫉妬の底で──
黒い魔力が、静かに、確かに渦巻き始めていた。
それに気づく者は、この時、まだ誰ひとりいなかった。
───────────────────
夕陽が赤々と地平線へ沈みかけ、街道に長い影が伸びていた。
舗装された道の上に、ザキの影も細く、しなやかに揺れている。
黒髪に金メッシュが差し込まれたウルフカットが、
西風を受けてふわりと舞った。
ザキは眩しそうに細い目をさらに細め、
オレンジ色の空を一瞥する。
ため息とも、笑みともつかない息が漏れた。
そのとき──右耳のピアスのひとつが、
微かな振動とともに、コッと光った。
ザキは歩く速度も変えずに、そのピアスへ指を添える。
「──俺や。」
声はいつも通り軽いが、
その瞳の奥だけは油断の無い、研ぎ澄まされた刃のようだった。
ピアスの奥から、男の低い声が響く。
ザキにしか聞こえない、密やかな地下の声。
『──ご苦労。編入試験はどうだった?』
ザキは肩をすくめながら笑う。
「あー、まあ……合格ラインは超えた思うで?
筆記の数学いうのはボロッボロやったけどな。」
飄々とした口ぶり。
だが、返答は嘘でもごまかしでもない。
「実技試験は2位やったし、多分大丈夫やと思うで。」
その言葉に、ピアスの向こうの男が反応した。
『……2位? 2位だと? ……まさか、力を見せたのか!?』
少し焦ったような、鋭い声。
ザキは軽く笑った。
「いやいや、ホンマにちょびっとだけやって~。
“奥の手”は封印したままやし。心配いらんて。」
そして、ふっと口の端を釣り上げる。
「俺の前に、頭突き一発でスコア【19758】叩き出した化け物おってな。……つい、対抗意識わいてしもうてん。」
ピアスの奥の声はしばし沈黙した後、低く告げる。
『──もういい。だが、本来の目的を忘れた訳では無いだろうな?』
ザキは足を止めない。
夕焼けの一本道を、ただ真っすぐ前へ進む。
その右手が、無意識に腰の刀──
“羽々斬“の柄へ触れた。
感触を確かめるように、優しく撫でる。
「当たり前やん。」
次の瞬間、ザキの声には“軽さ”が完全に消えていた。
夕日に照らされた横顔が、氷のような殺意を孕む。
「──第六王子、ラグナ・ゼタ・エルディナス。
あいつは……俺が、殺す。」
ピアスの奥の声が満足げに息を吐く。
『分かっているならいい。
作戦の成功率を下げるような真似は控えろ。』
ザキは歩きながら、片手を上げて気怠げに返す。
「へいへい、分かっとるって。」
だが──次に彼が告げた声は、わずかに低かった。
「……せやけどな。 作戦の成功率でいうたら、一個だけ、想定外が出てきてもーたわ。」
『……想定外?』
「受験生の中に……とんでもない”怪物”がおる。」
ピアスの向こうの男が促す。
『怪物? ……頭突きで19000超えの受験生か?』
ザキは吹き出す。
「ちゃうちゃう。あれも十分化け物やけどな。もっとヤバいやつや。」
そして、その目が細められた。
楽しげに。
そして、獲物を見つけた獣のように。
「……ラグナの”核撃魔光砲“をな。無詠唱で模倣してブッ放したヤツがおんねん。」
ピアスの奥で、
聞いたことのないほど大きな息を呑む音が響く。
『な……っ!?』
「スコアも確か【28286】。しかも……ラグナのデモンストレーションに合わせて、“あえて”超えへんように微調整しとったんちゃうかって感じや。」
『バ、バカな……!?
