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クエストを請ける
依頼/調べ物/大声
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組合の受付にて。
「すみません~、請けたクエストのアイテムを作って来ました」
「あら、早いですね。ちなみにこちらは鑑定はされました?」
「はい~、黒猫さんに協力して貰いました」
「なるほど。であれば大丈夫ですね。こちらが報酬となります」
それでいいんだ!黒猫の信頼度すげぇな!
基本的に組合で請けたクエストの納品と報酬の受け取りは組合の受付で行われる。納品されたアイテムのチェック等もして記録を取りその上で依頼主に渡すのである。
「ご・・・・・・トラジさん~!これだけあれば、しばらくはおかずがもう一品増やせますよ!」
「得たお金の使い道が飯かい!」
「えっと~、ダメでしょうか?」
「いやいいぞ。だが、服とかアクセサリーはいいのか?」
トラジはミィナを見てて分かった事があった。
年頃の女の子にしてはオシャレに気を使ってない事だ。
パッと見は問題ないように見えるが、よく見ると服のサイズもギリギリに見えたし数も少ない。
たぶん、新しい服がないんだろうなぁ。
サイズが合わず着れなくなった服が増えて、まだ着れる服が残った状態だろう。
両親亡くして節約生活してたようだからな、余裕がないんだろうしな。
家の中だけだが、メイド服着てるのも他の服のサイズがきつく感じてるせいかもしれん。あのメイド服はやつがピッタリサイズを用意した物のようだからな・・・・・・。
「いいんです~。このお金はご、トラジさんのおかげなので私の為だけには使えません」
「まぁ、今はそれでいい。が、そのうちたくさん稼いで新しい服だらけにしてやるからな」
錬金術は素材にお金がかかるようだからな。
今回のクエストは偶然無料で終えれたが毎回そうはいかないだろうし、多少は貯めておかないとな。
「も~、私を嫁にもらってください」
「お前は使い魔だろうが!」
「えへへ~、そうでした」
しまりのない顔で見るからにミィナは喜んでいた。
「おねがいっ!どうしてもやっつけたいのっ!」
組合の建物にミィナよりも小さい子供の女の子の声が響いた。
「無理です。すでに退治のクエストは組合も冒険者ギルドの方にも出ていますから大丈夫ですよ。それに、その金額ではクエストにする事もできません」
「いやっ!かたきをとりたいの!」
組合の受付の人は、相手が幼い女の子なのでどうすればいいか頭を悩ませていた。
「ミィナ、何があったのか話を聞きいてみてくれ」
「は~い、了解です」
ミィナは受付の人に話しを聞いたら、この幼い子供がスライムの討伐をしたいらしく依頼を出すようお願いされたらしい。
だが、討伐となれば本来は冒険者にお願いするもので、個人の討伐依頼は組合では請けれないらしい。それに金額もクエストにするにはぜんぜん足りてない。
なのに断っても、冒険者ギルドでも断られたとかで全然聞いてくれなくて困っているとの事だった。
「ミィナ、これから俺のいう事をそのまま受付の人に言ってくれ」
「了解です~」
「その幼い子供は私に任せてくれませんか?言い聞かせて家まで送りますから。ミィナ頼む」
ミィナはトラジの言葉をそのまま受付の人に言うと、受付の人は助かったとばかりにすんなり幼い子供を任せてくれた。
トラジとミィナは嫌がりつつも諦めつつあった幼い子供をなんとか組合から連れ出し、幼い子供から事情を聞いた。
「なるほどな。家の外で飼っていた鳥を鳥篭ごとスライムに食われたのか・・・・・・」
「籠の中では~、逃げ場がないですからね」
「スライムにたべられそうになってたくぅちゃんを、こわくてたすけれなかったの。すごくこうかいしたの。いまになってね?なにかできたんじゃないかって、あたまのなかぐるぐるでねむれないくらいかんがえちゃって・・・・・・」
「それで~、敵討がしたいわけですね」
