転生したら王だった

如月はるな

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コーデリア立つ!

転生したら王だった

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「それでね、俺達もその会に参加する事になったんだよ」
 俺はレイ君とチップスを摘みながら話をしている。まあ、俺が一方的に話してるだけなんだけど。俺は誰かに愚痴りたかっただけかも知れない。
「だから、何で俺の所でそんな話しすんだよ」
「いやぁ、誰も俺の話し聞いてくれないから。コーデリアさんなんて今から宝石はどれにしようかなんて・・・俺、宝石なんて持ってないし・・・」
「・・・妃が一杯いるじゃないか。誰かに借りれば」
「う~ん。誰かの所に行くと誤解されかねないからな」
「・・・誤解って?」
「後宮には足運んでないからな」
「目覚めてから一度も?」
「うん。そのせいか今は後宮を去る者もいて大分減ったって言ってたな」
「それで良いのか?」
「えっ、何で?」
 俺的には人数が減ればその分国費が助かると思ったのだが。
「王妃が男なんだから、跡取りが出来ないだろう」
「あっ・・・まぁ、それは後で考えれば良いかなあ」
 ふぅーと、レイ君がため息を吐いた。呆れているのかな?
 その時沖の方から船が近づいて来るのが見えた。ここに通って来て分かった事だが、レイ君には友達が外にいる事だ。時々船に乗って街から漁師のバディさんと孫のキロ君がやって来る。城内に検査も無くやってくるのは本当はまずいのだろうが、バディさんとキロ君は一人で住んでるレイ君を心配してやってくる事が分かった。ので、俺は的には許容範囲なのだが、アンドルーに話したら警備上まずいでしょうと怒られてしまった。でも、人柄を考えると俺は大丈夫だと判断した。勿論、アンドルーには内緒だ。
「バディさん、キロ君、いらっしゃい!」
 俺は船を固定するのを手伝う。
「リュークさん、こんにちは」
 ちなみにバディさんは俺が国王だとは知らない。
「今日も色々お待ちしましたよ」
「ありがとう」
 前回、新鮮な魚を貰ったのでおろしたら、
「生でたべるなんて信じられない」「大丈夫なんですか」「ゲェー」
 と、不審がられたので、結局焼いた。刺身美味しいのだが、魚を生で食べる文化はないようだ、残念。
「立派な金目ですね。貝も沢山ある」
「今日は何を作りますか」
「う~ん、そうだな」
 俺は食材を持って中に入る。その間三人と一匹は外でゆったりと待っている。
「レイチェルにはこれだよ」
 キロ君は持ってきた肉の塊を与える。キロ君とバディさんには懐いている様子だ。レイチェルはグルルと喉を鳴らして肉にかぶりついた。
「そう言えば市中にこんなビラが出回ってるんですよ」
「なにこれ? なになに、『ジュエリー鑑賞会』?」
「バルバス卿が開催する宝石自慢の会ですよ。いつも自分の宝石ばかり自慢しているので、最近では誰も参加したがら無いので、こんな下々の所までこんなビラが・・・。参加出来る程の宝石なんて持ってる訳無いのにね」
「レイさんは宝石持ってないの?」
「持ってないな」
 レイの脳裏に『王妃の首飾り』盗難の事が浮かんだ。
(まさかね)
「お待ち堂さま」
 その時アツアツの鍋を運んで行く。
「あっ、美味しそうな匂いですな。何ですか?」
「金目鯛のアクアパッツァです」
「あ、あく、あくあぱ・・・ですか」
「貝も沢山入れたからいっぱい食べてね」
「わーい、食べよう食べよう」
「はい、レイ君」
 俺はレイ君の器に料理をよそる
「そんなにいらないよ」
「レイ君は痩せすぎだから一杯食べてね」
「僕も一杯食べる」
「そうだね。キロ君も育ち盛りだから沢山食べてね」
「うん。おかわり」
「・・・は、はやいね」
 アクアパッツァが無くなると、その中に俺はバディさんに前回見つけたら欲しいと言っておいた米を入れてリゾットにした。
「美味しい!」
「ほお、米にこんな料理の仕方があるなんて・・・」
(うん、上出来、上出来。ん・・・!)
 俺は地面に落ちていたビラを拾った。
(ジュエリー鑑賞会?)
 主催者の名前を見ると、あのバルバス卿だった。
「このビラはバディさんが?」
「ああ、それですか? ええ、街中に沢山貼られていたので話半分、冷やかし半分で持ってきました」
「へぇ、面白そうですね」
「リュークさんは興味があるんですか?」
「いや、俺じゃなくて・・・」
(皇太后のコーデリアさんですが)
 とは声に出して言えない。

「そぉ、盗んだ宝石の鑑賞会とは・・・片腹痛いわ」
 ビラを見たコーデリアさんの反応はやはり怖かった。
「ではその品評会とやらに皆んなで乗り込みましょう」
「えええーーー!!」
 俺達のどよめき声にコーデリアさんの目がキラリとひかる。有無を言わせない眼光だ。
「あ、あの、お、俺、宝石とか持ってないし・・・」
「わ、私もです」
 俺とオードリーが声を上げる。本当はコーデリアさんの思いに巻き込まれたく無いのだが・・・。
「そこにあるじゃ無い」
「へっ?」
 コーデリアさんは俺の手を指した。そこには大きな指輪が嵌まっている。
「えっ・・・これは」
「それも立派な宝石でしょう?」
「まあ、そう言われればそうですが・・・」
 地味な黒い宝石オニキス・・・だが、その中身は王の判だ。
「まあ、大した物では無いが、宝石に変わりはない」
「・・・はぁ~」
「オードリー」
「は、はい!」
「そなたには、私のコレクションから好きな物を選ぶがよい」
「は、はい・・・」
 結局参加決定の様だ。俺とオードリーは俯きながら顔を見合わせ、そっとため息を吐いた。
「で、でも、王である俺が行かなくても・・・」
「何を言うのです。国の重要な宝石『王妃の首飾り』を盗もうとした大罪人ですよ。直に王が出向き罰を下すのが筋でしょう」
「・・・まぁ、そう・・ですかね」
「メンツは揃いました。皆さん、それまで体調管理怠る事なく」
「・・・・・」
「返事は?」
「は、はい!!」
 俺とオードリーは直立して返事をした。
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