という事は、その受験生……真の力は……下手すればラグナをも上回るというのか!?』
「どうやろね?」
ザキは軽く首を回しながら言う。
「ラグナにも、まだ隠しとるスキルあるやろし。何とも言えんとこやね。」
沈黙のあと、男は低く尋ねた。
『──その“怪物”、お前なら斬れるか?』
ザキは一瞬、遠くの夕陽を見た。
赤い光が瞳に映り込み、妖しく輝く。
そして──肩をすくめた。
「勘弁してや~。俺、その子と仲良ぅなってもうてん。斬り合うんは……ちょっとゴメンやわ~。」
軽い笑い声。
しかし、その直後に続いた声は、
どこまでも静かで、どこまでも鋭かった。
「──ま、斬れるか斬れへんかで言うたら……“斬れる”思うけどな。」
冷気さえ帯びる声音。
ピアスの奥の男は、その言葉に安堵した。
『それを聞いて安心した。いいか、ザキ。私情を挟むな。』
「分かってるがな~。……ほな、切るで。」
ザキは通信を切った。
通信が途絶えると同時に、世界に夕暮れの静けさが戻ってきた。
ザキはまた歩き出す。
街道の向こう側へ、ゆっくりと。
その口元には、微笑の形をした“獣の影”が浮かんでいた。
不意に──
ふわっと何かが飛んできた。
学生たちがストリートバスケで遊んでいた公園から、弾かれたバスケットボールがザキの頭めがけて転がってくる。
「おっと。」
次の瞬間。
風が走ったように見えた。
──いや、違う。
ザキの腰の“羽々斬”が、一瞬だけ閃いたのだ。
バスケットボールに触れた瞬間、
目にも止まらぬ斬撃線が十、二十と刻まれ──
ボールは音もなく粉々に砕け、
橙色の粒子となって風に舞い散った。
まるで最初から存在していなかったかのように。
走ってきた学生が、首を傾げてザキへ声をかける。
「あれ? すみませーん!ボール、そっちに行きませんでしたか?」
ザキは振り返り、いつもの柔らかい笑顔を浮かべた。
「──いーや、見てへんで?」
夕陽に照らされたその笑顔は、
無邪気に見えるのに、どこか底知れないものを含んでいる。
ザキはそのまま手を振り、
沈みゆく太陽の方向へゆったり歩いていった。
影が長く伸び、
黄昏の街へと溶け込む。
どこかへ消えるその背に──
“人斬り”の気配と“友人としての温かさ”が同居していた。
この男が、
この先どんな刃を振るうのか。
それは夕焼けの中で、
ざわりと風だけが知っていた。
あの笑顔の裏、完全に鬼だったんですけど……。
引くわー……。
横でザキさんが、さっきの方向を顎で示しながらぼそっと言う。
「……なんや、あの王子様。めちゃめちゃキレてるやん。あないに人前でキレ散らかすキャラやったか?」
「いや、俺もビビったよ……」
思わず苦笑が漏れる。
まさか、人前であそこまで罵倒されるとは思ってなかった。
てっきり“王族の余裕と上品さ”みたいなのを振りまくタイプだと思っていたのに……。
でも、あれだ。
あの人、俺に地面にめり込まされた時の記憶が薄っすら残ってて……その恨みが爆発したという可能性も、無きにしも非ず的な……?
