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弐
感謝
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夕食が終わった後、幸之助がお風呂を沸かしてくれた。
私、知らなかった。お風呂なんてボタン一つで蛇口からお湯が出てくるのが当たり前だと思っていたから。
「あれ? どこにいくの?」
着物の袂を襷で縛って、竹筒を持って表に出ようとするから気になって声を掛けたら、幸之助はそれこそ不思議に思ったらしくて首をかしげて答えてくれたのだ。
「湯殿の準備ですよ」
「湯殿……あ、お風呂か。ボタン押せばいいんじゃないの?」
「ぼたん? いえ、薪をくべて沸かすんですよ。すぐに支度をするのでそれまでゆっくりしていて下さい」
薪をくべて湯を沸かす……。
最初は外でドラム缶みたいなのに入らされるんだと思った。だけど、支度が整ったって教えてくれて脱衣所で服を脱ぎ、タオルを持ってお風呂場に行ったらなんとそこにあったのは五右衛門風呂!
私初めて入るから入り方が分からなくて、窓……と言うか格子の向こうで火の調整をしてくれている幸之助に、少し恥ずかしく思いながら声をかけた。
昔の建物だから窓ガラスがあるわけではないし、鍵があるわけじゃない空きっぱなしの格子だから、覗こうと思えば普通に覗けてしまう状況だもの。緊張しない方がおかしいと思う。
「ね、ねぇ。これ、どうやって入ればいいの?」
「傍に木の板が置いてあるはずなんですが、ありませんか?」
「木の板……?」
私はキョロキョロと見回すと、五右衛門風呂の横に立てかけてある丸い簀の子のような板を見つける。
「この丸いやつ?」
「はい。それを湯に浮かべて足で押して沈めながら入って下さい。そうしないと熱すぎて危ないので」
この丸い木の板を踏みつけて入る? って言うか、このお風呂の周りも鉄でできてるっぽいから熱いんじゃないの……?
でも、お風呂に入らないと言う選択肢はなくて、恐る恐る言われるままに木の板をお湯に浮かべて、それを足で踏みつけてゆっくり沈めながら入ってみた。
周りの鉄っぽい感じのところには触らないように入ってみたけど、指先でちょっと触ってみたら全然熱くなくて普通に背中がつけられた。
不思議~。
「湯加減はどうですか?」
「うん、丁度いいよ。ありがとう」
すぐそばに幸之助がいることにちょっと緊張したけど、こうやって火の調整をしていないと、薪を入れ過ぎて火力が強まると熱くなりすぎるし、弱まると温くなるしで結構まめに見ていてやらないといけないのかもしれない。
それにしても、家にあるプラスチックで出来たお風呂に入るよりも、五右衛門風呂は赤外線に当てられているかのように体の芯からじっくり温まる感じがするな。簡単には湯冷めしなさそう。
外からはパチパチと小さく薪が爆ぜる音と虫の声だけが聞こえてくる。
何だか、時代劇の中に入り込んだような、不思議な感覚。
お風呂の中があったかいからか、普段なら温い風も開きっ放しの格子の外から吹き込んでくると涼しく感じた。
「加奈子殿」
「うん?」
ザリッと地面を踏む音が聞こえ、私が格子の外へ目を向ける。
「湯上りの浴衣を用意して置きます。あと夕食も」
「え? 夕食?」
「鞍馬のせいでまだ召し上がっておりませんよね?」
そう。鞍馬が私の分も全部食べちゃったから私まだ食べてない。しかも、あの後鞍馬はその場に寝転んだっきりぐーすか寝ちゃったんだよね。
お風呂から出たら簡単に食べられるものがないか見てみようと思ってたんだ。
「ありがとう」
「いえ。こちらこそ」
顔は見えないけれど格子の外に幸之助の耳の先だけが見え、草履で地面を踏む音を立ててお風呂場から離れて行った。
ゆっくりお風呂に入れるなんて贅沢~。しかもこんな古式なお風呂だなんて。
「……あれ?」
湯けむりに包まれながらのんびりお風呂に入っていて、私はふと肝心なことを思い出した。
そう言えば幸之助はあやかしだけど、寄相神社の御神体なんだよね。鞍馬の事とかもあってすっかりそっちのけになっていたけど、神様にお風呂沸かしてもらったり夕飯用意してもらったりとか、めちゃくちゃ罰当たりじゃない!?
