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錬金術士の弟子になる
友達?/狙われ/狙われれ
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トラジとミィナは朝の食事を済ませ、組合での仕事を終えた。
今は組合を出て市場に向かう途中。
「結局、錬金術の道具の申請する事になるとはなぁ・・・・・・」
「ですね~」
朝食の後、少しだが地下室で使う道具を探したのだが無かった。
正確には道具が特注品ばかりでトラジには使えそうになかったのだ。
ちなみに、昨日エリィに使い魔である事は隠せと言われたので、ミィナの首にはおしゃれな布を巻いている。
ドン!
「きゃっ・・・」
ミィナは小太りな男にぶつかり、バランスを崩して尻餅をついた。
「ぶつかっておいて謝罪もなしか?」
「えっと~、・・・・・・」
ミィナは小太りな男を見上げて、言葉を詰まらせた。
ミィナから見てその顔は強面で怒っているように見えた為だ。要は恐怖したのだ。
「ぶつかっておいてだとっ!お前の方からぶつかった様に見えたぞ!って言葉通じねぇーー!」
トラジは鞄から飛び出し、ミィナの前に出てそう叫んだ。
実際この小太りな男はミィナの後ろから現れた、なら注意すべきは相手の方だろう。
「なんだこの猫は・・・・・・、使い魔かなんかか?」
さっきは咄嗟にああ叫んでしまったが、冷静に考えればここでこの小太りな男と揉めてもいい事はねぇな。
力じゃまず勝てないだろう。暴力に訴えてこられる前に軽く謝ってしまうのがいいか。
「ミィナ落ち着け、俺が付いてる。さっきはああ言ったが、癪だろうがここは軽く謝って終わらせよう」
「は、はい~。その、さっきはぶつかってしまっ――」
「謝る必要は無いよ」
そう言って現れたのは、これまた小太りな男。
ただ、痩せていればイケメンになりそうなツラではある。
「なんだ?お前は?」
「冷静になって周りを見てみるといい」
トラジも言われて気が付いたが、周囲に人だかりが出来始めていた。
耳を澄ませると『ちょっと誰か呼んだ方がいいんじゃない?』『あの子まだ子供じゃない』『市場の方に駐留してる憲兵呼んでくるか?』などと言ってるようだ。
ここは市場に向かう道だ。
当然人通りも多い、何かあればこうなるのも道理であった。小太りな強面男はそれに気が付き、不利なのは自分だと悟ったようだ。
「ちっ」
そう舌打ちをして小太りな強面男は去って行った。
強面男が去ると同時に出来かかってた人だかりも自然と無くなる。
「きみ大丈夫?立てるかい」
小太りな男はミィナに手を差し出した。
「あ、ありが――」
「あーーー!ミィナちゃんどうしたの大丈夫?」
ミィナが小太りな男の手を取ろうとした手を、横から急いで駆け寄ってきた女の子が手を取ってミィナを立たせた。
「あなた、ミィナちゃんに失礼な事してないでしょうね?してたらただじゃ置かないわよ!」
「し、しーちゃん~・・・・・・」
いきなり現れたこの子はミィナの一人しかいない友人である。
「君はその子のお友達かな?大丈夫私は何もしてないよ」
女の子はその言葉を信じる気はないのか、警戒したまま名乗りをあげた。
「本当でしょうね!?何かあったらこの私、エリュシー・アット・クリクラウスが許さないんだからね!」
「アット・クリクラウス・・・・・・。なるほど。お友達も来た様だし私はこれで失礼するよ」
小太りな男はしーちゃんの事を知っていたようなそぶりを見せて、すんなり引き下がり去っていく。
「ミィナ。一応助けてくれたんだ、あの男にちゃんとありがとうって言っておくべきだぞ」
「は、はい~!誰か知らないけどありがとうございました!」
小太りな男は立ち止まる事はせず、こちらを見て軽く手を振ってくれた。
「あんな男に礼なんて言う必要ないわよ?」
「ん?あの男知ってるのか?」
「なに?この猫・・・・・・」
「えっと~、あの男の人を知ってるのか?だって」
「知るわけ無いじゃない。でも、どうせいやらしい事考えたに違いないわ。ところで、その猫はもしかして使い魔なの?」
「違いますよ~、使い魔は私のほうで――」
「ミィナ!!エリィに注意されたろうが!」
「えっ、何?どゆうこと!?」
エリュシーなる女の子はありえない事を聞いて明らかに動揺した。
「えっと~・・・・・・、間違えました。こ、この猫が私の使い魔なんです!」
そう言って、ミィナはトラジを抱え上げて改めて見せた。
「そ、そうよね。びっくりしたわ。危うくその猫の暗殺をしようかと思ったじゃない」
「おい!!俺の方が超ビックリなんだけど!!!」
「しーちゃんは~、相変わらず冗談が過激だよね」
「冗談?まぁ、いいわ」
「よくねぇ!!」
まるで冗談を言った覚えが無いような発言にトラジは冷や汗を掻く。
うん。わかった、コイツまじだ。
まじヤベェやつだ。
俺にとってまじ危険人物だ!
