15 / 21
聞き取り
転生したら王だった
しおりを挟む
「えーと、先週確認したのがジーナさんと侍従長のレナートさん」
「はい。次の三日後は侍従のシュルツと侍女のミカで、また、三日後は侍女のリゼッドとエルミナでした」
「それまではあった事は確認済みなんだよね」
「はい。それが先日私とシュルツが確認しに出向いた所、首飾りの入った箱だけがなくなっておりました」
長年勤めて来た勤勉者の侍従長は申し訳なさそうに頭を垂れた。
「そこに首飾りが安置されてることは皆んな知っているんだよね」
「はい」
「でも鍵はかかってた」
「はい。掛かってました。鍵は私が管理してますので」
鍵を自由に出来るレナートが一番疑わしいが、王妃となったレイが住まわなくなって随分と過ぎる。今頃になって盗むのも不自然だ。
「確認は何時も二人なんだ」
「はい。一人だと・・・その・・」
「うんうん、分かるよ」
「組む相手は何時も変えてます。同じ二人が親しくなるのもどうかと思いまして・・・」
「レナート、君は素晴らしい。危機管理が出来てる!」
「危機管理・・・ですか?」
「うん、そう。ところでレイ君は何処に住んでるの?」
「レイ様は裏庭の外れにある小さな離宮に」
「離宮?」
「はい。以前は夏場の避暑地として利用してました。池も有りますし、城門を出れば狩り場として森も広がっている自然に囲まれた場所です」
「そこに一人で住んでるの?」
「あ食事は運んでます。たまに一人で作る事もある様です」
「ああ、トラ模様の猫と住んでるようです」
ジーナさんが新情報を教えてくれた。
「猫か・・・」
「不審者が出入りするとなると裏庭の方が怪しいですね。暗いし、人気も少ない」
「見回りはしていますが、夜の闇に紛れて出入り出来なくもないですし」
アンドルーとオードリーが口を揃えて裏庭が怪しいと発言した。
「そうだね」
(レイ君か。一度は合ってみたいな)
「ここには使用人って何人くらいいるのかな」
オードリーとアンドルーが首を傾げる中、レナートが答えた。
「およそ、三千人くらいかと」
「三千人!」
余りの多さに声を上げてしまった。そんなにいるのか。
「陛下の家族だけては有りません。政務を司る者達や陛下をお守りする兵士達など、後、後宮にお住いのお妃方や、その世話をする者達と、三千人でも足りないくらいです」
「・・・すいません・・・」
(だもんな。財政赤字になる訳だ)
まあ、俺的には売れる物は何でも売って財政に当てたい気持ちだが・・・。
(そんな事したらコーデリアさん、怒るだろうしな)
コーデリアの怒った顔を思い出して身震いする。
「裏庭を見てみたいな」
「ご案内します」
アンドルーが先に立って先導してくれる。こうして歩いてみると大きな城だと感心する。
裏庭へと続く道は大勢の使用人が出入りしてる。
「結構人居るね」
「そうですね」
アンドルーもあまり来た事が無いのだろう。大勢の人々に戸惑っているようだ。
「商人も大勢来てるね」
「食料ですね」
野菜や穀物、肉類など裏門から搬入するそうだ。
邪魔にならないように俺達は端を歩いて移動する。裏庭には野菜の畑もあった。足りない時の為らしい。高い城壁に囲まれた裏庭には教会もあった。
「結構出入りしてるけど・・・」
「出入りする者には手形が配られてると思います」
確かに外へ出る門に兵士は立って入るが静かに見送るだけだ。入り口の方は兵士がいちいち手形をチェックする様子が伺える。
「成る程ね」
俺達は更に奥へ、そこにも別の門があった。どうやらこの奥が離宮があるようだ。
「変わりはないか」
「はい。変わりはありません」
門兵が敬礼してこたえた。
「中はお入りになるのですか?」
「まあ、ちょっと調べたい事があって」
「お気をつけて下さい」
門兵は心配気な面持ちで門を開けた。
「?」
何か気を付けなければならない事があるのかと思ったが、一歩中に踏み入れた途端に不信感は吹き飛んだ。
「うわぁー、綺麗だな」
「本当に凄い」
花壇から様々な花が咲き誇り、今が季節の果実が実っていた。綺麗に刈り取られた芝の上を歩いていく。程なく壁か途切れ、池が見えてきた。
「かなり、大きな池ですね」
「ボートもある」
以前はここで魚を釣ったり、水遊びをしたりしていたのだろうか。
「あそこが離宮ですかね」
「そうみたいだね」
小さいが、豪奢な建物が見えた。煙突からは煙が見える。居るのかも知らない。
近くに寄って行くと歌声が聞こえてきた。
「レン君かな?」
「さあ、声を聞いた事がございませんので」
「入って見ますか」
その時に歌声が止み、ドアがいきなり開いた。
「あっ・・・」
ドアの前には蜂蜜色のフワフワした髪色の小柄な少年が立っていた。
「君が、レイ君? 始めまし・・・!」
飛んで来たのはキックだった。キックは俺のみぞおちに決まり、次はパンチが俺の顔面を捉えた。
「陛下ーー!」
「大丈夫ですか!」
ぶっ倒れた俺の前に少年は立ちはだかった。
「どの面下げて来たーーー!」
(どの面って・・・)
「二度とその面、見せるなって言ったはずだ!」
(そうなの? 俺は知らないのだけど)
「レイチェル!」
(レイチェル?)
