フードデリバリー配達員をやっていたら異世界に自由に行けるようになったので、日本からいろいろな物をデリバリーして大金持ちを目指します!

クレール・クール

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ヒヒイロベイクドポテト

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 マジリハ湖のほとりにある屋台……とは言いにくくなった俺の店の前にずらりと並ぶ長蛇の列。

 その最後尾は、もうここからでは見えないほど遠くだ。

 お昼のピークが終わったあとの、本当ならアイドルタイムに入る今の時間にこれだけの人が待っているのは今日から売り始める新商品。

「新発売、ヒヒイロベイクドポテトをお求めのお客様は最後尾にお回りください! 割り込みや他の人に代わりに並んでもらうような行為は禁止です!」

 列の整理に当たっているのは領主であるアルフォンス・フォン・オルシャー伯爵の愛娘のエリシャ。

 貴族の彼女が直接声をかけて回っているせいか、今のところみんな大人しく従っているみたいだ。まあ、彼女の護衛についている近衛兵が睨みを効かせているからかもしれないけどね。

 ヒヒイロベイクドポテトっていう名前を付けたのもエリシャ。

 石焼き芋っていう名前は少し地味かな? と思ってみんなで考えた結果、採用されたのが彼女の考えたやつだった。

 黄金の色の焼き芋っていうことでゴールデンなんちゃらとかいう意見が多かったんだけど、この石焼き芋には黄金以上の価値がある物の名前を付けるべきということに。

 ミスリルやらオリハルコンやらいろいろ価値ある物の中から選ばれたヒヒイロカネは、神々の金属と呼ばれる金属の中でもいちばん太陽に近い金属だと言われているんだそうだ。

 そのままヒヒイロカネベイクドポテトだと少し呼びにくいので少し縮めたものを採用。

 うちで働いてる未亡人の人たちやポーシャ、ポロポロ、シックス、それにエリシャが試食で食べた焼き芋の魅力をいろんなとこで触れ回った結果、マジリハどころか近隣の町や村の女性陣、貴族のご婦人が大挙してやってきた。

「信じられないほど甘くていい匂いのする、黄金色の食べ物です」

 この口コミが効いたのかな。

 ちなみに芋は俺が日本から持ち込んできた物をモルタ監修の畑で栽培した。あっという間に成長して実をつけた芋は、元々の物と遜色がない。さすが魔王の四天王で植物支配が得意っていうだけのことはあるもんだ。

「たーくん、もうこれ以上お待たせしたら暴動が起きるよ!」

 おっと。

 先頭の人なんて夜明け前からずっと並んでいたもんな。準備もできてるし、少し早いけどもうはじめますか。

「よーし、みんな開店戦闘用意!」

「「「はい!!!」」」

「お待たせしました、ヒヒイロベイクドポテト、ただいまより販売開始です!」

 ちなみに、先頭にいたのはポロポロ。あんた、試食でたくさん食べてたでしょうが。
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