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麻友の異世界探訪
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魔王は身体を小さくし、翼を広げ飛び立つ準備をしていた。このままでは逃げられる。
(逃がさない!)
アルベールはダッシュすると地を蹴った。まさに飛び立とうとするのを、後ろから切りつけ、その翼を切り裂いた。
「ギャアアアーーー!!」
間一髪で翼を切り裂き逃亡するのを防いだ。
「ギャウ、ウーーー!」
魔王は振り向くとアルベールを睨んだ。
「お、おのれぇー、育ててやった恩を忘れたか!」
そう言えばうろたえると思ったのだろうか。背中から血を流し、憎々しげにアルベールを睨みつける。
「あなたに育ててもらった訳では無い。俺を育ててくれたのは母だ。優しく、愛情深く、時には厳しく、周囲の白い目や、蔑みの中守って来てくれた。あなたに必要なのは妹だけで、跡継ぎとしての修行と称して討伐に派遣して死んでも仕方ないと思っていた。そんなあなたに育てて貰ったと言う恩は感じていない!」
「お、おのれぇーー」
「母を不幸にし、妹を自分の道具としか考えていないあなた、いや、お前を成敗する!」
アルベールは魔王に向けて剣を振るう。
「こ、このぉぉーー!」
魔王は最後の一撃をアルベールに向けて放った。魔王の放つ炎と神剣の炎がぶつかり合う。
「グォォォーー!」
「キェェェーー!」
互角だった炎は徐々に神剣が押していく。魔王の炎は小さくなり、神剣の神聖な炎が魔王を包み込む。
「ギャアアアーーー!!」
神剣の炎に包まれた魔王は身体は黒く炭のようになった。黒い物体になった魔王の心臓に剣を打ち込む。そうすると、魔王の身体はバラバラに崩れ、小さな塵となって消えていった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
塵となっ消え行くのを確認すると、訳知らずに涙が出てきて、頬を伝って流れた。
「王子!」
後を追ってきたアルフォンス達は立ちすくむ王子の元にやって来た。
「王子、魔王は!」
アルベールは風に吹かれて舞い上がる塵を指差した。
「おおー、魔王を討ち果たしたのですね! おめでとうございます王子!」
「・・・・」
王子は無言で涙を流し続けた。
「王子、王妃様の元へ」
アルベールは我に返った。そうだ、母は?
「は、母上は無事か?」
その問いかけにアルフォンスは項垂れることしか出来ない。
「急ぎましょう」
「うん」
報告しなければ、魔王を倒した事を。
医者が王妃の手当てをしていたが、その表情は浮かない。
「母上!」
王妃の元に駆け寄るが、その青顔色に言葉を失う。
雪の様に白い顔に血の気は無い。気配を感じたのか、王妃がゆっくりと目を開けた。
「母上!」
「・・・アルベール・・・やりましたか・・」
「はい。魔王は倒しました!」
「・・・そう・・」
弱々しく手を伸ばし王子の手を握る。
「アルベール・・・ベアを、ベアを頼みます」
「はい。必ず幸せにします」
アルベールは力強く握り返し頷いた。
「ベア・・・」
「は、はい、お母様・・・」
王妃は娘の頭を優しく撫でた。
「幸せになるのですよ」
「・・・・」
涙で声がつまり言葉にならない。
「アルフォンス、ハナ・・後の事は・・・」
「分かっています。後の事はお任せ下さい」
その言葉に王妃は静かに笑った。
「・・・マユ」
「は、はい」
麻友は呼ばれて王妃の元へ近寄る。
「・・マユ・・この世界に指輪を運んでくれて・・ありがとう・・・」
「そんな事・・・」
「指輪を・・・」
麻友は自分の指にはまって取れないので、そのまま手を差し出した。王妃は優しくその手を触ると、指輪は外れ、王妃の手の中に収まる。
王妃は指輪を握りしめた。握りしめた指の間から優しく光が溢れる。
「・・・愛して・・・」
王妃は最後まで言えずに静かに目を閉じ、永遠の旅に出た。
「母上ーー!」
「お母様ーー!」
「王妃様ーー!」
それぞれの悲鳴が上がる。
これから幸せになれるのに。悲し過ぎる。
涙が溢れて、溢れて止まらない。
「お母さん、お姉ちゃん、泣いてるよ」
「えっ? 何か悲しい夢でも見てるのかしら」
「テストで赤点取った夢かな?」
双子の弟と妹が麻友を起こそうと鼻を摘んだ。
「フガッ!」
呼吸が苦しくて麻友は飛び起きた。
「王妃様!」
叫んで飛び起きて、そこが自分の家だと気付いた。
「あ、あれ?」
母と弟と妹がビックリして麻友を見つめていた。
(なんで元に戻るのよ!)
今の今まで悲しみに包まれていたのに、泣いていた自分が馬鹿の様だ。
(あれからどうなったのかな?)
指輪が外れた所為なのか、あれからあの世界へ行く事は無くなった。
(気になるじない!)
アルベールやベアはどうなったのだろう。
(逃がさない!)
アルベールはダッシュすると地を蹴った。まさに飛び立とうとするのを、後ろから切りつけ、その翼を切り裂いた。
「ギャアアアーーー!!」
間一髪で翼を切り裂き逃亡するのを防いだ。
「ギャウ、ウーーー!」
魔王は振り向くとアルベールを睨んだ。
「お、おのれぇー、育ててやった恩を忘れたか!」
そう言えばうろたえると思ったのだろうか。背中から血を流し、憎々しげにアルベールを睨みつける。
「あなたに育ててもらった訳では無い。俺を育ててくれたのは母だ。優しく、愛情深く、時には厳しく、周囲の白い目や、蔑みの中守って来てくれた。あなたに必要なのは妹だけで、跡継ぎとしての修行と称して討伐に派遣して死んでも仕方ないと思っていた。そんなあなたに育てて貰ったと言う恩は感じていない!」
「お、おのれぇーー」
「母を不幸にし、妹を自分の道具としか考えていないあなた、いや、お前を成敗する!」
アルベールは魔王に向けて剣を振るう。
「こ、このぉぉーー!」
魔王は最後の一撃をアルベールに向けて放った。魔王の放つ炎と神剣の炎がぶつかり合う。
「グォォォーー!」
「キェェェーー!」
互角だった炎は徐々に神剣が押していく。魔王の炎は小さくなり、神剣の神聖な炎が魔王を包み込む。
「ギャアアアーーー!!」
神剣の炎に包まれた魔王は身体は黒く炭のようになった。黒い物体になった魔王の心臓に剣を打ち込む。そうすると、魔王の身体はバラバラに崩れ、小さな塵となって消えていった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
塵となっ消え行くのを確認すると、訳知らずに涙が出てきて、頬を伝って流れた。
「王子!」
後を追ってきたアルフォンス達は立ちすくむ王子の元にやって来た。
「王子、魔王は!」
アルベールは風に吹かれて舞い上がる塵を指差した。
「おおー、魔王を討ち果たしたのですね! おめでとうございます王子!」
「・・・・」
王子は無言で涙を流し続けた。
「王子、王妃様の元へ」
アルベールは我に返った。そうだ、母は?
「は、母上は無事か?」
その問いかけにアルフォンスは項垂れることしか出来ない。
「急ぎましょう」
「うん」
報告しなければ、魔王を倒した事を。
医者が王妃の手当てをしていたが、その表情は浮かない。
「母上!」
王妃の元に駆け寄るが、その青顔色に言葉を失う。
雪の様に白い顔に血の気は無い。気配を感じたのか、王妃がゆっくりと目を開けた。
「母上!」
「・・・アルベール・・・やりましたか・・」
「はい。魔王は倒しました!」
「・・・そう・・」
弱々しく手を伸ばし王子の手を握る。
「アルベール・・・ベアを、ベアを頼みます」
「はい。必ず幸せにします」
アルベールは力強く握り返し頷いた。
「ベア・・・」
「は、はい、お母様・・・」
王妃は娘の頭を優しく撫でた。
「幸せになるのですよ」
「・・・・」
涙で声がつまり言葉にならない。
「アルフォンス、ハナ・・後の事は・・・」
「分かっています。後の事はお任せ下さい」
その言葉に王妃は静かに笑った。
「・・・マユ」
「は、はい」
麻友は呼ばれて王妃の元へ近寄る。
「・・マユ・・この世界に指輪を運んでくれて・・ありがとう・・・」
「そんな事・・・」
「指輪を・・・」
麻友は自分の指にはまって取れないので、そのまま手を差し出した。王妃は優しくその手を触ると、指輪は外れ、王妃の手の中に収まる。
王妃は指輪を握りしめた。握りしめた指の間から優しく光が溢れる。
「・・・愛して・・・」
王妃は最後まで言えずに静かに目を閉じ、永遠の旅に出た。
「母上ーー!」
「お母様ーー!」
「王妃様ーー!」
それぞれの悲鳴が上がる。
これから幸せになれるのに。悲し過ぎる。
涙が溢れて、溢れて止まらない。
「お母さん、お姉ちゃん、泣いてるよ」
「えっ? 何か悲しい夢でも見てるのかしら」
「テストで赤点取った夢かな?」
双子の弟と妹が麻友を起こそうと鼻を摘んだ。
「フガッ!」
呼吸が苦しくて麻友は飛び起きた。
「王妃様!」
叫んで飛び起きて、そこが自分の家だと気付いた。
「あ、あれ?」
母と弟と妹がビックリして麻友を見つめていた。
(なんで元に戻るのよ!)
今の今まで悲しみに包まれていたのに、泣いていた自分が馬鹿の様だ。
(あれからどうなったのかな?)
指輪が外れた所為なのか、あれからあの世界へ行く事は無くなった。
(気になるじない!)
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