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第九話 試験
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「ハァ・・ハァ・・氷ってのは・・思ったより厄介だな・・・思うように動けねぇ・・」
唐突に始まったクラス分けテスト。
この一週間、ギルドで多くの依頼を受け、多くの戦闘を経験したつもりだったが、それはどうやら思い違いだったようだ。
「やっぱり対人戦は一筋縄じゃいかないか・・・」
今俺は来るときに通った森に隠れている。
しかし、その光景は先程とは打って変わって幻想的なものになっていた・・
木々は凍りつき、森特有の湿り気の多い地面には氷が張っていた。
「おーい、何処に隠れているんだーいヤマト君?俺は隠れんぼする約束はしてないぞー」
やる気のない声が次第に近づいてくる。
「さて・・・どうしようか・・?」
開戦直前、あれだけの啖呵を切った以上無様に負ける訳にはいかない。
だが、何の考えも無いまま会敵すれば確実に負けるだろう。
名前もまだ知らないあの男、
奴の初手に放った魔法は大規模なものだった。
奴が初手に放った魔法。
それは辺り一面を氷漬けにするほどの威力を持った氷の魔法。
あの男はそんな魔法を予備動作も無しに発動してきたのだ。
そんな魔法を俺は避ける事が出来るはずもなく直撃した訳だが、幸い、刀に纏っていた炎のおかげで凍りつく事は無かった。
しかし、奴の考えは俺を攻撃することでは無かった・・
奴の考え
それは俺の移動を制限する事だった。
凍り付いた地面は思うように動くことは出来ず。
もしその凍り付いた地面を溶かそうものなら、地面は泥へと変化するだろう。
そんなぬかるんだ地面での戦闘はおそらく経験の少ない俺では不利だ。
先ず、まともに相手との距離を詰めることすら出来ないだろう。
何か手は無いものか・・・?
時を止めるのはこんな所で使えないし
火は相手の思う壺。
他には・・・・・
「あ、そうか。この手があった」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「俺は隠れんぼとか好きじゃ無いんだけどなー」
しかし、あのヤマトとか言う奴は直情的なタイプかと思ったが、案外冷静な奴だな。
俺の今の戦闘のスタイルはどちらかというと遠距離タイプだ。
そして奴は近距離タイプ。
現在戦闘している場所は校庭。そして、俺の後方には校舎、前方百メートル先くらいに森がある。
俺は戦場の範囲は一切指定してない訳だからここら一帯は戦場となる。
そこで俺は森の方向だけを一気に凍らせた訳だが、それでも奴はあえて森側に逃げていった。
仮に俺が奴なら俺も同じ手段を取るだろう。
何せ、森には遮蔽物が多い。
奴は俺の魔法を防ぐ為に森に逃げたんだろう。
そして俺が射程範囲内に入って来るのを待ち、そこを仕留める。
逆に環境や足場を考慮し校舎側に逃げれば、遮蔽物はなく、距離を詰める瞬間は格好の的になる。
もし奴がそこまで考えているのなら間違いなく強くなるだろうし、成績優秀者、Sクラスという訳だが、それは飽くまでそう考えていればと言うだけの話。
俺は戦闘を止めるつもりもないし、手を抜くつもりもない。
というよりはちゃっちゃと戦闘終わらせて帰りたい。
かと言ってここで試験終了して帰ろうとすると理事長に怒られる。
それはおそらくヤマトと戦闘するより長くなる。
絶対にそれだけは避けたい。
「諦めてとっとと出てきてくんねぇかな・・」
俺は重い足取りで森を進んでいると
「お?隠れるのはやめたのか?」
「ああ、隠れたり篭ったりするのは好きなんだけどな。そういう訳にもいかないだろ?」
「そりゃあ、俺としても早く終わらせたいからな、探す手間が省けるっていうのは願ったり叶ったりって所だな」
「だろ?だからここで終わらせてやる」
「ほぅ・・・それは楽しみだ」
やっぱ、考える時間ってのは重要だね~、
俺も教師としては生徒に大事にして欲しいところでもある訳よ。
「それじゃあ、発表してもらおうかな?ヤマト君」
「ああ、良いぜ。ちゃんと採点してくれよ?」
「おう、もちろん評価してやるよ」
そういえばあいつ・・・刀はどうした?
