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甘いものが食べたい
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餃子パーティーから数日。
シムルグ印の畑では、栽培しやすくて収穫量の多いジャガイモをメインに葉野菜を数種類育ててもらうことにした。
アシェラが頑張ってくれたおかげで畑5面分の肥料が作れた。
効果がはっきりしないから、肥料を使わない畑も5面。
ハイエルフの話によると効果の差は歴然ということだけど、彼女達も今まで畑作りをしていたわけじゃなく実際に試してみたことは無いというので安全策でこちらも同じ作物を育てることにした。
問題が無いようならまた俺がシムルグを狩って肥料を作ってもらおう。肉もなかなかの味だったからな。
ジャガイモからは片栗粉の代用品が作れる。
小麦粉の代わりに片栗粉を使った唐揚げも、違った歯触りになって美味しいんだ。
小麦粉の在庫もだいぶ減ってきたので、ジャガイモのマッシュに片栗粉と塩と水で作れる芋餅が1日置きに食卓に上がる。
腹にたまるし、味も悪くない。
しかし。しかしだ。
「甘いものが食べたい」
「甘いものですか?」
「何か森で見かけたことはないか?」
「見かけたことはありますが、甘い果実は凶暴な魔物も狙っていますので、食べたことはあまりありません」
「ハイエルフって強い種族ってイメージなんだけど?」
「ハイエルフは、普通のエルフだいたい10人分の力はあります。普通のエルフはやはり人間の兵士の10人分はあるかと」
「それでも勝てないのか?」
「この森の生き物が相手では⋯⋯すいません」
「そ、そうか。まあ無理はしないように」
そういえばハイエルフのひとりがシムルグに丸呑みにされたんだったっけ。
俺が倒せたのは【料理の鉄人】と【万能包丁】のおかげ。勘違いしないようにしないと。
ああ、でもそろそろシムルグの肉も無くなるか?
ここ数日は食べられそうな野菜類探しをしてもらったけど、今度森に行く時は俺もついて行ったほうがいいかな。
俺の目の前にあるのはリンゴ。
アシェラ達森チームと森に入った時に運良くリンゴの木を見つけることができた。
リンゴは秋のイメージが強いが、国によっては春に収穫している国も確かあったような気がする。
「これは⋯⋯ほとんど食べられるところがありませんね」
「味も正直あまり美味しいとは思えません」
食べたことがあるというハイエルフの評価はあまり良くない。
確かに、まるでビワのような大きな種が入っていて実の部分はほとんど無い。
歯でこそげ取るように食べてみても、スポンジみたいな感じに乾いていてはっきり言ってマズイ。
だけど何か引っかかる。
あまりにも実に蜜が無さすぎないか?
【万能包丁】で種を割ってみる。
するとたっぷりの蜜が溢れてきた。
「⋯⋯甘くて旨い」
指に付いた蜜を舐めてみると、極上の蜂蜜のような味がした。
なるほど、蜜を種に集めることでマズイ果実だと動物や鳥に思わせることが出来る。
それがこのリンゴの木の、子孫の残し方なんだろう。
「あの⋯⋯私にもください」
「あ、ずるいですよ! 私が木を見つけたんだから私が先です!」
「いえ、やはりリーダーの私が先に確認すべきです」
ああ、まだリンゴの実はまだたくさんあるぞ。
だから、俺の指を舐める必要はないからな。
⋯⋯おっさんだけど体は若いんだからドキドキするからやめてくれませんか? いろいろと危ないから。
このリンゴを蜜リンゴと呼ぶことにした。蜜は普通にリンゴ蜜でいいかな。
使い道としては、まず普通に蜜をとって、小麦のガレットにつけたりして甘味を楽しむのがひとつ。
実は美味しくないけど、皮を煮出すといい感じのアップルティーを淹れることができた。
「⋯⋯こんな美味しいお茶は初めてです」
「リンゴ蜜を加えると⋯⋯ああ、顔が自然とほころびます」
ハイエルフ達にも大人気で、森に入るたびにいくつかは確保してくるようになった。
そしてもうひとつ。
リンゴ酵母を作ることに成功した。
パン焼き窯はあるので、パンを焼けるようになって一気に生活レベルが向上した。
ミルクもバターも無いから味はいまひとつだけど、パンはパン。
小麦の消費量も跳ね上がるし焼くのも俺ひとりじゃ無理だから畑チームとメイドチームにも頑張ってもらおう。
そう思っていたけど彼女達は俺が言うまでもなく畑を広げたり焼き方を覚えたりしていた。
よほど美味しかったらしいな。良かった。
そして最後に蜂蜜酒、ミードと呼ばれているやつとリンゴ酢作り。
最古の酒というだけあって作り方も簡単。
あと数日もすれば飲めるだろう。
それにリンゴ酢があればピクルスを作れる。ということは、保存食を作れるということ。
しばらくはこれに集中しよう。
「あの、お肉が無くなってしまったので狩りにご一緒して頂きたいのですが」
