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第十話 ユウナ 前編
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私の名前は『ユウナ』
どこにでもある普通の名前です。
でも、私にとっては唯一持っていた物なのかも知れませんね。
私には名字なんかありません。
だって意味をなさないから、
私は名字とは家族の名を表すものだと考えています。
だから私には必要ない
でも、そんな私にも名字があった時期があります。
あれは2年前の事でした・・・
2年前の私は今よりも明るい子だったと思います。
今みたいに前髪は長くなく、人との会話もスムーズに出来ていたと思います。
今と同じ所があるとすれば、それは本が好きだったという所だけだと思います。
そして・・・
本を読むのが好きだった普通の女の子の私は、あの事件を境にこの世から消え去りました。
そう、あの日、ユウナは死んだのです・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれは日曜日の事でした。
当時14歳だった私には父に母、そして兄がいました。
そんな私の両親は共に学者でした。
その為、平日は家に居ることがなく、帰ってくるのも夜遅くなる事が殆どでした。
その代わり、土曜日や日曜日には家に居ることが多かったので、そういう日を利用し、家族で出かける事が我が家の習慣の様なものでした。
あの日の日曜日も例に漏れず、家族で出かける予定でした。
しかし、2歳上の兄さんがその日、急遽学校に行かなくてはならない用事が出来た為、出かけるのは午後からになりました。
そして、学校に出掛けた兄さんの帰りを待っている時の事でした。
時刻は午前11時位の事、
玄関の呼び鈴がなりました。
母は玄関の鍵を開けるために玄関に向かいました。
私は時間的に兄さんが帰って来たのだと思い出かける支度をしようと二階に上がりました。
その時、父はリビングのソファーで寝ていましたが暫くすれば母が起こすだろうと思い、そのまま放置していきました。
私が二階に上がり支度を始めてから5分くらいが経った頃でした。
私は部屋で支度をしていると階段を上ってくる音が聞こえました。
私は兄さんだと思い支度を続けていました。
すると私の部屋のドアが開く気配がしました、
私は鏡を見ていた為、誰が部屋に入って来たのか確認出来ませんでしたが、兄さんの部屋は私の部屋の隣だったので、兄さんが私に用があるのだと思い話しかけました。
「兄さん?どうしたの?早くしないと出かけるのは遅くなるよ?」
「・・・・・・・・・」
しかし、私の質問に答えが返ってくる事がありませんでした。
私はもう一度話しかけます。
「どうしたの兄さん?調子悪いの?」
私は声が返ってこないことに心配になり、気配のする方を向こうとしました・・・
この先の事は何故か覚えていません
気がついた時には私は一人になっていました。
あの後、一体何があったのか?
当時の私なら気になったかもしれません、
しかし、今の私とってはもうどうでもいい事でした。
だって、それを知った所で何かが変わる訳では無いのだから・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
試験が終わった翌日、俺は今
「ふぁ~・・・眠い・・」
「大丈夫ですか、ヤマトさん?授業は今日からありますよ?」
「ああ・・何とかなるよ・・」
非常に眠かった。
「昨日早めに部屋に戻っていきましたけど、直ぐに眠らなかったんですか?」
「いや、寝ようとしたんだけどね。これがまた眠れなかった訳だよ」
地球に居た時はあまりこういう事はなかったんだけど、やっぱり異世界の学校ってなるとテンションが上がるんだよね。
地球の学校ってなんだかんだ言ってある程度の知識が身に付いてから通い始めるけど、今の俺はリベラルについての知識が下手すると幼稚園児並だから割と勉強とか楽しみだし。
初めて英語を習った時とか直ぐにその単語を使いたがったでしょ?
