転生したら王だった

如月はるな

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真の犯人は?

転生したら王だった

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 ターナは空になった荷馬車を引いて城を出ると、城に野菜を納入している野菜農場に荷馬車を置くと親方に挨拶するとリゼットの家の方向に急足で歩いて行く。
「こんにちはルディさん」
「おや、アンドルー様、誰かと思いましたよ」
 城に野菜を納める親方であるルディはアンドルーとも顔見知りの間柄だ。
「さっきの人は? いつもは野菜を納めに来るのはハンスでしたよね」
「そうなんですよ、アンドルーさん。じつは十日ほど前になりますか、ハンスが何者かに襲われまして怪我をしたんですよ」
「襲われた? 犯人は?」
「それが夜に背後から突然襲われたそうで、顔は見てない様で」
「それで怪我の方は?」
「腕の打撲なんですが、強くひねられたみたいで荷車を引くのはちょっと・・・」
「そうか。命に別状なくて良かった」
「はい。来週には復帰できそうです」
「そうか。それで先程の男は?」
「はい。人手不足で弱っていたところ、先程の男が働きたいと来まして・・・」
「それでハンスの代理を?」
「お城に届ける仕事ですから、身元がはっきりしない者にはと思っていたら、バルバス卿が身元引き受け人間を申し出てきまして・・・」
「バルバス卿? 誰だその者は?」
「野菜を栽培してるのですが、最近では金の採掘でのしあがったき新興貴族です」
「金・・・」
 親方は奥に行くと布袋に入った金を持ってた。
「これは・・・」
「契約のお礼にと持ってきた金です。かなり純度の高い金です。バルバス卿の持ち山にはかなりの金脈がある様ですよ」
「なるほど。ありがとう、親方」
 アンドルーは親方に礼を述べるとリゼットの家に急ぐ。

 ターナはダイヤを手に入れた喜びを抑えながらもリゼットの家に向かう足は軽い。
(これで褒美も・・・)
 考えると自然と笑みが溢れてしまうのを抑えられない。
「おい、手に入ったぞ」
 ターナは家の中に入ると仲間に大きな声で呼びかける。しかし、返事がない。
「おい、居ないのか?」
 テーブルにズシリと重い宝石を置き、奥へ向かおうとした時ら静かにドアが開いた。
「なんだ、外に居たのか・・・」
 振り向いた時、見知らぬ男の姿に顔色を変える。
「な、なんだ、お前は!」
 慌ててテーブルに置いた宝石を隠す。
「お前の仲間は既に捕まえた」
「な、なに?」
 とっさに危険を察知したのか奥へ逃げ込もうと走るが、奥の部屋にも既にアンドルーの部下が待機していた。
「わ、わあ、わああー」
 死に物ぐらいで逃げ惑うターナを押さえ込むと、懐に隠した宝石を取り出す。
「これを何処に持って行くんだ」
「か、返せ!」
「これがどういう物か知っているか? 下手をすれば死罪はまぬがれないぞ」
「ヒ、ヒィィィーーー!」
 恐怖に引き攣った顔を見せてターナはアンドルーに許しを乞う。
「お、お許し下さい! お、俺は頼まれただけなんです!」
「バルバス卿か」
「!」
 何で知ってるんだとばかりに驚きの表情を露わにする。
「そのためにリゼットの家族を人質に取ったばかりか、傷付けた罪は重いぞ!」
「ヒィーーー!」
 ターナは更に身を小さくすると、土下座をして許しを乞う。
「罪を少しでも償う気持ちがあるのなら、攫った妹の居場所を言え」
「わ、分かりました。お、教えますので、い、命ばかりは・・」
「分かった。素直に吐くんだな」
「は、はい・・・」
 ターナの説明では、妹のリリーは宝石と交換らしい。成功した時は報酬をもらえばリリーは始末するつもりだったと話す。リリーばかりか、リゼットの母親も弟もそうするつもりだったと話す。悪人はどこまでいっても悪人でしか無い。