「・・・・・・うん」
「そうだなぁ、ミィナはどうしたい?」
「私は~、なんとかしてあげたいですけど・・・・・・、危ないですし――」
「おし!その依頼俺達で請けよう!」
「ええ~!!だ、大丈夫なんですか?」
「これはアレだ。放っておくとミィナがクオの森に突撃した時みたいになるかもしれん。俺達でなんとかやってみよう」
「おねぇちゃん。ねこちゃんとおはなしてるの?」
「えっと~、その・・・・・・、敵討の依頼私達が請けてもいいですか?」
「え?おねぇちゃんつよそうじゃないけどできるの?」
「出来ないから依頼主であるお前にも手を貸してもらうぞ?」
「あの~、いいんですか?それで・・・・・・」
「さっきも言ったが放って置いた方が怖いからな。近くで手伝いをしてくれた方が安心できる。それにスライムを倒せるアイテムをつくりゃいいんだ。爆弾投げてボカーンで終わりだろ?大丈夫だ」
「え~と、そんなに簡単に行くでしょうか?」
簡単じゃないかもな。
材料費次第かなぁ。
「とにかく、請けれるなら請けてみよう。俺らが弟子である事とうまくいかない可能性がある事を言っておくんだぞ」
「猫ちゃんなんて言ってるの?」
「え~とですね?私達は錬金術士の弟子なのでうまくいかないかもですけど、あなたの依頼を請けたいと言ってるんです」
「うん!いいよ!だーれもはなしきいてくれないし、ねこちゃんきずあとがつよそーだしおねがいするー!」
「あと~、私達は未熟者なのであなたの手も借りたいって言ってます」
「しかたないから、わたしがてつだってあげる!で、あのスライムをたおしてやるの!」
「私はですね~、ミィナって言います。で、この猫さんがトラジさんです。よろしくね」
「わたしねー、うりりっていうの。よろしくー」
こうしてトラジとミィナ&ウリリは、打倒スライムを掲げて活動を開始した。
もう日が落ち始めてたのでウリリを家に帰した後、さっそく組合の資料室で調べ物をしてみた。
「だめだな。スライムを一撃でしとめるようなのはないなぁ・・・・・・。スライムが嫌がる匂いだのスライム避けの粉だのしかないな。元が弱いからなのか?環境に適応しやすい体質だから弱点も少ないのか?わからん」
「え~と、どうしましょう?」
「これは作るしかないだろ?まだない未知のスライム殺しなアイテムを!んで、スライム退治の革命を起こしてやろう!」
「革命~、カッコイイ響きです」
というわけで未知のアイテム作りのヒントを貰いに黒猫先生に聞きに行った。
「なるほどね。スライムに効き目のある未知のアイテムを作り出したいというわけね」
「そういう事だ」
「まだ錬金術士にもなってないのに、そんな依頼を個人で引き受けるなんてホント驚きだわ。でも、いい経験にはなりそうではあるんだけど・・・・・・。んー、どうしようかしら」
黒猫は素直に教えていいか悩んだ。
何故かと言えば未知のアイテム作りは、弟子の段階の者が挑戦するような物ではないからだった。
「頼む黒猫っ!」
「わ、分かったわよ。教えてあげる」
黒猫が言うには必要なのは相手を知る事と、できれば明確な過程をイメージする事らしい。
そして、概念練成というのが出来るのが理想らしいが、これは今のミィナの能力では無理との事。
「いい?今あるスライム対策のアイテムも、スライムが苦手にしてる物等を材料にしてたりするの。まずはそれを理解しなさい。そこを取っ掛かりに出来ると思うわ。次に、具体的にどういう効果が出るものか考えて作るとやりやすいわね。罠みたいに仕掛けるのか、直接ぶつけたり殴ったりするか、特攻性のある毒で倒すか、炎や冷気や風等の力で倒すか、方向性によって必要になる材料も見えてきたりするの。資料室でスライム関連以外の様々なアイテムの材料を、見直してみればそれもヒントになると思う」
「ありがとう。さすが黒猫先生だぜ!」
「未知のアイテムを作ろうとするのだから、たくさん失敗をする事になると思うわ。それでも諦めずに根気よく、時に基本に立ち返る事も大事よ。がんばって。あと、先生はやめて頂戴、黒猫でお願いするわ」
