きのまま錬金!1から錬金術士めざします!

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アントワネット100世/本当にすまないと思っています/新しい使い魔

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「さて、どうすっかな・・・・・・」

 トラジは謎の20歳前後の女性に捕まっていた。
 ただ、気になる事もありそのままされるがままになっていた。

  俺の前の体の持ち主の関係者かどうか確めておきたい。
  まぁ、関係者だったとしても何が出来るわけじゃないけど。
  お礼っつーか、謝罪っつーか、たとえ伝わらないとしても言っておきたいんだよな。

「さぁ、アントワネット100世。私達のおうちに帰りましょうねー!」

 トラジを捕まえた女はそのまま、トラジが覗いていた服屋に入っていった。

  お前の家だったんかい!!

「ちょ、店長!なに堂々と店の中にまた猫連れてきてるんですか!」

  またっ!?
  しかもコイツ店長だとっ!!

 トラジを捕まえて当然のように店内に入った女性に他の店員から当然ように抗議の声が上がる。

「この子は猫じゃないわ!アントワネット100世よ!」
「名前の話じゃなく猫という動物でしょ!って話です!抜け毛とかが売り物に付いたらどうするんですか!」
「ふっ。決まっているじゃない」

 女は不敵に笑い目の前の店員を指差した。

「私を指差さないでください!」
「まったく可笑しな事を言う子ね。何の為にチーフとして雇っていると思っているの?」
「今みたいなことを全力で防ぐためです!」
「あなたは勘違いしているようね!私の趣味をサポートするためでしょ!」
「違います!何堂々と趣味の話をしてるんですか!仕事とお金の為です!」

  なに・・・・・・、この展開・・・・・・?

 トラジはいきなり始まった店長?とチーフ?らしい店員の争いについていけずにただ眺めていた。

「やーだー!飼うのー!アントワネット100世飼うの!私がちゃんと可愛がるからー!!」
「何子供みたいなこと言ってるんですか!しかも可愛がるだけとか舐めすぎでしょう!」
「ちっ。あー言えばこう言う人ですねー、アントワネット100世もそう思うよねー?」

  こいつ大人の服着た子供か!

 ぶんぶんとトラジは首を横に振った。

「・・・・・・ほら、アントワネット100世も私に賛成だって!」

 ぶんぶんとトラジは再度首を振った。

「・・・・・・いや、思いっきり横に首振ってたような?」

 コクコクとトラジは今度は首を縦に振った。

「すごいわ!アントワネット100世!あなたとても賢いのね!!」
「なんだろう。店長より常識を弁えてそうな気がする・・・・・・」
「それだとまるで私が常識ハズレな人みたいじゃない!失礼しちゃうわね!」
「野良猫を堂々と店の入り口から連れてくる店長が常識分かってるとでも!?」
「何を言ってるの!私のお店なのだから私がルールにして、これが常識なのよ!!」
「常識については否定させてもらいます!ルールについては働いているみんなで話し合ってからです!」
「ぐぬぬ!アントワネット100世!私に力を、力を頂戴!!」

  力って何をどうしろと!
  つーか、むしろ俺的にはチーフの人が正しいと思うんですけど!

「観念してその野良猫を外にポイしてきてください!」
「ふっ、それは残念だったわね!」

 店長は何か閃いたようで勝ち誇ったかのような態度をとった。

「な、何がですか?」
「アントワネット100世は野良猫じゃないわ!見なさい!この手入れされた毛並みを!」

 店長はトラジをチーフに投げ、チーフは驚きつつもなんとかトラジをキャッチした。

「投げんな!!」
「危ないじゃないですか!!」
「ふふふ・・・・・・。いいからアントワネット100世をよく見てみなさい!」

 訝しみながらも、チーフはトラジの体を確めるように触りながら観察していく。

「あふんっ・・・・・・」

  いかん。変な声でた・・・・・・。

「ほんとう・・・・・・。毛並みがふかふかしてて、石鹸の香りもして・・・・・・」
「そうよ!その子は野良じゃないわ!よってあなたは論破されるのよ!あーはっはっはっ!!」
「っていうか!飼い猫なら余計ダメじゃないですか!!お外に返してきます!!」
「しまった!カムバッーーーク!アントワネット100世ぃーーー!!」