「随分と時間が掛かったな」
 ターナに連れてこられたのは川近くに建てられた小さな小屋だった。
「それは、なんと言っても『王妃の首飾り』ですから」
「それもそうだな」
 小屋から姿を現したのは何処かの貴族の執事の格好をした初老の男だった。
「で、ダイヤは?」
「はい、ここに・・・」
 ターナは懐から丁寧に包んだダイヤを取り出して見せた。
「おおー、これは素晴らしい!」
 男はダイヤを一目見て感嘆の声を上げた。
「ズシリと重いな」
 手に取るとその感触を確かめる。
「それは百カラットはあろうかと言うダイヤですから」
「そうだったな」
 男はダイヤを再び包み直すと、代わりに金の入った袋をターナに手渡す。
「こ、これはダイヤよりも重いですな」
「当たり前だ。それより後ろの男は誰だ?」
「あ、あー、新しく入った仲間です。腕が立つんで助っ人に・・・」
「そうか。それは心強いな」
「・・・」
 ターナの後ろでフードを目深に被った男はアンドルーだ。リゼットの妹の安全に保護するために仲間のフリをして着いてきたのだ。
「それで人質は・・・」
「奥で寝ている。顔を見られているから後始末はちゃんとしておけよ」
「それは心配には及びません」
 男はその言葉を聞くと足速に去って行った。
 男の姿が見えなくなるのを確認すると、奥に入り眠っているリゼットの妹を抱き抱える。頬に涙の跡が残っている。さぞや不安で眠れぬ日を過ごしたのだろう。
(可哀想に・・・)
「あ、あのぉ・・・人質は無事でしたので・・・」
「勿論、お前の罪は減刑されない」
「そ、そんなぁ・・・」
「お前は何の罪も無い者達を脅かし、怪我をさせた。あろう事か国家の宝物である『王妃の首飾り』を盗もうと企んだ。それは国家の反逆にも等しい。直ぐに処刑されずに済んだ事に感謝しろ」
「・・・」
 ターナは奥に隠れていたアンドルーの部下に捕縛された。


「お疲れだったねアンちゃん」
 アンドルーは事の顛末《てんまつ》を報告していた。
「はい。黒幕はバルバス卿で間違いは無いと思われます」
「何で『王妃の首飾り』を狙ったんだ」
 それは皆んなが思った素朴な疑問だ。
「バルバス卿は金で成り上がってきた成金貴族です。そのバルバス卿には四人の子供がいるのですが、末っ子がようやく出来た娘で目にも入れても痛く無いくらいの可愛がり方だそうです」
「娘か・・・」
「幼い頃から贅沢をさせてきたそうです」
「その娘がなぜ『王妃の首飾り』を?」
「その娘というのが無類の宝石好きで、金にものを言わせて高価な宝石を集めているそうです」
「宝石好きな女子は多いからね」
 俺はチラリとコーデリアさんを見た。
「そうですね。その娘は新しい宝石を手に入れると『お披露目会』と称して親しい者を招待して宝石を自慢していたそうですが、その時に必ずしも話題になるのが『王妃の首飾り』だったそうです」
「なるほど。それで『王妃の首飾り』は特別な物だから見て見たくなったのかな」
「いいえ。そんな皆んなが褒め称える宝石を自分以外の者が持っているのが悔しかったそうです」
「・・・それって・・・」
「はい。皆んなが褒め称える宝石を持つのは自分が相応しいと思ったそうなんです」
「なんて思い上がった娘だ!」
 コーデリアさんが怒りを露わにする。
「そ、それで・・・」
「は、はい。それで宝石を手に入れたので近々『お披露目会』があるのでは無いかと・・・」
「そこに私共も参加しましょう!」
 コーデリアさんが立ち上がった。
「私共も・・・?」
「そうしましょう!」
 俺とアンドルーとオードリーが狼狽える中、フィオナちゃんはコーデリアさんに賛同する声を上げた。
「アンドルー!」
「は、はい!」
「その会がいつ開かれるか直ぐに調査なさい!」
「は、はい! しょ、承知いたしました」
 盛り上がる二人に俺は恐る恐る声をかける。
「あ,あのぉ、その会に俺達も参加を・・・」
「当たり前です。皆んなで乗り込みますよ」
 コーデリアさんの鼻息は荒い。こうなったら誰も止める事は出来ない。俺は頭が痛くなるのを感じた。
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