指輪に戻したのか?
もしかして魔法で戦うつもりか?
確かフレアの話ではそこまでの魔法は使えないはずだが・・・・
「刀を出してないってことは魔法で戦うのか?」
「いやいや、そんな勝率の少ない賭けはしないぜ。と言うか、既に俺の発表は始まってる」
「ッ!!まさか!?」
『奴を捕らえろ』
「クッ!!・・・これは・・・鎖・・?」
俺の手足は地面から出てきた鎖に繋がれ動けなくなっていた。
この鎖がまた強固な鎖で千切れる様子などは一切ない。
「・・・・・ったく・・・こりゃ、驚いたぜ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
目の前の鎖に繋がれた男は少しばかり驚いた表情を見せる。
それもその筈、
奴が繋がれている鎖は氷で出来ていた。
この鎖は魔法によるものではない。
そう、指輪が変化したものである。
焦っていた俺は完全に忘れていた
氷属性が使える事を、
そして、指輪は属性によって変化が異なる事を・・
「まさか氷属性が使えるとはな・・・完全に罠に嵌められたぜ・・」
「そ、そうなんですよーー!一応氷も使えるみたいでー」
「?、なんで慌ててるんだ?」
「特に深い意味はないですよ、ハハッ・・」
一昨日スクルドとゲームしている時に何気なく
「あ、ヤマト今は氷も使えるからね。あと、余り自分の身体能力をあてにしない事。死ぬから」
って唐突に言われたもんだからすっかり頭から飛んでたよ。
それにしても良かった・・・
氷属性を指輪で試す事が出来てなかったし、何に変化するか知らないから。
また刀や剣が来たらどうしようかと思ったよ・・
鎖で助かった。
「それで、まだ続けますか?」
「いや、試験は終了だ」
「そうですか。それじゃあ鎖を解きますね」
鎖は少し発光して俺の指へと戻っていった。
「あの鎖はさっきの刀と同じ物だったのか。そりゃあ千切れないわな」
千切ろうとしてたのか
「それにその鎖、おそらくだが相手の体力と魔力も奪うことができるようだな」
「え?知らなかった」
もしかして属性によって姿が変わるだけじゃなくて効果も変わるのか?
今度火属性の効果も調べてみるか。
「とりあえず森を出るとしよう。試験結果はその後だ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
森からの帰り道、俺たちの間に会話は無く、妙な緊張感が漂っていた。
「あ、ヤマトさん達戻ってきたよ!リリア!」
「その様ですね。ルナ様」
俺たちが森から帰るとルナ達は昇降口の前でティーセットを広げお茶を飲んでいた。
「随分と寛いでるなぁ?そんなセット何処に持っていたんだ?」
「これはリリアが用意してくれました!」
「おそらく長引くと思いましたのでご用意させて頂きました。ティーセットの方はメイドの収納術でこのアタッシュケースに収納しておりました」
いやいや、アタッシュケースにそのテーブルは入らないだろ?
他にもその椅子とかどうしたの?
魔法なの?メイドの収納術は魔法なのか?
