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SS No.3 桜見のころ
あくあの道
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日にちは、エイプリルフールから数えて一一日目の朝方。
カレンダーで見て、四月一一日。
時計の針は、七と一二を示していた。
場所は、千葉県の木更津市は中島先の東京湾上にある東京湾アクアライン。
流線の型でハイブリッドと英語の文字にて刻まれた小さい銘板、円形にハートの自動車メーカーのロゴの目立つ車がその道を川崎方面に向かって走っていた。
この車は、百合子のいる広瀬家の自家用車のものであり、芳夫が運転手としてハンドルを握っていた。
この日、百合子たち一家は、花見ついでで百合子の養祖母宅に出かけることになった。
行き先は、東京都のほぼ真ん中、中央線の沿線、国分寺と武蔵境に挟まれた場所に位置する武蔵小金井であった。
ここは、彼女の亡き養祖父・秀雄が定年を迎え、妻の妙子と館山から移り住んだ町である。
百合子は、幼き頃、彼の元を訪れ、一緒に小金井公園や玉川上水そばなどで遊んでいた。
このため、武蔵小金井は、彼女にとって故郷の館山に次ぐ第二の故郷といえる場所でもあった。
さて、車内では、前列の運転席に芳夫、助手席に美香、後列の座席に百合子が座っていた。
そのとき、
「お父さん、お母さん。今日のお花見、楽しみだね。」
後部座席にいる百合子は、前列にいる芳夫・美香に言葉を掛けた。
彼女は、このとき、たのしくわくわくとした表情や感情を心に抱いた。
「百合子。そうだね。」
夫妻のうち、美香が百合子に返答した。
美香は、顔を後のほうに振り向かせ、いかにもおもいやりのある母親らしい表情で彼女を見ていた。
「百合子。小金井公園にいったら、桜の木に登って競争するぞ!!」
芳夫は、両手でハンドルを右左と調節しながら、百合子に子どもじみたお茶目な表情を浮かべて答えた。
「お父さんったら、冗談きついよ。私、8年前、それやって怪我したから、もうやらないわ。」
百合子は、つんつんとした様子で芳夫を見つめて言葉を返していた。
車は、海上に作られた高架のあかり区間にて遠目に富士山・横浜ランドマークタワー・羽田空港と東京タワー、建設中のすみだタワーを見ながら進み、海ひかりの人工島から海底トンネルに入った。
トンネルは、レモンティーのような明るい色のナトリウムランプの照明に満ちており、長さが一四キロメートルほど、西側は、川崎の浮島。中央部に帆船を思わせる風の塔。東側は、木更津の海ひかり人工島に接続され、千葉側の高架道路と共に関東の大動脈の一端を支えるものである。
さて、車は、まもなくぎらぎらとした風の塔の直下を通過、時計が七より八に寄った位置と三を示す頃にトンネルを抜けた。
カレンダーで見て、四月一一日。
時計の針は、七と一二を示していた。
場所は、千葉県の木更津市は中島先の東京湾上にある東京湾アクアライン。
流線の型でハイブリッドと英語の文字にて刻まれた小さい銘板、円形にハートの自動車メーカーのロゴの目立つ車がその道を川崎方面に向かって走っていた。
この車は、百合子のいる広瀬家の自家用車のものであり、芳夫が運転手としてハンドルを握っていた。
この日、百合子たち一家は、花見ついでで百合子の養祖母宅に出かけることになった。
行き先は、東京都のほぼ真ん中、中央線の沿線、国分寺と武蔵境に挟まれた場所に位置する武蔵小金井であった。
ここは、彼女の亡き養祖父・秀雄が定年を迎え、妻の妙子と館山から移り住んだ町である。
百合子は、幼き頃、彼の元を訪れ、一緒に小金井公園や玉川上水そばなどで遊んでいた。
このため、武蔵小金井は、彼女にとって故郷の館山に次ぐ第二の故郷といえる場所でもあった。
さて、車内では、前列の運転席に芳夫、助手席に美香、後列の座席に百合子が座っていた。
そのとき、
「お父さん、お母さん。今日のお花見、楽しみだね。」
後部座席にいる百合子は、前列にいる芳夫・美香に言葉を掛けた。
彼女は、このとき、たのしくわくわくとした表情や感情を心に抱いた。
「百合子。そうだね。」
夫妻のうち、美香が百合子に返答した。
美香は、顔を後のほうに振り向かせ、いかにもおもいやりのある母親らしい表情で彼女を見ていた。
「百合子。小金井公園にいったら、桜の木に登って競争するぞ!!」
芳夫は、両手でハンドルを右左と調節しながら、百合子に子どもじみたお茶目な表情を浮かべて答えた。
「お父さんったら、冗談きついよ。私、8年前、それやって怪我したから、もうやらないわ。」
百合子は、つんつんとした様子で芳夫を見つめて言葉を返していた。
車は、海上に作られた高架のあかり区間にて遠目に富士山・横浜ランドマークタワー・羽田空港と東京タワー、建設中のすみだタワーを見ながら進み、海ひかりの人工島から海底トンネルに入った。
トンネルは、レモンティーのような明るい色のナトリウムランプの照明に満ちており、長さが一四キロメートルほど、西側は、川崎の浮島。中央部に帆船を思わせる風の塔。東側は、木更津の海ひかり人工島に接続され、千葉側の高架道路と共に関東の大動脈の一端を支えるものである。
さて、車は、まもなくぎらぎらとした風の塔の直下を通過、時計が七より八に寄った位置と三を示す頃にトンネルを抜けた。
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