麻友の異世界探訪

如月はるな

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麻友の異世界探訪

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   ミアの家のバスに浸かり、麻友は膣内の白濁液を掻き出す。
「うっ、うう・・・」
   大量吐き出されたのだろう。中々全部掻き出し終わらない。
(悔しい・・・一発、いや、百発殴らないと気が済まない)


「あ、マユ、大丈夫?」
   やっとバスから出てきた麻友にミア母娘は心配気に言葉をかけた。
「はい、心配かけちゃって・・・」
「何言うの。元はと言えばこの国の者達による仕業なのよ。謝っても謝り足らないわ」
   申し訳無さそうに頭を下げた。
「ミアが悪い訳じゃ無いわ」
「そうだけど・・・。あそこで何か言われなかった」
「あ・・・私をシスターにするって・・・」
「ええーー!」
   二人は同時に驚きの声を上げた。
(え?  何?)
「シスターって、何なの?」
   ミアの母親が暗い面持ちで話始めた。
「シスターというのは名ばかり。あの教会に閉じ込めて性の奴隷にされた女性たちの事よ」
「性の奴隷?」
「ええ。気に入った女性を閉じ込めて、したい放題の虐待よ」
「先月、シスターだったジュリアが返されてきたの。でも、ジュリアはもう以前の彼女ではなくなっていた。身体中アザだらけで、怯えて泣き叫ぶばかりで一言も話が出来なかったわ」
「余程酷い目にあわされたのね」
「シスターから解放されるときは、年を取ったか、飽きたか、使い物にならなくなったか、気がおかしくなったかよ」
    麻友は青ざめ、冷や汗が流れるのを感じた。
(私、そんな目にあうのは御免だわ)
「お母さん。どうにかならないの」
   ミアが母を見つめた。麻友も同じく見つめた。しかし、期待も虚しく母は首を振った。ガックリとうなだれら二人。
(駄目か~)


   それからはいつお呼びが来るかとビクビクしても過ごす事になった。毎日、外を見つめ教会からの使者を確認していた。
(そう言えば、この街には男がいない)
   見ていて気がついた。通りを歩いているのは女性ばかりだ。たまに通る男性と言えば、老人か子供だ。男性の出生率が低いのだろうか?
「違うわ」
「え、じゃあ・・・」
   ミアに何故なのか聞いてみた。
「男衆は全員捕らえられているの」
「えー、何故?」
「魔王に反乱させない為よ」
「反乱」
「前国王が殺された時、この国の男達は立ち上がり、魔王と教皇に一斉に反抗し戦ったわ」
   しかし、王妃やか弱い女性たちを人質に取られ武器を置いたらしい。
「男衆は全員捕らえられて、女性たちに危害を加えない約束を信じて送られたわ」
   そう言って遥か遠くに見える山を指差した。
「あの山には金鉱があるの。あと、小麦や作物、果樹の栽培をするために労働させられてるの」
   獣人と人間の女の間に子が出来るのなら男を殺しても構わないが、それは叶わない。人口を増やすには人間の男が必要なのだ。隣国を制圧したいが兵力が足りないのだ。隣国と和平を保つには財が必要なのだ。その財を作る為に人間の男は不可欠なのだ。
「その為に年に何回か夫や恋人と会うことは許されてるの。人口を増やすためにね」
「そんな、そんなのまるで・・・」
   家畜みたいじゃないかと思った。生かさず殺さず。人間の扱いでは無い。
「魔王わね、世界征服を目論んでいるのよ」
「えー、だって・・・」
「獣人を増やす事が出来るのよ。王宮には女王蜂が誕生するの」
(女王蜂・・・って、死ぬまで子供を産み続けるあの女王蜂の事?)
   その時ミアの母親が血相を変えて入ってきた。
「マユに使者が来たわ」
「ええーーー!」
(嫌だ、嫌だ、シスターだなんて!)
「王宮からよ」
「へっ?」
   教会ではなくて、王宮の王子の使者だと言う。
「王子・・・ですか?」
「そう。降りて来て」
   母親に急かされ、マユとミアは階下へ降りて行く。入り口には、当然獣人なのだが、巻物を手にした使者が立って降り、麻友を王女ベアトリーチェの遊び相手として召し抱えると言う。
「受けるか、否か」
(否って答えられるのか?)
「わ、わかりました。お受け致します」
   麻友は決めた。教会のシスターになるくらいなら、こっちがマシだろうと。ミアも、母親も頷いている。
「分かった。伝える。追って沙汰を待つが良い」
(王宮にベアトリーチェ王女か)
   麻友にとって新たなスタートが始まる。それが吉と出るか、凶と出るか。麻友の心の中に得体の知れない不安が広がる。
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