「これで、ミィナちゃんも晴れて錬金術士の道の一歩目に進めたのね。もし、駄目なら私の専属のメイドとして雇ってもいいんだからね?」
「でも~、私じゃ力不足だと思うんだけど・・・・・・」
「大ジョブ!ミィナちゃんがあのメイド服着て傍に居てくれるだけで百人力よ!むしろ何もしなくていいわ!!ハァハァ・・・・・・」
あのメイド服お前の差し金だったんかい!
なんで持ってるのか不思議だったんだよな、そのせいで・・・・・・、ゲフンゲフン!
そんでもってミィナにとってもヤベェやつだ!
「そう言えば~、あっくんは連れてきてないの?」
「私こっちに戻ってきたばかりなんだけど、帰りの馬車の中で酷く酔っちゃってね。今頃家で寝込んでると思う」
「たしか~、両親の所に行ってたんだっけ?」
「そうなの。急に命の水が大量に必要になったからって言いだして、私が直接持っていく事になって大変だったわ」
あー、これ話が長くなる奴だ。
女子は話がなげーからなぁ、タイミングを見計らって終わらせないと課題の材料揃えられないかもしれん。
「ミィ――」
「それにしても、ミィナちゃんも猫を使い魔にするなんて。運命を感じるわね。赤い糸で結ばれてるのかもしれないわ(ミィナとしーちゃん)」
「そうですね~、これは運命なのかもしれない(ミィナとトラジ)。と思いました」
オイィ!言おうとしたら遮られたんだけど!!
トラジはミィナの腕の中で手足をバタつかせ自分の存在をアピールした。
「ご――」
「トラジな!」
「えっと~、トラジ、さん・・・・・・?」
「いきなりどうしたのよ?その猫」
使い魔なら呼び捨てが普通だと思うんだが、まぁいいか。
「試験の材料を買いに行く途中なのを、忘れてないか?」
「そ、そうでした~!しーちゃんごめんね。私、試験で使う材料を買いに行く途中だったの忘れてて・・・・・・」
「なるほど。なら先輩としていい所を教えてあげるわ。あと、錬金術士になれなくても大丈夫だからね!私の専属メイドのポジションがいつでもあなたを待っているわ!!むしろ今すぐにでも!」
「ほんとに~、しーちゃんは優しいよね」
ミィナよ・・・・・・、それは優しさじゃない。
それは欲望だ!
