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にゃーにゃーにゃにゃにゃにゃー♪
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自信満々なウィップとパイチェ。
これはもしかしたらあれか? 最近仲間になったキャラの能力がトラブル解決に役立つというラノベのお約束のパターンなのでは? 確かバイトの栗田さんがそんなことを話していたような⋯⋯
「デスパンサーは火属性特化なので、違うと思いますよ」
そうか、それは残念だ。それより、今俺は声に出してたか? 考えを読むのはやめてくださいお願いします。
ウィップたちが背中に乗れとかがむ。つられてフルスタも。どこかに連れて行きたいようだ。
早く乗れって言われてもここは屋敷の中だからな? 乗るのは外に出てからだ。
ウィップに俺。パイチェにアシェラ。そしてフルスタには森チームナンバー2のアチュチュ。3人と3頭で森を走る。
少し速くて怖いからもう少しスピードを落としてくれ。
屋敷の水瓶から流れ出て森の中まで続いている水路を辿って行くこと1時間。デスパンサーに乗らず歩いたら1日はかかるのではなかろうか。
「こんなに屋敷から離れたのは初めてだな」
「私たちもです。狩りでもここまで来たことはありませんね」
「あなたたちはよく来ていたのですか?」
アチュチュの質問にパイチェが「みゃー」と鳴いて頷いてみせた。
到着したのは碧い池。
北海道美瑛の青い池をさらに神々しくした感じとでもいおうか。
森の深緑と、差し込む木漏れ日が水面で揺れて実に神秘的な感じがするな。
「ここに何かあるのか?」
「にゃー」
ウィップとパイチェが池の中央まで泳いでいき、フルスタが慌てて追いかける。
「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃー♪」」」
何やら歌い始めた3頭だが⋯⋯
「⋯⋯頭が⋯⋯割れそうです」
「ま、まさかデスパンサーが音痴だとは思いませんでした⋯⋯」
「この世界にもジャイ◯ンはいたのか⋯⋯」
絶望的な歌声が響き渡り、周辺の木から鳥がボトボト落ちてくる。お、シムルグもいるな。
「「「にゃにゃーにゃーにゃーにゃにゃーにゃー♫」」」
歌声がおそらくサビにさしかかったのか、3頭がいっそうノリノリになった時、池の水が渦巻きはじめた。
それを確認した3頭が歌を中断し俺たちのもとへ戻ってくるが、渦巻きはさらに激しさを増してその中心が間欠泉のように勢いよく吹き上がる。
そしてそこで叫ぶひとりの少女。
「うるさいうるさい、うるさーーい!!」
寝ていたのを今の歌で起こされたらしく、眠そうな目をこすっている。なんというか、うちのデスパンサーたちがすまん。
「なんなのよなんなのよ、あんたたち。人がせっかく気持ちよく寝ていたのに」
間欠泉や渦巻きが収まった池の上を歩・い・て・プンプンと指を突き刺してくる少女。
「あー⋯⋯悪かったよ。うちのデスパンサーが迷惑かけたな。俺は日野イズル。君は池の中で寝ていたみたいだけど何者なんだい?」
素直に謝る俺に満足したのか、とりあえず表情は落ち着いた少女が、無い胸を張って名乗りをあげた。
「ふふんふふん。聞いて驚きなさい! このわたしこそが水の大精霊、ウィンディーネのデイジー様よ!」
これはもしかしたらあれか? 最近仲間になったキャラの能力がトラブル解決に役立つというラノベのお約束のパターンなのでは? 確かバイトの栗田さんがそんなことを話していたような⋯⋯
「デスパンサーは火属性特化なので、違うと思いますよ」
そうか、それは残念だ。それより、今俺は声に出してたか? 考えを読むのはやめてくださいお願いします。
ウィップたちが背中に乗れとかがむ。つられてフルスタも。どこかに連れて行きたいようだ。
早く乗れって言われてもここは屋敷の中だからな? 乗るのは外に出てからだ。
ウィップに俺。パイチェにアシェラ。そしてフルスタには森チームナンバー2のアチュチュ。3人と3頭で森を走る。
少し速くて怖いからもう少しスピードを落としてくれ。
屋敷の水瓶から流れ出て森の中まで続いている水路を辿って行くこと1時間。デスパンサーに乗らず歩いたら1日はかかるのではなかろうか。
「こんなに屋敷から離れたのは初めてだな」
「私たちもです。狩りでもここまで来たことはありませんね」
「あなたたちはよく来ていたのですか?」
アチュチュの質問にパイチェが「みゃー」と鳴いて頷いてみせた。
到着したのは碧い池。
北海道美瑛の青い池をさらに神々しくした感じとでもいおうか。
森の深緑と、差し込む木漏れ日が水面で揺れて実に神秘的な感じがするな。
「ここに何かあるのか?」
「にゃー」
ウィップとパイチェが池の中央まで泳いでいき、フルスタが慌てて追いかける。
「「「にゃーにゃーにゃーにゃーにゃー♪」」」
何やら歌い始めた3頭だが⋯⋯
「⋯⋯頭が⋯⋯割れそうです」
「ま、まさかデスパンサーが音痴だとは思いませんでした⋯⋯」
「この世界にもジャイ◯ンはいたのか⋯⋯」
絶望的な歌声が響き渡り、周辺の木から鳥がボトボト落ちてくる。お、シムルグもいるな。
「「「にゃにゃーにゃーにゃーにゃにゃーにゃー♫」」」
歌声がおそらくサビにさしかかったのか、3頭がいっそうノリノリになった時、池の水が渦巻きはじめた。
それを確認した3頭が歌を中断し俺たちのもとへ戻ってくるが、渦巻きはさらに激しさを増してその中心が間欠泉のように勢いよく吹き上がる。
そしてそこで叫ぶひとりの少女。
「うるさいうるさい、うるさーーい!!」
寝ていたのを今の歌で起こされたらしく、眠そうな目をこすっている。なんというか、うちのデスパンサーたちがすまん。
「なんなのよなんなのよ、あんたたち。人がせっかく気持ちよく寝ていたのに」
間欠泉や渦巻きが収まった池の上を歩・い・て・プンプンと指を突き刺してくる少女。
「あー⋯⋯悪かったよ。うちのデスパンサーが迷惑かけたな。俺は日野イズル。君は池の中で寝ていたみたいだけど何者なんだい?」
素直に謝る俺に満足したのか、とりあえず表情は落ち着いた少女が、無い胸を張って名乗りをあげた。
「ふふんふふん。聞いて驚きなさい! このわたしこそが水の大精霊、ウィンディーネのデイジー様よ!」
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