そんなことを考えていたら、周囲の受験生たちがヒソヒソ声を漏らしていた。
「お、おい……ラグナ殿下って、あんなキャラだったか?」
「今の見た?あの108番にめちゃくちゃ酷いこと言ってたよな……?」
「自分の魔法をコピーされたの、そんなに悔しかったのか?」
「いや……あれはもう嫉妬だろ……」
あー……ですよねー……
みんなの感想が想像通りすぎて泣ける。
確かに、王子ってああいう外面を死ぬほど気にしそうなタイプだ。
いきなり感情を露わにしてキレるイメージじゃなかったのに……。
すると、少し離れたところで長身お姉さんが仁王立ちしていた。
「あの態度はいただけないわねッ!男子たるもの、もっとドシンと構えなきゃダメよッ!」
完全に俺の味方として怒ってる。
え、何その感じ。ちょっと嬉しいんだけど。
ザキさんが肩をすくめ、
「アルドくん、気にせんとき。あの王子さん、腹でも減って気ぃ立っとったんやろ。」
と笑う。優しい。
ほんとこの人、いちいち救いの言葉くれるんだよな。
「ありがとねー、ザキさん。いや、びっくりしちゃうよね、あの豹変っぷり!」
何気なくそう言うと、ザキさんが俺の顔を、
まるで“素材をよく観察する料理人”みたいな目でじっと見つめてくる。
「……“びっくりした”ん? あの王子に凄まれて?」
「え? ま、まあね。あんな急にキレてくると思わないじゃん?」
次の瞬間、ザキさんの細い目が、一瞬だけ、人を斬る刀みたいに鋭く細まった。
「──人類最強とも言われとる、ラグナ第六王子にあんだけかまされて、“びっくりした”?」
にっ、と笑う。
あ、これダメだ。
俺の背筋が一瞬で冷えた。
しまった……そうだよな。
“恐怖”を感じる素振りがほとんど無かった。
俺の反応は人間としておかしいのかもしれない。
ごまかせるような相手じゃない。
こいつ、笑ってるけど目は全然笑ってない。
この人は……多分、強い。
笑って誤魔化すことを許してくれない“本物”だ。
ザキさんはさらに続ける。
「やっぱり、アルドくん……只者やないね。
ぶっちゃけ、ラグナ王子より強いんと違う?」
……もう誤魔化せないか。
俺は苦しく息を吐き、観念したように肩を落とした。
そして、静かに告げる。
「……そうかもね。もともと、“統覇戦”では、あの王子も倒して……俺が優勝するつもりだし。」
その瞬間、空気が変わった。
ザキさんはビクッと一瞬だけ縮こまった。
たぶん、俺の声に“龍”の響きが乗ったんだ。
だが次の瞬間には、いつもの笑顔を作っていた。
「……なるほどな。ま、そりゃそうやな。」
あはは、と笑いながらも、さっきの一瞬の“本音の瞳”は嘘をついていなかった。
ザキさんは続ける。
「──恐らく、実技テストで爪痕これだけ残した俺らが落ちる事は無いやろな。合格したら、俺と君ぃも……ライバルやな。」
ああ、そうか。
ザキさんは“統覇戦”の優勝を狙ってる一人でもあるのか。
俺は初めて、その事実にちゃんと気付いた。
ただの面白関西人じゃない。
この人もまた、“戦場に立つ者”なんだ。
「……そうだね。もし戦うことになったら、お互いベストを尽くそうね。」
そう言うと、ザキさんは冗談っぽく肩をすくめた。
「せやな~。まぁ……なるべくアルドくんとは戦いたないけどな?」
そう言って拳を突き出してきたので、俺も拳を合わせる。
コツン。
その音が、さっきまでの緊張をほんの少しだけ溶かした。
ふと、視線の気配を感じて振り返ると──
長身お姉さんが、じぃぃぃぃっとこっちを見ていた。
完全に見てた。
今の拳のとこまで見てた。
視線が合った瞬間、お姉さんはハッとして頬を赤くし、サササッ……!と、無言で逃げていった。
「……何なのよ……」
思わず呟く。
とりあえず、試験は終わった。
俺はザキさんに「それじゃ、また明日。合否発表でね」と手を振り、どっと疲れた足取りで、ゆっくりとルセリアの街の中心部へ歩き出した。
夕日が差し込む石畳の道路を歩きながら、
俺は思う。
──やばい日だったな……本当に。