俺とミィナは市場とは違う所にある家の前に来た。
立て札も看板もない。
ボロくはないが古風な感じのする少し大きい家、そうだな家の前にシーサーが居そうな家と言えばイメージしやすいだろうか?そんな感じだ。
しーちゃんが言うには、ここは錬金術士のための専用の店らしい。
「いらっしゃい。ってなんだ子供じゃねぇか。うちは子供が来る様なとこじゃねぇ、帰んな」
「なんだ?いきなり失礼なバーコードハゲは・・・・・・」
「え、えっと~、私達は錬金術士の候補生でして・・・・・・」
おお、あのミィナが自分から引かずに話を続けている。
成長したなぁ。ほろり。
単に今日あった強面男よりマシだっただけかもしれんが、成長は成長だ。
「もうお父さん!ダメでしょ!トーマスさんが言ってたじゃないですか、候補生が世話になるかもしれないから宜しくって」
「あのはっはー!はっはー!うるせぇやつの事なんざ忘れたよ!もう少し落ち着いてから出直して来いってんだ!」
「そこは、俺も同意見だな」
「そこの子供も、ここにはいねぇがあの生意気なクリクラ娘もお前に任せた!俺は倉庫整理でもしくらぁ」
そう言ってバーコード親父は店の奥に姿を消した。
「ごめんなさい。私のお父さんの非礼をお詫びします」
「それはいいとして、トーマスもよく来るのか?ミィナ通訳」
「は、はい~。こちらは気にしてないので大丈夫です。それよりトーマスさん、ココによく来るんですか?」
「錬金術士専門の店は、この町ではうちだけですから。トーマスさんから試験の話も聞いてますよ。頑張ってくださいね」
「その試験に必要なのでクエドルの卵とサルバトスの樹液とサニーフラワー百式の種をください」
「ごめんなさい。サニーフラワー百式の種はいま在庫が無いんです」
「えっと~、どこか売っている所を知りませんか?」
「そのですね?これは内緒の話なんですけど、多分どこにも売られては無いと思います。実はトーマスさんが・・・・・・」
この店の娘が言うには、試験の一環としてトーマスが町中の店にサニーフラワーの種をしばらくの間売らないように言って回ったらしい。在庫が無いのも嘘なんだと。
これはようするにアレだな。
「採集クエスト。自分達で採集しろって事か・・・・・・」
「な、なるほど~、どこに行けば手に入りますか?」
サニーフラワー百式は割りとどこにでもある植物で、この時期なら川沿いを探せばすぐ見つかるらしい。
オレンジ色の花で、受粉し種になると百はあろうかと言うほどの種ができ、種に綿毛を生やし風に乗って散る。まるでタンポポに似た花である。
大きな違いは茎の長さだろう、その長さは1mにもなる。
とある人通りの無い裏路地。
そこで、ミィナにぶつかった小太りな強面男とミィナを助けに入った小太りな男が居た。
「言う通りにわざとぶつかってやったんだ。報酬はきっちり貰うぜ?」
「ああ、勿論だとも。俺は約束は守るさ、どうぞ約束の金だよ」
小太りな男は金の入った袋を見せた。
「へへへっ。ちょっと、ぶつかるだけで金貨が貰えるなんてな。ラッキーだぜ!」
強面男は顔をにやつかせながらお金を受け取ろうと手を伸ばした。
「がはっ・・・・・・」
だが、その手は目の前のお金の入った袋に届く事はなかった。
代わりに小太りな強面男の胸からは細身の剣の刀身が伸びていた。
「俺は約束は守るが、死んだのなら渡せないじゃないか。ま、渡せないなら仕方ないよな?」
小太りな男はわざとらしくそう言って、金の入った袋から金貨を数枚取り出してから懐にしまった。
「それで噂の方はどうでしたかな?」
小太りな強面男が膝から崩れ落ちた。
その後ろから現れたのは執事風の使用人だった。
「ああ、わざわざぶつかって貰った甲斐はあったな。横からじゃ見えなかったが、上からチラッと見えたぜ。首に使い魔の模様がよ」
「でしたら、そのまま人のいない所まで強引にでも連れてくればよろしかったのでは?」
「いや、ちょっとめんどくさい奴の邪魔が入ってな。クリクラウスの一人娘だ・・・・・・」
「その方が何か?」
「ま、お前は知らないか。貴族だよ。首都に本邸があって貴族としての格じゃ俺のとこよか上だ。下手に手を出せば、国中から追われる事になるだろうな」
「では、諦めますか?」
「ばっかだなぁ。その必要はねぇよ。あくまでも貴族としての力があるのは親の方だ。娘が巻き込まれでもしない限りは、平民の娘なんかに本腰を入れるこたぁぜってーねぇ。娘がどれだけ騒ごうがそれ止まりだ怖かねぇ」
小太りな男は使用人に取り出した金貨を放る。
「計画に支障はねぇ。主気取りの猫を殺して、その使い魔を攫うぞ!」
今は組合を出て市場に向かう途中。
「結局、錬金術の道具の申請する事になるとはなぁ・・・・・・」
「ですね~」
朝食の後、少しだが地下室で使う道具を探したのだが無かった。
正確には道具が特注品ばかりでトラジには使えそうになかったのだ。
ちなみに、昨日エリィに使い魔である事は隠せと言われたので、ミィナの首にはおしゃれな布を巻いている。
ドン!
