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麻友の異世界探訪
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「おはよう」
「おはよう、麻友」
何時もの日常が戻ってきた。戻った事は嬉しいのだが、心の隅にあの世界のことがあってスッキリしない。
「あれ、麻友、あの指輪が無い」
友達が麻友の手を見てビックリする。
「うん。急にするって取れちゃって」
「へぇ、良かったね。あんなの何時もの付けてたら気になるもんね」
「う、うん、まぁ」
「何々、ガラクタが取れたって」
友達が我も我もと麻友の手を見に寄って来た。
「アハハ、くすぐったいよ」
(あの指輪は王妃様の手の中なんだよね)
目を閉じるとたまに自分の名前を呼ぶ声が聞こえるのだが、それははるか遠くて誰が呼んでいるのかさえ分からない。
「あーん、もう、宿題出し過ぎ」
麻友は珍しく机に向かって宿題をしていた。苦手な数学になって、一気にやる気は失せる。
「もおー、分かんない。なんでこの世に数学なんてあるのよ!」
とうとうやる気は無くなり、ベッドに身を投げ出す。
(明日、見せてもらおうと)
目を閉じてると眠気が襲って来る。
(ああ、ヤバイ、眠くなって・・・)
すーすーとすぐさま寝息が聞こえてきた。
『マユ、マユ、・・・マユ・・』
(誰? 私を呼ぶのは・・お母さん?)
『マユ・・・マユ!』
「はっ?」
大きな声で呼ばれて、麻友はハッと目を覚ました。
「えっ、ここは?」
目を覚まして気がついたのは、そこは自分の部屋では無いと言う事。見覚えのある光景。ここは確か城の裏庭にあった寂れた小屋があった場所だ。だが、今はボウボウに伸びでいた野草は綺麗に刈り取られ、芝が植えられている。小屋があった場所には立派なお墓らしき建物が。
何か文字が刻まれているが麻友には読めない。
(もしかして、王妃様のお墓なのかな)
そんな事考えていたら、背後から自分の名前を呼びながらか走って来る少女がいた。
(えっ、誰だろう。ベア?)
だが、少女は獣人では無い、人間の少女だ。でも、声はベアに似ているなあと、思っていたら、少女は麻友に駆け寄り抱きついて来た。
「マユ、マユ、会いたかったよぉーー!」
「べ、ベア?」
どこからどう見ても人間の女の子だ。肌の色も
目も違う。八重歯の様に見えた牙も無い。でも、面影は残っている。
「そうだよ、麻友、ベアだよ」
息を弾ませベアは満面の笑みで話しかけて来た。
「私ね、人間になったの」
それは見れば分かる。でも、何故?
蜂蜜色の髪、薄茶色のクリッとした目、健康そうな白い肌、どこから見ても美少女だ。
「もうー、ベア、走るの速い、はぁ、はぁ」
後から追いかけて来たのはミアだった。
「ミアさん?」
「はぁ、はぁ、お久しぶり、マユ」
荒い息を吐きながら、ミアが笑顔で挨拶して来た。
「だって、窓の下を見たらマユが見えたから」
「そうね。毎日お祈りしてたものね、会えますようって」
「うん。そしたら本当にマユが居たから・・・」
「はいはい。良かったね、願いが叶って」
「うん!」
ベアは本当に嬉しそうに頷いた。
(そんなに会いたいと思ってくれて私も嬉しい)
麻友はベアをぎゅっと抱きしめた。
「私ね、毎日お母様のお墓の前で祈ってたんだよ」
そう言った目の前の立派なお墓を指差した。
(やはり、王妃様のお墓だったのか)
「ここには、亡きアルベルト王と王妃様が眠っています」
魔王を倒した後、小屋の下に埋葬した王の横に王妃を埋葬してお墓を建てたと、ミアが説明してくれた。
麻友はお墓に手を合わせた。
「あの後、神剣の力でベアの中に流れる魔王の血を浄化させ、ベアは人間になりました」
「ああ~・・・」
あの剣には魔王を倒す以外に王子が纏っていた魔王の殻を炎で浄化し、王子を元の姿に戻した。
「私ね、ミアの妹になったの」
「はあ?」
「ベアは話しをはしょり過ぎ。浄化されたベアは新しい人間に生まれ変わったの。身体は大人だけど、生まれたての赤ん坊みたいな感じかな。私も良く分からないのだけど、王妃様の遺言でベアが人間になったら母と父の娘にして欲しいと言っていたそうよ」
