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 ―――――第2部―――――

3話「君のものに、なりたい。」⑮

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「なるほど。
 直己は腕フェチってことか…。」

将人が真剣な顔で頷く。

「二の腕か?」

滝が淡々と直己を見る。

「う、うーん…
 いや、腕全体かな…?
 なんか、スラッとしたのとか
 好きかも…。」

直己はペットボトルから口を離し、
恥ずかしそうに答えた。


「直己は細いのが好きなんだな!

 俺はある程度、
 肉付いてる方が好きだぜ~!」


将人がイキイキと、喋り。



「……肉付いてる方が、いいのか?」


ふっと、声が、漏れた。



「おお!
 あの、ぷにぷに柔らかい感じとか
 たまんねぇよな~!」


将人の、その声を聞いて、


「……ふーん。」


俺はまた、弁当に目を向ける。




「とりあえず、胸が2票ってことだな。」


「…いや、凪のはカウントすんなよ…。」



「後で、遠野にも訊いてみるか。」



そして、将人の声と、


滝のそんな、何気ない言葉が、
耳に入ってきた。


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