そう思うと途端にサーっと血の気が引くような思いに駆られる。
や、ヤバイ。やっぱり夕食は自分で用意しよう!
私は慌ててお風呂から上がり、引き戸を開けて脱衣所を見ると、綺麗に畳まれた浅葱色の浴衣と帯が籠の中に入れて置いてあるのを見て、彼の几帳面さを改めて目の当たりにする。
おお。すごい綺麗に畳まれてる。旅館みたい……じゃなくて!
私は用意してくれていたその浴衣に袖を通し、足早に炊事場の方へ行くと何とも言えない美味しそうな匂いがしていた。
釜戸の傍で鍋に向かっていた幸之助はこちらに気付いて包丁を手にこちらを振り返る。
「加奈子殿? もう湯浴みは宜しいんですか?」
「うん。本当はもっとゆっくり入っていたかったんだけど……」
「もう少しで食事の支度が整います」
見れば、用意されていたお膳の上には三つ葉とお麩のすまし汁と青菜の漬物、それから小さめに握られたおにぎりが2個乗ったお皿がある。空いているお皿には綺麗に焼きあがった卵焼きが乗せられた。
「だし巻き卵です。お口に合えばいいのですが……」
絶対美味しいよね、それ。……じゃなくて!
「ご、ごめんね幸之助。神様なのにこんなお手伝いさんみたいな事させちゃって……」
「気になさらないで下さい。私はあなたの為にお役に立ちたいのです」
「でも……」
「真吉殿は、他人の為に生涯を捧げ続けました。御神体であろうがなかろうが、私は真吉殿のように人の為に尽くしたいのです。何より、今はあなたの喜んで下さる顔が見たい」
そう言ってにっこり笑う幸之助に、ぎゅっと胸が掴まれたような気がした。
なんて健気なんだろう。いや、と言うよりも私が本来そうじゃなきゃいけないんだわ。
「奥座敷に運びます」
「あ、待って、それは自分で……」
「いえ、私にやらせて下さい」
「じゃ、じゃあ縁側で食べてもいいかな? 今日、月が綺麗だし!」
お膳を持ったまま幸之助は目を瞬いていたけれどすぐに「承知しました」と言って奥座敷の傍の縁側まで運んでくれた。
私が縁側に腰を下ろすと、幸之助は傍にお膳を置いて私の隣に座る。
「それじゃあ、頂きます……」
「はい」
幸之助が作ってくれた食事に口を付けると、どれも驚くぐらい美味しい。素朴な感じなのに上品な味付けで、でも奥深くて。おにぎりの塩加減もばっちりだし、だし巻き卵もすまし汁もお出汁の味が良く効いてる。ここまでお出汁の味がしてるってことは、だいぶ前から鰹節や昆布を煮出していたか水に浸していたのかしら。
「……美味しい。料理上手なのね」
「おヨネが支度している姿をよく見ていましたから」
そう言って笑う幸之助の表情はとても嬉しそうだった。
そっか。おヨネさんの作っている姿を見て勉強してたんだ。
「でも、見てるだけでここまで出来るなんて凄いわ。私も時々はお母さんの手伝いをするけど、全然だもの」
「そうですか? 先ほど作って下さった料理はとても美味しかったですよ」
「あれは……本当に簡単だもの」
炒めた玉ねぎとひき肉に、味付けはほとんどレトルト。ちょっと隠し味にチューブのにんにくを足したぐらい。幸之助が作ってくれたこの料理と比べたら、およそ料理と呼べないレベルだわ……。
女ながらなかなか情けない……こんなことならちゃんと料理の勉強しとくんだったわ。