 チーフによってトラジは無事に解放されたのだった。

  何もせずに解放されたのはいいが、結局のところ前の体の持ち主とは無関係だったな。
  会話から察するに、迷惑を省みずに猫を思わず連れ帰ろうとする人のようだ。

「無駄な時間をすごしたなぁ・・・・・・。丁度いい時間潰しになったとでも思っておくか」

 トラジはその後ミィナとナイミがいる家に帰った。

「ご主人様~、おかえりなさい」
「おう、ただいま!ナイミとの話し合いはどうだった?」
「大丈夫ですよ~。色々考えましたが、ナイミちゃんには一緒にいてもらう事にしました。ご主人様の方は大丈夫でしたか?」
「こっちも大丈夫だ。拉致されかけたが、色々見て回れたし軽い運動にもなってよかったよ」
「それなら~よかったです」

 トラジは2階のナイミが寝てるミィナの部屋へ向かった。

「・・・・・・・・・・・・拉致~?」

 ミィナはトラジの普段通りの態度につられてつい返事をしたが、ワンテンポ遅れて首を傾げた。

「ナイミ大丈夫か?」
「はい。少し熱が残っている感じはしますが、すぐ良くなると思います」
「それは良かった。ただ、リミッターの話はしたと思うが今後は自分で力を加減して、リミッターをかけてくようにな。緊急時以外はそれを意識しとくんだぞ?」
「わかりました。でも、ご主人様の為ならばいつでも全力を尽くしますからね」
「いや、もう少し力を抜いてだなぁ」
「無理です。諦めてください」

 ナイミは軽く笑ってそう答えた。

  くそう!
  可愛いなぁもう!

「つまり、俺に無茶はするなってことか?逆に俺にリミッター掛けるとはやるな」
「そういうつもりは無かったんですが、それはそれでいいですね。ぜひ、ご主人様も注意してくださいね」
「時と場合による!とだけ言っておこう」
「なるほど。ミィナも苦労するわけですね」
「なんたってこっちは猫だからな」

  こういう時だけは猫だと楽だな。
  人間の大人ならちゃんと後先考えろとか言われて突っ込まれる所だな。

「でも、そんなご主人様が大好きです」
「ナイミの好きが重い気がする!」
「じ~~~・・・・・・」

  う・・・・・・。
  誰かの視線を感じる。

 トラジが視線を感じる方を見ると、ミィナが面白くなさそうに部屋の入り口で顔半分出して見ていた。

  昼ドラかよ!!

「あと、少し気になったのですが」
「どした?」
「ご主人様から知らない女の匂いがするのは何故ですか?」

  こっちも昼ドラかよぉっ!!!!
  言われて気が付いたが、ちょっと香水のような香りがするな俺。
  服屋のチーフの人の時か・・・・・・?

 そして次の日ミィナとトラジはいつものように組合まで仕事に行くと・・・・・・。

「良かった。今日はちゃんとトラジが一緒ね」
「ん?なんかあったのか?」
「なんかって・・・・・・、ミィナさんから何も聞いてないの?」

 トラジがミィナの方を見ると視線を逸らされた。

「昨日、ミィナさんが一人で仕事しようとしたのだけどね。ミスの連続で仕事にならなかったの。私達は本部からの指示で忙しいし、フォローもしてあげれないから早めに切り上げさせて帰らせたのよ」
「ほぅー。なんか聞いてた話と違う気がするな?」
「え~と・・・・・・。その・・・・・・、本当にすまないと思っています」
「まぁ、一人で頑張ろうとしたわけだしいいか・・・・・・」

 その後、黒猫にエリィが代わりに支払いをしてくれた件を話してお礼を言ったのだが・・・・・・。

「礼を言う必要は無いわ。あなた達には他に頼れる大人がいないでしょ?怪我や病気になったら大変じゃない。だから、治療費はこちらが持つようにご主人様が以前から手を回してたのよ。口止めしてたのは知らなかったけど、口止めしてた以上気にしなくていいわ」

 と、そう言われた。
 組合での仕事の帰りにヤガタにアメリー、それにリーヤにお金を返しに行ったのだが・・・・・・。

「返さなくていいわ!」
「だ、だがな。結果としてウリリは助けられなかった訳だし・・・・・・。結果で示す約束だった訳で・・・・・・」
「その~、私達はウリリちゃんを助けれなかったので・・・・・・。リーヤちゃんの言う結果で示せてないんじゃないかって」

 ヤガタとアメリーには普通に借りたお金を返すことが出来たのだが、リーヤだけは頑なに受け取りを拒否していた。

「確かに、私が望んだ結果ではなかったのは確かだけど、ミィナちゃんもトラジちゃんも頑張ったのは見てて分かったし、新しいアイテムも完成させた。何よりちゃんと仇も討てた。もう十分よ。ウリリちゃんの事で後悔する気持ちがあっても、胸を張っていいんだよ?でないとウリリちゃんも悲しくなっちゃうでしょ!」
「わかったよ。・・・・・・リーヤには敵わないな。代わりにって訳じゃないが何か困った事があったら俺達にも協力させてほしい」
「えっと~、トラジさんが分かったって。それと、何か困った事があったら協力させてほしいって言ってます」
「そうね。その時は遠慮なく頼らせて貰うね」
「任せろ!」
「はい~、任せてください!」

