僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

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 ―――――結―――――

10話「君への気持ちは、“恋”じゃない。」(64)ー動ー

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 『一緒に学校行くのやめよう』







 文化祭の振り替え休日明けの、水曜日。


朝、メッセージをあっくんに送って。


あっくんに会わないよう、

早くに、学校へ向かった。


















 教室の後ろのドアを開けると、


真ん中の列の、前の方の席に、

司が座っているのが、見えた。


後ろのドア窓はすりガラスで、
教室の中が見えないので、

まだ誰もいないと思っていた
俺は、少し驚いた。



「…あれ、良太。おはよう。」


司が顔を向けてきて、意外そうな声を上げた。


「おはよう、司。早いね。」


椅子を引きながら時計を見ると、
7時半過ぎくらいで。

そこで、
そういえば入学したばかりの頃、
こんなことがあったな、と思い出した。



「どうしたの?また予習忘れた?」


「…うん。そうなんだ。」


優しく微笑んで訊く司に、

俺は、顔を笑わせ。
そういうことにしておこうと、
首を縦に振った。



そして、バッグを脇に置き。


荷物を机の中に入れていると。









 「……凪と、何かあった?」



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