僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

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 ―――――承【2】―――――

6話「『同性だから付き合わない』のは、“当たり前”。」(54)

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「…そっか。」

私はまた、
自分のアイスを食べ始めた。



「…テスト、今日までだったんだよね。
 どうだった?」

浮かんだ話題を、口に出し。


「うーん…
 どれもぼちぼちって感じかな…。
 とりあえず、現代文と古典はヤバかった。」

「ああ、
 良ちゃん、苦手って言ってたよね。」

「小春は昨日までだったっけ。
 どうだった?」

「私は…数学は自信あるけど、
 それ以外は微妙かも…。」


お互い、
アイスに目を向けながら、話して。




「……良ちゃんは、

 …まだ……




  …付き合ってる人、

    いない?」



小さく、声を、向けた。







そして、

オレンジをすくっていたスプーンが、
また、抹茶に移るのが、
目に入って。





 「いないよ。」


 穏やかな声が、返ってきた。





「……そっか。」


私は、顔を緩めて、
チョコに、スプーンをさす。





「…小春は、

 まだ…彼氏、いないの?」




その声に、
目線を、上げて、



「…いないよ。」


そっと、答えると、






「…そっか。」


良ちゃんは、
口元を緩めて、つぶやいた。








「…うん。」


私は、

また目線を、
アイスへ落として。


息を、ついて、
チョコを、すくった。


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