きのまま錬金!1から錬金術士めざします!

ワイムムワイ

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クエストを請ける

弟子/クエスト/練成

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 試験を終えて無事にエリィの弟子となったトラジとミィナは、早速エリィの元に向かった。

「さてあんたらは、正式に私の弟子になっちまった訳だが何か知りたい事はあるかい?」
「弟子になったつっても具体的に今までと何か違いはあるのか?ミィナ頼む」
「えっと~、ご主人様が今までと何か違いはあるか?と言ってます」
「はぁ・・・・・・。弟子から説明しないといけないのかい。めんどくさいねぇ」
「お前が知りたい事聞いてきたんだろが!」
「で、ですね~・・・・・・」

 そこへ黒猫がやってくる。

「お、いい所に来たさね!黒猫あとは任せたよ!」
「えっと、何がですか?ご主人様」
「弟子についての説明!私はこれから仕事があるさね」
「仕事?ご主人様が・・・・・・?」

 黒猫は疑わしい目でエリィを見やる。

「お酒を飲む事は私の日課であり、もはや仕事さね!!」
「そんなわけないでしょーーーー!」
「黒猫あとは頼んだよーー」
「あ!ご主人様待ちなさーーーい!」

 後は任せたといわんばかりに振り返ることも返事をする事も無く去って・・・・・・もとい逃げていった。

「もう・・・・・・。ほんとにお酒に関してはどうしようもない人なんだから!」

 黒猫は主人の失態について少し申し訳なさそうにしながら弟子について説明してくれた。
 弟子になると難易度の低い物であれば組合にあるクエストを請ける事ができるのと、組合の資料室で調べ物等が出来るようになるそうだ。
 だが、クエストを依頼した人にとっては実績のないヒヨっ子に任せたくも無いだろう。実際組合が出来たばかりの頃はその手の苦情もあった。
 それを許容して貰う為の保証として『何かトラブルが起きたりして、クエストが実行不可能に陥ると師である錬金術士が責任を持って処理する』そういうシステムになっていた。
 あと、組合等を介さない依頼も請ける事を許可はされてるらしいが、何があっても自己責任扱いなためにその際は、相手にしっかりヒヨっ子である事と失敗する恐れがある事を念を押して説明する事が義務化されている。

「こんな所かしらね。自分の能力をちゃんと考えてクエスト請けるようにね。と、本来なら言うところなのだけど・・・・・・」

 この時トラジは黒猫から黒いオーラみたいなのが見えた気がした。

「怖がる事はないわ。バンバン請けなさい!むしろ失敗して、あの酒好きの怠けまくりのご主人様を働かせまくってやっていいくらいよ!」
「お、おう・・・・・・」
「まぁ、そんな訳だから後の事は私とご主人様に任せていいわ。その代わり、たくさん学んで自分達の糧にしていくようにね。あ、あと・・・・・・」
「ん?」

 黒猫が少し恥ずかしそうに少し顔を逸らして言った。

「ご、ご主人様があんな感じだから、そのー・・・・・・。質問があれば、わ、私の所にいつでも来ていいんだからね!」

 黒猫はそういうと走り去って行った。

「黒猫のやつなんか態度が前と少し変わったよな・・・・・・。どうしたんだろうなぁ?」
「黒猫さん~、たいへんそうですねー」
「そうだな。エリィが主人だしなー」

 ミィナは違う意味で言ったのだが、あえてそれ以上は何も言わなかった。
 トラジとミィナは組合のクエストの紙が貼られた掲示板を見ていく。



 保存液60リットル求む1リットルからでも可。よく眠れるようになる薬が欲しい。オイコーラの素100杯分よろしく。光玉各種を沢山求む。スライム討伐5匹。スライム討伐10匹。スライムの生息域の調査の同行者求む。スライム避けのアイテムの依頼・・・・・・。等があった。