「きゃっ・・・」
ミィナは小太りな男にぶつかり、バランスを崩して尻餅をついた。
「ぶつかっておいて謝罪もなしか?」
「えっと~、・・・・・・」
ミィナは小太りな男を見上げて、言葉を詰まらせた。
ミィナから見てその顔は強面で怒っているように見えた為だ。要は恐怖したのだ。
「ぶつかっておいてだとっ!お前の方からぶつかった様に見えたぞ!って言葉通じねぇーー!」
トラジは鞄から飛び出し、ミィナの前に出てそう叫んだ。
実際この小太りな男はミィナの後ろから現れた、なら注意すべきは相手の方だろう。
「なんだこの猫は・・・・・・、使い魔かなんかか?」
さっきは咄嗟にああ叫んでしまったが、冷静に考えればここでこの小太りな男と揉めてもいい事はねぇな。
力じゃまず勝てないだろう。暴力に訴えてこられる前に軽く謝ってしまうのがいいか。
「ミィナ落ち着け、俺が付いてる。さっきはああ言ったが、癪だろうがここは軽く謝って終わらせよう」
「は、はい~。その、さっきはぶつかってしまっ――」
「謝る必要は無いよ」
そう言って現れたのは、これまた小太りな男。
ただ、痩せていればイケメンになりそうなツラではある。
「なんだ?お前は?」
「冷静になって周りを見てみるといい」
トラジも言われて気が付いたが、周囲に人だかりが出来始めていた。
耳を澄ませると『ちょっと誰か呼んだ方がいいんじゃない?』『あの子まだ子供じゃない』『市場の方に駐留してる憲兵呼んでくるか?』などと言ってるようだ。
ここは市場に向かう道だ。
当然人通りも多い、何かあればこうなるのも道理であった。小太りな強面男はそれに気が付き、不利なのは自分だと悟ったようだ。
「ちっ」
そう舌打ちをして小太りな強面男は去って行った。
強面男が去ると同時に出来かかってた人だかりも自然と無くなる。
「きみ大丈夫?立てるかい」
小太りな男はミィナに手を差し出した。
「あ、ありが――」
「あーーー!ミィナちゃんどうしたの大丈夫?」
ミィナが小太りな男の手を取ろうとした手を、横から急いで駆け寄ってきた女の子が手を取ってミィナを立たせた。
「あなた、ミィナちゃんに失礼な事してないでしょうね?してたらただじゃ置かないわよ!」
「し、しーちゃん~・・・・・・」
いきなり現れたこの子はミィナの一人しかいない友人である。
「君はその子のお友達かな?大丈夫私は何もしてないよ」
女の子はその言葉を信じる気はないのか、警戒したまま名乗りをあげた。
「本当でしょうね!?何かあったらこの私、エリュシー・アット・クリクラウスが許さないんだからね!」
「アット・クリクラウス・・・・・・。なるほど。お友達も来た様だし私はこれで失礼するよ」
小太りな男はしーちゃんの事を知っていたようなそぶりを見せて、すんなり引き下がり去っていく。
「ミィナ。一応助けてくれたんだ、あの男にちゃんとありがとうって言っておくべきだぞ」
「は、はい~!誰か知らないけどありがとうございました!」
小太りな男は立ち止まる事はせず、こちらを見て軽く手を振ってくれた。
「あんな男に礼なんて言う必要ないわよ?」
「ん?あの男知ってるのか?」
「なに?この猫・・・・・・」
「えっと~、あの男の人を知ってるのか?だって」
「知るわけ無いじゃない。でも、どうせいやらしい事考えたに違いないわ。ところで、その猫はもしかして使い魔なの?」
「違いますよ~、使い魔は私のほうで――」
「ミィナ!!エリィに注意されたろうが!」
「えっ、何?どゆうこと!?」
エリュシーなる女の子はありえない事を聞いて明らかに動揺した。
「えっと~・・・・・・、間違えました。こ、この猫が私の使い魔なんです!」
そう言って、ミィナはトラジを抱え上げて改めて見せた。
「そ、そうよね。びっくりしたわ。危うくその猫の暗殺をしようかと思ったじゃない」
「おい!!俺の方が超ビックリなんだけど!!!」
「しーちゃんは~、相変わらず冗談が過激だよね」
「冗談?まぁ、いいわ」
「よくねぇ!!」
まるで冗談を言った覚えが無いような発言にトラジは冷や汗を掻く。
うん。わかった、コイツまじだ。
まじヤベェやつだ。
俺にとってまじ危険人物だ!
