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除霊師
こんばんは、除霊師です(2)
しおりを挟む少女は視線を下に向け、そうですか...と漏らす。
今にも泣いてしまうのではないだろうか、これは彼がまた厄介ごとを引き受けるそんな気がした。
「お嬢さん、力になれないかもしれないが、話を聞く事なら出来る
言える所までで良いよ話してみないかい?」
シラを切るなら最後まで切ればいいものをと思いつつも聞き耳を立てていると少女がぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
「最初は気のせいだと思ったんです...
塾の帰りだったり、ちょっと遅くなったりした日に限ってぶつかって来るんです」
「ぶつかって来るって何がかな?」
「人なんですけど、正確にはぶつかって来そうって感じで実際にはぶつかってません、ただ...」
何とも言いにくそうにしている少女に店主は無理に聞かないよと優しく声をかける。
少女は店主の優しい口調と微笑みに赤面するも違うと答えた。
「説明が難しくって...人通りがある場所で私の周りを行ったり来たりしてて、怖くって警察に駆け込んだりもしたんですが、全く姿を覚えてなくて」
「覚えていないって顔もかい?」
「はい...」
それはおかしな話だねと店主は唸り、他に特徴とか覚えていないのか問う。
少女も申し訳なさそうに説明するがやられた事しか覚えておらず、男性なのか女性なのかすら把握出来ていなかった。
「はぁ...それって今報道されてる話じゃない?」
「葉月、溜息つくと幸せが逃げるぞ
報道といえば通魔もどきの話かい?」
そう...と握っていたペンを置き顔を上げる葉月。
無表情のまま、少女が被害に遭った事柄と報道されている内容を照らし合わせる。
「えっと、あの...」
「ここに来る時も報道されてた
被害者の誰もが顔も覚えていないって
それって男か女かも覚えてないって事でしょ」
「彼女の話と似ている...いや、同一と言う事かな」
そうゆうこと。と出されたお茶をまた一口含んだ。
少女は雅隆と葉月を交互に見た後、気不味そうな顔をし声を再度発した。
「あの、すみません、他にお客さん居たのにこんな話して...」
「ん?嗚呼良いんですよ 彼女はお客ではありませんから
うちの看板娘です!」
効果音は鳴っていない筈なのにまるで鳴ったかのような言い方に少し引いた少女。
端からは溜息が聞こえる。葉月はペンを再び手に取り目線を下に持っていった。
「そ、そうですか」
「それにしても、それだと困りましたね
今も続いているという事ですもんね...」
雅隆の言葉で沈黙が続く。
聞こえるのはペンが走る音、紙をめくる音、そして店の奥中央に置かれた古時計の時を刻む音だけだ。
すると雅隆が思い出した様に声を発した。
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