転生したら王だった

如月はるな

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剣の稽古をしたら

転生したら王だった

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   今日からアンドルーに剣の稽古をつけて貰う事になった。稽古場は外にある。体育館みたいな大きな建物の中には沢山の武器が置いてあった。剣に、槍、弓矢、斧、盾など。
「すごい数だな」
「お兄様は何を使うの?」
   雨降る中、妹のフィオナも付いてきた。
「やっぱり剣かな」
   俺は数ある剣の中から、日本刀に近い剣を探す。
「これかな」
   スルリと一本取り、握り心地を確かめる。フィオナは甲冑が並べてある棚を見ている。まさか、彼女もやりたいなんて言いださないよな。
「ねえ、お兄・・・!」
   振り向いたフィオナの固まる。そして、兜を手に取ると俺に向かって投げつけて来た。
(えっ?)
   避けた後ろで兜は何かにぶつかった。
「ええ?」
   全身を黒装束の男・・だよな・・が、剣を構えて俺に襲いかかって来た。
(うっそー!)
   フィオナが投げた兜のお陰で、攻撃が一瞬遅れた。俺はどうにかかわすことが出来た。男は無言のまま切り掛かって来た。
(殺す気なのか?)
   俺は手にした剣で応戦する。一応全国大会準優勝、そう簡単にはやられないぞ!
「お兄様!」
「フィオナちゃんは逃げなさい」
  その言葉を聞くとフィオナは雨の外へ飛び出して行った。
「お前、何者だ!」
「・・・」
   答える気はなさそうだ。
   ガキーンガキーンと剣のぶつかり合う音が狭い体育館に響く。
「チッ!」
   簡単に始末出来ると思って当てが外れたのか、撃ち込む剣の攻撃のスピードが上がる。
(クッ、雑だが速い)
   攻撃は雑だが、剣の打ち込んで来るスピードが速い。
   俺は後ろに下がりながら、反撃のチャンスを伺う。早く仕留めようと激しく撃ち込み過ぎたのか、男の息が上がって来たのが分かる。
(よし、チャンスだ)
   俺は相手の剣を絡めて、大きく払った。片手で持っていた男の剣が手を離れ、弧を描いて飛んでいった。振り向きざま袈裟懸けに斬る。
   男はとっさに腕を出し、身をよじる。
「!!」
   右腕の手の甲から手首にかけて血がほとばしる。
「あっ・・・」
   一瞬、顔に巻いていた覆面がほどけそうになるのを男は慌てて押さえる。
「陛下、大丈夫ですか!」
   アンドルーがものすごい勢いで走って来た。その声を聞いて、刺客は剣を拾うと反対側から逃げて行く。
「陛下、お怪我は!」
「あ、うん、大丈夫」
   アンドルーの後からずぶ濡れのフィオナが息を切らして入ってきた。
「フィオナちゃん!   助けを呼びに行ってくれたの?」
「ハア、ハア、ハア、お、お兄様、お怪我・・は、ハア」
「大丈夫だよ。フィオナちゃんこそ、ずぶ濡れじゃないか」
「わ、わ、私は、ハア、ハア、大丈夫・・です」
「フィオナちゃん、ありがとう」
   俺は持っていた剣を捨てて、彼女を抱きしめた。なんていじらしい、妹じゃなければ・・・。
「陛下・・・」
「えっ?  何、アンちゃん」
「陛下は私が来るまでの間、刺客と闘っていらしたのですか?」
「えっ?   そうだけど?」
「剣術の心得があったのですね」
「!!」
   ヤバイ、ヤバイ!  だってやられそうだってからさ。
「それは、ほら、火事場の馬鹿力ってやつさ。それより、フィオナちゃんが風邪引いちゃうからさ、城に戻ろう」
「・・・そうですね」
   アンドルーは剣を拾うと元の場所に戻した。 


「陛下は本当に陛下なのだろうか」
   アンドルーは疑問に思った事を口に出して見た。
「はあぁ?  何だよそれ」
   オードリーは本を棚に返しながら、親友の顔を見た。
「誰かと入れ替わっていると言うのか」
「それは無い」
「何だよ、それ。言ってる事矛盾して無いか」
   あの日、何者かに突き飛ばされ崖から落ちた時、アンドルーは目撃しながら阻止出来なかった。リューク国王は崖から落ち、途中に生えていた木に引っかかり助かった。その時、リュークを部下と引き上げたのも自分だ。その後、回復して目が覚めるまで側にいた。だから、誰かと入れ替わるなんて有り得ない。有り得ないのだが・・・。
「頭を打った人が、その後人格が変わるなんて事は良くある事だ」
   オードリーはアンドルーの前に自慢のお茶を淹れて出した。
「そうだが・・・習った事も無い剣術が使えるのか」
「ああ。刺客に襲われたって?」
「そうだ。かなり手練れだと思うんだ」
「刺客だからな」
「なのに、その刺客相手に陛下は勝ってる」
「まさか!」
「いや、本当だ。刺客は取り落とした剣を拾って逃げて行ったのだから」
   二人は押し黙る。アンドルーはカップに手を伸ばして一口すする。
「見たこと無い構えだった」
  普通剣の構えは片手だ。利き手に剣、余った手でバランスを取るか、防御の為の盾を持つ。しかし、リューク国王は両手で剣を持っていた。そして、ピンと背筋を伸ばし一直線に立っていた。
(初めて見る構えだった)
   それを見てアンドルーは疑問を感じたのだ。あの方は本当に陛下なのだろうか、と。
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