「これで、ミィナちゃんも晴れて錬金術士の道の一歩目に進めたのね。もし、駄目なら私の専属のメイドとして雇ってもいいんだからね?」
「でも~、私じゃ力不足だと思うんだけど・・・・・・」
「大ジョブ!ミィナちゃんがあのメイド服着て傍に居てくれるだけで百人力よ!むしろ何もしなくていいわ!!ハァハァ・・・・・・」
あのメイド服お前の差し金だったんかい!
なんで持ってるのか不思議だったんだよな、そのせいで・・・・・・、ゲフンゲフン!
そんでもってミィナにとってもヤベェやつだ!
「そう言えば~、あっくんは連れてきてないの?」
「私こっちに戻ってきたばかりなんだけど、帰りの馬車の中で酷く酔っちゃってね。今頃家で寝込んでると思う」
「たしか~、両親の所に行ってたんだっけ?」
「そうなの。急に命の水が大量に必要になったからって言いだして、私が直接持っていく事になって大変だったわ」
あー、これ話が長くなる奴だ。
女子は話がなげーからなぁ、タイミングを見計らって終わらせないと課題の材料揃えられないかもしれん。
「ミィ――」
「それにしても、ミィナちゃんも猫を使い魔にするなんて。運命を感じるわね。赤い糸で結ばれてるのかもしれないわ(ミィナとしーちゃん)」
「そうですね~、これは運命なのかもしれない(ミィナとトラジ)。と思いました」
オイィ!言おうとしたら遮られたんだけど!!
トラジはミィナの腕の中で手足をバタつかせ自分の存在をアピールした。
「ご――」
「トラジな!」
「えっと~、トラジ、さん・・・・・・?」
「いきなりどうしたのよ?その猫」
使い魔なら呼び捨てが普通だと思うんだが、まぁいいか。
「試験の材料を買いに行く途中なのを、忘れてないか?」
「そ、そうでした~!しーちゃんごめんね。私、試験で使う材料を買いに行く途中だったの忘れてて・・・・・・」
「なるほど。なら先輩としていい所を教えてあげるわ。あと、錬金術士になれなくても大丈夫だからね!私の専属メイドのポジションがいつでもあなたを待っているわ!!むしろ今すぐにでも!」
「ほんとに~、しーちゃんは優しいよね」
ミィナよ・・・・・・、それは優しさじゃない。
それは欲望だ!
