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―――――第1部―――――
1話「この関係って、何?」㉚
しおりを挟むその、次の瞬間には、
唇に、
柔らかい感触が、触れていた。
押し当てられ。
柔らかさの中の
弾力が、
唇に、伝わってきてから。
そっと、
良太の唇が、離れた。
そして。
顔が、少しずつ、遠くなり。
良太の目に、
焦点が、合う。
「………目…
…瞑って…なかったけど…
……良かったのか?」
小さく、訊くと。
良太は、顔を緩ませ。
「……うん。
なんか…
…あっくんの顔見てたら
どうでも良く、なっちゃった。」
そう、唇を動かしながら、
また、
近付いてきて。
また、
唇が、重ねられる。
さっきより、ほんの少し、
強く、押し当てられて。
唇が、
良太の唇に合わせて、
形を変えるのが、伝わってきた。
唇の、感触と温度が、
くっきりと、わかり。
握る手も、
絡む指も、
ちょっとの隙間も、なくなるくらい、
強く、合わせて。
良太の体温で、
体が、
あったかく、なっていった。
そうして。
唇の温度が、同じになった頃。
良太の唇は、離れていき。
瞳に、
良太の、嬉しそうに笑う顔が、
大きく、映って。
それに。
また、息が漏れた。
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