転生したら王だった

如月はるな

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スルツを視察してみたら

転生したら王だった

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   盆の上には色々な種類の飲み物が用意されていた。
「沢山ありますね」
「ワインです」
「ワイン・・・」
   グラスにはワインが注がられ皆んなに配られた。もちろんジュリアにはジュースだ。
   一口飲む。口当たりは良いと思う。
「美味しいですね」
   一番最初に感想を述べたのはフィオナだった。
(へっ、フィオナちゃんて未成年じゃなかったっけ?)
「一番人気がある赤ワインです。こちらはロゼ、そして白ワインです」
   説明されて飲むけど、味の違いがあまり分からない。
「爽やかな味ですね」
「スッキリしていて飲み易い」
「・・・・」
「これはとっておきのワインです」
   最後のワインが注がれた。
「うわー、芳醇な香りですね。味も今までと全然違いますね」
「確かに・・・格別ですね」
「うん」
「・・・・?」
(ごめんなさい。俺は分かりません」
「それは貴腐ワインです」
「貴腐ワイン?」
「はい」
   特別に葡萄の実を枯らせカビを生やすのだと言う。数多くはできないが味も香り格段に違う物になると言う。
「確かにこれは凄く美味しいですね」
   フィオナが目をキラキラさせて感想を言う。
「あのー、フィオナちゃんはまだ未成年だよね」
「何を言っているのですか。私は十七才で、もう成人です。それにお酒は子供の頃から嗜みとして頂いております」
(えー、お酒とタバコは二十歳を過ぎてからでしょう。って、俺が居た日本とは違うか)
「私の領地はこれを生業として参りました。他国に輸出もしております」
「そうですね。これだけの物を作るのは大変な労力が必要になりますね」
   俺以外の三人の感想は、ここのワインは美味いらしい。オードリーなんか、おかわりしてるし。
「大変貴重な物を飲ませて頂いてありがとうございます。今日は泊まらせて頂きたいと嬉しいのですが」
「そんな。こちらこそ泊まって頂けるなんて光栄です」
   食事も頂き、俺達は各々部屋に案内された。一領主の屋敷とは思えない豪華な部屋だった。
「それにしても広い葡萄畑だ」
   部屋の窓から見えるのは葡萄畑だけだった。これだけの広さの畑を没収したらどうなるのか。
(どうするかな)
   本来は領地没収だが、没収したらその後は国が管理する訳だが、これだけの畑維持するのは大変だ。
(サンドイッチでも作ろうかな)


   翌朝、俺は起きると厨房に向かった。現国王が厨房に現れたのだから料理人達は大慌てだ。
「何をお作りになるのですか」
「サンドイッチ」
「サンドイッチ? ですか」
   俺はサンドイッチを作るとバスケットに入れ、出かける用意をする。飲み物としてワインを用意してくれたが、ジュースの方にしてもらった。どうやら俺はワインの味が分からないらしい。
   バスケットを下げて畑に向かう。働く人は朝が早い。葡萄畑では作業が始まっている。
「お兄様」
「えっ?  フィオナちゃん?」
「お兄様が出かける姿を見えたので追いかけて来ました」
(昨夜、ワイン結構飲んでたよな)
   二日酔いには見えない。足元もしっかりしてる。
「はぁ~・・・」
   俺とフィオナちゃんは葡萄畑で作業しているひとたちに挨拶しながら見て廻る。そんな中、作業中の男性が話しかけてきた。
「あんたら、昨日来た国王のお供の人かい?」
「え、ああ、はい、そうです」
「国王はここを没収するのかい?」
「ええと、それはまだ・・・」
「ここを没収したら畑はどうなるんだ?」
「ええと、それもまだ・・・」
   俺達が話していると、他の作業している者も作業を中断して周りに集まって来た。
「ここは俺達が丹精込めて作り上げて来た畑だ。没収したら誰が作業するんだい?」
「それもまだ・・・」
「俺達の領主は国王を殺そうとした悪いやつかも知れないが、国王だって何人も愛人を囲ったり、かなりの浪費家だと聞いてるぞ」
「ああー、それは・・・」
「ここを取り上げられたら俺達はどうすれば良いだ」
「そうよ。国はここを維持していけるのか!」
「浪費家の国王に何が出来る」
   周りの人達は今度は国王批判を始めた。
「言われてますね、お兄様」
   小声でフィオナちゃんが囁いて来た。
「耳が痛いよ」
   ここまでオレの悪評が伝わっているのかと驚く。
「ゴホン。ところで息子のダッド・グレイはどういう人物かな?」 
   俺は話題を変えた。
「ああ、坊ちゃんは良い人だよ」
「そうそう。いつも葡萄の改良とか、どうしたら仕事しやすいか考えてくれてる」
「あの人は農園一筋の人だよ」
   ダッドの評判は良く、領民に慕われてるようだ。
   そこにアンドルーとダッド・グレイが走って来た。
「陛下、こんな所に・・・出かける時は声を掛けて下さい!」
   領民からは批判され、アンドルーからは怒られる。
俺って・・・何なの。
「陛下って・・・あんた国王?」
「はあ、まあ、ハハハ」
   俺の正体を知って、皆んな俺の周りから少し離れた。
「どうしよう、俺、面と向かって悪口言っちゃったよ」 
「俺も・・・」
   俺はダッドに向かい、
「ここは何か名所ってあるの?」
   と、尋ねた。
「そうですね。この先に滝とかありますが」
「滝か。案内してくれる」
「はい。少し歩きますが」
   俺達四人は畑を抜けて、山の方へと向かう。山も綺麗に整備されてる。その奥に高さ三十メートルくらいの滝があった。
「見事な滝だね」
「はい。ここに来ると心が洗われるようです」
「うん」
   何箇所か自慢の場所を見せて貰った。小高い丘に大きな木があり、そこで俺はバスケットを広げた。
「何ですか?」
「サンドイッチです」
   俺の代わりにフィオナちゃんが答えた。
「サンドイッチ?」
   フィオナちゃんに勧めら一口食べる。
「美味しいですね。それに食べやすい」
「でしょう」
   作ったのは俺なんですけど。
   食べながら俺は考えをまとめる。反対もされると思うが俺は俺の思う良い一番の方法を推し進めようと決めた。
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