多分あんな感じだと思う。
実際に新しい魔法を使う時とかワクワクするし。
「そういえば職員室に来いって言われてるけど職員室ってどこにあるの?」
「職員室の場所は学校の二階ですね!」」
「最初に職員室に向かう時は私達もご一緒しますので安心してください。ヤマト様」
「それは助かる。中々一人で職員室に行くのは心細いからな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この世界は八つの大陸で出来ている。
この世界の大陸は火の国・水の国・雷の国・風の国・地の国・光の国・闇の国といった感じの七大陸とその七大陸のほぼ真ん中に位置する中央大陸が存在する。
今現在、俺たちは中央大陸【セントロ大陸】に住んでいる訳だが、この大陸は他の大陸に比べると二倍は大きく、国家も多数存在する。
となると、人口も他所の大陸に比べると多くなる訳で、そのぶん学校の量も増えるはずなんだが・・・
「この学校・・・人・・・多くない?」
「そうですか?私は初等部の時からこの学校なので気になりませんが・・」
「私も同じくです。まあ、この学校は初等部から高等部までありますから、他所に比べれば多いかも知れませんね」
「そうなのかな?」
「それにこの辺で大きな学校って言ったらここしかないですからね。自然と人は集まる訳ですよ!」
これは後から聞いた話だが、セントロ大陸でまともな学校というのは三校しかないらしい。
理由として、セントロ大陸の主流な職業が農業関係である為、学校に行かず、家の手伝いをする子供達が多いからである。
ただ、この世界にも義務教育の様なものはあるらしく、初等部までの内容は各地のギルドなどで無料で教えてもらえるそうだ。
要するに、初等部は世界の常識、中等部からは専門的な知識を学ぶ。という様な感じらしい。
「これは職員室に行くのも一苦労だな」
「いえいえ、そんな事はありませんよ」
「そうか?これだけ人が居たら昇降口に入るのも一苦労だろ?」
今だって人の後頭部しか見えてないのに。
「確かに昇降口に入るまでは大変ですが、この学校では昇降口で自分の在籍するクラスの棟に転移させてくれるので、入ってしまえば楽ですよ」
「へぇ~、それはすごいな」
「他にも学校内の自分の行きたい場所を指定すれば転移させて貰えるので使わない手はないです」
「その指定の仕方ってどうするの?」
「乗る魔法陣を変えればいいだけです」
「頭の中で思い浮かべるとかじゃないんだ」
「そのやり方も出来ないことは無いですが、それでは人によって差が生まれてしまいますからね。それに初めてこの学校に来た人はその方法では転移出来なくなってしまいます。おそらく今のヤマト様ではその様になる事でしょう」
ごもっともだね。
今の俺がこの学校で想像できるものは昇降口と森の中だけだからな。
「あ!昇降口に入れそうですね。それじゃあ職員室に行きましょう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
相変わらずここは人が多いと思います。
マスターの話では、何でも初等部から高等部までの生徒が在籍していると言っていました。
この学校、【ノルニル学園】にはマスターのご厚意で入学させて貰いました。
けれども、私はこの件については余り良くは思っていません。
正直、私は人が苦手です。
だからこれだけの人がいる場所に、本当は来たくもないのですが、マスターからの支援を受けている以上は行かざるを得ないのです。
とは言うものの、普段は学校にあまり行かず、図書館に通っている訳なんですけどね。
しかし、今日は違います。
昨日、図書館である方に会いました。
私はその方に『明日は必ず学校に行ってね♪そこでの出会いはおそらく貴方にとって、とても意味のあるものだから。もし行かなかったら私が無理矢理連れてくぞ☆』
と言われたので私は今、渋々登校している訳です。
それにしても、彼女は何故、私なんかに再び会いに来たのでしょうか?
彼女の立場上、その様な余裕は無いと思うのですが・・・
まあ、彼女の事ですから、そんな深い理由なんかは無くて、ただの気まぐれからやっている事かも知れませんね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ここが職員室です!って、大丈夫ですか、ヤマトさん?顔色良くないですよ」
「・・・気持ち悪い」
「転移酔いでしょう?慣れていない人に多いですからね」
地球にいた頃に聞いた話だが、
もし、人が地球から遠く離れた月にワープ出来る技術を持っていたとしよう。
では、そのワープの際、人間の身体をどの様に月まで持って行くのだろうか?
