Fラン大学も悪くない。

たぶきち

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出会い

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健太は、今日も手持ち無沙汰に大学のキャンパスを歩いていた。
たまたま、通りすがりに聞いた話によればゼミの申し込みがもうすぐ始まるらしい。
健太は大学1年の前期を何事もなく平穏に過ごし、現在1年生の後期が始まろうとしている。
健太は友達もできず、毎日1人でキャンパスを歩く日々だった。
「ゼミなんか入ってもやりたいことないしなー。」と健太はつぶやいた。

帰宅した後、ゼミについて少し調べてみることにした。南海学院大学の法学部には有名な教授がいることを知った。

後期になり、はじめてのゼミの授業。
健太は南開学院大学法学部の著名な教授山石教授のゼミに入ることにした。
有名な教授だし、ゼミ生も多いんだろうと楽しみで胸が躍る健太であったが、その期待は見事裏切られた。
「おはようございます。」といって、山石教授が教室に入ってくると、その教室にいる学生は健太と1人の女子学生だけであった。

山石教授が自己紹介を始めた。
「はじめまして。山石です。今年は2人も私のゼミに応募してくださり本当に嬉しく思います。私の専門は民法で…」

山石教授の自己紹介の途中で健太は疑念しか浮かばなかった。
「なんで、有名な教授なのに2名ゼミに入っただけで嬉しいんだよ。」と心の中でツッコミを入れた。

すると、山石教授が
「私のゼミは毎年誰もいないのです。入ってもそのしんどさに耐えられず、すぐに辞めていきます。」

健太は選択を間違えたと気付かされた。
山石教授は確かに有名だが、単位が取りにくいことでも有名なのだ。

山石教授は次に健太ともう1人の女子学生に自己紹介をさせた。

「佐藤健太です。趣味はないです。法律も全然詳しくありません。」
健太はそう言って自己紹介を終えると、女子学生が自己紹介を始めた。

「相澤莉子です。好きな科目は民事訴訟法です。よろしくお願いします。」

健太は「得意科目だからこのゼミを選んだのか」と納得した発言をすると、相澤と山石教授は驚いた。

「まさかじゃないけど、佐藤くん、君は民法と民事訴訟法の違いを知らないのかな?」と教授は質問した。

健太は自身ありげに「民事訴訟法の略した名称が民法でしょう。」と答えた。

山石教授は言葉も出なかった。

すると、相澤が「あなたこのゼミ辞めたら。」と健太に言った。

健太は驚いた。まさか、自分にかけられた最初の一言がゼミの退会勧告になるとは思ってなかったからだ。

すると山石教授が
「まぁ、いいじゃないですか。民法と民事訴訟法はそれぞれ役割が違うので、佐藤くんは覚えておきましょうね。ちなみに民法は実体法と呼ばれ、民事訴訟法は手続法と呼ばれます。」と健太に民法と民事訴訟法の説明をした。

しかし、健太に実体法とか手続法が何を意味するかわかる由はない。

「例えば、佐藤君が買い物をして不良品を渡された時に新しいものに交換して欲しいと思うよね?」と山石教授が健太に尋ねると、

「当たり前です!」と健太は即答した。

「その時に使うのが民法なんですよ。つまり、新しいものに交換してくださいというのは民法に規定されてる権利なんです。だから、佐藤君は不良品を新しいものに交換してもらえたりするんですよ。」

「なるほど。なら、民事訴訟法はどういう時に使うのですか?」

「例えば、不良品なのに店の店員が交換になかなか応じてくれない場合、安価なものなら諦めるかもしれないですが、かなり高額なものならなかなか諦めはつかないはずです。その時に、不良品を新しいものに取り替えてもらうために裁判所に訴えて、裁判所から店に対して新しいものに交換するように命じてもらうことになります。この時の裁判の進め方などを規定したのが民事訴訟法なんです。」

山石教授の説明はかなりわかりやすく、健太でも一度で理解できるものだった。

「では、課題を渡します。」

そう言って山石教授は健太と相澤に一枚のプリントを渡した。

そこには
「あなたは、友達に「この財布本当は10,000円するけど、1,000円で譲ってやるよ。」と言われ、1,000円でその財布を購入しました。しかし、実際その財布は100円の価値しかありませんでした。この場合、あなたは民法によりどうやって解決すべきか考えなさい。」
と書かれていた。

「むずすぎでしょ。」と健太は思わず声を漏らしてしまった。

そして、山石教授は「来週、このことについて相澤さんと佐藤くんにディベートをしてもらいます。」と健太に追い打ちをかけるかのように言った。
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