「おいおい・・俺とヤマトが必死に戦っている時にお前らはお茶会かよ。呑気でいいねぇ~」
「必死ってよく言うぜ、手を抜いてた癖に」
「おいおい・・何言ってんだ?真面目にやったぜ俺は」
「それは魔法だけだろ?本当は武器を持ってる癖に」
さっき鎖で繋いだ時に見えたんだよな。
手のひらのマメ、あれは相当振り込んでるはずだ。
「・・ったく・・・よく見てやがるな」
「まあ、そんなことは良いよ。試験の結果は?」
俺からしたらそんなことより試験結果だよ。
なんだかんだ言って不安なんだから、
一応勝ったは勝ったけどこれは戦闘じゃなくて試験だからね。
もしかしたら加点対象の魔法とかあるかもしれないし。
それ以前に俺、魔法一回も使ってないからね。
基礎から学んで来いって事もあるかもしれない・・
不安なんですよ・・
「ああ、試験の結果は・・・」
「「結果は?」」
「もちろんSクラスだな、中々良い判断力をしている」
「よ、よかった~~!!」
「ルナ、俺より先に喜ぶな」
「だって、だって、これでも一応気にしてたんですよ!前の日にプレッシャーかけ過ぎたかな?って」
確かに気にはなったけども、
「俺がそんなこと気にする様な奴に見えるか?」
「・・・・・・・意外と気にしそう」
「そこは嘘でも見えないって言えよ」
確かにメンタルは弱いけどね!!
「さて、漫才はそこまでだ。これでヤマトはSクラスになった訳なんだが、Sクラスについてはどれ位ルナ達から聞いた?俺としては面倒いから余り説明したくない訳で、その辺察してくれるとありがたいんだが・・・」
「大丈夫でーす。ほとんど聞いたと思いまーす」
「あれ?私そんなに説明したかな?」
いや、具体的な情報は聞いてないよ。
成績優秀者のクラスとしか分からねえから、
Sクラスなんて呼び方も今日始めて聞いたからな。
でも仕方がないじゃ無いか、さっきから目の前で帰りたくて貧乏ゆすりしてる大人がいるんだもん。
可哀想だろ?
「そうか、なら良し。それじゃあヤマトは明日から暫くは学校に登校して来いよ、いろいろとあるから」
「了解しやした」
「あと明日は登校して来たら先ずは俺の所に来いよ」
「名前がわからないんで、呼び出す時に困りまーす」
結構時間経ったけど未だに知らないからね。
「あ?そういえば名乗って無いな。俺の名前はジンだ。他に聞きたい事は?」
「特に無し」
「アンケート調査みたいな返しだな、それじゃあ何も無いなら俺はもう帰るぜ、じゃあな」
素早いツッコミを入れてジン先生は軽やかな足取りで再び森に入っていった。
「なあ、ルナ?」
「どうしました?ヤマトさん?」
「俺さぁ、あんな感じの大人他にもどっかで見た気がするんだよね。なんでかな?」
「え?・・・どうしてでしょうか?」
「ヤマト様、リリアはヤマト様の言いたいことがわかりますよ。あの方のことですね?」
「あの方??誰??」
俺の知る限りルナはその様子をかなり見てるはずなんだけどなー
「ジン先生とマリアさんって家族?」
「あ~~!そういうことですか!そうですね!はい。マリアさんはジン先生のお姉さんですよ!」
なんとなく途中から思ってたんだよな、
やけに似てるなって。
「さて、それじゃあ俺達も帰りますか?」
「そうですね、先生ももう帰られましたし」
「あ、ルナ様。申し訳ないんですが、帰りに市場の方に寄ってもよろしいですか?食材を買っていきたくて・・・」
「もちろん!いいですよね?ヤマトさん?」
「ああ、構わないぜ」
こうして、俺達は再び森の中に入って行った。
そういえば今日1日スクルド出てこなかったな・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヤマト達が市場に向かおうとしている頃。
スクルドはある人物に会いに図書館に居た。
「さてさて、私としてもこのイベントは見て見たい訳ですよー!」
スクルドは周囲を少し見渡し、お目当の人物を見つける。
「どーも!こんにちは♪私の事覚えてる?」
「・・あ・あの・・・・ごめんなさい・・・覚えてないです」
スクルドのお目当の人物は突然声を掛けられた事に驚き少し挙動不審になっている。
「そっかー。まぁ、だと思ったけどね♪でも、こう言えば思い出すかな?」
「・・・・・・・?」
「久しぶりね、ユウナちゃん♪」
スクルドは不敵な笑みを浮かべ言葉を続ける。
「時の女神スクルドは貴方に再び道を示しに来たわ♪」
唐突に始まったクラス分けテスト。
この一週間、ギルドで多くの依頼を受け、多くの戦闘を経験したつもりだったが、それはどうやら思い違いだったようだ。
「やっぱり対人戦は一筋縄じゃいかないか・・・」
今俺は来るときに通った森に隠れている。
しかし、その光景は先程とは打って変わって幻想的なものになっていた・・
木々は凍りつき、森特有の湿り気の多い地面には氷が張っていた。
「おーい、何処に隠れているんだーいヤマト君?俺は隠れんぼする約束はしてないぞー」
やる気のない声が次第に近づいてくる。
「さて・・・どうしようか・・?」
開戦直前、あれだけの啖呵を切った以上無様に負ける訳にはいかない。
だが、何の考えも無いまま会敵すれば確実に負けるだろう。
名前もまだ知らないあの男、
奴の初手に放った魔法は大規模なものだった。
奴が初手に放った魔法。
それは辺り一面を氷漬けにするほどの威力を持った氷の魔法。
あの男はそんな魔法を予備動作も無しに発動してきたのだ。
そんな魔法を俺は避ける事が出来るはずもなく直撃した訳だが、幸い、刀に纏っていた炎のおかげで凍りつく事は無かった。
しかし、奴の考えは俺を攻撃することでは無かった・・
奴の考え
それは俺の移動を制限する事だった。
凍り付いた地面は思うように動くことは出来ず。
もしその凍り付いた地面を溶かそうものなら、地面は泥へと変化するだろう。
そんなぬかるんだ地面での戦闘はおそらく経験の少ない俺では不利だ。
先ず、まともに相手との距離を詰めることすら出来ないだろう。
何か手は無いものか・・・?
時を止めるのはこんな所で使えないし
火は相手の思う壺。
他には・・・・・
「あ、そうか。この手があった」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「俺は隠れんぼとか好きじゃ無いんだけどなー」
しかし、あのヤマトとか言う奴は直情的なタイプかと思ったが、案外冷静な奴だな。
俺の今の戦闘のスタイルはどちらかというと遠距離タイプだ。
そして奴は近距離タイプ。
現在戦闘している場所は校庭。そして、俺の後方には校舎、前方百メートル先くらいに森がある。
俺は戦場の範囲は一切指定してない訳だからここら一帯は戦場となる。
そこで俺は森の方向だけを一気に凍らせた訳だが、それでも奴はあえて森側に逃げていった。
仮に俺が奴なら俺も同じ手段を取るだろう。
何せ、森には遮蔽物が多い。
奴は俺の魔法を防ぐ為に森に逃げたんだろう。
そして俺が射程範囲内に入って来るのを待ち、そこを仕留める。
逆に環境や足場を考慮し校舎側に逃げれば、遮蔽物はなく、距離を詰める瞬間は格好の的になる。
もし奴がそこまで考えているのなら間違いなく強くなるだろうし、成績優秀者、Sクラスという訳だが、それは飽くまでそう考えていればと言うだけの話。
俺は戦闘を止めるつもりもないし、手を抜くつもりもない。
というよりはちゃっちゃと戦闘終わらせて帰りたい。
かと言ってここで試験終了して帰ろうとすると理事長に怒られる。
それはおそらくヤマトと戦闘するより長くなる。
絶対にそれだけは避けたい。
「諦めてとっとと出てきてくんねぇかな・・」
俺は重い足取りで森を進んでいると
「お?隠れるのはやめたのか?」
「ああ、隠れたり篭ったりするのは好きなんだけどな。そういう訳にもいかないだろ?」
「そりゃあ、俺としても早く終わらせたいからな、探す手間が省けるっていうのは願ったり叶ったりって所だな」
「だろ?だからここで終わらせてやる」
「ほぅ・・・それは楽しみだ」
やっぱ、考える時間ってのは重要だね~、
俺も教師としては生徒に大事にして欲しいところでもある訳よ。
「それじゃあ、発表してもらおうかな?ヤマト君」
「ああ、良いぜ。ちゃんと採点してくれよ?」
「おう、もちろん評価してやるよ」
そういえばあいつ・・・刀はどうした?