 そして、トラジとミィナは家に帰ると、ナイミが玄関で出迎えてくれた。
 そのナイミは以前から着ていたボロくなりつつあった服を着ていた。

「うーん・・・・・・。ナイミの服は早めに用意した方が良さそうだな」
「私はこのままでも大丈夫ですよ?」
「ナイミは気にしないかもしれないが、なかなかキワドイしなぁ」
「ですね~・・・・・・。あちこち裂けてしまったりしてますし、うっかりビリッといくかもしれません」

  まぁ、俺的にはそれもある意味いいと言えばいいがな。
  こう、うっかりビリっとなって、きゃー!とか言いつつ両手で体を隠すようにして恥かしがったり・・・・・・。
  いや、ナイミはそこまでしないか・・・・・・。
  平然としてそうだ。

「ミィナはまだまだね」
「ど、どういう意味ですか~?」
「いい?覚えておきなさい。この裂けている部分は武器になるのよ」

 ナイミは胸元の少し裂けている部分を指差した。

「武器~?」

 ミィナは意味が分からず首を傾げた。

  ナ、ナイミのやつどこでそんな知識を・・・・・・。
  とりあえず、ミィナがいらない事を覚えないうちに話を戻しておこう。

「ミィナ。とりあえずナイミが着れそうな服をいくつか渡してやってくれ。お金が出来次第新しいのを買うから」
「わかりました~」

  金銭的余裕が無かったからろくにクエストもやらなかったが、リーヤが返さなくていいと言ってくれたしな。
  そのお金を元にして組合でクエストをやろう。
  つーか、申請したアイテムの報酬をすぐ貰えれば良かったんだよなぁ・・・・・・。
  期待して待ってはいるが、たいして貰えなかったり貰えるまでが長かったりしたら悲惨だし。
  やるなら今がチャンスだな。

「それでだ、クエストを何か請けようと思うんだがいいよな?報酬を待ってても、いつになるか分からんし」
「ですね~。それがいいと思います」
「ご主人様、私も何かお手伝いがしたいです」
「そういやナイミも使い魔なんだよな」
「えっと~、センニンさんと私でやったようにやるんでしょうか?」
「それは助かるな。だが、その前にだ。ナイミは魔力のコントロールがどれくらいできるか確めないとな」
「やった事は無いですが、ミィナに出来て私に出来ないはずはありません!」
「む~・・・・・・」
「ミィナ落ち着け。2人で協力して貰うんだから優劣は気にしなくていいだろ?」
「それは~、そうですけど・・・・・・」
「とりあえずだ。ミィナは姉として、ナイミがどれくらい魔力をコントロールできるか試してみてくれ」
「わ、わかりました~。ナイミちゃんは私の真似をしてみてください」
「わかったわ」

 ミィナは黒猫に教わった訓練法をやってみせた。

「流石にもう手馴れた感じだな。首の黒い模様が赤紫色になってる」

  つっても、魔力は見える訳じゃないから、俺にはそれ以外はわからんがな。

「はっ!」

 ナイミは黒猫が説明した訓練を見聞きしてたので、それを真似して実行した。

「パッと見は初めてとは思えないくらい様になってるな」

 さらにミィナは周囲の魔力を集めて野球ボールくらいの大きさの塊を両手の上に作った。
 ナイミはそんなミィナを真似して挑戦する。
 ちなみに、トラジは何をしてるか分かっていない。

「すーはー。はぁっ!!」

 ナイミは気合十分といった感じで目を閉じながら集中していた。

「ナイミすごいぞ!見た目は出来てそうに見えるぞ!!」
「ありがとうございます!ご主人様!!」

 トラジに褒められたのでナイミはご機嫌だ。
 だが、それとは対象的にミィナの視線は冷ややかで、面白くなさそうだった。

「えっと~、ご主人様・・・・・・。まったく出来てないのに、見た目だけで褒めないでください・・・・・・」
「やる気になるなら良くないか?」
「ダメです~。ナイミちゃんに甘すぎです!甘やかすなら私にしてください!」
「で、出来てないんですか!!」
「できてません~!!というかナイミちゃんも魔力は見えるでしょ!」
「心の目で見てたんです!」

 ナイミの使い魔としての道のりはミィナよりも長いようだった。
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