落窪の男女伽

水市 宇和香

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四の段

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 その夜、落窪は夢を見た。道頼に愛される夢だ。
 大切に触れられて幸せだった……しかし、うっとりと目を閉じ、彼の温度を感じていると、だんだん頬をさする指先がしわがれてきた。
「落窪や」
 道頼は自分のことを落窪とは呼ばない。慌てて瞼を開けば、視界いっぱいに映りこんだのは典薬の助の下卑た笑みだった。
「ひひひ、この匂い! たまらん!」
 尻のあわいに肉棒を挟まれ、典薬の助が腰を振るたび、落窪の身体も揺れる。柔らかい肉棒は尻の穴に刺さることはなく、幾度も尻たぶの間からこぼれてしまい、そのたび苛立った典薬の助が落窪の尻を強く叩いた。
「おまえは黙って腰を揺すっていればいいのだ!」
 両手を押さえられた落窪は、彼の言う通りに動くしかなかった。主芙婀に熱く反応する身体も、支配者のような典薬の助の怒声も、すべてが怖かった。
(助けて……っ、助けて!)
 こぼれる悲鳴は嬌声に紛れてしまう。身を竦ませてただやり過ごすので精一杯。落窪にとって初めての他人との交わりは、恐怖でしかなかった……。
 はっと目を覚まして、それが夢だとわかったとき、落窪は安堵で瞳の端に涙を滲ませた。夢とはいえ、すべて現実で起きた出来事だ。久しぶりに人に触れられたから、こんな夢を見たのだろうか。
(でも、四の君はこれから、同じような目に遭ってしまうんだ……)
 自分は運良く胎内を蹂躙されることはなかった。しかし、四の君はおそらく、いや必ず、すべてを奪われるだろう。落窪と違い、細く華奢な身体でその激情を受け止めなくてはいけないのだ。
(……怖い……)
 想像するだけで震えが走る。自分と同じような思いは、もう誰にもしてほしくない。
 落窪は意を決して、阿漕に筆と紙を用意させた。
「これを届けるように伝えて」
 道頼が中納言家を陥れようとしていることを、知っている限り事細かに記した文だった。落窪が何度も書き直しているのを横で見ていた阿漕は、先ほどから繰り返している主張をふたたび叫んだ。
「どうしてあちらを庇うようなことをなさるのですか。あんな人たち、放っておけばいいんですわ! 三位中将様の言う通りにすべきです!」
「でも……」
 中将の意に染まぬことをしている自覚はある。喧嘩になってしまうかもしれない。それは怖い。一瞬、北の方たちの怒鳴り声が蘇る。あんなふうに罵られることがあったら……。
 しかし、道頼はどんな落窪も愛していると言っていた。嫌いになることはないと。
(道頼様、ごめんなさい)
 たとえ彼と言い争うことになっても、四の君に同じ目に遭ってほしくない。
「お願い、阿漕」
 阿漕はしばし逡巡したあと、ため息をついた。
「本当に姫様はお人よしなんですから」
 そう言って落窪の文を届けさせてくれる阿漕もたいがいお人よしである。
 しかし、しばらくしたあと、阿漕は手に文を持ったまま戻ってきた。
「誰に頼んでもだめでした。皆、中将様に命じられて、姫様の文を中納言家に持っていくのは禁じられていると」
(そんな……)
 そこまで徹底していると思わなかった。落窪は愕然とする。四日後に露顕が行われるということは、今晩から四の君のもとに三位中将を騙る男が夜這いしにいくということだ。
 いてもたってもいられず、落窪は立ち上がった。自分が走るしかない。
「姫様?」
「わたし、中納言家に行くよ!」
「な、姫様、おやめください! それでしたら、中将様が帰宅された際にお話したらどうですかっ?」
「それじゃあ遅いかもしれないんだ!」
 彼のことだから、落窪が何か言うのを見越して、わざと遅い時間に帰ってくるかもしれない。待っていたら手遅れになるかもしれないのだ。
(昨日のわたしが勇気を出して直接お話していたら……!)