奥からグルルと獣の唸り声が・・・?
目に飛び込んで来たのは・・・虎?
(えっ? トラ模様の猫って、虎?)
「わぁーーーー!!」
一番先に悲鳴を上げて逃げ出したのはオードリーだった。続いてアンドルーも。
(えっ? 置いていくの?)
足の遅いオードリーは簡単にアンドルーに追い抜かれた。その後を獲物を追いかけるがごとく虎が追いかける。
「あああ・・・」
虎はオードリーに飛びついた。
「オードリー!」
パタリとオードリーが倒れた。
(死んだかのか、オードリー!)
「レイチェル!」
虎は名前を呼ばられ、こっちを振り向いたかと思うと、オードリーを咥え、引きずりながら戻って来た。
「オードリー、オードリー!」
虎はレイ君の前でオードリーを放すと、撫でてくれとばかりに頭をレイ君に差し出した。
「レイチェル。良い子だ、よしよし」
レイ君は虎の頭をグリグリと撫でている。
「オ、オードリー、だ、大丈夫か?」
俺はオードリーに近寄り、声をかける。すると、オードリーは涙目で俺を見た。
良かった、生きてる。
「お尻が痛いです・・・」
「お尻・・・?」
どうやらお尻を噛まれた様だ。
「あと、背中が・・・グス・・」
背中は爪で引っ掻かれたのか、三本の引き裂かれた跡がくっきりと残っている。
「良かった、生きてるな」
「レイチェルは人を殺したりしない」
レイ君がキッと睨んできた。
「あは、あはははは・・・」
「笑い事じゃありませんよ!」
オードリーが俺に噛み付いて来た。
グルルルル。
「静かにして、レイチェルは大きな音が嫌いだから」「は、はい」
俺はレイ君とレイチェルを見つめた。しかし、痛い出迎えだ。これもオレが元凶か。
この状況で話し出来るのかな。すこし、いや、大分不安になって来た。
「はい。次の三日後は侍従のシュルツと侍女のミカで、また、三日後は侍女のリゼッドとエルミナでした」
「それまではあった事は確認済みなんだよね」
「はい。それが先日私とシュルツが確認しに出向いた所、首飾りの入った箱だけがなくなっておりました」
長年勤めて来た勤勉者の侍従長は申し訳なさそうに頭を垂れた。
「そこに首飾りが安置されてることは皆んな知っているんだよね」
「はい」
「でも鍵はかかってた」
「はい。掛かってました。鍵は私が管理してますので」
鍵を自由に出来るレナートが一番疑わしいが、王妃となったレイが住まわなくなって随分と過ぎる。今頃になって盗むのも不自然だ。
「確認は何時も二人なんだ」
「はい。一人だと・・・その・・」
「うんうん、分かるよ」
「組む相手は何時も変えてます。同じ二人が親しくなるのもどうかと思いまして・・・」
「レナート、君は素晴らしい。危機管理が出来てる!」
「危機管理・・・ですか?」
「うん、そう。ところでレイ君は何処に住んでるの?」
「レイ様は裏庭の外れにある小さな離宮に」
「離宮?」
「はい。以前は夏場の避暑地として利用してました。池も有りますし、城門を出れば狩り場として森も広がっている自然に囲まれた場所です」
「そこに一人で住んでるの?」
「あ食事は運んでます。たまに一人で作る事もある様です」
「ああ、トラ模様の猫と住んでるようです」
ジーナさんが新情報を教えてくれた。
「猫か・・・」
「不審者が出入りするとなると裏庭の方が怪しいですね。暗いし、人気も少ない」
「見回りはしていますが、夜の闇に紛れて出入り出来なくもないですし」
アンドルーとオードリーが口を揃えて裏庭が怪しいと発言した。
「そうだね」
(レイ君か。一度は合ってみたいな)
「ここには使用人って何人くらいいるのかな」
オードリーとアンドルーが首を傾げる中、レナートが答えた。
「およそ、三千人くらいかと」
「三千人!」
余りの多さに声を上げてしまった。そんなにいるのか。
「陛下の家族だけては有りません。政務を司る者達や陛下をお守りする兵士達など、後、後宮にお住いのお妃方や、その世話をする者達と、三千人でも足りないくらいです」
「・・・すいません・・・」
(だもんな。財政赤字になる訳だ)
まあ、俺的には売れる物は何でも売って財政に当てたい気持ちだが・・・。
(そんな事したらコーデリアさん、怒るだろうしな)
コーデリアの怒った顔を思い出して身震いする。
「裏庭を見てみたいな」
「ご案内します」
アンドルーが先に立って先導してくれる。こうして歩いてみると大きな城だと感心する。
裏庭へと続く道は大勢の使用人が出入りしてる。
「結構人居るね」
「そうですね」
アンドルーもあまり来た事が無いのだろう。大勢の人々に戸惑っているようだ。
「商人も大勢来てるね」
「食料ですね」
野菜や穀物、肉類など裏門から搬入するそうだ。
邪魔にならないように俺達は端を歩いて移動する。裏庭には野菜の畑もあった。足りない時の為らしい。高い城壁に囲まれた裏庭には教会もあった。
「結構出入りしてるけど・・・」
「出入りする者には手形が配られてると思います」
