僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

文字の大きさ
上 下
189 / 412
 ―――――承【2】―――――

6話「『同性だから付き合わない』のは、“当たり前”。」㊴ー願ー

しおりを挟む



 良太の部屋に行くと、
出ていた白いテーブルは折り畳まれ、
脇に立てられていて。

ベッドの横には、
小学生のとき使わせてもらっていた、
布団が、敷かれていた。



「あっくん、おかえり。」

ベッドの上に腰かけ、テレビを観ていた
良太が、俺に気付く。


「…ただいま。」

見ると、
ベッドの前の位置にある
小型のテレビには、
バラエティー番組が映っていた。


俺は、
少し、間を空けて

良太の隣に、腰を下ろした。



「…あ。」

すると、良太が声を上げて、


 顔を、近付けてくる。



「あっくん家のシャンプーの匂いだ。」


 耳の近くに、
 良太の声が、響いて。


「……だから…なんだよ…。」

思わず、良太から顔を背けた。


「いや、やっぱ
 今日も持ってきたんだなーって。
 うちの使っていいのに。」

「……別に…。」

良太の顔を見ずに、つぶやく。



「…あ。それでね。」

ガサッという音がして。

顔を向けると、
良太は、俺と反対側を向いていて。

その傍らから、


 紙袋を取って、

 俺に、向けてきた。





「…はい、これ。


  誕生日プレゼント。」



 そう、
 優しく笑う、良太に、



 思わず、
 目を、見開く。


しおりを挟む

処理中です...