 後悔し始めたらきりはないが、まだ望みがあるのが救いだ。
「わたしは男女伽だけど男だから、外を歩いても大丈夫だよ!」
 そう叫んで、ほとんどできあがっていた狩衣に着替えた。
「姫様、本気ですか? 何年もお外に出たことのない姫様が? 考え直してくださいませ!」
 そう言い募る阿漕に「ごめん」と謝って、曹司を飛び出す。
 屋敷を一歩出た途端、外の世界に落窪は息を呑んだ。
 視界一面に広がる、目に沁みるほど澄み渡った青い空。太陽は眩しく光り輝き、近隣の築地塀から覗く木々は鮮やかに茂っている。草花の青々とした匂いや、身体中を撫でてゆく爽やかな風。築地塀にとまった雀の鳴き声、牛車を走らせる牛飼い童の「やぁやぁ」という掛け声、風にそよぐ草木のささやき。
 目や鼻や耳、五感に飛びこむすべてが新鮮できらめいていた。なにせ、落窪にとって十一年ぶりの外出である。
 周囲を見回しながら二条大路を走っていると、すれ違う人々が自分を見るなりぎょっと目を剥いていることに気づいた。落ち着きない様子のせいで、ずいぶん悪目立ちしてしまったらしい。落窪はあたりを気にするのを止め、真っすぐ走った。といっても、日がな一日屋敷にこもってばかりの身では、すぐに息を切らしてしまったが、それでも立ち止まるわけにはいかず、なんとか歩みを進めた。
 京の路はわかりやすい。碁盤の目のように東西南北に真っ直ぐ伸びて交差しているため、落窪でも迷わずたどり着くことができた。まだ日は落ちておらず、時間はあるはずだ。
 そっと門に近づいてみるが、誰もいなかった。これ幸いと中まで入ってみてもしんと静まり返っており、人の気配は感じられない。
(あれ……? おかしいな……)
 砂利を踏み締める自分の足音ばかりが響く。
 まだ明るいにも関わらず、どの対の屋も格子が降ろされていて、人一人見当たらない。
(外出するにしても留守居役はいるはずだけど……)
 そのとき、背後で馬のいななく声が聞こえた。ばっと振り返ると、騎乗した惟成がいた。
「……え?」
 予想外の人物に目を丸くする。馬から降りた惟成は、いつもの朗らかな笑みを浮かべた。
「阿漕に頼まれて追いかけてきました。あいつ、血相変えて飛び出したのはいいものの、女だから馬なんかには乗れないし、ろくに走れもしないから」
 はははと笑いながら、小脇に抱えていた烏帽子を差し出す。
「男の格好をするなら何か被りませんと」
「あ……」
 落窪はとっさに頭に手を当てた。ざんばら髪が指の隙間を通っていく。この段になって、自分が被り物をしていないことにようやく思い至った。髻(髪を頭上で束ねたもの)を見られることは、男根を見られることと同義である。ましてや落窪は今、髪の毛を結い上げてもいない。成人の男としてはあるまじき姿である。女の姿で長年過ごしていたからうっかりしていたが、着るものが変わると男の感覚が甦るのだろうか、にわかに羞恥で顔が熱くなる。
「あ、ありがとう……」
「これも阿漕が用意したものです。……動かないでください」
「う、……はい」
 惟成はあっという間に落窪の髪を束ね、烏帽子を被せてくれた。狩衣に烏帽子姿となった落窪は、惟成と同じようないでたちになる。
 惟成は、その姿に満足げに頷くと馬を引き寄せた。
「姫様、戻りましょう。この屋敷にはすでに中納言様たちは住んでいません」
「じゃ、じゃあ、今はどこに……?」
 やはり、落窪が長年住んだこの屋敷は空き家になっていたらしい。惟成の口ぶりからして、中納言家の新しい屋敷を知っていそうだったのでそう尋ねたのだが、彼は首を振った。
「二条邸に戻っておとなしくしていたほうが、道頼様は喜ぶと思いますよ。あの人、姫様に限ってはかなり独占欲が強いので。それに、妻が騒ぎを起こしたとなったら道頼様にご迷惑がかかります」
 決して責めている口調ではなく、当たり前のように言われたからこそ、彼の言葉に一瞬ひるんでしまう。道頼が困ることはしたくない……。
「――なんて、これは俺の独り言です。阿漕には、姫様の希望どおりにしてさしあげろと脅されていますので。うちの妻は怖いんです。だからさっそく、新しい中納言様のお屋敷に行きましょう」
 にかっと笑う惟成は、進んで阿漕の尻に敷かれているのだろう。彼の協力に感謝しつつ、何より阿漕の思いがありがたく、嬉しく、落窪は何度も頷いた。
 惟成に支えられながら初めて馬に乗ると、一気に視線が高くなった。地上と違い安定感がない。恐ろしさに表情が引きつったが、軽々と後ろにまたがった惟成が馬を叩き、あっという間に走り出した。
「わっ、あ……うわあ」
 後ろから抱きこむように支えられていなければ、落窪はとうに振り落とされていただろう。景色がみるみる流れていく。
 辿り着いた屋敷は、もとの中納言家と比べるとかなり手狭のようだった。築地塀もところどころ綻びている。
「姫様、俺が門番の気を引いているうちに、お一人で中に入ることはできますか?」
 耳元でささやかれ、落窪はごくりとつばを飲みこんで頷いた。