  おっし!ちゃんと読めるぞ!!
  まだ書く方はこの体だし練習がいるが、読みはもう大丈夫だな。

 この世界の文字はひらがなに似ていて使い方もほぼ一緒だった。なので、ひらがなの次にカタカナを覚えるような物でトラジは早く覚える事ができたのだ。

「なんかスライム関連が多くないか?」
「ですね~。ちょっと受付の人に聞いてみましょう」
「おう頼む」

 ミィナは受付をしていた女性職員にスライムの依頼について聞いた。

「それはですね。最近スライムの目撃情報が増えてきてまして、増えすぎるとたいへんなので冒険者ギルドはもちろん組合の方でも討伐の依頼を出してるんですよ。ただのスライムであればとても弱い魔道生物ですから」
「魔道生物って何か聞いてみてくれ」
「えっと~、魔道生物ってなんですか?」
「魔道生物っていうのはですね。その起源が錬金術によって生み出されたとされる生き物・・・・・・いえ、違いますね。魔獣の総称です。とりわけスライムは作り出すのも非常に容易で、そのためか自然発生もしてしまうようなのです。自然発生の理由はまだ解明はされてはいないんですけどね」
「一応、増えすぎるとたいへんな理由も聞いてみてくれ」
「は、はい~。増えすぎた場合って何が大変なんですか?」
「スライムは時間さえかければどんな環境にも適応できるとされてまして、適応する過程で特別な能力を得る場合が多いのです。中には攻撃的で危険な毒を操る個体や、草木を見境無く食べて森を更地にするとか、厄介なのもいるんですよ。あなた達はお弟子さんですよね?なのでスライムとはいえ討伐クエストは請ける事はできませんよ。採集等で町の外へいく場合も注意してくださいね」

  元からやるつもりはないとはいえ、正式な錬金術士ではない子供だもんなぁ。
  ま、当然だわな。

「そうだな、この良く眠れる薬のやつを請けてみるか」
「了解です~。ごしゅ――」
「ミィナ!トラジな!」
「あはは~・・・・・・。そうでした、トラジさん」

 俺とミィナは早速黒猫の元に向かった。薬の作り方と融合液をどうにかする為だ。

「早速請けたのね。怠け者のご主人様にも見習って欲しいわね。融合液の方は後でミィナさんの家に届くようにしておくわ。けど、残念だけどレシピの方は知らないわね」
「えっと~、どうすればいいんですか?」
「すでにレシピとして確立されてる物の一部は、錬金術士やその弟子達にも公開されてるの。組合の資料室で調べるといいわ。それで無ければ、自分の手で生み出すしかないわね」

  自分の手で未知の物を作るとかワクワクするな!

「いいなそれ!未知の物が出来ると名前付けれたり、特別報酬が貰えたりすんだろ?」
「報酬は出るけど、名前は付けれないわね。偶然できた一点物なら好きに付けてもいいのだけど、レシピとして確立した物を登録となると組合がキッチリ鑑定した上で付ける事になるわ。変な名前や他の物と類似したのが多くなると、他の人が困るかららしいわ」
「なるほどな」

 トラジとミィナは組合の資料室で睡眠薬のレシピを探した。
 思ったよりも種類があって驚いた。

「まず、作り方は大まかにわけて2つ。直接調合で作るか、何かの液体に睡眠効果のある付与を施すか。さらに、薬も直接飲む物と香料・・・・・・、香りで眠らせる物の2つ。速効性か遅効性かで2つ。薬ではないが枕や布団型の魔道具なんてものもあるな」
「トラジさん~、どうしましょうか?」
「絞込みは任せろ!そう難しくないしな」
「そうなんですか~?」
「おう!まずは、夜眠る為のものだと思うからゆっくり寝れる遅効性でいこう。付与か調合かだが、付与は物理的に今の俺たちじゃ出来ないだろうな。魔力のコントロールも必須だろうし」
「が、頑張ります・・・・・・」
「あとは、飲むか香りかだが材料費的に飲み薬一択だな。予想だが香りの方が寝心地はよさそうだけどな。あと、こっちの本はもう必要ないから戻してきてくれ」
「なるほど~。了解です!」

 調べ終えたトラジとミィナは、以前しーちゃんにオススメされたバーコード親父の店に行った。

「いらっしゃーい!ああ!確かミィナさんでしたね!大丈夫でしたか?もう聞きましたよ、あのアルマゲイドの残党に襲われたとか」
「は、はい大丈夫です~。あの、その話ってそんなに広まってるんですか?」
「勿論ですよ。アルマゲイドは世界の敵。とりわけ錬金術士にとって因縁深いですし、うちはその錬金術士相手の店ですからね。それに、あの酒飲みエリィさんの弟子になったそうじゃないですか」
「はい~、確かにエリィさんの弟子になりました」

  弟子になった話ももう知られてるのか。
  情報早っ!!

