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―――――転―――――
9話「“友達だって”という、免罪符」⑪ー灰ー
しおりを挟む部屋に入り。
茶色のテーブルの前に座って、
2人で、アイスを食べ始めた。
「…あっくんの部屋、
久しぶりだな。」
オレンジのアイスを一口かじって、
良太がつぶやく。
「……最近、
来なかった…もんな。」
微かに答えて。
グレープのアイスに、
一口、二口と、歯を立てた。
「…そうだね…。
相変わらず、あっくんの部屋は
シンプルだね。」
「…ごちゃごちゃするの、
好きじゃないから…。」
「……フフッ。
あっくんらしいや。」
良太は、
目を細めて。
あの劇から、
初めて、
俺に、笑った。
「…なんか…
良太、シャンプーの匂いするな。」
俺は、
気になっていたことを、
やっと、口に出すことができた。
「ああ…
午前中部活で、汗かいて。
さっきシャワー浴びたからかも。」
良太は、そう答え。
また、アイスをかじり。
そのときも、
髪の毛が、揺れて。
シャンプーの
オレンジの匂いが、漂ってきた。
あっという間に食べ終えて。
俺達は、アイスの棒を
入っていた袋に戻し、
テーブルの上に置いた。
「…あっくん。」
ぽつっと、
良太は、声を出し。
「……ごめんね。」
辛そうに
つぶやいた。
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