我ながらがっかりと肩を落としていると、幸之助は真っすぐに月を見つめている姿に気付いた。真顔で見つめる横顔は何を思っているのか全く読めない。
「どうしたの?」
「……またこうして主と過ごす日が出来るなんて、思ってもみませんでした」
今の幸之助の横顔は、最初に見た時みたいな暗くて固い印象はどこにもない。表情も柔らかくなって、安心してるのがよく分かる。
鞍馬や他の仲間が時々様子を見に来てくれて、その時はきっと少しは心も休まっているのかもしれないけれど、今ほどの安心感は得られなかったのかもしれない。そう思うと、私はこうして幸之助と主従契約をして良かったんだろうなと思えた。
やっぱり、誰だって安心していたいもの。
私は何気なく手を伸ばし、幸之助の頭に触れた。すると幸之助は驚いてこちらを振り返り、私は笑みを浮かべて頭を撫でた。
年齢とかそう言うの考えちゃうとただ失礼でしかないのかもしれないけど、幸之助って撫でられるのが好きみたいだし、もっと安心してもらいたいと思ったから。
「これからも宜しくね、幸之助」
「加奈子殿……」
頭を撫でられた幸之助は、わずかに頬を染めながらも柔和に微笑んだ。
「ありがとうございます」
「!?」
そう言って私の肩にこてんと頭を預けて来る。
突然のことに酷く動揺してしまい、慌てて私も月を見上げた。
「お、お、お礼を言われるようなことじゃないわ。私の方がほんとはお礼を言わなきゃいけないんだから……」
一人で慌てているのをよそに何も喋らなくなった幸之助へ視線を戻すと、幸之助は猫の姿に戻って私の膝の上に喉を鳴らしながら丸まって眠っていた。
「……さ、最初からその姿でやってほしいわ」
私は動揺したまま、短く溜息を吐いた。
私、知らなかった。お風呂なんてボタン一つで蛇口からお湯が出てくるのが当たり前だと思っていたから。
「あれ? どこにいくの?」
着物の袂を襷で縛って、竹筒を持って表に出ようとするから気になって声を掛けたら、幸之助はそれこそ不思議に思ったらしくて首をかしげて答えてくれたのだ。
「湯殿の準備ですよ」
「湯殿……あ、お風呂か。ボタン押せばいいんじゃないの?」
「ぼたん? いえ、薪をくべて沸かすんですよ。すぐに支度をするのでそれまでゆっくりしていて下さい」
薪をくべて湯を沸かす……。
最初は外でドラム缶みたいなのに入らされるんだと思った。だけど、支度が整ったって教えてくれて脱衣所で服を脱ぎ、タオルを持ってお風呂場に行ったらなんとそこにあったのは五右衛門風呂!
私初めて入るから入り方が分からなくて、窓……と言うか格子の向こうで火の調整をしてくれている幸之助に、少し恥ずかしく思いながら声をかけた。
昔の建物だから窓ガラスがあるわけではないし、鍵があるわけじゃない空きっぱなしの格子だから、覗こうと思えば普通に覗けてしまう状況だもの。緊張しない方がおかしいと思う。
「ね、ねぇ。これ、どうやって入ればいいの?」
「傍に木の板が置いてあるはずなんですが、ありませんか?」
「木の板……?」
私はキョロキョロと見回すと、五右衛門風呂の横に立てかけてある丸い簀の子のような板を見つける。
「この丸いやつ?」
「はい。それを湯に浮かべて足で押して沈めながら入って下さい。そうしないと熱すぎて危ないので」
この丸い木の板を踏みつけて入る? って言うか、このお風呂の周りも鉄でできてるっぽいから熱いんじゃないの……?
