転生したら王だった

如月はるな

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王妃の首飾り

転生したら王だった

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「えっ?  何これ?」
   帰りの馬車の中には大量のワインのケースが置かれていた。
「あっ、それ、お土産ですって」
   フィオナちゃんは嬉しそうにワインのケースを撫でた。お土産にしては多くないか?
「どうしても持っていって欲しいって。お母様にこのワイン飲ませたくて、ウフフ」
   ウフフって。俺達男三人は顔を見合わせた。
「ほら、お兄様にはジュース頂きましたよ」
「あ、ああ、ありがとう・・・」
「では、出発しましょうか」
「そ、そうだね」
  見送ってくれるダッド一家に手を振り、俺達は城に戻る帰路に着いた。
   広がる葡萄畑がだんだんと遠くなり、ガタゴトと揺られながら今度は城下町が近づいて来たのだろう、建物が増えて来た。
「ほら、お城が見えて来ました」 
  もう日も低い中、城の灯りが見えてきて、本当の家ではないが、不思議と我が家に戻って来たと言う感じがした。
(もう、ここが俺の家なんだな)
   見覚えのある庭を抜けると、正門には大勢のお迎えが・・・多すぎるとは思うが・・・待っていた。
「陛下、お帰りなさい!」
「お帰りなさい!」
   ワラワラと皆んなが集まって来た。
「皆んな、出迎えありがとう!」
「陛下、大変な事が起きました」
「へっ?」
   なんか雲行きが・・・怪しくなって来た。
   必死な顔で訴えて来たのはエリサの様子を見てもらったジーナさんだ。
    まさか、エリサの事がバレた?
「王妃の首飾りが無くなりました」
(へっ?)
「王妃の首飾り?」
「何ですって!」
    素早く反応したのはフィオナちゃんだった。
「首飾りが無くなったて?  盗まれたのですか?」
「分かりません。一昨日確認したら無くなっていて」
   俺達男三人は訳が分からず、ただ立ち尽くしていた。
「なにボーッとしているのですか、お兄様。早く来て下さい!」
「は、はい」
   フィオナちゃんに促されるまま後に着いて行く。

   城の俺の寝室の更に奥に綺麗な部屋が。
「ここは?」
「王妃の間です」
「コーデリアさんの?」
「母は今は王妃ではないので、本来はレイ様が使用される部屋なのですが・・・」
   しかし、普段使用している様子は無いように見える。
「レイ君はここを使用してないのか」
「レイ様は城に住む事を嫌って、裏庭の更に奥ににある林の中にある小さな別荘に寝泊まりしてます」
「そんな場所で・・・不自由してないのかな」
「お食事は運んだいます。迷い込んで来たトラ模様の子猫と住んでおります」
「噂ではたまに林を抜けて街中に出る事もあるようです」
「ふうん」
   王妃の間の頑丈な宝物をしまってある金庫が開けられた。
「この真ん中に王妃の首飾りが入った箱があったのですが、箱ごと無くなっていました」
「首飾りがある事を知っているのは?」
「城にいる者なら皆んな知っていると思います。見た人は少ないかも知れませんが、豪華な事で有名でしたから」
「そんなに有名だったんだ」
「当たり前です。あなたの父である先王が、あなたの母である王妃のために、世界中から選りすぐった宝石であつらえた首飾りなのですから」
    後ろに硬い表情でコーデリアさんが立っていた。
「お母様!」
「コーデリアさん?」
「これは重大な事件です。全く男とはいえ、王妃の身分である者がこの部屋に不在なんて・・・居ればこんな事は起きなかったのに」
(わー、コーデリアさん怒ってる)
「リューク!」
   いきなりコーデリアさんが俺に振り向いて名前を呼んだ。
 呼ばれ慣れていない名前にボケ~っとしていると、 アンドルーに脇を小突かれ気がつく。
「これは王家に対する謀反と同じです。絶対に盗んだ者を捕らえなさい!」
「は、はい!」
   コーデリアさんの気迫に押されて、俺とアンドルーは背筋を伸ばし姿勢を正して返事をした。だって怖いんだよ。
   その表情とは別に娘のフィオナには優しい顔で、
「旅はどうだった」
    と、尋ねている。おい、差別はし過ぎだろう。と、思ったが言える訳もない。
「お母様、お土産がありますの」
「そう。それは楽しみね」
   にこやかに会話しながら出て行った。
「ほぉ~・・」
「緊張しましたね」
   俺とアンドルーは顔を見合わせて、緊張から解き放され安堵のため息を吐いた。
「でもこれからが大変だ。犯人を見つけないと」
「見つけられないと城から追い出されそうですね」
   本当に。どちらが真の城主なのか分からない。
「まずは、聞き取りから始めるのが良いでしょう」
「そうだね」
   アンドルーの意見に賛同する。
「ジーナさん。この部屋に出入りした人達の事分かりますか」
「はい。先週は私と侍従長が確認した時はありましたので、その後確認しに来たのは・・・」
   実に頼りになる人物だ。その後に確認しに来た人物を全て周知しているようだ。
「では、書き出して下さい」
「はい」
   さあ、これからが大仕事。果たして犯人を見つけられるのか?  不安がよぎる。
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