「あ、はい。了解」
森に行ってるあいだはメイドチーム、よろしくな。
シムルグ印の畑では、栽培しやすくて収穫量の多いジャガイモをメインに葉野菜を数種類育ててもらうことにした。
アシェラが頑張ってくれたおかげで畑5面分の肥料が作れた。
効果がはっきりしないから、肥料を使わない畑も5面。
ハイエルフの話によると効果の差は歴然ということだけど、彼女達も今まで畑作りをしていたわけじゃなく実際に試してみたことは無いというので安全策でこちらも同じ作物を育てることにした。
問題が無いようならまた俺がシムルグを狩って肥料を作ってもらおう。肉もなかなかの味だったからな。
ジャガイモからは片栗粉の代用品が作れる。
小麦粉の代わりに片栗粉を使った唐揚げも、違った歯触りになって美味しいんだ。
小麦粉の在庫もだいぶ減ってきたので、ジャガイモのマッシュに片栗粉と塩と水で作れる芋餅が1日置きに食卓に上がる。
腹にたまるし、味も悪くない。
しかし。しかしだ。
「甘いものが食べたい」
「甘いものですか?」
「何か森で見かけたことはないか?」
「見かけたことはありますが、甘い果実は凶暴な魔物も狙っていますので、食べたことはあまりありません」
「ハイエルフって強い種族ってイメージなんだけど?」
「ハイエルフは、普通のエルフだいたい10人分の力はあります。普通のエルフはやはり人間の兵士の10人分はあるかと」
「それでも勝てないのか?」
「この森の生き物が相手では⋯⋯すいません」
「そ、そうか。まあ無理はしないように」
そういえばハイエルフのひとりがシムルグに丸呑みにされたんだったっけ。
俺が倒せたのは【料理の鉄人】と【万能包丁】のおかげ。勘違いしないようにしないと。
ああ、でもそろそろシムルグの肉も無くなるか?
ここ数日は食べられそうな野菜類探しをしてもらったけど、今度森に行く時は俺もついて行ったほうがいいかな。
俺の目の前にあるのはリンゴ。
アシェラ達森チームと森に入った時に運良くリンゴの木を見つけることができた。
リンゴは秋のイメージが強いが、国によっては春に収穫している国も確かあったような気がする。
「これは⋯⋯ほとんど食べられるところがありませんね」
「味も正直あまり美味しいとは思えません」
食べたことがあるというハイエルフの評価はあまり良くない。
確かに、まるでビワのような大きな種が入っていて実の部分はほとんど無い。
歯でこそげ取るように食べてみても、スポンジみたいな感じに乾いていてはっきり言ってマズイ。
だけど何か引っかかる。
あまりにも実に蜜が無さすぎないか?
【万能包丁】で種を割ってみる。
するとたっぷりの蜜が溢れてきた。
「⋯⋯甘くて旨い」
指に付いた蜜を舐めてみると、極上の蜂蜜のような味がした。
なるほど、蜜を種に集めることでマズイ果実だと動物や鳥に思わせることが出来る。
それがこのリンゴの木の、子孫の残し方なんだろう。
「あの⋯⋯私にもください」
「あ、ずるいですよ! 私が木を見つけたんだから私が先です!」
「いえ、やはりリーダーの私が先に確認すべきです」
ああ、まだリンゴの実はまだたくさんあるぞ。
だから、俺の指を舐める必要はないからな。
⋯⋯おっさんだけど体は若いんだからドキドキするからやめてくれませんか? いろいろと危ないから。
このリンゴを蜜リンゴと呼ぶことにした。蜜は普通にリンゴ蜜でいいかな。
使い道としては、まず普通に蜜をとって、小麦のガレットにつけたりして甘味を楽しむのがひとつ。
実は美味しくないけど、皮を煮出すといい感じのアップルティーを淹れることができた。
「⋯⋯こんな美味しいお茶は初めてです」
「リンゴ蜜を加えると⋯⋯ああ、顔が自然とほころびます」
ハイエルフ達にも大人気で、森に入るたびにいくつかは確保してくるようになった。
そしてもうひとつ。
リンゴ酵母を作ることに成功した。
パン焼き窯はあるので、パンを焼けるようになって一気に生活レベルが向上した。
ミルクもバターも無いから味はいまひとつだけど、パンはパン。
小麦の消費量も跳ね上がるし焼くのも俺ひとりじゃ無理だから畑チームとメイドチームにも頑張ってもらおう。
そう思っていたけど彼女達は俺が言うまでもなく畑を広げたり焼き方を覚えたりしていた。
よほど美味しかったらしいな。良かった。
そして最後に蜂蜜酒、ミードと呼ばれているやつとリンゴ酢作り。
最古の酒というだけあって作り方も簡単。
あと数日もすれば飲めるだろう。
それにリンゴ酢があればピクルスを作れる。ということは、保存食を作れるということ。
しばらくはこれに集中しよう。
「あの、お肉が無くなってしまったので狩りにご一緒して頂きたいのですが」
「あ、はい。了解」
森に行ってるあいだはメイドチーム、よろしくな。
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