「チッ!そこのちびっ子」
「な、なんでしょう・・・・・・」
「前はすまなかったな・・・・・・。侘びだ今日はサービスしてやる!ワカバ!そういう訳だ良くしてやんな!」

 そう言うとバーコード親父は店の奥に引っ込んで行った。
 その様子を面白そうに笑いながらワカバは見ていた。

「お父さんね。アルマゲイドに襲われた件で、ミィナさんの事知ってすごく申し訳なさそうにしてたのよ。両親を亡くして親戚もいない状態で一人錬金術士目指してる事知ってね。まぁ、これはついでだけどうちのお父さんね?エリィさんのファンらしいの、なんでかは知らないけどね」

  エリィのファンねぇ。
  あの酒の飲みっぷりに惚れたとかならあるのか?
  ほんとよく分からんなエリィは・・・・・・。

「で、今日は何をお探しですか?お父さんがああ言ってたし色々サービスしますよ!」
「子守の草と静菜草とマンドラゴラの葉があればお願いします」
「ふむふむ。いいでしょう!おおまけにまけて半額の50%オ――」
「そんなよくある素材じゃ儲けにもならねェ!タダでくれてやりな!」

 奥から聞き耳でも立ててたのかバーコード親父がそう叫んだ。

「ええっ!!お父さんいいんですか!?」
「男に二言はねぇ!」
「ははは・・・・・・。流石に私も驚きだけど、時にはそれくらいのサービスも必要なのかな?私も勉強しなきゃですね」
「マジかよ。親父いいやつ過ぎるだろ!というかカッコイイぞ!!」
「え~と、タダでなんて大丈夫なんですか?」
「商売上はマジありえねぇ!ですけど、お求めの物はどれもよくある素材で元々安価ですからね。サービスするなら割引よりいっそ思い切ってタダもありかもですねー」
「ミィナ」
「なんでしょ~?」
「男に二言はねぇんだよ!!」

  すまん俺も言ってみたかっただけだ!

「じゃ、じゃぁ~。その遠慮なく頂きますね。ありがとうございます」
「はーい!まいどありーまたきてくださいねー!」

  バーコード親父のやつ、意外といいやつだったな。

 トラジとミィナは家へ帰りついたのだが、家の前には高さ60cm程の木箱が3つほど置かれていた。貼り付けてあった紙には融合液と書かれている。

「おお!試験の時に渡された時は小瓶程度なのに今度はこんなに・・・・・・すげぇ!」
「良かったです~、これなら失敗し放題ですね」
「他の材料費がかさむからダメだぞ?」
「が、がんばります・・・・・・」
「試験の時はドジしなかったんだ、ちゃんと注意すれば大丈夫だって。それより・・・・・・。これ、重そうだがどうしたもんかな」

 猫のトラジは勿論無理だが、明らかに力仕事に向かないミィナもきついと思われた。
 木箱の中身は液体で、重量もそれなりだ。

「ご主人様~、ここはムっくんの出番です」
「おお!また別のゴーレムか!」
「そうですけど~、ゴーレム好きなんですか?」
「ゴーレムというか、ロボットだな。あの鎧を纏ったような装甲見ると変形合体ロボとか作ってやれないものかと考えていてな!」
「ロボット~?変形合体?えっと、どんなのなんですか?」
「出来るかどうか分からんし、その説明はまた今度な。それよりムっくんだ」

 ミィナは例の如くあの泥団子を地面に叩きつけた。
 出てきたのは体長12mはありそうなデカイムカデだ。

「ムカデかぁ・・・・・・。この手足のうねうねが俺は苦手だなぁ。だが、虫特有の外骨格みたいな形状の装甲・・・・・・。やはりいいロボが出来そうな可能性を感じさせるなゴーレムは」
「えっと~、ご主人様苦手なんですか?」
「ま、まぁな」
「ご、ごめんなさい~。荷物を運んでくれそうなのが今はこの子しかいなくて・・・・・・。ムっくんお願い」

 ミィナはなんとなく申し訳なさそうにしながらムっくんに指示を出す。
 ムっくんは体を持ち上げて木箱3つを縦に積んで、両側からやたらと多い手足で3つ同時にガッチリ挟み込み運んでいった。
 非常にスムーズかつ効率的だった。
 ただ、難を言えば体が大きいので地下室の通路までは通れないので、地下室の入り口付近に横に並べるように置いて貰った。