この質問に対する答えの一つとして、人間の体の構成を隅々まで調べ、その調べ上げた物をいわゆる一つの設計図と考える。
そしてその設計図をベースに、そのワープ先でもう一つの人体を作ってしまうと言うものだ。
この際、ワープする前の体は今回の場合だと地球で破壊されてしまう。
要するに、ワープなんて言葉を使っているが、その実、ワープしたい所に自分の体を作って置いて、作り終わったら何らかの方法で精神を新しい体に移して、古い方の体はこの世に同じ人間が居たらまずいので殺してしまうと言う事である。
まあ、何でこんな事を急に考え始めたのかと言うと・・・
転移する前にこの事を思い出してしまった訳ですよ・・
そしたらなんか気持ち悪くなってきて・・
そして今、廊下の隅に座りながらリリアから水を貰っている訳なんだけど・・・
さっきからすれ違う人達にすごい見られてるんだよね。
俺、恥ずかしさのあまり2日目から不登校になるよ?
俺のメンタルは豆腐だよ?
普段どちらかと言うと俺の事を褒めてくれるルナですら、俺はメンタルが弱いって言うのだから多分マジなんだと思うよ。
ほんと、地球での記憶は俺を不幸にするよね。
若干、こじ付けみたいなもんだけど。
「お、何やってんだ?こんなとこで。職員室は後2メートル先だぞ?」
俺が廊下の隅でダウンしていると魔法陣からジン先生が転移してきた。
「おはようございます・・ジン先生」
「「おはようございます」」
「おう、おはよう。それでどうしたんだ、ヤマト?二日酔いか?」
「違いますよ・・・ちょっと魔法陣に乗ったら気持ち悪くなっただけです」
「ハハハ!!なんだ転移酔いか?案外弱っちいなぁ!」
ちくしょ~、この状態だから、否定が出来ないぜ。
「それより先生・・・早速教えてもらいたい事があるんですけど・・・この転移の魔法陣ってどうゆう原理で動いてるんですか?」
もし、地球の原理と一緒なら俺の転移酔いは一生治らないね。
「ああ?転移の原理?それはあれだ、その魔法陣の上の座標の物体を空間ごと移動させている訳で、言って仕舞えばあれだ、あの魔法陣はトンネルで、転移した先と繋がっているって訳だ」
「それって人体はどうなるんですか?分解されたりとかしないんですか?」
「ああ、そういった過程はないな。簡単に言って仕舞えばショートカットだからな、三つ部屋があるとして、自分のいる部屋から二つ隣の部屋に行く時、いちいち外に出て、部屋を移動するんじゃなくて、部屋の壁をぶち破って部屋から部屋、みたいな移動をこの魔法陣でしている訳だ。わかったか?」
「何となくだけど、わかりました」
この原理なら気持ち悪くならずに済むわ。
やっぱ、転移ってのはそういう原理がいいと思うよ。
他の原理とか知らないけど。
「いいんだよ、魔法は何となくでな。色々とめんどいから」
それを言ったらこの学校の存在意義はないんじゃないかな?
「ああ、そうだ。ルナとリリアはもう教室に行って良いぞ。あとは俺の仕事だからな」
「わかりました。それでは先に失礼します」
「それではヤマトさん。また後で!」
「おう、教室でな~」
そう言ってルナ達は再び魔法陣に入って行った。
「さて、俺はヤマトに今日の一連の流れを説明する訳だが、今日は最初に自己紹介をしたら後は普通に座学しかないからな。特に説明する事がない」
「自己紹介ってどんな感じがいいですか?」
「名前を言うのがいいな」
名前を言わない自己紹介ってなんだよ?
