僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

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 ―――――番外――――

1.5話「息がしやすいけど、これは“俺”じゃないな。」②

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 そして、ある日。

「おれ、おとこだもん!
 いつかとーちゃんみたいなからだに、
 なるもん!」

ついに耐えられなくなって、
俺は母親に、
いつも思っていたことを、ぶつけた。

すると、母親は、

 おかしそうに、笑って。

「薫ちゃんは、



  “女の子”なんだから、

 絶対に、





   ―――“男”には、

        ならないよ。」



 そう、
 言葉を、刺して。



そう、
自信を持って言い切られた言葉は、

 …絶対に、正しいことなんだ。
 …と、
  嫌でも、
  わかってしまって。


それまで俺が、
正しいと信じていた、
希望が、

夢が、

未来が、

 …壊れた。

…そして、

 …間違っていたのは。

 …宇宙人だったのは、


   …俺、だったんだ。


 …ということに、

 ようやく、気付いた。


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