「王子様とは兄妹では無くなるって事ですか?」
「まぁ、そうね」
その事を待っていたかの様にべアが、顔を赤らめて話し始める。
「私、私ね、お兄様と結婚するの!」
「はぁぁぁーー!」
「今日はその結婚式の日なの。麻友にどうしても見てほしくてお母様に毎日お祈りしてたのよ」
血が浄化され、他人となった二人。他人になる前から二人は励まし合い、助け合って来た。色んな中傷や冷たい視線の中二人は励まし合って、愛情を育んで来た。
「その準備している時に急に飛び出すから、もう台無しじゃ無いの」
「ごめんなさい、だって麻友が見えたから嬉しくて・・・」
「はいはい。部屋も戻って準備し直しよ。もう、式まで時間ないのだから」
ミアに促され、ベアと共に麻友も城の中へ入り、ベアの花嫁衣装を見ながら、着替える。
純白のドレスに長いベール。輝くティアラをつけたら初々しい花嫁の出来上がりだ。
「ベア、とても綺麗!」
「えへへ」
舌をペロリと出して、恥ずかしそうに頬を染めた。
小さな白や赤や黄の花が舞う中、ベアは夫となるアルベール王の元へ歩んで行く。
鐘の音が鳴り響く中、厳かに式は執り行われた。
恥ずかしそうに、キスをする二人を見て、麻友は何故かしら涙が溢れて来た。
(良かったね、ベア、幸せにね)
「お母さん、またお姉ちゃん泣いてる」
「でも、今度は笑い泣きだよ」
「テストで百点取った夢でも見てるのかしら」
しばらく三人は、夢を見て笑いながら泣いてる麻友を眺めていた。
あれから数ヶ月過ぎたが、あの世界に行く事は無かった。
(まあ、幸せな姿を見られたから良いか)
何時ものこの世界での日常。仲良し三人は連れ立って下校中だ。
「あれ?」
麻友の視線の中に光る何かが入って来た。近寄って見ると美しい赤い石だ。
(ヤバイ! また指輪見つけた)
「何々、何か拾ったの?」
「あっ、あの、これ・・・」
「わあー、綺麗」
「赤いって事はルビーかな」
「?」
どうやら本物の指輪らしい。
「交番に届けようか」
「そうだね。じゃあ、その近くのスイーツ店で何か食べて行こうよ」
「いいね!」
三人は指輪を持って交番に歩いて行く。
だが、麻友の心の中ではある事が引っかかっていた。あの世界で魔王な獣人達に犯された自分。
(私、処女だよね)
大団円
「おはよう、麻友」
何時もの日常が戻ってきた。戻った事は嬉しいのだが、心の隅にあの世界のことがあってスッキリしない。
「あれ、麻友、あの指輪が無い」
友達が麻友の手を見てビックリする。
「うん。急にするって取れちゃって」
「へぇ、良かったね。あんなの何時もの付けてたら気になるもんね」
「う、うん、まぁ」
「何々、ガラクタが取れたって」
友達が我も我もと麻友の手を見に寄って来た。
「アハハ、くすぐったいよ」
(あの指輪は王妃様の手の中なんだよね)
目を閉じるとたまに自分の名前を呼ぶ声が聞こえるのだが、それははるか遠くて誰が呼んでいるのかさえ分からない。
「あーん、もう、宿題出し過ぎ」
麻友は珍しく机に向かって宿題をしていた。苦手な数学になって、一気にやる気は失せる。
「もおー、分かんない。なんでこの世に数学なんてあるのよ!」
とうとうやる気は無くなり、ベッドに身を投げ出す。
(明日、見せてもらおうと)
目を閉じてると眠気が襲って来る。
(ああ、ヤバイ、眠くなって・・・)
すーすーとすぐさま寝息が聞こえてきた。
『マユ、マユ、・・・マユ・・』
(誰? 私を呼ぶのは・・お母さん?)
『マユ・・・マユ!』
「はっ?」
大きな声で呼ばれて、麻友はハッと目を覚ました。
「えっ、ここは?」
目を覚まして気がついたのは、そこは自分の部屋では無いと言う事。見覚えのある光景。ここは確か城の裏庭にあった寂れた小屋があった場所だ。だが、今はボウボウに伸びでいた野草は綺麗に刈り取られ、芝が植えられている。小屋があった場所には立派なお墓らしき建物が。
何か文字が刻まれているが麻友には読めない。
(もしかして、王妃様のお墓なのかな)
そんな事考えていたら、背後から自分の名前を呼びながらか走って来る少女がいた。
(えっ、誰だろう。ベア?)
だが、少女は獣人では無い、人間の少女だ。でも、声はベアに似ているなあと、思っていたら、少女は麻友に駆け寄り抱きついて来た。
「マユ、マユ、会いたかったよぉーー!」
「べ、ベア?」
どこからどう見ても人間の女の子だ。肌の色も
目も違う。八重歯の様に見えた牙も無い。でも、面影は残っている。
「そうだよ、麻友、ベアだよ」
息を弾ませベアは満面の笑みで話しかけて来た。
「私ね、人間になったの」
それは見れば分かる。でも、何故?
蜂蜜色の髪、薄茶色のクリッとした目、健康そうな白い肌、どこから見ても美少女だ。
「もうー、ベア、走るの速い、はぁ、はぁ」
後から追いかけて来たのはミアだった。
「ミアさん?」
「はぁ、はぁ、お久しぶり、マユ」
荒い息を吐きながら、ミアが笑顔で挨拶して来た。
「だって、窓の下を見たらマユが見えたから」
「そうね。毎日お祈りしてたものね、会えますようって」
「うん。そしたら本当にマユが居たから・・・」
「はいはい。良かったね、願いが叶って」
「うん!」
ベアは本当に嬉しそうに頷いた。
(そんなに会いたいと思ってくれて私も嬉しい)
麻友はベアをぎゅっと抱きしめた。
「私ね、毎日お母様のお墓の前で祈ってたんだよ」
そう言った目の前の立派なお墓を指差した。
(やはり、王妃様のお墓だったのか)
「ここには、亡きアルベルト王と王妃様が眠っています」
魔王を倒した後、小屋の下に埋葬した王の横に王妃を埋葬してお墓を建てたと、ミアが説明してくれた。
麻友はお墓に手を合わせた。
「あの後、神剣の力でベアの中に流れる魔王の血を浄化させ、ベアは人間になりました」
「ああ~・・・」
あの剣には魔王を倒す以外に王子が纏っていた魔王の殻を炎で浄化し、王子を元の姿に戻した。
「私ね、ミアの妹になったの」
「はあ?」
「ベアは話しをはしょり過ぎ。浄化されたベアは新しい人間に生まれ変わったの。身体は大人だけど、生まれたての赤ん坊みたいな感じかな。私も良く分からないのだけど、王妃様の遺言でベアが人間になったら母と父の娘にして欲しいと言っていたそうよ」
「王子様とは兄妹では無くなるって事ですか?」
「まぁ、そうね」
その事を待っていたかの様にべアが、顔を赤らめて話し始める。
「私、私ね、お兄様と結婚するの!」
「はぁぁぁーー!」
「今日はその結婚式の日なの。麻友にどうしても見てほしくてお母様に毎日お祈りしてたのよ」
血が浄化され、他人となった二人。他人になる前から二人は励まし合い、助け合って来た。色んな中傷や冷たい視線の中二人は励まし合って、愛情を育んで来た。
「その準備している時に急に飛び出すから、もう台無しじゃ無いの」
「ごめんなさい、だって麻友が見えたから嬉しくて・・・」
「はいはい。部屋も戻って準備し直しよ。もう、式まで時間ないのだから」
ミアに促され、ベアと共に麻友も城の中へ入り、ベアの花嫁衣装を見ながら、着替える。
純白のドレスに長いベール。輝くティアラをつけたら初々しい花嫁の出来上がりだ。
「ベア、とても綺麗!」
「えへへ」
舌をペロリと出して、恥ずかしそうに頬を染めた。
小さな白や赤や黄の花が舞う中、ベアは夫となるアルベール王の元へ歩んで行く。
鐘の音が鳴り響く中、厳かに式は執り行われた。
恥ずかしそうに、キスをする二人を見て、麻友は何故かしら涙が溢れて来た。
(良かったね、ベア、幸せにね)
「お母さん、またお姉ちゃん泣いてる」
「でも、今度は笑い泣きだよ」
「テストで百点取った夢でも見てるのかしら」
しばらく三人は、夢を見て笑いながら泣いてる麻友を眺めていた。
あれから数ヶ月過ぎたが、あの世界に行く事は無かった。
(まあ、幸せな姿を見られたから良いか)
何時ものこの世界での日常。仲良し三人は連れ立って下校中だ。
「あれ?」
麻友の視線の中に光る何かが入って来た。近寄って見ると美しい赤い石だ。
(ヤバイ! また指輪見つけた)
「何々、何か拾ったの?」
「あっ、あの、これ・・・」
「わあー、綺麗」
「赤いって事はルビーかな」
「?」
どうやら本物の指輪らしい。
「交番に届けようか」
「そうだね。じゃあ、その近くのスイーツ店で何か食べて行こうよ」
「いいね!」
三人は指輪を持って交番に歩いて行く。
だが、麻友の心の中ではある事が引っかかっていた。あの世界で魔王な獣人達に犯された自分。
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