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2章.妹君と少年伯は互いを知る
30.元婚約者は敬遠される①
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リーゼロッテが眠りについてから約一日が経過した。
と言っても、人の出入りで起きてしまうほど眠りは浅い。
頭は重く、常に熱に浮かされぼんやりとしていて、目の前の光景がものすごいスピードで進んだり止まったりしていた。
夢なのか現実なのか、彼女には判別つかない時間が続き、気力と体力が削られていくのがわかる。
今もまた、誰かの気配を感じた彼女は寝返りを打つ。薄目を開けると、ぼんやりと赤黒い色が見えた。
「起こしてしまったかえ?」
眉で重い瞼を引っ張り上げるようにして見ると、エルが顔を覗き込んでいた。
(確か……先ほどお話したお医者様……ダメだわ、名前が出てこない)
実際に会話したのは前日なのだが、記憶も曖昧の上、昼夜の感覚すら狂っているリーゼロッテには、彼女が誰だか分からない。
唯一、「医者とは思えない格好の医者」という印象だけが残っていた。
エルは寝ぼけ眼の彼女の額に触れる。冷やり、とした感覚が心地良く、思わず目を閉じそうになる。
「まだ熱はあるのぉ。暴走後の熱は二、三日は続くものじゃ。心配するでないぞ」
エルはそう言うと、覆いかぶさるようにリーゼロッテの背中に手を当てた。
突然のことに身を捩ろうとするが、熱で奪われた体力では身体が少し動くだけだった。
「少しじっとしておれ」
彼女は目を閉じ、集中し始めた。
背中に当てた手が煌々と妖しく光り出すと、リーゼロッテの中に流れるように蠢く。
その妙な感覚に小さく喘ぐが、次第に身体が楽になっていくのを彼女は感じた。
瞼がだんだんと閉じていき、光が収束する頃には、リーゼロッテは安らかな寝息を立てていた。
「魔力の流れを少し整えた。これで少しは楽に……って寝ておるのか」
やれやれ仕方がないのぉ、と苦笑したエルは掛け物をかけ直した。
ふわりとした風がリーゼロッテの顔に当たるが、その長い睫毛が瞬く様子はない。しばらくは起きないだろう。
頬杖をついて、リーゼロッテの顔をまじまじと見つめた彼女は、ぽつりと
「この娘が……なるほどのぉ。これはまた難儀な」
と呟いたのだった。
と言っても、人の出入りで起きてしまうほど眠りは浅い。
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今もまた、誰かの気配を感じた彼女は寝返りを打つ。薄目を開けると、ぼんやりと赤黒い色が見えた。
「起こしてしまったかえ?」
眉で重い瞼を引っ張り上げるようにして見ると、エルが顔を覗き込んでいた。
(確か……先ほどお話したお医者様……ダメだわ、名前が出てこない)
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「まだ熱はあるのぉ。暴走後の熱は二、三日は続くものじゃ。心配するでないぞ」
エルはそう言うと、覆いかぶさるようにリーゼロッテの背中に手を当てた。
突然のことに身を捩ろうとするが、熱で奪われた体力では身体が少し動くだけだった。
「少しじっとしておれ」
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その妙な感覚に小さく喘ぐが、次第に身体が楽になっていくのを彼女は感じた。
瞼がだんだんと閉じていき、光が収束する頃には、リーゼロッテは安らかな寝息を立てていた。
「魔力の流れを少し整えた。これで少しは楽に……って寝ておるのか」
やれやれ仕方がないのぉ、と苦笑したエルは掛け物をかけ直した。
ふわりとした風がリーゼロッテの顔に当たるが、その長い睫毛が瞬く様子はない。しばらくは起きないだろう。
頬杖をついて、リーゼロッテの顔をまじまじと見つめた彼女は、ぽつりと
「この娘が……なるほどのぉ。これはまた難儀な」
と呟いたのだった。
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