でも、もっとやばいのはこれからだ。
そんな予感が、胸のあたりでずっとざわついていた。
───────────────────
受験番号014番──リニア・アシュフォードは、
重い鉛を括りつけられたかのような足取りで、試験会場の門をくぐった。
背筋はわずかに丸まり、肩は落ち、
彼の影は夕陽を受けてもなお薄暗く見える。
その表情には、生気がほとんど宿っていなかった。
まるで、魂の半分を置き忘れてきたように──。
リニアの生まれ育った領地は、王都から遠く離れた寒冷地にある。
慎ましくも豊かな農作地帯だったが──昨年の異常寒害で状況は一変した。
農作物の大半が凍死し、家畜は衰弱し、領民たちの収入は激減。生活は急激に苦しくなった。
領主である父は王国上層部に何度も支援を要請したが、返ってきたのは冷たく無責任な返答だけだった。
『大変なのはどこも同じだ。個別救済は行わん。』
冷徹な拒絶。
豊かだったはずの領地は、今や衰退の危機に瀕していた。
(……父上を……領民を……救わないと……)
だからこそ、リニアはここに来た。
──勅命権。
それを得れば、王国の制度の隙間を縫ってでも、
領地を救うための「絶対的な命令権」を得ることができる。
そのチャンスが“ルセリア統覇戦”。
そしてその出場権を得るには、
この難関・ルセリア中央大学の【編入試験】に受からなければならない。
そのために、リニアは、努力をしてきた。
暗記が苦手でも、
剣の腕が平凡でも、
体格が強靭ではなくても。
彼には、女神から授かったひとつのスキルがある。
──”詠唱短縮”。
呪文やスキルの発動速度を早める補助的能力。
派手ではないが、使い道によっては力になるはずだ。
そう信じて、必死に鍛え、ひたすら努力してきた。
(……それなのに……)
しかし。
筆記はそれなりにできた。
問題は実技だった。
リニアのスキルは派手さに欠ける。
火力が上がるわけでも、攻撃力が跳ね上がるわけでもない。
案の定、彼の実技スコアは──
【869】
その数字は、試験会場に掲示された瞬間、
リニアの胸に鋭い針のような痛みを突き刺した。
周囲の受験生たちのざわめきが耳を刺す。
「……あれ、ギリギリ落ちるやつ……」
「クイックキャストか……うーん……」
「ぶっちゃけ地味なんだよな……」
(……分かってる……分かってるさ……)
唇が震えた。
その心をさらに折るように、
次の受験生が、規格外の数字を叩き出す。
受験番号025番──
長身の美女が繰り出したのは……まさかの“頭突き”。
【19758】
「……は?」
何が起きたのか、本気で理解できなかった。
続く、受験番号052番。
糸目の青年が、居合のように剣を抜いた瞬間──
【24015】
そのスコアに会場がどよめき、
リニアの膝はがくりと震えた。
(格が……違う……)
もう、このレベルは同じ試験を受けている人間じゃない。
“ステージが違う”。
そして極めつけ。
受験番号108番──銀髪のあの少年。
アルド・ラクシズ。
彼は、淡々とした顔で指先を掲げ、
ラグナ第六王子の固有魔法を──
“無詠唱で、模倣して放った”。
眩しい閃光が世界を白く塗りつぶし、
スコア表示が光る。
【28286】
空気が震えた。
王子の顔が青ざめた。
(……ラグナ王子ですら焦りを見せる……そんな存在が……)
自分と同じ受験生として、そこに立っている。
(……無理だ……)
リニアの胸の奥で、何かが静かに折れた。
(……俺では……勝てない……こんな化け物たちに……? たとえ合格したところで……統覇戦で勝ち残れる訳がないだろう……)
視界が滲む。
頭では分かっていた。
努力したところで、届かないものがあることも。
だが──
父を救いたいと願ってきた心が、
今ここで音を立てて崩れ落ちていくのを、止められなかった。
(……俺にも……あいつらみたいな力があれば……)
その想いは、祈りではない。
純粋な“嫉妬”だった。
初めて感じた人間らしい黒い感情が、
胸の奥でじわりと渦を巻き始める。
試験会場の中央では、