「ほんと助かるな。こんなに賢くて優しくて鑑定も一人で出来る。ほんと黒猫はいい嫁になりそうだな」
「よ、嫁って――」
「照れてるのか?」
「て、照れてなんてないわよ!!あ、あと鑑定はまだ出来ないでしょうから出来たら持って来なさいね!」
そう言って黒猫は走り去って行った。
「あれは完全に照れてたな。黒猫でも嫁とかに憧れたりするんだろうか?猫なのにな」
「えっと~、照れというかデレな気もします」
「そうなのか?よくわからんな。さて、暗くなってきたし調べるのは明日にして帰ろう」
「は~い。了解です」
次の日。トラジとミィナは組合で朝の仕事を終えてそのまま資料室で調べ物を開始する。
もちろんウリリも呼んである。
「とっとと調べ物開始といきますか。調べる範囲が多いからな、二手に分かれるぞ!ミィナはスライム関連のアイテムを探して、材料をリストアップしてくれ。俺はウリリの手を借りて参考になりそうな資料を探す」
「え~、私は別行動なんですか?」
ミィナはその両手で抱っこしているトラジを名残惜しそうに見つめる。
「仕方ないだろう。調べる量が多いんだし、ウリリに調べ物任せるのも不安だしな。ほらウリリにも通訳してくれ」
「は~い。・・・・・・ウリリちゃんご、トラジさんのお手伝いをお願いしますね」
「うんわかったー。わたしがめんどーみてあげる」
「うぐっぇ!」
ウリリはミィナからトラジを受け取ると思いっきり抱きしめ・・・・・・絞めてきた。
トラジは力の限り暴れなんとか絞め絞めの抱擁を抜け出る。
「えっと~、大丈夫ですか?」
「な、なんとかな。こっちはなんとかやるから、そっちも頑張ってみてくれ」
「了解です~」
作業は難航した。というのもトラジの言葉がウリリに通じなかったからだ。
本のページをめくるくらいはトラジは既にできる。コツはにくきゅうをうまく使う事。
だが本や資料を取ることは出来ない。高い所に手が届かないのもそうだが、並べられた本を引き抜こうとすると爪が立ってしまい傷をつけてしまうし、運ぶとなると口で咥えるしかなく、牙や唾液で本を傷めてしまう上に厚い本だとあごが痛いのだ。
ウリリにどれだけ本を取る様にボディランゲージしても通じず、度々ミィナを呼んでしまっていた。
だが、そんなウリリも何度か繰り返すうちにミィナを見てトラジの指示を理解したようで、調べ物は次第に順調に進んで行った。
俺らが目指すアイテムは、スライム専用の殺虫剤みたいなやつか、爆弾でドカン!系なやつだな。
爆弾は火薬だから・・・・・・、たぶん火とか炎系統のアイテムなんだろうな。
ミィナは殺虫剤のヒント探しで、トラジは爆弾のヒント探しに分かれて調べていた。
トラジは椅子に座るウリリの太ももに座り机の上の本を読みまくる。
時折、ミィナがウリリをうらやましそうな目で見ていたような気がした。
「うげぇ・・・・・・。火や炎を使うアイテムの材料は見るからに高そうなんだが・・・・・・」
資料室にはアイテム製作のレシピだけでなく、当然知られている材料となる素材等の資料も揃っている。
それを見ていくと、ミィナとトラジには金額的に無理であった。
「こりゃ、殺虫剤コースしかないか。その殺虫剤をどうスライムに当てるか・・・・・・。罠か投げかスプレー式・・・・・・。投げて周囲に拡散するようなのが理想だよなぁ」
色々と他のアイテムのレシピを見ていくも、煙玉みたいなアイテム以外のレシピは参考にできそうになかった。主に金銭的に。
あと、アレだな。スライムが一匹いるな。素材にする毒の効果の程を確かめるためには一匹ほしい。
確か、作り出すのも簡単みたいな事言ってたし、レシピを探してみるか?
というか、飼えるもんなのかなスライムは・・・・・・?
こりゃ黒猫に聞きにいくしかないかな。
だが、探しても探しても魔道生物関連のレシピは一つも無かった。
これはあれか?
魔道生物は討伐すべき魔獣扱いなようだし、下手に作られると困るから公開してない・・・・・・とかか?