 築地塀の角で下ろされ、半身を隠しながら惟成の様子を窺う。惟成はゆるりと馬を歩ませ、門の前で止まった。門番たちが気づいて出てくる。何か言い争っているようだ。彼は中納言家の人間に顔が知られているから、警戒されているのだろう。
 と、惟成がむりやり門の中に押し入った。ざわめきが遠くなるのを耳にしながら、もぬけの殻となった門をくぐる。
 新しい中納言邸には、どことなく晴れがましい雰囲気が漂っていた。それは、簀子縁を歩く女房たちの弾むような話し声や、新調した装束などから察せられる。
 落窪は庭先の木々に紛れながら屋敷を観察した。以前の屋敷は寝殿の他に北の対、東の対、西の対があったのだが、この屋敷は寝殿と東の対しかないようだった。落窪が住んでいた中納言邸では、東西の対の屋に大君夫婦と中の君夫婦、北の対の屋には北の方と三郎君、三の君と四の君は落窪同様、寝殿に部屋を持っていた。この屋敷では皆、どこに住んでいるのだろうか。
 東の対の周囲に人がいなかったため、落窪は階を上って簀子縁に立った。格子が上がっている部屋のそばに近寄ってみると、女の声が聞こえる。
「いよいよ今夜ですわね」
「早く噂の中将様を一目見てみたいものですわ」
「姫様が羨ましいです」
 浮き立った声音が女房たちのものだとすると、この曹司の主は四の君だろう。いざ声をかけようと思うと、緊張で喉に言葉が張りつく。
「……っ、あのっ、突然すみませんっ、落窪です。ただいま、帰ってきました……っ」
 御簾越しにむりやり絞り出した声はたいそうか細かったが、相手方には届いたらしい。にわかに御簾の中が騒然とする。
「落窪だってっ?」
 その怒声は、長年何より恐れてきた北の方のものだった。見当違いの部屋を訪れてしまったと察した落窪が身を翻すより早く、御簾を蹴飛ばし現れた彼女は、青筋を浮かべ鬼の形相である。これほど怒りに満ちた北の方を見るのは初めてだった。
 北の方は落窪の首元を掴み、がくがくと揺さぶる。
「おまえっ、いったいどういう了見で帰ってきたんだい! 屋敷をめちゃくちゃにして、勝手に出て行ったくせに! それになんだい、その格好は!」
「あ、あ、ごめんなさ、すみません……っ」
 反射的に謝罪の言葉が口をついて出る。それは落窪の身に染みついた処世術であった。しかし、ここまで来て立ち止まるわけにはいかないと自分を奮い立たせ、北の方の手首を掴む。
「あの、四の君の結婚、考え直してほしくて……っ!」
「突然現れたかと思ったら、何を言いだすんだい! え? 男の格好なんてして、まさかおまえが四の君に求婚でもしようって言うのかいっ?」
 恐ろしい剣幕で捲し立てながら、北の方は落窪の手を掴み返すと思い切り振り払った。落窪はよろけたものの、たたらを踏んで留まる。
「ち、違います……っ、わ、たしがっ、三位中将様の妻は、わたしです……!」
 そう叫ぶと、ばちんと破裂音があたりに響いた。一瞬遅れて、自身の頬が打たれたことに気づく。
「何をわけのわからないことを言って……! そうやって三位中将殿との縁談を邪魔する気かいっ? っ、もしや、最近の不運も全部あんたが仕組んだんじゃないだろうねっ? おまえが何を企んでいようと、この縁談こそは何がなんでも成功させるからね!」
 と、にわかに庭先が騒々しくなった。見ると、馬に乗った惟成が十人ほどの男たちに追い立てられているところであった。下男たちも不審者の捕獲に加わったのだろう。
「惟成!」
「ああ、姫様! こちらにおいででしたか!」
 惟成は落窪の姿を見つけると、巧みに馬を操り、颯爽と簀子縁に近づいた。何人もの男たちの追撃を躱してきたせいで、惟成の額には大粒の汗が浮かんでいる。
 北の方は惟成の姿を見て、わなわなと唇を震わせた。
「お、おまえが落窪に通っていた下男だね! おまえが落窪なんぞのもとに通うようになってから、すべてがめちゃくちゃだよ!」
「俺の妻は阿漕一人だけですよ」
 惟成は堂々と宣言してから、寝殿を指さす。
「寝殿に牛車がつけられていました。もしかしたら、四の君のもとに通おうとする男かもしれません」
 惟成の言う通り、道頼の身代わりだろう。
 落窪は北の方に訴える。
「今日、四の君のもとにいらっしゃる方は三位中将ではありません、彼のふりをした偽者なのです!」
「そんなわけがあるか! 大殿は三位中将殿と内裏で何度も顔をあわせているんだから、今さら間違えたりなんかしないよ! 先日も大殿に会いに来て、いろいろと露顕の段取りを打ちあわせなさっていたんだ!」
「あちらに止まっていた牛車の従者たちは、三位中将のお付きの者ではなさそうでした」
 惟成も声をあげるが、北の方は取りつく島もない。
「ええい、うるさい! 誰か、この二人を捕まえな!」
 その台詞に、庭先の男たちが階を駆け上がる――まさに絶体絶命というところで、空気を裂くような鋭い一声が飛んだ。
「止めよ!」
 そして、簀子縁の角から現れたのは、三位中将当人だった。
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