でも、お風呂に入らないと言う選択肢はなくて、恐る恐る言われるままに木の板をお湯に浮かべて、それを足で踏みつけてゆっくり沈めながら入ってみた。
周りの鉄っぽい感じのところには触らないように入ってみたけど、指先でちょっと触ってみたら全然熱くなくて普通に背中がつけられた。
不思議~。
「湯加減はどうですか?」
「うん、丁度いいよ。ありがとう」
すぐそばに幸之助がいることにちょっと緊張したけど、こうやって火の調整をしていないと、薪を入れ過ぎて火力が強まると熱くなりすぎるし、弱まると温くなるしで結構まめに見ていてやらないといけないのかもしれない。
それにしても、家にあるプラスチックで出来たお風呂に入るよりも、五右衛門風呂は赤外線に当てられているかのように体の芯からじっくり温まる感じがするな。簡単には湯冷めしなさそう。
外からはパチパチと小さく薪が爆ぜる音と虫の声だけが聞こえてくる。
何だか、時代劇の中に入り込んだような、不思議な感覚。
お風呂の中があったかいからか、普段なら温い風も開きっ放しの格子の外から吹き込んでくると涼しく感じた。
「加奈子殿」
「うん?」
ザリッと地面を踏む音が聞こえ、私が格子の外へ目を向ける。
「湯上りの浴衣を用意して置きます。あと夕食も」
「え? 夕食?」
「鞍馬のせいでまだ召し上がっておりませんよね?」
そう。鞍馬が私の分も全部食べちゃったから私まだ食べてない。しかも、あの後鞍馬はその場に寝転んだっきりぐーすか寝ちゃったんだよね。
お風呂から出たら簡単に食べられるものがないか見てみようと思ってたんだ。
「ありがとう」
「いえ。こちらこそ」
顔は見えないけれど格子の外に幸之助の耳の先だけが見え、草履で地面を踏む音を立ててお風呂場から離れて行った。
ゆっくりお風呂に入れるなんて贅沢~。しかもこんな古式なお風呂だなんて。
「……あれ?」
湯けむりに包まれながらのんびりお風呂に入っていて、私はふと肝心なことを思い出した。
そう言えば幸之助はあやかしだけど、寄相神社の御神体なんだよね。鞍馬の事とかもあってすっかりそっちのけになっていたけど、神様にお風呂沸かしてもらったり夕飯用意してもらったりとか、めちゃくちゃ罰当たりじゃない!?
そう思うと途端にサーっと血の気が引くような思いに駆られる。
や、ヤバイ。やっぱり夕食は自分で用意しよう!
私は慌ててお風呂から上がり、引き戸を開けて脱衣所を見ると、綺麗に畳まれた浅葱色の浴衣と帯が籠の中に入れて置いてあるのを見て、彼の几帳面さを改めて目の当たりにする。
おお。すごい綺麗に畳まれてる。旅館みたい……じゃなくて!
私は用意してくれていたその浴衣に袖を通し、足早に炊事場の方へ行くと何とも言えない美味しそうな匂いがしていた。
釜戸の傍で鍋に向かっていた幸之助はこちらに気付いて包丁を手にこちらを振り返る。
「加奈子殿? もう湯浴みは宜しいんですか?」
「うん。本当はもっとゆっくり入っていたかったんだけど……」
「もう少しで食事の支度が整います」
見れば、用意されていたお膳の上には三つ葉とお麩のすまし汁と青菜の漬物、それから小さめに握られたおにぎりが2個乗ったお皿がある。空いているお皿には綺麗に焼きあがった卵焼きが乗せられた。
「だし巻き卵です。お口に合えばいいのですが……」
絶対美味しいよね、それ。……じゃなくて!
