転生したら王だった

如月はるな

文字の大きさ
2 / 21
交換条件を出してみたら

転生したら王だった

しおりを挟む
「も、申し訳有りません!」
   俺の前に飛び出して、頭を下げたのは娘のアイラだった。
「アイラ・・・」
「申し訳有りません。父が偽物の宝石を本物と偽って売っていたのを知っておりました」
   アイラは涙をこぼしながら話を始めた。
「知っていて止めませんでした!」 
   アイラは後ろで固まっている妃達にも頭を下げた。「ごめんなさい、ごめんなさい」
  アイラは必死で頭を下げる。父親のネルドン卿はそれを呆然として見ている。
「父を許して下さい!」
「アイラ・・・」
「お願いです、どうか父を・・・」
   その後は声に出ない。俺はアイラに近づいて肩を撫でた。父親を思う気持ちが分かったから。でも、これはそう簡単に許せる行為では無いのだ。
「今までにてにした金額をドブに捨てろと。そんな事は許さないし、許す訳にはいきません」
   そう冷たく答えたのはコーデリアだった。
「今までの金額はいくらになると思っているのですか」
   確かにその通りだ、その通りだが。
「じゃあ、こうしよう」
   俺は手を叩いた。
「宝石は買い戻してくれなくても良いから・・」
   話が終わらぬうちにコーデリアさんが噛み付いてきた。
「何を言ってるのですか!」
「まあまあ、話は最後まで聞いて下さい」
「ふん」
   辛辣な目が俺を睨んでいる。美人が凄むと迫力が増すんだよね。
「買い戻す代わりに、税金二十 パーセント払うってのはどう?」
「税金?」
「二十パーセント?」
「そう。税金二十パーセント」
   俺は提案して、ネルドン卿の顔の前で指を立てて見せた。
「あ、わ、税金、二十パーセント」
「そう」
   俺はニッコリ笑って見せる。
「これが嫌なら、今まで売った偽物を全て買い取り、アンド刑罰に処します。これまでの罰の重さを考えたら留置だけでは済まないかも。下手したら・・・」
「は、払います。払います!」
   ネルドン卿が答えるよりも早く、アイラが答えた。
「それで父を許して下さるのなら、税金二十パーセント払います!」
「今回だけじゃ無いよ。これから先ずーっとだ」
「わ、分かってます!」
「うわ、アイラ、これからずーっと二十パーセントなんて・・・」
   渋る父を振り返って娘は叫んだ。
「払うますよね、父上!」
「し、し、しかし、一生だなんて・・・」
「払います!」
   父と娘の立場が逆転した様な感じた。俺はアイラを援護すべき言葉を発する。
「ネルドン卿。十ある内、八つは貴方、後の二つが税金です。そんなに悪いこと条件では無いと思いますよ。嫌なら、貴方を拘束します。アンドルー」
「はい」
   アンドルーがネルドン卿に近づいて行く。
「わ、分かりました!  は、払います、払います!」
「そう。それは良かった。オードリー」
「はい」
   オードリーが書面を持ってネルドン卿に近づく。誓約書である。
   渋々ネルドンのはサインし、印を押した。
「よし、これで貴方を放免します。でも、また、インチキ商法したら、即逮捕しますから」
「・・・」
   何も言わない父に代わって、娘のアイラは何度も頭を下げ、感謝の言葉を言い続けてた。
「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとう・・・」
   最後は嗚咽で言葉にならない。
「ネルドン卿。貴方は良い娘を持った。感謝すべきは娘のアイラですよ」
「・・・はい」
   本心はまだ納得出来ていないのだろう。貴族と言う制度がもたらした弊害だな。


「何ですか、あの誓約書は。前から用意してなければ直ぐに出て来ませんよね」
(ギク!)
   コーデリアさんの指摘は鋭い。
「陛下の提案で用意させて頂きました」
   オードリーがアッサリと認めた。
「まあ、いいわ。あのインチキ宝石商が出入り禁止になっただけでスーッとしたわ」
   ネルドン卿は出入り禁止にした。まあ、当然だよね。
「アイラはどうするの?」
「本人に任せます」
「甘い事。でも、きっと出て行くわね。これで妃か一人減ったわね」
   まあ、一人減った所であまり変わらないが。
「でも、貴族の反発は来るわよ。覚悟は出来ていて」
「はい。これからアンドルーに剣の稽古をして貰おうと思っています」
   俺は笑顔でアンドルーを見た。
「はあー?   何よそれ?」
「自分の身は自分で守れるくらい強くなりたいと思いまして、ハハハ」
   馬鹿じゃ無いの。と、言う顔をしてコーデリアさんは俺を見た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安
ファンタジー
ごく普通のフリーター・岩倉運命は謎の少年に刺され、命を落としてしまう。そんな岩倉運命だったが、サダメ・レールステンとして転生を果たす…

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ヤンデレ女神と征く開拓スローライフ。

山椒
ファンタジー
両親に、友達に、恋人に、嫁に裏切られ続けた男、神室千照は絶望して自ら命を絶った。 すべてが終わるという安堵感であったが次に目覚めた時には女神が目の前にいた。 千照のことをずっと見ていた女神、アマテラスは千照に異世界転生を提案する。 まだ人生に未練があった千照はそれを受け入れ、二度目の人生を送ることになる。 だが千照は知らなかった。千照にはとてつもない才能が秘められていることを。 千照は知らなかった。アマテラスがヤンデレであることを。 千照は知らなかった。彼を裏切らないものはとてつもない人格の持ち主であることを。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界異話 天使降臨

yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。 落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。 それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...