「じゃあ、名前だけ言えばいいですか?」
「寧ろ、名前以外の情報交換はお前達だけでやってくれ。俺は朝のホームルームが終わったらとっとと職員室に戻って来たいからな。まだ、春休みの課題の確認終わってないし」
完全にあんたの都合じゃねえか。
「それじゃあそろそろ、教室に行くか。時期にチャイムが鳴るはずだからな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久しぶりに教室に入ると、私のクラスメイトが話しかけてきた。
「おはよう!ユウナちゃん。一つ聞きたい事があるんだけどいい?」
「・・・・いい・・ですよ・・上手く答え・・られない・・かも・・・知れませんが」
相変わらず、人前だと上手く喋れないな。
「ほんと!ありがとう」
この人はいつも元気ですね、まだあまり顔を合わせてないけど。
「一昨日、図書館に黒髮でツリ目で、ワイシャツにスラックスを履いた男の人来ませんでした?多分歴史系の本を借りってたと思うのですが・・・」
多分あの人の事かな?
「来たよ・・・もしかして・・・知り合いの人?・・・あまり・・図書館に慣れていない・・・みたいだから・・本の探し方を教えてあげた・・・よ・・」
「やっぱりそうですか!その節はありがとうございます!」
貴方は彼のお母さんなの?
「・・・・いいの・・・私はそういう事でしか・・・役立たないから・・・」
「いえいえ、そんなことは無いですよ!だって、ユウナちゃんの知識はすごいじゃないですか!以前私が図書館で勉強していた時に色々と教えてくれたじゃないですか。あれ、勉強の範囲以外にも、その単元に関係する事とか教えてくれて、学校の授業より面白かったし、分かりやすかったですよ!ね?リリア!」
「その通りですよ、ユウナ様。もう少し自分に自信をお持ちになって下さい」
この人達は本当にいい人達なんだな。
私みたいな奴の良い所を探してくれて・・
なのに私は目を合わせることすら出来ないし、
それどころか恐怖心を感じる・・
ほんと、ダメな奴だな・・・
ガラガラ
「おーい、お前ら席に座れー。時期にチャイムが鳴るからな、チャイムが鳴った時に座っていない奴は今日一日中椅子から立てなくなるからな、気をつけろー」
それは、貴方の氷の魔法が発動するって訳ね。
「それと今日は転校生がいるからな、スムーズにホームルームを終わらせるぞ」
なるほどね、だから私の席の後ろに座席が増えていのか。
そういえば、彼女が、今日の出会いは意味のある事って言ってたけど、この事なのかな?
「それじゃあ、転校生の紹介に移ろうか」
私が考えごとをしている間に、ホームルームが終わって、転校生の紹介に移っていた。
「入って来て良いぞー」
ガラガラ
先生が呼びかけて入って来たのは図書館で会った男の人だった。
もしかして、彼女の言ってたのは彼の事なのかな?
だとしたら彼女の言ってた事は外れな気がするけど・・
「えーと・・・初めまして、カンザキ・ヤマトって言います。先生にこれ以上の情報交換は後でやれって脅されているんで、他に聞きたい事があったら個人的にお願いします。これからよろしくお願いします」
・・・・・・・・え?
カン・・・ザキ・・・?
それに・・・ヤマトって・・・
『明日は必ず学校に行ってね♪そこでの出会いはおそらく貴方にとって、とても意味のあるものだから』
でも・・・・あり得ない・・・
なんで・・・
兄さんがここにいるの?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
彼女には家族がいました。
家族仲はとても良い平和な家庭でした。
しかし、ある事件が原因で一人を除いて家族は殺されてしまいます。
現在もその事件の犯人は捕まっていません。
そして、残された遺族も一年後に亡くなってしまいました。
「さてさて♪これで一つイベントはクリアかな?」
女性が学校の屋上で一人呟く。
「大丈夫だよ。今度は何があっても私がいるからね」
「今世はハッピーエンドで終わらせてあげる」
どこにでもある普通の名前です。
でも、私にとっては唯一持っていた物なのかも知れませんね。
私には名字なんかありません。
だって意味をなさないから、
私は名字とは家族の名を表すものだと考えています。
だから私には必要ない
でも、そんな私にも名字があった時期があります。
あれは2年前の事でした・・・
2年前の私は今よりも明るい子だったと思います。
今みたいに前髪は長くなく、人との会話もスムーズに出来ていたと思います。
今と同じ所があるとすれば、それは本が好きだったという所だけだと思います。
そして・・・
本を読むのが好きだった普通の女の子の私は、あの事件を境にこの世から消え去りました。
そう、あの日、ユウナは死んだのです・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれは日曜日の事でした。
当時14歳だった私には父に母、そして兄がいました。
そんな私の両親は共に学者でした。
その為、平日は家に居ることがなく、帰ってくるのも夜遅くなる事が殆どでした。
その代わり、土曜日や日曜日には家に居ることが多かったので、そういう日を利用し、家族で出かける事が我が家の習慣の様なものでした。
あの日の日曜日も例に漏れず、家族で出かける予定でした。
しかし、2歳上の兄さんがその日、急遽学校に行かなくてはならない用事が出来た為、出かけるのは午後からになりました。
そして、学校に出掛けた兄さんの帰りを待っている時の事でした。
時刻は午前11時位の事、
玄関の呼び鈴がなりました。
母は玄関の鍵を開けるために玄関に向かいました。
私は時間的に兄さんが帰って来たのだと思い出かける支度をしようと二階に上がりました。
その時、父はリビングのソファーで寝ていましたが暫くすれば母が起こすだろうと思い、そのまま放置していきました。
私が二階に上がり支度を始めてから5分くらいが経った頃でした。
私は部屋で支度をしていると階段を上ってくる音が聞こえました。
私は兄さんだと思い支度を続けていました。
すると私の部屋のドアが開く気配がしました、
私は鏡を見ていた為、誰が部屋に入って来たのか確認出来ませんでしたが、兄さんの部屋は私の部屋の隣だったので、兄さんが私に用があるのだと思い話しかけました。
「兄さん?どうしたの?早くしないと出かけるのは遅くなるよ?」
「・・・・・・・・・」
しかし、私の質問に答えが返ってくる事がありませんでした。
私はもう一度話しかけます。
「どうしたの兄さん?調子悪いの?」
私は声が返ってこないことに心配になり、気配のする方を向こうとしました・・・
この先の事は何故か覚えていません
気がついた時には私は一人になっていました。
あの後、一体何があったのか?
当時の私なら気になったかもしれません、
しかし、今の私とってはもうどうでもいい事でした。
だって、それを知った所で何かが変わる訳では無いのだから・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
試験が終わった翌日、俺は今
「ふぁ~・・・眠い・・」
「大丈夫ですか、ヤマトさん?授業は今日からありますよ?」
「ああ・・何とかなるよ・・」
非常に眠かった。
「昨日早めに部屋に戻っていきましたけど、直ぐに眠らなかったんですか?」
「いや、寝ようとしたんだけどね。これがまた眠れなかった訳だよ」
地球に居た時はあまりこういう事はなかったんだけど、やっぱり異世界の学校ってなるとテンションが上がるんだよね。
地球の学校ってなんだかんだ言ってある程度の知識が身に付いてから通い始めるけど、今の俺はリベラルについての知識が下手すると幼稚園児並だから割と勉強とか楽しみだし。
初めて英語を習った時とか直ぐにその単語を使いたがったでしょ?
多分あんな感じだと思う。
実際に新しい魔法を使う時とかワクワクするし。
「そういえば職員室に来いって言われてるけど職員室ってどこにあるの?」
「職員室の場所は学校の二階ですね!」」
「最初に職員室に向かう時は私達もご一緒しますので安心してください。ヤマト様」
「それは助かる。中々一人で職員室に行くのは心細いからな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この世界は八つの大陸で出来ている。
この世界の大陸は火の国・水の国・雷の国・風の国・地の国・光の国・闇の国といった感じの七大陸とその七大陸のほぼ真ん中に位置する中央大陸が存在する。
今現在、俺たちは中央大陸【セントロ大陸】に住んでいる訳だが、この大陸は他の大陸に比べると二倍は大きく、国家も多数存在する。
となると、人口も他所の大陸に比べると多くなる訳で、そのぶん学校の量も増えるはずなんだが・・・
「この学校・・・人・・・多くない?」
「そうですか?私は初等部の時からこの学校なので気になりませんが・・」
「私も同じくです。まあ、この学校は初等部から高等部までありますから、他所に比べれば多いかも知れませんね」
「そうなのかな?」
「それにこの辺で大きな学校って言ったらここしかないですからね。自然と人は集まる訳ですよ!」
これは後から聞いた話だが、セントロ大陸でまともな学校というのは三校しかないらしい。
理由として、セントロ大陸の主流な職業が農業関係である為、学校に行かず、家の手伝いをする子供達が多いからである。
ただ、この世界にも義務教育の様なものはあるらしく、初等部までの内容は各地のギルドなどで無料で教えてもらえるそうだ。
要するに、初等部は世界の常識、中等部からは専門的な知識を学ぶ。という様な感じらしい。
「これは職員室に行くのも一苦労だな」
「いえいえ、そんな事はありませんよ」
「そうか?これだけ人が居たら昇降口に入るのも一苦労だろ?」
今だって人の後頭部しか見えてないのに。
「確かに昇降口に入るまでは大変ですが、この学校では昇降口で自分の在籍するクラスの棟に転移させてくれるので、入ってしまえば楽ですよ」
「へぇ~、それはすごいな」
「他にも学校内の自分の行きたい場所を指定すれば転移させて貰えるので使わない手はないです」
「その指定の仕方ってどうするの?」
「乗る魔法陣を変えればいいだけです」
「頭の中で思い浮かべるとかじゃないんだ」
「そのやり方も出来ないことは無いですが、それでは人によって差が生まれてしまいますからね。それに初めてこの学校に来た人はその方法では転移出来なくなってしまいます。おそらく今のヤマト様ではその様になる事でしょう」
ごもっともだね。
今の俺がこの学校で想像できるものは昇降口と森の中だけだからな。
「あ!昇降口に入れそうですね。それじゃあ職員室に行きましょう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
相変わらずここは人が多いと思います。
マスターの話では、何でも初等部から高等部までの生徒が在籍していると言っていました。
この学校、【ノルニル学園】にはマスターのご厚意で入学させて貰いました。
けれども、私はこの件については余り良くは思っていません。
正直、私は人が苦手です。
だからこれだけの人がいる場所に、本当は来たくもないのですが、マスターからの支援を受けている以上は行かざるを得ないのです。
とは言うものの、普段は学校にあまり行かず、図書館に通っている訳なんですけどね。
しかし、今日は違います。
昨日、図書館である方に会いました。
私はその方に『明日は必ず学校に行ってね♪そこでの出会いはおそらく貴方にとって、とても意味のあるものだから。もし行かなかったら私が無理矢理連れてくぞ☆』
と言われたので私は今、渋々登校している訳です。
それにしても、彼女は何故、私なんかに再び会いに来たのでしょうか?
彼女の立場上、その様な余裕は無いと思うのですが・・・
まあ、彼女の事ですから、そんな深い理由なんかは無くて、ただの気まぐれからやっている事かも知れませんね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ここが職員室です!って、大丈夫ですか、ヤマトさん?顔色良くないですよ」
「・・・気持ち悪い」
「転移酔いでしょう?慣れていない人に多いですからね」
地球にいた頃に聞いた話だが、
もし、人が地球から遠く離れた月にワープ出来る技術を持っていたとしよう。
では、そのワープの際、人間の身体をどの様に月まで持って行くのだろうか?
この質問に対する答えの一つとして、人間の体の構成を隅々まで調べ、その調べ上げた物をいわゆる一つの設計図と考える。
そしてその設計図をベースに、そのワープ先でもう一つの人体を作ってしまうと言うものだ。
この際、ワープする前の体は今回の場合だと地球で破壊されてしまう。
要するに、ワープなんて言葉を使っているが、その実、ワープしたい所に自分の体を作って置いて、作り終わったら何らかの方法で精神を新しい体に移して、古い方の体はこの世に同じ人間が居たらまずいので殺してしまうと言う事である。
まあ、何でこんな事を急に考え始めたのかと言うと・・・
転移する前にこの事を思い出してしまった訳ですよ・・
そしたらなんか気持ち悪くなってきて・・
そして今、廊下の隅に座りながらリリアから水を貰っている訳なんだけど・・・
さっきからすれ違う人達にすごい見られてるんだよね。
俺、恥ずかしさのあまり2日目から不登校になるよ?
俺のメンタルは豆腐だよ?
普段どちらかと言うと俺の事を褒めてくれるルナですら、俺はメンタルが弱いって言うのだから多分マジなんだと思うよ。
ほんと、地球での記憶は俺を不幸にするよね。
若干、こじ付けみたいなもんだけど。
「お、何やってんだ?こんなとこで。職員室は後2メートル先だぞ?」
俺が廊下の隅でダウンしていると魔法陣からジン先生が転移してきた。
「おはようございます・・ジン先生」
「「おはようございます」」
「おう、おはよう。それでどうしたんだ、ヤマト?二日酔いか?」
「違いますよ・・・ちょっと魔法陣に乗ったら気持ち悪くなっただけです」
「ハハハ!!なんだ転移酔いか?案外弱っちいなぁ!」
ちくしょ~、この状態だから、否定が出来ないぜ。
「それより先生・・・早速教えてもらいたい事があるんですけど・・・この転移の魔法陣ってどうゆう原理で動いてるんですか?」
もし、地球の原理と一緒なら俺の転移酔いは一生治らないね。
「ああ?転移の原理?それはあれだ、その魔法陣の上の座標の物体を空間ごと移動させている訳で、言って仕舞えばあれだ、あの魔法陣はトンネルで、転移した先と繋がっているって訳だ」
「それって人体はどうなるんですか?分解されたりとかしないんですか?」
「ああ、そういった過程はないな。簡単に言って仕舞えばショートカットだからな、三つ部屋があるとして、自分のいる部屋から二つ隣の部屋に行く時、いちいち外に出て、部屋を移動するんじゃなくて、部屋の壁をぶち破って部屋から部屋、みたいな移動をこの魔法陣でしている訳だ。わかったか?」
「何となくだけど、わかりました」
この原理なら気持ち悪くならずに済むわ。
やっぱ、転移ってのはそういう原理がいいと思うよ。
他の原理とか知らないけど。
「いいんだよ、魔法は何となくでな。色々とめんどいから」
それを言ったらこの学校の存在意義はないんじゃないかな?
「ああ、そうだ。ルナとリリアはもう教室に行って良いぞ。あとは俺の仕事だからな」
「わかりました。それでは先に失礼します」
「それではヤマトさん。また後で!」
「おう、教室でな~」
そう言ってルナ達は再び魔法陣に入って行った。
「さて、俺はヤマトに今日の一連の流れを説明する訳だが、今日は最初に自己紹介をしたら後は普通に座学しかないからな。特に説明する事がない」
「自己紹介ってどんな感じがいいですか?」
「名前を言うのがいいな」
名前を言わない自己紹介ってなんだよ?
「じゃあ、名前だけ言えばいいですか?」
「寧ろ、名前以外の情報交換はお前達だけでやってくれ。俺は朝のホームルームが終わったらとっとと職員室に戻って来たいからな。まだ、春休みの課題の確認終わってないし」
完全にあんたの都合じゃねえか。
「それじゃあそろそろ、教室に行くか。時期にチャイムが鳴るはずだからな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久しぶりに教室に入ると、私のクラスメイトが話しかけてきた。
「おはよう!ユウナちゃん。一つ聞きたい事があるんだけどいい?」
「・・・・いい・・ですよ・・上手く答え・・られない・・かも・・・知れませんが」
相変わらず、人前だと上手く喋れないな。
「ほんと!ありがとう」
この人はいつも元気ですね、まだあまり顔を合わせてないけど。
「一昨日、図書館に黒髮でツリ目で、ワイシャツにスラックスを履いた男の人来ませんでした?多分歴史系の本を借りってたと思うのですが・・・」
多分あの人の事かな?
「来たよ・・・もしかして・・・知り合いの人?・・・あまり・・図書館に慣れていない・・・みたいだから・・本の探し方を教えてあげた・・・よ・・」
「やっぱりそうですか!その節はありがとうございます!」
貴方は彼のお母さんなの?
「・・・・いいの・・・私はそういう事でしか・・・役立たないから・・・」
「いえいえ、そんなことは無いですよ!だって、ユウナちゃんの知識はすごいじゃないですか!以前私が図書館で勉強していた時に色々と教えてくれたじゃないですか。あれ、勉強の範囲以外にも、その単元に関係する事とか教えてくれて、学校の授業より面白かったし、分かりやすかったですよ!ね?リリア!」
「その通りですよ、ユウナ様。もう少し自分に自信をお持ちになって下さい」
この人達は本当にいい人達なんだな。
私みたいな奴の良い所を探してくれて・・
なのに私は目を合わせることすら出来ないし、
それどころか恐怖心を感じる・・
ほんと、ダメな奴だな・・・
ガラガラ
「おーい、お前ら席に座れー。時期にチャイムが鳴るからな、チャイムが鳴った時に座っていない奴は今日一日中椅子から立てなくなるからな、気をつけろー」
それは、貴方の氷の魔法が発動するって訳ね。
「それと今日は転校生がいるからな、スムーズにホームルームを終わらせるぞ」
なるほどね、だから私の席の後ろに座席が増えていのか。
そういえば、彼女が、今日の出会いは意味のある事って言ってたけど、この事なのかな?
「それじゃあ、転校生の紹介に移ろうか」
私が考えごとをしている間に、ホームルームが終わって、転校生の紹介に移っていた。
「入って来て良いぞー」
ガラガラ
先生が呼びかけて入って来たのは図書館で会った男の人だった。
もしかして、彼女の言ってたのは彼の事なのかな?
だとしたら彼女の言ってた事は外れな気がするけど・・
「えーと・・・初めまして、カンザキ・ヤマトって言います。先生にこれ以上の情報交換は後でやれって脅されているんで、他に聞きたい事があったら個人的にお願いします。これからよろしくお願いします」
・・・・・・・・え?
カン・・・ザキ・・・?
それに・・・ヤマトって・・・
『明日は必ず学校に行ってね♪そこでの出会いはおそらく貴方にとって、とても意味のあるものだから』
でも・・・・あり得ない・・・
なんで・・・
兄さんがここにいるの?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
彼女には家族がいました。
家族仲はとても良い平和な家庭でした。
しかし、ある事件が原因で一人を除いて家族は殺されてしまいます。
現在もその事件の犯人は捕まっていません。
そして、残された遺族も一年後に亡くなってしまいました。
「さてさて♪これで一つイベントはクリアかな?」
女性が学校の屋上で一人呟く。
「大丈夫だよ。今度は何があっても私がいるからね」
「今世はハッピーエンドで終わらせてあげる」
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