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 ―――――第3部―――――

4話「異性だったら、そうなるよね。」⑳

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そのまま、
舌先で、くにくに押していると。


観念したように、
ゆっくりと、その唇が、開き。

ぼやけていた瞳も、閉じる。



そうして、
開いた唇へ、舌を入れ。

歯列に、頬の内側に、上顎に
舌を滑らせ、

口内の柔い粘膜を味わってから、

舌に、絡み付く。



胸を、もっと押し付けて、

唇を、もっと近寄せ。

舌を、もっと深くまで進ませて。

舌の根の方まで、
全体を、味わって。


ちゅ…ぱ…と水っぽい音が、
自分の中に、響きながら、

溢れる唾液を、飲み込んで。


唇を、離す。



そのまま。

良太の唇の端にこぼれた
しずくを、舐めて。


赤くなった、

良太の耳たぶに、唇で触れ。

それを、柔く食む。




 すると、



ビクッと良太の肩が、大きく震え。


その次の瞬間
すごい勢いで良太が立ち上がり、

自然と、身体が剥がされる。





「…あのさ…。」


そして、良太が
俺から顔を背けて、つぶやき。


その耳は、

さっきよりも、
もっと赤くなっていた。




「…すごい……
 ビクッ…てなったな…。」


声を漏らすと、

良太の肩が、また震え。



そして、

ゆっくり、俺へ、顔を向けて。





「………こういうのは……

    ……やめよう…。」



赤い顔で、ぼそりと言った。






「…どういうの?」


俺は見上げつつ、首をかしげる。



「…だ、だから……こういう…」


良太は言葉を詰まらせ、

顔を、また背け。



「……あんま……


 ………えっちなこと…
 されると……さ…。」



ぼそぼそ、つぶやいた。





「…どこら辺が…えっちだったんだ?」

「………全部です…。」


声を投げると
良太が、ため息をつきながら返し。


俺は、良太を見上げたまま。


少し、考え。



「…じゃあ、

 健全な息抜きをしよう。」


ぽつりと提案する。



「…健全?」

すると、
良太は、訝しげに、こちらへ目を向けた。

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