指輪に戻したのか?
もしかして魔法で戦うつもりか?
確かフレアの話ではそこまでの魔法は使えないはずだが・・・・
「刀を出してないってことは魔法で戦うのか?」
「いやいや、そんな勝率の少ない賭けはしないぜ。と言うか、既に俺の発表は始まってる」
「ッ!!まさか!?」
『奴を捕らえろ』
「クッ!!・・・これは・・・鎖・・?」
俺の手足は地面から出てきた鎖に繋がれ動けなくなっていた。
この鎖がまた強固な鎖で千切れる様子などは一切ない。
「・・・・・ったく・・・こりゃ、驚いたぜ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
目の前の鎖に繋がれた男は少しばかり驚いた表情を見せる。
それもその筈、
奴が繋がれている鎖は氷で出来ていた。
この鎖は魔法によるものではない。
そう、指輪が変化したものである。
焦っていた俺は完全に忘れていた
氷属性が使える事を、
そして、指輪は属性によって変化が異なる事を・・
「まさか氷属性が使えるとはな・・・完全に罠に嵌められたぜ・・」
「そ、そうなんですよーー!一応氷も使えるみたいでー」
「?、なんで慌ててるんだ?」
「特に深い意味はないですよ、ハハッ・・」
一昨日スクルドとゲームしている時に何気なく
「あ、ヤマト今は氷も使えるからね。あと、余り自分の身体能力をあてにしない事。死ぬから」
って唐突に言われたもんだからすっかり頭から飛んでたよ。
それにしても良かった・・・
氷属性を指輪で試す事が出来てなかったし、何に変化するか知らないから。
また刀や剣が来たらどうしようかと思ったよ・・
鎖で助かった。
「それで、まだ続けますか?」
「いや、試験は終了だ」
「そうですか。それじゃあ鎖を解きますね」
鎖は少し発光して俺の指へと戻っていった。
「あの鎖はさっきの刀と同じ物だったのか。そりゃあ千切れないわな」
千切ろうとしてたのか
「それにその鎖、おそらくだが相手の体力と魔力も奪うことができるようだな」
「え?知らなかった」
もしかして属性によって姿が変わるだけじゃなくて効果も変わるのか?
今度火属性の効果も調べてみるか。
「とりあえず森を出るとしよう。試験結果はその後だ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
森からの帰り道、俺たちの間に会話は無く、妙な緊張感が漂っていた。
「あ、ヤマトさん達戻ってきたよ!リリア!」
「その様ですね。ルナ様」
俺たちが森から帰るとルナ達は昇降口の前でティーセットを広げお茶を飲んでいた。
「随分と寛いでるなぁ?そんなセット何処に持っていたんだ?」
「これはリリアが用意してくれました!」
「おそらく長引くと思いましたのでご用意させて頂きました。ティーセットの方はメイドの収納術でこのアタッシュケースに収納しておりました」
いやいや、アタッシュケースにそのテーブルは入らないだろ?
他にもその椅子とかどうしたの?
魔法なの?メイドの収納術は魔法なのか?
