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食料確保
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同居人がいっきに15人も増えた。
家事は楽になるけど食料の在庫もいっきに減ってしまう。
とりあえず5人は屋敷で掃除や片付け、別の5人は森に入って食べられそうな物を確保してきてもらうことにして、最後の5人には申し訳ないけど畑作りをしてもらうことにした。
屋敷の周りに群生している野草類や芋に穀物を畑に植え替えてきちんと栽培管理していかないと、すぐに食料が無くなってしまうからな。
見た目からは想像もつかないけど彼女達は農作業を嫌がらずむしろ楽しそうにこなしてくれた。
森の中間層くらいの深さに住んでいた彼女達は、狩りをしたり自生している木の実を食べて生活し、収穫物が減ってくると部族ごと移動するということを繰り返していたんだそうだ。
「自分達で作物を育てるのは初めてなので楽しいです」
ここで生活出来るかどうかは畑の出来次第のところが大きいからよろしく頼む。
屋敷のハウスキーパー部門は、まあメイドさんといった感じ。どこから用意したのか、お揃いのメイド服を着てはしゃいでいる。
しかし、森の中で生活していたのにメイドの仕事なんて出来るのか?
「以前創造神様がこちらにいらした時にお世話を任せていただいたお婆様から、叩き込まれていますので」
ここで創造神の爺さんのために働くのはハイエルフ達の憧れだったんだそうだ。
彼女達の親世代も家事雑事全般こなせるように訓練されていたけど、ついにその腕前を披露する機会は訪れなかった。
だから、今回俺が神の使徒という形でやってきてその世話をすることが出来るアシェラ達を羨ましそうに見ていたらしい。
というか、俺って使徒なのか?
せいぜい友達枠とか行きつけの店の知り合い枠とかそんなとこだと思うんだけどな。
ハイエルフ達が嬉しそうにしてるからあえて否定したりはしないけど。
ここまでの農作業チームとメイドチームは今のところ問題無し。
問題があったのは森に入ったチーム。
俺にいいところを見せようと森に狩りをしに行って、逆に捕食されかけたとか。
そんな無理や無茶はしないで欲しい。
「で、何を狩ろうとしたんだ?」
「朝いただいたシムル⋯⋯ダチョウズラです。狩ろうとしましたが、逆に丸呑みされました」
「大丈夫だったのか?」
「なんとか、全員でかかって助け出すことは出来ましたが、シム⋯⋯ダチョウズラには勝てず、逃げ帰りました。申し訳ありません」
ハイエルフ達が揃って頭を下げるが、無事ならそれでいい。もう一度無理や無茶はしないようにとだけ言っておく。
ああ、それと呑みこまれたハイエルフはお湯で洗ってくるように。なかなか匂う。
しかし、確かにダチョウズラ⋯⋯いや、やっぱりシムルグでいいか。は、美味かったけど命がけで狩ろうとするほどだっただろうか?
「シムルグの臓物は最高の肥料になると言われています」
⋯⋯なんですと?
「その肥料を使った畑は、数十年の間作物の成長が促進され、品質も最高の物が出来上がると聞きます」
なんと。それが本当なら俺の【料理の鉄人】や【万能包丁】との相性は最高じゃないか。
しかも食料事情も一気に改善するぞ。
そういえば、シムルグが羽ばたくとあらゆる植物の種が撒かれるなんて話を聞いたことがある気がするけど、もしかしたらそれと同じような感じなのかな。
「試してみよう」
「いえ、討伐に失敗してしまったので⋯⋯すいません」
「大丈夫だ。昨日俺が狩ったシムルグの内臓がまだある」
捨てる場所が無かったのでとりあえず裏庭に埋めておいたシムルグの臓物に腐葉土を混ぜて発酵させる。
「魔法で発酵を促進させます。闇魔法は得意ではないので少し時間がかかりますが⋯⋯」
ハイエルフのリーダーのアシェラが魔法をかける。
時間がかかるとのことなので、その間に夕飯の支度をしよう。
当面は朝と夜の2食。ハイエルフ達は1日1食でも食べられれば多いほうで、数日食べ物にありつけない日もあると言っていたし、大丈夫だろう。
今夜はシムルグの肉を使った鶏肉餃子と手羽先餃子。
肉をミンチにして、ハイエルフが見つけてくれた春キャベツを混ぜてタネを作る。
それを小麦粉で作った皮と手羽で包んで焼くだけの簡単お手軽料理だけど、絶対に美味しいやつだ。
皮を作るのは俺がやったけど、包むのはアシェラ以外の森に入ったチームにも手伝ってもらう。
おっと、メイドチームにもせっかくだから覚えてもらうか。
「うまく包めません」
「大きさがバラバラです⋯⋯」
苦労したみたいだけど、それなりの量を包めた。
焼き始めたところで畑チームとアシェラもそれぞれ仕事を中断してやってきた。
「香ばしい匂いに抗えませんでした」
焼き上がってから気付く。
醤油もお酢もラー油も無い。
醤油を作るのはともかく、お酢とラー油はなんとか早めに自作したい。
柚子胡椒も、似たような物があればいけるか?