うーむ。ミィナの方が終わり次第引き上げて、これも黒猫のとこで聞くか。
「ミィナ、こっちは終わったがそっちはどうだ?」
「あ、あとちょっとです~!」
調べ物を終えてミィナとトラジは黒猫の所に向かった。ウリリは昼飯時なので一旦帰ってもらっている。
「すまないな黒猫。昼飯中だったか」
「大丈夫よ。一人で食べるよりは雰囲気が良くなるもの。少し待ってなさい」
「ん?待つって何をだ?」
「えっと~、お手洗いじゃないですか?」
「ああ、なるほど!こっちは急がないからゆっくりしてきていいぞ!」
「違うわよ!!いいから待ってなさい!なんでこう、雄はデリカシーってものが・・・・・・」
「お、おう・・・・・・」
少しして組合で働いている人とその使い魔を連れて黒猫が戻ってきた。
連れて来られた人は肩に使い魔の鳩、両手で弁当らしき物を抱えていた。
「待たせたわね。一人分のお弁当が余ってる話を聞いてたから、この人に持ってきてもらったのよ。あとね、もう一度言うけどお手洗いじゃないからね!」
「お、おう・・・・・・」
黒猫はおこだった。
「ミィナちゃんだったね。これ余っていたお弁当だから遠慮なく食べちゃっていいからね。あと、トラジくんには火を通した魚」
「あ、ありがと~ございます」
「ポッポ。クルッポーポー」
「あー、はいはい。ごめんね僕らは用事があるからこれで失礼するよ」
「クルッポ。ポーポー。ポッポー」
「用事があるのに運んでくれて助かったわ。ありがとうと言っておいて頂戴」
「クルッポー!」
そう言って鳩の使い魔とその主人は去って行った。
「たまには一緒にお昼ご飯もいいでしょ?話は食べながらゆっくり聞かせてもらうわ」
「そういや、黒猫のそのご飯は何だ?」
「これを食べると毛艶がよくなるらしい猫用の食べ物ね。錬金術で作られてるのだけど、私とご主人様で作った訳じゃないから何から出来てるかまでは分からないわね。そ、それで、どうかしら?」
黒猫が何かを期待するような目でトラジを見る。
「そうだなぁ、一口貰うぞ」
トラジは黒猫のカリカリのキャットフードを一粒食べた。
「うん!案外うまいな。塩分は控えめだが何の魚かはわからんがその風味が良く出てる」
「そ、そうね・・・・・・」
黒猫はちょっと残念そうにため息をし、ミィナは申し訳なさそうにしていた。
「まぁ、雄からしたらそんなとこよね・・・・・・」
と黒猫は聞き取れないような小声でつぶやいた。
「なるほどね。概ねその通りよ。魔道生物は危険だから一部の錬金術士以外には公開されてないわ」
「その一部ってのは?」
「シルバー・ソーサラー以上の錬金術士ね。新米がうっかり対処もできないのに作ったりしたら危険だし、周囲の人にも迷惑になるもの。そういう訳だからスライムとはいえ教えられないわね」
「そこをなんとかお願いできないか?」
一度は断った黒猫だったが、トラジにお願いされ悩んだものの折れた。
「・・・・・・分かったわ。スライムは私とご主人様で用意してあげるわ。ただし、扱いや注意事項はちゃんと守って頂戴ね」
「OK!任せろ!」
「スライムで一番危険なのは環境に適応してしまう能力ね。でも、そんな適応能力もある程度のサイズにならないと発揮できないみたいなの。とても小さいのを用意するから大きくしすぎないよう注意して。あと、大きくなってしまったり体の色が変化したらすぐ私に教えなさいね。トドメを刺さないといけないから」
「トドメくらいこっちでなんとかやって――」
「やめなさい!!」
トラジとミィナは大声を出した黒猫を見て驚き固まる。
黒猫も咄嗟に大声を出してしまっていた事に黒猫自身も驚き、一瞬固まってしまうも一呼吸置いて話を続けた。
「・・・・・・スライムをなめすぎよ。カイザーやバブルクライシス級だったらどうするつもり?この一体で町が滅ぶとさえ言われるようなのもいるの。あなた達は錬金術士にすらなっていない、雛鳥のようなものなんだから自覚しなさいね」
「悪いちょっと調子に乗ってた。分かった、トドメはエリィに任せればいいんだな?」
「トドメくらいわた・・・・・・。そ、そうね私のご主人様であれば問題ないわね。そろそろ仕事に戻らないといけない時間ね。さっきは大声出してごめんなさい、私は仕事に戻るわ」
黒猫は仕事に行こうとする。
つい大声を出してしまった事を気にしてかバツがわるそうだった。
「黒猫!心配してくれたんだろ?ありがとな!」
その場を去ろうとした黒猫の耳がピクピク動き歩く速度が早くなる。
居心地が悪くなったわけではない、顔が熱を帯びた気がして顔を合わせにくかったからだ。
「すみません~、請けたクエストのアイテムを作って来ました」
「あら、早いですね。ちなみにこちらは鑑定はされました?」
「はい~、黒猫さんに協力して貰いました」
「なるほど。であれば大丈夫ですね。こちらが報酬となります」
それでいいんだ!黒猫の信頼度すげぇな!
基本的に組合で請けたクエストの納品と報酬の受け取りは組合の受付で行われる。納品されたアイテムのチェック等もして記録を取りその上で依頼主に渡すのである。
「ご・・・・・・トラジさん~!これだけあれば、しばらくはおかずがもう一品増やせますよ!」
「得たお金の使い道が飯かい!」
「えっと~、ダメでしょうか?」
「いやいいぞ。だが、服とかアクセサリーはいいのか?」
トラジはミィナを見てて分かった事があった。
年頃の女の子にしてはオシャレに気を使ってない事だ。
パッと見は問題ないように見えるが、よく見ると服のサイズもギリギリに見えたし数も少ない。
たぶん、新しい服がないんだろうなぁ。
サイズが合わず着れなくなった服が増えて、まだ着れる服が残った状態だろう。
両親亡くして節約生活してたようだからな、余裕がないんだろうしな。
家の中だけだが、メイド服着てるのも他の服のサイズがきつく感じてるせいかもしれん。あのメイド服はやつがピッタリサイズを用意した物のようだからな・・・・・・。
「いいんです~。このお金はご、トラジさんのおかげなので私の為だけには使えません」
「まぁ、今はそれでいい。が、そのうちたくさん稼いで新しい服だらけにしてやるからな」
錬金術は素材にお金がかかるようだからな。
今回のクエストは偶然無料で終えれたが毎回そうはいかないだろうし、多少は貯めておかないとな。
「も~、私を嫁にもらってください」
「お前は使い魔だろうが!」
「えへへ~、そうでした」
しまりのない顔で見るからにミィナは喜んでいた。
「おねがいっ!どうしてもやっつけたいのっ!」
組合の建物にミィナよりも小さい子供の女の子の声が響いた。
「無理です。すでに退治のクエストは組合も冒険者ギルドの方にも出ていますから大丈夫ですよ。それに、その金額ではクエストにする事もできません」
「いやっ!かたきをとりたいの!」
組合の受付の人は、相手が幼い女の子なのでどうすればいいか頭を悩ませていた。
「ミィナ、何があったのか話を聞きいてみてくれ」
「は~い、了解です」
ミィナは受付の人に話しを聞いたら、この幼い子供がスライムの討伐をしたいらしく依頼を出すようお願いされたらしい。
だが、討伐となれば本来は冒険者にお願いするもので、個人の討伐依頼は組合では請けれないらしい。それに金額もクエストにするにはぜんぜん足りてない。
なのに断っても、冒険者ギルドでも断られたとかで全然聞いてくれなくて困っているとの事だった。
「ミィナ、これから俺のいう事をそのまま受付の人に言ってくれ」
「了解です~」
「その幼い子供は私に任せてくれませんか?言い聞かせて家まで送りますから。ミィナ頼む」
ミィナはトラジの言葉をそのまま受付の人に言うと、受付の人は助かったとばかりにすんなり幼い子供を任せてくれた。
トラジとミィナは嫌がりつつも諦めつつあった幼い子供をなんとか組合から連れ出し、幼い子供から事情を聞いた。
「なるほどな。家の外で飼っていた鳥を鳥篭ごとスライムに食われたのか・・・・・・」
「籠の中では~、逃げ場がないですからね」
「スライムにたべられそうになってたくぅちゃんを、こわくてたすけれなかったの。すごくこうかいしたの。いまになってね?なにかできたんじゃないかって、あたまのなかぐるぐるでねむれないくらいかんがえちゃって・・・・・・」
「それで~、敵討がしたいわけですね」
「・・・・・・うん」
「そうだなぁ、ミィナはどうしたい?」
「私は~、なんとかしてあげたいですけど・・・・・・、危ないですし――」
「おし!その依頼俺達で請けよう!」
「ええ~!!だ、大丈夫なんですか?」
「これはアレだ。放っておくとミィナがクオの森に突撃した時みたいになるかもしれん。俺達でなんとかやってみよう」
「おねぇちゃん。ねこちゃんとおはなしてるの?」
「えっと~、その・・・・・・、敵討の依頼私達が請けてもいいですか?」
「え?おねぇちゃんつよそうじゃないけどできるの?」
「出来ないから依頼主であるお前にも手を貸してもらうぞ?」
「あの~、いいんですか?それで・・・・・・」
「さっきも言ったが放って置いた方が怖いからな。近くで手伝いをしてくれた方が安心できる。それにスライムを倒せるアイテムをつくりゃいいんだ。爆弾投げてボカーンで終わりだろ?大丈夫だ」
「え~と、そんなに簡単に行くでしょうか?」
簡単じゃないかもな。
材料費次第かなぁ。
「とにかく、請けれるなら請けてみよう。俺らが弟子である事とうまくいかない可能性がある事を言っておくんだぞ」
「猫ちゃんなんて言ってるの?」
「え~とですね?私達は錬金術士の弟子なのでうまくいかないかもですけど、あなたの依頼を請けたいと言ってるんです」
「うん!いいよ!だーれもはなしきいてくれないし、ねこちゃんきずあとがつよそーだしおねがいするー!」
「あと~、私達は未熟者なのであなたの手も借りたいって言ってます」
「しかたないから、わたしがてつだってあげる!で、あのスライムをたおしてやるの!」
「私はですね~、ミィナって言います。で、この猫さんがトラジさんです。よろしくね」
「わたしねー、うりりっていうの。よろしくー」
こうしてトラジとミィナ&ウリリは、打倒スライムを掲げて活動を開始した。
もう日が落ち始めてたのでウリリを家に帰した後、さっそく組合の資料室で調べ物をしてみた。
「だめだな。スライムを一撃でしとめるようなのはないなぁ・・・・・・。スライムが嫌がる匂いだのスライム避けの粉だのしかないな。元が弱いからなのか?環境に適応しやすい体質だから弱点も少ないのか?わからん」
「え~と、どうしましょう?」
「これは作るしかないだろ?まだない未知のスライム殺しなアイテムを!んで、スライム退治の革命を起こしてやろう!」
「革命~、カッコイイ響きです」
というわけで未知のアイテム作りのヒントを貰いに黒猫先生に聞きに行った。
「なるほどね。スライムに効き目のある未知のアイテムを作り出したいというわけね」
「そういう事だ」
「まだ錬金術士にもなってないのに、そんな依頼を個人で引き受けるなんてホント驚きだわ。でも、いい経験にはなりそうではあるんだけど・・・・・・。んー、どうしようかしら」
黒猫は素直に教えていいか悩んだ。
何故かと言えば未知のアイテム作りは、弟子の段階の者が挑戦するような物ではないからだった。
「頼む黒猫っ!」
「わ、分かったわよ。教えてあげる」
黒猫が言うには必要なのは相手を知る事と、できれば明確な過程をイメージする事らしい。
そして、概念練成というのが出来るのが理想らしいが、これは今のミィナの能力では無理との事。
「いい?今あるスライム対策のアイテムも、スライムが苦手にしてる物等を材料にしてたりするの。まずはそれを理解しなさい。そこを取っ掛かりに出来ると思うわ。次に、具体的にどういう効果が出るものか考えて作るとやりやすいわね。罠みたいに仕掛けるのか、直接ぶつけたり殴ったりするか、特攻性のある毒で倒すか、炎や冷気や風等の力で倒すか、方向性によって必要になる材料も見えてきたりするの。資料室でスライム関連以外の様々なアイテムの材料を、見直してみればそれもヒントになると思う」
「ありがとう。さすが黒猫先生だぜ!」
「未知のアイテムを作ろうとするのだから、たくさん失敗をする事になると思うわ。それでも諦めずに根気よく、時に基本に立ち返る事も大事よ。がんばって。あと、先生はやめて頂戴、黒猫でお願いするわ」
「ほんと助かるな。こんなに賢くて優しくて鑑定も一人で出来る。ほんと黒猫はいい嫁になりそうだな」
「よ、嫁って――」
「照れてるのか?」
「て、照れてなんてないわよ!!あ、あと鑑定はまだ出来ないでしょうから出来たら持って来なさいね!」
そう言って黒猫は走り去って行った。
「あれは完全に照れてたな。黒猫でも嫁とかに憧れたりするんだろうか?猫なのにな」
「えっと~、照れというかデレな気もします」
「そうなのか?よくわからんな。さて、暗くなってきたし調べるのは明日にして帰ろう」
「は~い。了解です」
次の日。トラジとミィナは組合で朝の仕事を終えてそのまま資料室で調べ物を開始する。
もちろんウリリも呼んである。
「とっとと調べ物開始といきますか。調べる範囲が多いからな、二手に分かれるぞ!ミィナはスライム関連のアイテムを探して、材料をリストアップしてくれ。俺はウリリの手を借りて参考になりそうな資料を探す」
「え~、私は別行動なんですか?」
ミィナはその両手で抱っこしているトラジを名残惜しそうに見つめる。
「仕方ないだろう。調べる量が多いんだし、ウリリに調べ物任せるのも不安だしな。ほらウリリにも通訳してくれ」
「は~い。・・・・・・ウリリちゃんご、トラジさんのお手伝いをお願いしますね」
「うんわかったー。わたしがめんどーみてあげる」
「うぐっぇ!」
ウリリはミィナからトラジを受け取ると思いっきり抱きしめ・・・・・・絞めてきた。
トラジは力の限り暴れなんとか絞め絞めの抱擁を抜け出る。
「えっと~、大丈夫ですか?」
「な、なんとかな。こっちはなんとかやるから、そっちも頑張ってみてくれ」
「了解です~」
作業は難航した。というのもトラジの言葉がウリリに通じなかったからだ。
本のページをめくるくらいはトラジは既にできる。コツはにくきゅうをうまく使う事。
だが本や資料を取ることは出来ない。高い所に手が届かないのもそうだが、並べられた本を引き抜こうとすると爪が立ってしまい傷をつけてしまうし、運ぶとなると口で咥えるしかなく、牙や唾液で本を傷めてしまう上に厚い本だとあごが痛いのだ。
ウリリにどれだけ本を取る様にボディランゲージしても通じず、度々ミィナを呼んでしまっていた。
だが、そんなウリリも何度か繰り返すうちにミィナを見てトラジの指示を理解したようで、調べ物は次第に順調に進んで行った。
俺らが目指すアイテムは、スライム専用の殺虫剤みたいなやつか、爆弾でドカン!系なやつだな。
爆弾は火薬だから・・・・・・、たぶん火とか炎系統のアイテムなんだろうな。
ミィナは殺虫剤のヒント探しで、トラジは爆弾のヒント探しに分かれて調べていた。
トラジは椅子に座るウリリの太ももに座り机の上の本を読みまくる。
時折、ミィナがウリリをうらやましそうな目で見ていたような気がした。
「うげぇ・・・・・・。火や炎を使うアイテムの材料は見るからに高そうなんだが・・・・・・」
資料室にはアイテム製作のレシピだけでなく、当然知られている材料となる素材等の資料も揃っている。
それを見ていくと、ミィナとトラジには金額的に無理であった。
「こりゃ、殺虫剤コースしかないか。その殺虫剤をどうスライムに当てるか・・・・・・。罠か投げかスプレー式・・・・・・。投げて周囲に拡散するようなのが理想だよなぁ」
色々と他のアイテムのレシピを見ていくも、煙玉みたいなアイテム以外のレシピは参考にできそうになかった。主に金銭的に。
あと、アレだな。スライムが一匹いるな。素材にする毒の効果の程を確かめるためには一匹ほしい。
確か、作り出すのも簡単みたいな事言ってたし、レシピを探してみるか?
というか、飼えるもんなのかなスライムは・・・・・・?
こりゃ黒猫に聞きにいくしかないかな。
だが、探しても探しても魔道生物関連のレシピは一つも無かった。
これはあれか?
魔道生物は討伐すべき魔獣扱いなようだし、下手に作られると困るから公開してない・・・・・・とかか?