「ご、ごめんね幸之助。神様なのにこんなお手伝いさんみたいな事させちゃって……」
「気になさらないで下さい。私はあなたの為にお役に立ちたいのです」
「でも……」
「真吉殿は、他人の為に生涯を捧げ続けました。御神体であろうがなかろうが、私は真吉殿のように人の為に尽くしたいのです。何より、今はあなたの喜んで下さる顔が見たい」
そう言ってにっこり笑う幸之助に、ぎゅっと胸が掴まれたような気がした。
なんて健気なんだろう。いや、と言うよりも私が本来そうじゃなきゃいけないんだわ。
「奥座敷に運びます」
「あ、待って、それは自分で……」
「いえ、私にやらせて下さい」
「じゃ、じゃあ縁側で食べてもいいかな? 今日、月が綺麗だし!」
お膳を持ったまま幸之助は目を瞬いていたけれどすぐに「承知しました」と言って奥座敷の傍の縁側まで運んでくれた。
私が縁側に腰を下ろすと、幸之助は傍にお膳を置いて私の隣に座る。
「それじゃあ、頂きます……」
「はい」
幸之助が作ってくれた食事に口を付けると、どれも驚くぐらい美味しい。素朴な感じなのに上品な味付けで、でも奥深くて。おにぎりの塩加減もばっちりだし、だし巻き卵もすまし汁もお出汁の味が良く効いてる。ここまでお出汁の味がしてるってことは、だいぶ前から鰹節や昆布を煮出していたか水に浸していたのかしら。
「……美味しい。料理上手なのね」
「おヨネが支度している姿をよく見ていましたから」
そう言って笑う幸之助の表情はとても嬉しそうだった。
そっか。おヨネさんの作っている姿を見て勉強してたんだ。
「でも、見てるだけでここまで出来るなんて凄いわ。私も時々はお母さんの手伝いをするけど、全然だもの」
「そうですか? 先ほど作って下さった料理はとても美味しかったですよ」
「あれは……本当に簡単だもの」
炒めた玉ねぎとひき肉に、味付けはほとんどレトルト。ちょっと隠し味にチューブのにんにくを足したぐらい。幸之助が作ってくれたこの料理と比べたら、およそ料理と呼べないレベルだわ……。
女ながらなかなか情けない……こんなことならちゃんと料理の勉強しとくんだったわ。
我ながらがっかりと肩を落としていると、幸之助は真っすぐに月を見つめている姿に気付いた。真顔で見つめる横顔は何を思っているのか全く読めない。
「どうしたの?」
「……またこうして主と過ごす日が出来るなんて、思ってもみませんでした」
今の幸之助の横顔は、最初に見た時みたいな暗くて固い印象はどこにもない。表情も柔らかくなって、安心してるのがよく分かる。
鞍馬や他の仲間が時々様子を見に来てくれて、その時はきっと少しは心も休まっているのかもしれないけれど、今ほどの安心感は得られなかったのかもしれない。そう思うと、私はこうして幸之助と主従契約をして良かったんだろうなと思えた。
やっぱり、誰だって安心していたいもの。
私は何気なく手を伸ばし、幸之助の頭に触れた。すると幸之助は驚いてこちらを振り返り、私は笑みを浮かべて頭を撫でた。
年齢とかそう言うの考えちゃうとただ失礼でしかないのかもしれないけど、幸之助って撫でられるのが好きみたいだし、もっと安心してもらいたいと思ったから。
「これからも宜しくね、幸之助」
「加奈子殿……」
頭を撫でられた幸之助は、わずかに頬を染めながらも柔和に微笑んだ。
「ありがとうございます」
「!?」
そう言って私の肩にこてんと頭を預けて来る。
突然のことに酷く動揺してしまい、慌てて私も月を見上げた。
「お、お、お礼を言われるようなことじゃないわ。私の方がほんとはお礼を言わなきゃいけないんだから……」
一人で慌てているのをよそに何も喋らなくなった幸之助へ視線を戻すと、幸之助は猫の姿に戻って私の膝の上に喉を鳴らしながら丸まって眠っていた。
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