仕方ないのでハーブで香りを付けた塩を少量付けて食べてもらった。
喜んで貰えて何よりだけど、そのうちもっと美味しく食べさせてやるからな。
家事は楽になるけど食料の在庫もいっきに減ってしまう。
とりあえず5人は屋敷で掃除や片付け、別の5人は森に入って食べられそうな物を確保してきてもらうことにして、最後の5人には申し訳ないけど畑作りをしてもらうことにした。
屋敷の周りに群生している野草類や芋に穀物を畑に植え替えてきちんと栽培管理していかないと、すぐに食料が無くなってしまうからな。
見た目からは想像もつかないけど彼女達は農作業を嫌がらずむしろ楽しそうにこなしてくれた。
森の中間層くらいの深さに住んでいた彼女達は、狩りをしたり自生している木の実を食べて生活し、収穫物が減ってくると部族ごと移動するということを繰り返していたんだそうだ。
「自分達で作物を育てるのは初めてなので楽しいです」
ここで生活出来るかどうかは畑の出来次第のところが大きいからよろしく頼む。
屋敷のハウスキーパー部門は、まあメイドさんといった感じ。どこから用意したのか、お揃いのメイド服を着てはしゃいでいる。
しかし、森の中で生活していたのにメイドの仕事なんて出来るのか?
「以前創造神様がこちらにいらした時にお世話を任せていただいたお婆様から、叩き込まれていますので」
ここで創造神の爺さんのために働くのはハイエルフ達の憧れだったんだそうだ。
彼女達の親世代も家事雑事全般こなせるように訓練されていたけど、ついにその腕前を披露する機会は訪れなかった。
だから、今回俺が神の使徒という形でやってきてその世話をすることが出来るアシェラ達を羨ましそうに見ていたらしい。
というか、俺って使徒なのか?
せいぜい友達枠とか行きつけの店の知り合い枠とかそんなとこだと思うんだけどな。
ハイエルフ達が嬉しそうにしてるからあえて否定したりはしないけど。
ここまでの農作業チームとメイドチームは今のところ問題無し。
問題があったのは森に入ったチーム。
俺にいいところを見せようと森に狩りをしに行って、逆に捕食されかけたとか。
そんな無理や無茶はしないで欲しい。
「で、何を狩ろうとしたんだ?」
「朝いただいたシムル⋯⋯ダチョウズラです。狩ろうとしましたが、逆に丸呑みされました」
「大丈夫だったのか?」
「なんとか、全員でかかって助け出すことは出来ましたが、シム⋯⋯ダチョウズラには勝てず、逃げ帰りました。申し訳ありません」
ハイエルフ達が揃って頭を下げるが、無事ならそれでいい。もう一度無理や無茶はしないようにとだけ言っておく。
ああ、それと呑みこまれたハイエルフはお湯で洗ってくるように。なかなか匂う。
しかし、確かにダチョウズラ⋯⋯いや、やっぱりシムルグでいいか。は、美味かったけど命がけで狩ろうとするほどだっただろうか?
「シムルグの臓物は最高の肥料になると言われています」
⋯⋯なんですと?
「その肥料を使った畑は、数十年の間作物の成長が促進され、品質も最高の物が出来上がると聞きます」
なんと。それが本当なら俺の【料理の鉄人】や【万能包丁】との相性は最高じゃないか。
しかも食料事情も一気に改善するぞ。
そういえば、シムルグが羽ばたくとあらゆる植物の種が撒かれるなんて話を聞いたことがある気がするけど、もしかしたらそれと同じような感じなのかな。
「試してみよう」
「いえ、討伐に失敗してしまったので⋯⋯すいません」
「大丈夫だ。昨日俺が狩ったシムルグの内臓がまだある」
捨てる場所が無かったのでとりあえず裏庭に埋めておいたシムルグの臓物に腐葉土を混ぜて発酵させる。
「魔法で発酵を促進させます。闇魔法は得意ではないので少し時間がかかりますが⋯⋯」
ハイエルフのリーダーのアシェラが魔法をかける。
時間がかかるとのことなので、その間に夕飯の支度をしよう。
当面は朝と夜の2食。ハイエルフ達は1日1食でも食べられれば多いほうで、数日食べ物にありつけない日もあると言っていたし、大丈夫だろう。
今夜はシムルグの肉を使った鶏肉餃子と手羽先餃子。
肉をミンチにして、ハイエルフが見つけてくれた春キャベツを混ぜてタネを作る。
それを小麦粉で作った皮と手羽で包んで焼くだけの簡単お手軽料理だけど、絶対に美味しいやつだ。
皮を作るのは俺がやったけど、包むのはアシェラ以外の森に入ったチームにも手伝ってもらう。
おっと、メイドチームにもせっかくだから覚えてもらうか。
「うまく包めません」
「大きさがバラバラです⋯⋯」
苦労したみたいだけど、それなりの量を包めた。
焼き始めたところで畑チームとアシェラもそれぞれ仕事を中断してやってきた。
「香ばしい匂いに抗えませんでした」
焼き上がってから気付く。
醤油もお酢もラー油も無い。
醤油を作るのはともかく、お酢とラー油はなんとか早めに自作したい。
柚子胡椒も、似たような物があればいけるか?
仕方ないのでハーブで香りを付けた塩を少量付けて食べてもらった。
喜んで貰えて何よりだけど、そのうちもっと美味しく食べさせてやるからな。
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