確かに外へ出る門に兵士は立って入るが静かに見送るだけだ。入り口の方は兵士がいちいち手形をチェックする様子が伺える。
「成る程ね」
俺達は更に奥へ、そこにも別の門があった。どうやらこの奥が離宮があるようだ。
「変わりはないか」
「はい。変わりはありません」
門兵が敬礼してこたえた。
「中はお入りになるのですか?」
「まあ、ちょっと調べたい事があって」
「お気をつけて下さい」
門兵は心配気な面持ちで門を開けた。
「?」
何か気を付けなければならない事があるのかと思ったが、一歩中に踏み入れた途端に不信感は吹き飛んだ。
「うわぁー、綺麗だな」
「本当に凄い」
花壇から様々な花が咲き誇り、今が季節の果実が実っていた。綺麗に刈り取られた芝の上を歩いていく。程なく壁か途切れ、池が見えてきた。
「かなり、大きな池ですね」
「ボートもある」
以前はここで魚を釣ったり、水遊びをしたりしていたのだろうか。
「あそこが離宮ですかね」
「そうみたいだね」
小さいが、豪奢な建物が見えた。煙突からは煙が見える。居るのかも知らない。
近くに寄って行くと歌声が聞こえてきた。
「レン君かな?」
「さあ、声を聞いた事がございませんので」
「入って見ますか」
その時に歌声が止み、ドアがいきなり開いた。
「あっ・・・」
ドアの前には蜂蜜色のフワフワした髪色の小柄な少年が立っていた。
「君が、レイ君? 始めまし・・・!」
飛んで来たのはキックだった。キックは俺のみぞおちに決まり、次はパンチが俺の顔面を捉えた。
「陛下ーー!」
「大丈夫ですか!」
ぶっ倒れた俺の前に少年は立ちはだかった。
「どの面下げて来たーーー!」
(どの面って・・・)
「二度とその面、見せるなって言ったはずだ!」
(そうなの? 俺は知らないのだけど)
「レイチェル!」
(レイチェル?)
奥からグルルと獣の唸り声が・・・?
目に飛び込んで来たのは・・・虎?
(えっ? トラ模様の猫って、虎?)
「わぁーーーー!!」
一番先に悲鳴を上げて逃げ出したのはオードリーだった。続いてアンドルーも。
(えっ? 置いていくの?)
足の遅いオードリーは簡単にアンドルーに追い抜かれた。その後を獲物を追いかけるがごとく虎が追いかける。
「あああ・・・」
虎はオードリーに飛びついた。
「オードリー!」
パタリとオードリーが倒れた。
(死んだかのか、オードリー!)
「レイチェル!」
虎は名前を呼ばられ、こっちを振り向いたかと思うと、オードリーを咥え、引きずりながら戻って来た。
「オードリー、オードリー!」
虎はレイ君の前でオードリーを放すと、撫でてくれとばかりに頭をレイ君に差し出した。
「レイチェル。良い子だ、よしよし」
レイ君は虎の頭をグリグリと撫でている。
「オ、オードリー、だ、大丈夫か?」
俺はオードリーに近寄り、声をかける。すると、オードリーは涙目で俺を見た。
良かった、生きてる。
「お尻が痛いです・・・」
「お尻・・・?」
どうやらお尻を噛まれた様だ。
「あと、背中が・・・グス・・」
背中は爪で引っ掻かれたのか、三本の引き裂かれた跡がくっきりと残っている。
「良かった、生きてるな」
「レイチェルは人を殺したりしない」
レイ君がキッと睨んできた。
「あは、あはははは・・・」
「笑い事じゃありませんよ!」
オードリーが俺に噛み付いて来た。
グルルルル。
「静かにして、レイチェルは大きな音が嫌いだから」「は、はい」
俺はレイ君とレイチェルを見つめた。しかし、痛い出迎えだ。これもオレが元凶か。
この状況で話し出来るのかな。すこし、いや、大分不安になって来た。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ヤンデレ女神と征く開拓スローライフ。
山椒
ファンタジー
両親に、友達に、恋人に、嫁に裏切られ続けた男、神室千照は絶望して自ら命を絶った。
すべてが終わるという安堵感であったが次に目覚めた時には女神が目の前にいた。
千照のことをずっと見ていた女神、アマテラスは千照に異世界転生を提案する。
まだ人生に未練があった千照はそれを受け入れ、二度目の人生を送ることになる。
だが千照は知らなかった。千照にはとてつもない才能が秘められていることを。
千照は知らなかった。アマテラスがヤンデレであることを。
千照は知らなかった。彼を裏切らないものはとてつもない人格の持ち主であることを。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
異世界異話 天使降臨
yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。
落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。
それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる