太陽を喰らう月

白木 月

文字の大きさ
8 / 15

祓い屋

しおりを挟む


「先生お邪魔してマース」

「朝から何の用だ⋯水流園つるぞの

水流園さん⋯?誰だろう。初めて聞く名前だ。

「何の用って分かりきってるでしょ?」

「昨日の夜、あかりに似た霊力が突然現れたってことで話題になってるんだよね」

「それで、ここまで来たんですか?」

「そうそう、ていうか湊久しぶりだね~♪元気だった?」

「元気ですよ。」


おじい様と湊くんの知り合い⋯?
少し気になった私は薄目を開けて男の人の顔を見ようとした。


「ていうか、起きてるよね?この子」

一瞬息が止まりそうになった、心臓がバクバクなっている。
寝たフリしてたのバレたかな?


「こはく、もう体調は大丈夫か?」

あ、バレてた。

『うん、もう大丈夫。体がちょっとダルいぐらい』

私は上体を起こした。自室ではなく別の畳の部屋に寝かされていた


「おはよ♪」

「君があかりの娘?」

『え、あ、はい』


(誰だろうこの人......)

初めて見る人だ。

青みがかった白色の髪に、サファイアみたいな濃い青の透き通った瞳の男の人。

どことなく目鼻立ちが湊くんと似ている気がする。


「僕は水流園つるぞの  れん、君のお母さんの同級生だった。ヨロシク~」

『月出こはくです⋯よろしくお願いします』


「で、本題に入るんだけど...」


さっきまでの、のんびりとした雰囲気から一変して、真剣な表情を浮かべるので、私は少し緊張して身構えてしまった。


はらの学校に入学する気ない?」

『祓い屋⋯⋯?』


なんでだろう、『はら』という言葉に妙に心をかれる。


「⋯⋯先生もしかして祓い屋の事とか教えてないの?」

おじい様が水流園さんから目を逸らす。

「湊説明してあげて」


「⋯昨日こはくちゃんの首を絞めた女いたでしょ?」

『うん』

「あれが妖怪、霊力がない普通の人には見えなくて人間に災厄さいやくをもたらす存在。」

「その妖怪を退治するのが祓い屋、まぁ稀に悪霊とか怨念も祓ったりするけど大体は妖怪を相手にしてる」


『あぁ、これだ』と思った。今私は中学3年生で、早く進路を決めてそれに向けて勉強をしなければならない。

でも、私は自分の進路を決めれずにいた。やりたいことが特に見つからなかったのだ。今まで少し興味を持つことぐらいならあったが、どれも何となくしっくり来なかった。

けれど、今回のは違う。直感的に私に1番あっているのは祓い屋これだと思った。

もっと、知りたい!祓い屋について


『そうなんだ。災厄って例えばどういうの?』

「人間を殺したり食べたり、呪ったり」

『人間を殺す......』

私は昨日の女に首を絞められた感覚を思い出した。


『湊くんって祓い屋なの?』

「そうだよ」

『昨日の、手から水を出したりとか女の人に巻きついてた鎖ってなんだったの?』

「あれは、霊術れいじゅつっていって妖怪を祓うわざだよ。祓い屋によって使う霊術は違う」

「俺の場合は鎖と体内の水分を操る霊術」


(だから昨日手から水が出てきたのか)

湊くんの話を聞いて、私の中で昨日あった出来事の点と点が繋がった。

『妖怪の腕がねじれたのも湊くんの霊術?』

「いや、それは俺のじゃない...」


「捻れた?先生ねじれの霊術って」

「⋯その先は言わなくていい」



「水流園私はこの子を、祓い屋の学校に入学させるつもりも祓い屋にさせるつもりもない」

「は?それ本気ですか?こんなに才能があるのに」

「これ以上話すつもりは無い、帰れ。」

「先生、よく考えて⋯」

「私の言ったことが聞こえなかったのか?帰れと言ったんだ」


部屋の空気を緊張させるすごみのある声でおじい様は言った。

おじい様は貫禄かんろくがあって威圧感を感じさせる人だけど、いつも穏やかで優しかった。こんな有無を言わさない態度は初めて見た

おじい様は襖を開け、この部屋から出ていこうとする


「先生。今日ここに来たのは、あかりが先生宛に書いた手紙を見つけたからです」

その言葉で、おじい様の動きがピタリと止まった。

水流園さんが手紙を取り出し、おじい様に渡した。おじい様は手紙を受け取るとその場で手紙を読み始めた。

部屋には妙な緊張感が走っている。


1、2分手紙を静かに読み続けていたおじい様が声を発した。



「こはく、はらは危険で厳しい仕事だ。命を落とす危険だってある」

「それを加味して聞くが、祓い屋になりたいか?」






────────────────────


太陽を喰らう月【余談】

水流園つるぞの れん流川るがわ みなとは、腹違いの兄弟で年齢は20歳差です。

水流園の外見は青みがかった白い髪(ほとんど白)に濃い青の瞳

湊は白い髪に黒い瞳

どちらも外見から浮世離れしたような印象を感じさせます。イケメンです。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...