「おいおい・・俺とヤマトが必死に戦っている時にお前らはお茶会かよ。呑気でいいねぇ~」
「必死ってよく言うぜ、手を抜いてた癖に」
「おいおい・・何言ってんだ?真面目にやったぜ俺は」
「それは魔法だけだろ?本当は武器を持ってる癖に」
さっき鎖で繋いだ時に見えたんだよな。
手のひらのマメ、あれは相当振り込んでるはずだ。
「・・ったく・・・よく見てやがるな」
「まあ、そんなことは良いよ。試験の結果は?」
俺からしたらそんなことより試験結果だよ。
なんだかんだ言って不安なんだから、
一応勝ったは勝ったけどこれは戦闘じゃなくて試験だからね。
もしかしたら加点対象の魔法とかあるかもしれないし。
それ以前に俺、魔法一回も使ってないからね。
基礎から学んで来いって事もあるかもしれない・・
不安なんですよ・・
「ああ、試験の結果は・・・」
「「結果は?」」
「もちろんSクラスだな、中々良い判断力をしている」
「よ、よかった~~!!」
「ルナ、俺より先に喜ぶな」
「だって、だって、これでも一応気にしてたんですよ!前の日にプレッシャーかけ過ぎたかな?って」
確かに気にはなったけども、
「俺がそんなこと気にする様な奴に見えるか?」
「・・・・・・・意外と気にしそう」
「そこは嘘でも見えないって言えよ」
確かにメンタルは弱いけどね!!
「さて、漫才はそこまでだ。これでヤマトはSクラスになった訳なんだが、Sクラスについてはどれ位ルナ達から聞いた?俺としては面倒いから余り説明したくない訳で、その辺察してくれるとありがたいんだが・・・」
「大丈夫でーす。ほとんど聞いたと思いまーす」
「あれ?私そんなに説明したかな?」
いや、具体的な情報は聞いてないよ。
成績優秀者のクラスとしか分からねえから、
Sクラスなんて呼び方も今日始めて聞いたからな。
でも仕方がないじゃ無いか、さっきから目の前で帰りたくて貧乏ゆすりしてる大人がいるんだもん。
可哀想だろ?
「そうか、なら良し。それじゃあヤマトは明日から暫くは学校に登校して来いよ、いろいろとあるから」
「了解しやした」
「あと明日は登校して来たら先ずは俺の所に来いよ」
「名前がわからないんで、呼び出す時に困りまーす」
結構時間経ったけど未だに知らないからね。
「あ?そういえば名乗って無いな。俺の名前はジンだ。他に聞きたい事は?」
「特に無し」
「アンケート調査みたいな返しだな、それじゃあ何も無いなら俺はもう帰るぜ、じゃあな」
素早いツッコミを入れてジン先生は軽やかな足取りで再び森に入っていった。
「なあ、ルナ?」
「どうしました?ヤマトさん?」
「俺さぁ、あんな感じの大人他にもどっかで見た気がするんだよね。なんでかな?」
「え?・・・どうしてでしょうか?」
「ヤマト様、リリアはヤマト様の言いたいことがわかりますよ。あの方のことですね?」
「あの方??誰??」
俺の知る限りルナはその様子をかなり見てるはずなんだけどなー
「ジン先生とマリアさんって家族?」
「あ~~!そういうことですか!そうですね!はい。マリアさんはジン先生のお姉さんですよ!」
なんとなく途中から思ってたんだよな、
やけに似てるなって。
「さて、それじゃあ俺達も帰りますか?」
「そうですね、先生ももう帰られましたし」
「あ、ルナ様。申し訳ないんですが、帰りに市場の方に寄ってもよろしいですか?食材を買っていきたくて・・・」
「もちろん!いいですよね?ヤマトさん?」
「ああ、構わないぜ」
こうして、俺達は再び森の中に入って行った。
そういえば今日1日スクルド出てこなかったな・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヤマト達が市場に向かおうとしている頃。
スクルドはある人物に会いに図書館に居た。
「さてさて、私としてもこのイベントは見て見たい訳ですよー!」
スクルドは周囲を少し見渡し、お目当の人物を見つける。
「どーも!こんにちは♪私の事覚えてる?」
「・・あ・あの・・・・ごめんなさい・・・覚えてないです」
スクルドのお目当の人物は突然声を掛けられた事に驚き少し挙動不審になっている。
「そっかー。まぁ、だと思ったけどね♪でも、こう言えば思い出すかな?」
「・・・・・・・?」
「久しぶりね、ユウナちゃん♪」
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「時の女神スクルドは貴方に再び道を示しに来たわ♪」
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