うーむ。ミィナの方が終わり次第引き上げて、これも黒猫のとこで聞くか。
「ミィナ、こっちは終わったがそっちはどうだ?」
「あ、あとちょっとです~!」
調べ物を終えてミィナとトラジは黒猫の所に向かった。ウリリは昼飯時なので一旦帰ってもらっている。
「すまないな黒猫。昼飯中だったか」
「大丈夫よ。一人で食べるよりは雰囲気が良くなるもの。少し待ってなさい」
「ん?待つって何をだ?」
「えっと~、お手洗いじゃないですか?」
「ああ、なるほど!こっちは急がないからゆっくりしてきていいぞ!」
「違うわよ!!いいから待ってなさい!なんでこう、雄はデリカシーってものが・・・・・・」
「お、おう・・・・・・」
少しして組合で働いている人とその使い魔を連れて黒猫が戻ってきた。
連れて来られた人は肩に使い魔の鳩、両手で弁当らしき物を抱えていた。
「待たせたわね。一人分のお弁当が余ってる話を聞いてたから、この人に持ってきてもらったのよ。あとね、もう一度言うけどお手洗いじゃないからね!」
「お、おう・・・・・・」
黒猫はおこだった。
「ミィナちゃんだったね。これ余っていたお弁当だから遠慮なく食べちゃっていいからね。あと、トラジくんには火を通した魚」
「あ、ありがと~ございます」
「ポッポ。クルッポーポー」
「あー、はいはい。ごめんね僕らは用事があるからこれで失礼するよ」
「クルッポ。ポーポー。ポッポー」
「用事があるのに運んでくれて助かったわ。ありがとうと言っておいて頂戴」
「クルッポー!」
そう言って鳩の使い魔とその主人は去って行った。
「たまには一緒にお昼ご飯もいいでしょ?話は食べながらゆっくり聞かせてもらうわ」
「そういや、黒猫のそのご飯は何だ?」
「これを食べると毛艶がよくなるらしい猫用の食べ物ね。錬金術で作られてるのだけど、私とご主人様で作った訳じゃないから何から出来てるかまでは分からないわね。そ、それで、どうかしら?」
黒猫が何かを期待するような目でトラジを見る。
「そうだなぁ、一口貰うぞ」
トラジは黒猫のカリカリのキャットフードを一粒食べた。
「うん!案外うまいな。塩分は控えめだが何の魚かはわからんがその風味が良く出てる」
「そ、そうね・・・・・・」
黒猫はちょっと残念そうにため息をし、ミィナは申し訳なさそうにしていた。
「まぁ、雄からしたらそんなとこよね・・・・・・」
と黒猫は聞き取れないような小声でつぶやいた。
「なるほどね。概ねその通りよ。魔道生物は危険だから一部の錬金術士以外には公開されてないわ」
「その一部ってのは?」
「シルバー・ソーサラー以上の錬金術士ね。新米がうっかり対処もできないのに作ったりしたら危険だし、周囲の人にも迷惑になるもの。そういう訳だからスライムとはいえ教えられないわね」
「そこをなんとかお願いできないか?」
一度は断った黒猫だったが、トラジにお願いされ悩んだものの折れた。
「・・・・・・分かったわ。スライムは私とご主人様で用意してあげるわ。ただし、扱いや注意事項はちゃんと守って頂戴ね」
「OK!任せろ!」
「スライムで一番危険なのは環境に適応してしまう能力ね。でも、そんな適応能力もある程度のサイズにならないと発揮できないみたいなの。とても小さいのを用意するから大きくしすぎないよう注意して。あと、大きくなってしまったり体の色が変化したらすぐ私に教えなさいね。トドメを刺さないといけないから」
「トドメくらいこっちでなんとかやって――」
「やめなさい!!」
トラジとミィナは大声を出した黒猫を見て驚き固まる。
黒猫も咄嗟に大声を出してしまっていた事に黒猫自身も驚き、一瞬固まってしまうも一呼吸置いて話を続けた。
「・・・・・・スライムをなめすぎよ。カイザーやバブルクライシス級だったらどうするつもり?この一体で町が滅ぶとさえ言われるようなのもいるの。あなた達は錬金術士にすらなっていない、雛鳥のようなものなんだから自覚しなさいね」
「悪いちょっと調子に乗ってた。分かった、トドメはエリィに任せればいいんだな?」
「トドメくらいわた・・・・・・。そ、そうね私のご主人様であれば問題ないわね。そろそろ仕事に戻らないといけない時間ね。さっきは大声出してごめんなさい、私は仕事に戻るわ」
黒猫は仕事に行こうとする。
つい大声を出してしまった事を気にしてかバツがわるそうだった。
「黒猫!心配してくれたんだろ?ありがとな!」
その場を去ろうとした黒猫の耳がピクピク動き歩く速度が早くなる。
居心地が悪くなったわけではない、顔が熱を帯びた気がして顔を合わせにくかったからだ。
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