俺とミィナは市場とは違う所にある家の前に来た。
立て札も看板もない。
ボロくはないが古風な感じのする少し大きい家、そうだな家の前にシーサーが居そうな家と言えばイメージしやすいだろうか?そんな感じだ。
しーちゃんが言うには、ここは錬金術士のための専用の店らしい。
「いらっしゃい。ってなんだ子供じゃねぇか。うちは子供が来る様なとこじゃねぇ、帰んな」
「なんだ?いきなり失礼なバーコードハゲは・・・・・・」
「え、えっと~、私達は錬金術士の候補生でして・・・・・・」
おお、あのミィナが自分から引かずに話を続けている。
成長したなぁ。ほろり。
単に今日あった強面男よりマシだっただけかもしれんが、成長は成長だ。
「もうお父さん!ダメでしょ!トーマスさんが言ってたじゃないですか、候補生が世話になるかもしれないから宜しくって」
「あのはっはー!はっはー!うるせぇやつの事なんざ忘れたよ!もう少し落ち着いてから出直して来いってんだ!」
「そこは、俺も同意見だな」
「そこの子供も、ここにはいねぇがあの生意気なクリクラ娘もお前に任せた!俺は倉庫整理でもしくらぁ」
そう言ってバーコード親父は店の奥に姿を消した。
「ごめんなさい。私のお父さんの非礼をお詫びします」
「それはいいとして、トーマスもよく来るのか?ミィナ通訳」
「は、はい~。こちらは気にしてないので大丈夫です。それよりトーマスさん、ココによく来るんですか?」
「錬金術士専門の店は、この町ではうちだけですから。トーマスさんから試験の話も聞いてますよ。頑張ってくださいね」
「その試験に必要なのでクエドルの卵とサルバトスの樹液とサニーフラワー百式の種をください」
「ごめんなさい。サニーフラワー百式の種はいま在庫が無いんです」
「えっと~、どこか売っている所を知りませんか?」
「そのですね?これは内緒の話なんですけど、多分どこにも売られては無いと思います。実はトーマスさんが・・・・・・」
この店の娘が言うには、試験の一環としてトーマスが町中の店にサニーフラワーの種をしばらくの間売らないように言って回ったらしい。在庫が無いのも嘘なんだと。
これはようするにアレだな。
「採集クエスト。自分達で採集しろって事か・・・・・・」
「な、なるほど~、どこに行けば手に入りますか?」
サニーフラワー百式は割りとどこにでもある植物で、この時期なら川沿いを探せばすぐ見つかるらしい。
オレンジ色の花で、受粉し種になると百はあろうかと言うほどの種ができ、種に綿毛を生やし風に乗って散る。まるでタンポポに似た花である。
大きな違いは茎の長さだろう、その長さは1mにもなる。
とある人通りの無い裏路地。
そこで、ミィナにぶつかった小太りな強面男とミィナを助けに入った小太りな男が居た。
「言う通りにわざとぶつかってやったんだ。報酬はきっちり貰うぜ?」
「ああ、勿論だとも。俺は約束は守るさ、どうぞ約束の金だよ」
小太りな男は金の入った袋を見せた。
「へへへっ。ちょっと、ぶつかるだけで金貨が貰えるなんてな。ラッキーだぜ!」
強面男は顔をにやつかせながらお金を受け取ろうと手を伸ばした。
「がはっ・・・・・・」
だが、その手は目の前のお金の入った袋に届く事はなかった。
代わりに小太りな強面男の胸からは細身の剣の刀身が伸びていた。
「俺は約束は守るが、死んだのなら渡せないじゃないか。ま、渡せないなら仕方ないよな?」
小太りな男はわざとらしくそう言って、金の入った袋から金貨を数枚取り出してから懐にしまった。
「それで噂の方はどうでしたかな?」
小太りな強面男が膝から崩れ落ちた。
その後ろから現れたのは執事風の使用人だった。
「ああ、わざわざぶつかって貰った甲斐はあったな。横からじゃ見えなかったが、上からチラッと見えたぜ。首に使い魔の模様がよ」
「でしたら、そのまま人のいない所まで強引にでも連れてくればよろしかったのでは?」
「いや、ちょっとめんどくさい奴の邪魔が入ってな。クリクラウスの一人娘だ・・・・・・」
「その方が何か?」
「ま、お前は知らないか。貴族だよ。首都に本邸があって貴族としての格じゃ俺のとこよか上だ。下手に手を出せば、国中から追われる事になるだろうな」
「では、諦めますか?」
「ばっかだなぁ。その必要はねぇよ。あくまでも貴族としての力があるのは親の方だ。娘が巻き込まれでもしない限りは、平民の娘なんかに本腰を入れるこたぁぜってーねぇ。娘がどれだけ騒ごうがそれ止まりだ怖かねぇ」
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