ラグナ王子が怒りを押し殺しながら、
スコアTOP3の受験生たちへ近づいていった。
その光景を、リニアは虚ろな目で眺める。
(……どうせ……俺なんて……)
誰も、自分の存在なんて気にしていない。
いや──
気にする価値がないのだ。
何の力も持たず、
何の結果も出せず、
誰の胸にも印象ひとつ残せなかった自分には。
気づけば、視界は黒く沈んでいた。
リニアは、俯いたまま会場を後にした。
足取りは覚束ず、まるで霧の中を歩いているようだった。
夕陽は暖かいはずなのに、
彼の背へと落ちる影は異様に冷たかった。
その胸の奥。
深い絶望と嫉妬の底で──
黒い魔力が、静かに、確かに渦巻き始めていた。
それに気づく者は、この時、まだ誰ひとりいなかった。
───────────────────
夕陽が赤々と地平線へ沈みかけ、街道に長い影が伸びていた。
舗装された道の上に、ザキの影も細く、しなやかに揺れている。
黒髪に金メッシュが差し込まれたウルフカットが、
西風を受けてふわりと舞った。
ザキは眩しそうに細い目をさらに細め、
オレンジ色の空を一瞥する。
ため息とも、笑みともつかない息が漏れた。
そのとき──右耳のピアスのひとつが、
微かな振動とともに、コッと光った。
ザキは歩く速度も変えずに、そのピアスへ指を添える。
「──俺や。」
声はいつも通り軽いが、
その瞳の奥だけは油断の無い、研ぎ澄まされた刃のようだった。
ピアスの奥から、男の低い声が響く。
ザキにしか聞こえない、密やかな地下の声。
『──ご苦労。編入試験はどうだった?』
ザキは肩をすくめながら笑う。
「あー、まあ……合格ラインは超えた思うで?
筆記の数学いうのはボロッボロやったけどな。」
飄々とした口ぶり。
だが、返答は嘘でもごまかしでもない。
「実技試験は2位やったし、多分大丈夫やと思うで。」
その言葉に、ピアスの向こうの男が反応した。
『……2位? 2位だと? ……まさか、力を見せたのか!?』
少し焦ったような、鋭い声。
ザキは軽く笑った。
「いやいや、ホンマにちょびっとだけやって~。
“奥の手”は封印したままやし。心配いらんて。」
そして、ふっと口の端を釣り上げる。
「俺の前に、頭突き一発でスコア【19758】叩き出した化け物おってな。……つい、対抗意識わいてしもうてん。」
ピアスの奥の声はしばし沈黙した後、低く告げる。
『──もういい。だが、本来の目的を忘れた訳では無いだろうな?』
ザキは足を止めない。
夕焼けの一本道を、ただ真っすぐ前へ進む。
その右手が、無意識に腰の刀──
“羽々斬“の柄へ触れた。
感触を確かめるように、優しく撫でる。
「当たり前やん。」
次の瞬間、ザキの声には“軽さ”が完全に消えていた。
夕日に照らされた横顔が、氷のような殺意を孕む。
「──第六王子、ラグナ・ゼタ・エルディナス。
あいつは……俺が、殺す。」
ピアスの奥の声が満足げに息を吐く。
『分かっているならいい。
作戦の成功率を下げるような真似は控えろ。』
ザキは歩きながら、片手を上げて気怠げに返す。
「へいへい、分かっとるって。」
だが──次に彼が告げた声は、わずかに低かった。
「……せやけどな。 作戦の成功率でいうたら、一個だけ、想定外が出てきてもーたわ。」
『……想定外?』
「受験生の中に……とんでもない”怪物”がおる。」
ピアスの向こうの男が促す。
『怪物? ……頭突きで19000超えの受験生か?』
ザキは吹き出す。
「ちゃうちゃう。あれも十分化け物やけどな。もっとヤバいやつや。」
そして、その目が細められた。
楽しげに。
そして、獲物を見つけた獣のように。
「……ラグナの”核撃魔光砲“をな。無詠唱で模倣してブッ放したヤツがおんねん。」
ピアスの奥で、
聞いたことのないほど大きな息を呑む音が響く。
『な……っ!?』
「スコアも確か【28286】。しかも……ラグナのデモンストレーションに合わせて、“あえて”超えへんように微調整しとったんちゃうかって感じや。」
『バ、バカな……!?
という事は、その受験生……真の力は……下手すればラグナをも上回るというのか!?』
「どうやろね?」
ザキは軽く首を回しながら言う。
「ラグナにも、まだ隠しとるスキルあるやろし。何とも言えんとこやね。」
沈黙のあと、男は低く尋ねた。
『──その“怪物”、お前なら斬れるか?』
ザキは一瞬、遠くの夕陽を見た。
赤い光が瞳に映り込み、妖しく輝く。
そして──肩をすくめた。
「勘弁してや~。俺、その子と仲良ぅなってもうてん。斬り合うんは……ちょっとゴメンやわ~。」
軽い笑い声。
しかし、その直後に続いた声は、
どこまでも静かで、どこまでも鋭かった。
「──ま、斬れるか斬れへんかで言うたら……“斬れる”思うけどな。」
冷気さえ帯びる声音。
ピアスの奥の男は、その言葉に安堵した。
『それを聞いて安心した。いいか、ザキ。私情を挟むな。』
「分かってるがな~。……ほな、切るで。」
ザキは通信を切った。
通信が途絶えると同時に、世界に夕暮れの静けさが戻ってきた。
ザキはまた歩き出す。
街道の向こう側へ、ゆっくりと。
その口元には、微笑の形をした“獣の影”が浮かんでいた。
不意に──
ふわっと何かが飛んできた。
学生たちがストリートバスケで遊んでいた公園から、弾かれたバスケットボールがザキの頭めがけて転がってくる。
「おっと。」
次の瞬間。
風が走ったように見えた。
──いや、違う。
ザキの腰の“羽々斬”が、一瞬だけ閃いたのだ。
バスケットボールに触れた瞬間、
目にも止まらぬ斬撃線が十、二十と刻まれ──
ボールは音もなく粉々に砕け、
橙色の粒子となって風に舞い散った。
まるで最初から存在していなかったかのように。
走ってきた学生が、首を傾げてザキへ声をかける。
「あれ? すみませーん!ボール、そっちに行きませんでしたか?」
ザキは振り返り、いつもの柔らかい笑顔を浮かべた。
「──いーや、見てへんで?」
夕陽に照らされたその笑顔は、
無邪気に見えるのに、どこか底知れないものを含んでいる。
ザキはそのまま手を振り、
沈みゆく太陽の方向へゆったり歩いていった。
影が長く伸び、
黄昏の街へと溶け込む。
どこかへ消えるその背に──
“人斬り”の気配と“友人としての温かさ”が同居していた。
この男が、
この先どんな刃を振るうのか。
それは夕焼けの中で、
ざわりと風だけが知っていた。
53
あなたにおすすめの小説
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い
☆ほしい
ファンタジー
過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。
「もう誰にも縛られない、自由な生活を送るんだ」
そう決意した俺は、手始めに小さな川舟を作り、水上での生活をスタートさせる。前世の知識を活かして、この世界にはない調味料や保存食、便利な日用品を自作して港町で売ってみると、これがまさかの大当たり。
スキルで船をどんどん豪華客船並みに拡張し、快適な船上生活を送りながら、行く先々の港町で特産品を仕入れては別の町で売る。そんな気ままな水上交易を続けているうちに、俺の資産はいつの間にか小国の国家予算を軽く超えていた。
これは、社畜だった俺が、チートな船でのんびりスローライフを送りながら、世界一の商人になるまでの物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる