転生したら王だった

如月はるな

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聞き取り

転生したら王だった

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「えーと、先週確認したのがジーナさんと侍従長のレナートさん」
「はい。次の三日後は侍従のシュルツと侍女のミカで、また、三日後は侍女のリゼッドとエルミナでした」
「それまではあった事は確認済みなんだよね」
「はい。それが先日私とシュルツが確認しに出向いた所、首飾りの入った箱だけがなくなっておりました」
   長年勤めて来た勤勉者の侍従長は申し訳なさそうに頭を垂れた。
「そこに首飾りが安置されてることは皆んな知っているんだよね」
「はい」
「でも鍵はかかってた」
「はい。掛かってました。鍵は私が管理してますので」 
   鍵を自由に出来るレナートが一番疑わしいが、王妃となったレイが住まわなくなって随分と過ぎる。今頃になって盗むのも不自然だ。
「確認は何時も二人なんだ」
「はい。一人だと・・・その・・」
「うんうん、分かるよ」
「組む相手は何時も変えてます。同じ二人が親しくなるのもどうかと思いまして・・・」
「レナート、君は素晴らしい。危機管理が出来てる!」
「危機管理・・・ですか?」
「うん、そう。ところでレイ君は何処に住んでるの?」
「レイ様は裏庭の外れにある小さな離宮に」
「離宮?」
「はい。以前は夏場の避暑地として利用してました。池も有りますし、城門を出れば狩り場として森も広がっている自然に囲まれた場所です」
「そこに一人で住んでるの?」
「あ食事は運んでます。たまに一人で作る事もある様です」
「ああ、トラ模様の猫と住んでるようです」
   ジーナさんが新情報を教えてくれた。
「猫か・・・」
「不審者が出入りするとなると裏庭の方が怪しいですね。暗いし、人気も少ない」
「見回りはしていますが、夜の闇に紛れて出入り出来なくもないですし」
   アンドルーとオードリーが口を揃えて裏庭が怪しいと発言した。
「そうだね」
(レイ君か。一度は合ってみたいな)
「ここには使用人って何人くらいいるのかな」
   オードリーとアンドルーが首を傾げる中、レナートが答えた。
「およそ、三千人くらいかと」
「三千人!」
   余りの多さに声を上げてしまった。そんなにいるのか。
「陛下の家族だけては有りません。政務を司る者達や陛下をお守りする兵士達など、後、後宮にお住いのお妃方や、その世話をする者達と、三千人でも足りないくらいです」
「・・・すいません・・・」
(だもんな。財政赤字になる訳だ)
   まあ、俺的には売れる物は何でも売って財政に当てたい気持ちだが・・・。
(そんな事したらコーデリアさん、怒るだろうしな)
   コーデリアの怒った顔を思い出して身震いする。
「裏庭を見てみたいな」
「ご案内します」
   アンドルーが先に立って先導してくれる。こうして歩いてみると大きな城だと感心する。
   裏庭へと続く道は大勢の使用人が出入りしてる。
「結構人居るね」
「そうですね」
   アンドルーもあまり来た事が無いのだろう。大勢の人々に戸惑っているようだ。
「商人も大勢来てるね」
「食料ですね」
   野菜や穀物、肉類など裏門から搬入するそうだ。
   邪魔にならないように俺達は端を歩いて移動する。裏庭には野菜の畑もあった。足りない時の為らしい。高い城壁に囲まれた裏庭には教会もあった。
「結構出入りしてるけど・・・」
「出入りする者には手形が配られてると思います」
   確かに外へ出る門に兵士は立って入るが静かに見送るだけだ。入り口の方は兵士がいちいち手形をチェックする様子が伺える。
「成る程ね」
   俺達は更に奥へ、そこにも別の門があった。どうやらこの奥が離宮があるようだ。
「変わりはないか」
「はい。変わりはありません」
   門兵が敬礼してこたえた。
「中はお入りになるのですか?」
「まあ、ちょっと調べたい事があって」
「お気をつけて下さい」
   門兵は心配気な面持ちで門を開けた。
「?」
   何か気を付けなければならない事があるのかと思ったが、一歩中に踏み入れた途端に不信感は吹き飛んだ。
「うわぁー、綺麗だな」
「本当に凄い」
   花壇から様々な花が咲き誇り、今が季節の果実が実っていた。綺麗に刈り取られた芝の上を歩いていく。程なく壁か途切れ、池が見えてきた。
「かなり、大きな池ですね」
「ボートもある」
   以前はここで魚を釣ったり、水遊びをしたりしていたのだろうか。
「あそこが離宮ですかね」
「そうみたいだね」
   小さいが、豪奢な建物が見えた。煙突からは煙が見える。居るのかも知らない。
   近くに寄って行くと歌声が聞こえてきた。
「レン君かな?」
「さあ、声を聞いた事がございませんので」
「入って見ますか」
   その時に歌声が止み、ドアがいきなり開いた。
「あっ・・・」
   ドアの前には蜂蜜色のフワフワした髪色の小柄な少年が立っていた。
「君が、レイ君?  始めまし・・・!」
   飛んで来たのはキックだった。キックは俺のみぞおちに決まり、次はパンチが俺の顔面を捉えた。
「陛下ーー!」
「大丈夫ですか!」
   ぶっ倒れた俺の前に少年は立ちはだかった。
「どの面下げて来たーーー!」
(どの面って・・・)
「二度とその面、見せるなって言ったはずだ!」
(そうなの?  俺は知らないのだけど)
「レイチェル!」
(レイチェル?)
   奥からグルルと獣の唸り声が・・・?
   目に飛び込んで来たのは・・・虎?
(えっ?   トラ模様の猫って、虎?)
「わぁーーーー!!」
   一番先に悲鳴を上げて逃げ出したのはオードリーだった。続いてアンドルーも。
(えっ?  置いていくの?)
   足の遅いオードリーは簡単にアンドルーに追い抜かれた。その後を獲物を追いかけるがごとく虎が追いかける。
「あああ・・・」
   虎はオードリーに飛びついた。
「オードリー!」
   パタリとオードリーが倒れた。
(死んだかのか、オードリー!)
「レイチェル!」
   虎は名前を呼ばられ、こっちを振り向いたかと思うと、オードリーを咥え、引きずりながら戻って来た。
「オードリー、オードリー!」
   虎はレイ君の前でオードリーを放すと、撫でてくれとばかりに頭をレイ君に差し出した。
「レイチェル。良い子だ、よしよし」
   レイ君は虎の頭をグリグリと撫でている。
「オ、オードリー、だ、大丈夫か?」
   俺はオードリーに近寄り、声をかける。すると、オードリーは涙目で俺を見た。
   良かった、生きてる。
「お尻が痛いです・・・」
「お尻・・・?」
   どうやらお尻を噛まれた様だ。
「あと、背中が・・・グス・・」
   背中は爪で引っ掻かれたのか、三本の引き裂かれた跡がくっきりと残っている。
「良かった、生きてるな」
「レイチェルは人を殺したりしない」
   レイ君がキッと睨んできた。
「あは、あはははは・・・」
「笑い事じゃありませんよ!」 
   オードリーが俺に噛み付いて来た。
   グルルルル。
「静かにして、レイチェルは大きな音が嫌いだから」「は、はい」
   俺はレイ君とレイチェルを見つめた。しかし、痛い出迎えだ。これもオレが元凶か。
   この状況で話し出来るのかな。すこし、いや、大分不安になって来た。
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