  ムっくんは有能そうなんだがなぁ。
  ちと大き過ぎるのと、やっぱあの手足の多さはキモいなぁ・・・・・・。

 ミィナとトラジは昼食を終えていよいよクエストのアイテム製作にとりかかった。

「おっし!いよいよ練成といきますか」
「は~い!やりましょう」
「簡単なの選んだはずだから、魔力を込める作業までいらんかもしれない。でもその練習も兼ねるから今は出来なくてもやるだけやるようにな」
「は~い、了解です。ご主人様」

 トラジは材料を確認していく。

  特に問題はなさそうだな。
  小さめの錬金鍋に融合液、子守の草と静菜草とマンドラゴラの葉の草系の材料。砂糖が角砂糖5個分。ゆらゆら蝶が1匹(死んで乾燥させたもの)。最後にかき混ぜる為の錬金棒。
  うん問題ない。

「まずは融合液と葉物だな。材料には相性があるから何でもかんでも一気には入れられないが、同じ草系統なら大丈夫だろう」
「わかりました~。入れていきますね」

 ミィナは草系の材料と融合液を入れた。トラジは何をするかと言えば錬金棒を咥えていた。

  ミィナは材料を入れる作業と魔力を込める担当で、俺はこの棒で混ぜまくりつつ必要があれば指示を出す担当だ。
  まずは葉物が溶けて混ざりきるまで混ぜるんだったな。色が変化するらしいからそこに砂糖。

「んじゃ、混ぜるぞ!ミィナは混ぜる間魔力をこめてくれ!」
「了解です~、ご主人様」

 トラジは咥えていた錬金棒を鍋に入れ、器用に両手で棒を挟み掻き回す。

  試験の時も思ったが、こりゃ慣れがいるな。棒を落としそうになる時がある。
  いや、慣れというか俺専用の使い易いのを用意すべきかもしれん。持ちやすい溝のあるやつとか、軽めの素材の棒とか。
  つっても金もそんなにないしなぁ・・・・・・。

 混ぜるうちに葉っぱと透明な溶液から、葉が溶けて半透明の緑になって、それから不透明の青い色に変化していく。
 ミィナはまるでアニメとかで魔法使いが敵に詠唱するかのごとく掌を前に出して目を閉じ集中していた。

「ミィナ!そろそろ砂糖を入れてくれ!」
「了解です~、砂糖いきます」

 さらに混ぜる。
 ミィナはまた魔力を込める。魔力は見えないのでトラジにはうまくいってるかは判らない。
 青色が混ぜるうちに薄くなっていく、色が半透明化したところでゆらゆら蝶だ。

「おっし!最後だゆらゆら蝶入れてくれ!」
「了解です~、ゆらゆら蝶入れます」

 蝶を入れてさらにかき混ぜていくと白い湯気が立ち上り始める。

  いよいよ完成だな。うまくできりゃぁいいんだが・・・・・・。

 湯気というか白い煙りで錬金鍋が見えなくなった。
 その頃合でトラジは掻き混ぜるのをやめて錬金棒を咥えて下がる。

「ミィナ!もうすぐ出来上がるぞ!そのまま魔力を込め続けるんだ!」
「りょ、了解です~!」

 ミィナの頬を汗が伝う。
 トラジには魔力が分からないが、ミィナは精一杯自分のできる事をしているそれが分かった。

  初めて見た時はダメっ子だと思ってたのに、なんかちょっと変わったなミィナは。
  ちょっとだけだが頼もしく感じる。

 やがて白い煙がさらに増えてボンッ!て音が鳴った。
 錬金鍋の中の余計な水分が纏めて蒸発したかのような気がする音だ。

「さてさて、何が出来てるかなっと・・・・・・」
「ちょっと~、ドキドキです」

 鍋の中には薄紫色の錠剤のようなつぶが30個ほど出来ていた。

「うまく出来たような気がするが、ミィナは鑑定までは出来ないしなぁ。こうしてみると、ホント鑑定って大事だな。必須なのが分かる」
「ご、ごめんなさい~。まだ鑑定はできそうにないです・・・・・・」
「訓練はしてるんだから、そのうち出来るようになるさ。それより、こうなると黒猫先生に頼むしかないな」

 黒猫が鑑定してくれた。黒猫は頭がいいからか経験が豊富だからか、一匹で鑑定できてしまうらしい。
 まぁ当然簡単な物に限るらしいが。
 その鑑定結果によると練成には成功してるとの事。あと、睡眠効果以外に体力回復効果が効果量は弱いようだがついているらしい。

 ミィナが頑張って魔力をせっせと込めたからだろうと黒猫は言っていた。
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