女神様から同情された結果こうなった

回復師

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王都バスツアー編

4-9 液晶モニター?魔法少女チロル?

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 朝早く三田村先輩が先導する騎士団と別れて、先に出発する。

 酔い止めの魔法も乗車前に掛けてあげたので、今回は皆、大丈夫だろう。
 例のひょうたん森だが、運転を山本先生に頼み、俺はバスの上で射程内の魔獣を順次殲滅していく。
 すぐ後を通る三田村先輩たちも、こうしておけば安全に通る事ができるだろう。


 3時間ほどで森を抜け、1回目のトイレ休憩にする。ここで、バスの席順をD班組を前に変更した。
 D班を前にしたのには、ちょっとした目論見が有るのだ。
 危険な森を抜けたので、俺もバス内に戻る……【エアーコンディショナー】の魔法を使わないと外は寒いのだ。



「チロル、良いものを見せてあげよう」

 そういってあるボタンを押す。バスの天井からモニター画面がスライドしてきて、あるDVDが再生される。

 男子寮で見つけた『魔法少女メリル』のDVDアニメだ。

 小学生のメリルちゃんが、ある日可愛い謎生物に魔法少女にされて、増えていく仲間たちと一緒に凶暴な異世界生物を魔法少女に変身して倒すという、よくある『魔法少女もの』の中でも『変身バトルもの』と言われるジャンルのアニメだ。

 再生開始してすぐのオープニングだけでチロルの目が釘付けになっていた。
 そして1話終了時の謎ダンスなエンディングが終える頃には、奴隷娘たち全員が食い入って見ていた。
 ここで一度停止して皆の様子を伺う―――

「チロル、どうだった? 面白いか?」
「ご主人様! これなんなのですか!? すごくおもしろいです!」

「龍馬よ! はよう次を再生せぬか!」

 フィリアはどうやらDVDとかアニメの存在は知っていたようだ……そういえば最初フィリアと会った時、あの部屋にはゲーム機やらモニターが一杯並んでいたな……。

 でも、フィリアさん?……チロルと精神年齢同じなのか? なんか残念な女神様だ……。

「ご主人様!? この動く絵本の続きがまだあるのですか?」
「有るよ。続き見たい?」

「「「見たいです!」」」


 あらら、他の娘たちも凄い喰いつきだ……異世界には無いモノだしね。でもこれ……パッケージには対象年齢3~12歳って書いているよ……。

 次のお昼休憩までの約2時間の間に、2巻6話を一気に見た。途中に在った村に寄ろうかと思っていたのだが、寄らずに素通りした。セバスがいうには観光するには何もない、王都と商都の間にある休憩の為に造られた宿泊村だそうだ。


 今、目の前でチロル・リリー・ベル・フィリア・沙希・雅が、エンディングの謎ダンスをノリノリで歌いながら踊っている……。

「「「特別な~女の子~♪ 正義~のために~♪ 戦う~の~よ~~♪ 魔法少女に~変身~♪」」」

 可愛いのだが、フィリア・沙希・雅は想定外だ……。
 沙希は恥ずかしがり屋なので、普段は目立つ行動はしない……雅も料理部内では毒舌だが、クラス内ではあまり喋らずサイレントモードで隅っこでいる方が多い娘だったと聞いている。

 その2人がノリノリで歌いながら踊っているのだ……『魔法少女メリル』恐るべし―――

 昼食時もメリルの話題でもちきりだ……これなら俺の昨日の苦労も報われそうだ。

 『魔法少女メリル』は2期ものアニメで、DVD全8巻24話の作品なので、暇する事もなく王都に行けるだろう。


 昼食後、出発してすぐにゴブリン4匹に遭遇する……ゴブリンなら丁度いいかな。

「チロルちょっとおいで。ゴブリンが出たよ」
「ご主人様……ゴブリン……こわいです」

「さぁ、チロルが魔法少女に変身して、あの悪者を退治するんだ!」

「「「ヘッ??」」」
「龍馬君……あなた、何言ってるの?」

 桜にちょっとバカにされたが、バカにするのはこれを見てからにしろ!

 昨日工房に籠って造った、胸に付けるブローチを取り出す。
 魔法少女メリルは変身時にこれを握って魔法少女に変身するのだが、それと全く同じデザインで作ってある。

 このブローチには【ファッションドレッサー】の付与を付けた魔石と【亜空間倉庫】を付与してある。


 バスの外ではゴブリンが棍棒でバスを叩いているが無視だ!

 チロルのメイド服の胸元にブローチを付けてあげる。

「さぁ、それを握って魔力を込めて呪文を唱えるんだ!」

 チロルは???ながらもブローチを握り締め、さっきまで見ていた魔法少女メリルが言っていた呪文を唱える。

「ドレスメイクアップ!」

 チロルが魔力を込めると全身が光って、ドレスチェンジが完了する。

「「「エエッッ!!?」」」

 クククッ! 我ながら完璧だ!


 ブローチの【亜空間倉庫】には6つの品が入っている。

【ファッションドレッサー】の登録内容
 ・頭:魔法少女チロルの変身リボン
 ・服:魔法少女チロルの変身ドレス
 ・手1:魔法少女チロルの変身手袋 
 ・手2:魔法少女チロルの杖
 ・足1:魔法少女チロルのハイソックス
 ・足2:魔法少女チロルの靴


【魔法少女チロルの杖】
 ・火と水の魔石を仕込んであり、初級魔法の【ファイアスピア】と【アイススピア】が発動できる
 ・【ホーミング】の付与魔石を内蔵してあるので狙い通りに当てられる
 ・将来魔石を交換する事によって、初級魔法を中級や上級に変更できる

 これは『魔法少女メリル』の持っている魔法スティックとまったく同じデザインの可愛い杖だ。
 全体の色はピンク色をしていて、杖の先端にピンクと白の大きな花弁が咲いたようなモノがクリスタルを包み込むようにデザインされている。手元の赤い魔石に魔力を込めれば【ファイアスピア】が発動し、水色の魔石に魔力を込めたら【アイススピア】が発動する仕組みだ。レベルが上がったら上位魔法に変えてあげようと思っている。

 衣装の方にも【シェル】と【プロテス】【フロート】を付与してあるので、下級魔獣なら殆んどダメージはないだろう。【フロート】効果でフヨフヨとだが空も飛べる優れものだ。

 衣装デザインは魔法少女ものに良くある、可愛いミニスカートのフリフリのゴシック調ドレスだ。赤いドレスにピンクと白のフリルがふんだんにあしらわれている……吸血蝶の糸を使った超高級品だ。
 手袋とハイソックスは白を基調とした可愛いデザインにしてある。靴は赤い色をしたモノだが、これも可愛いデザインにした。イメージが湧かない人は、有名な『プリキュア』のデザインを思えば大体どのようなモノか分かるだろう。

 衣装全てに【自動サイズ調整】を付与してあるので、使った生地は大人のLサイズと同じ量だ。

 【ファッションドレッサー】は俺のオリジナル魔法で、登録してある装備品に一瞬で着替える事のできる魔法だ。光のエフェクトが掛かり、第三者からは着替える際、裸が一切見えない仕様になっている。


「うん、良い出来だ! チロル可愛いぞ!」
「ご主人様! へんしんした! チロルへんしんしたよ!」

「龍馬君、あなた昨日工房でナニ造ったのよ……」
「桜、そんな事は後だ。さぁ、チロル。赤い魔石に魔力を込めれば【ファイアスピア】が、青い魔石に魔力を込めれば【アイススピア】が先端のクリスタルから出るから、外のゴブリンをやっつけよう!」

「ご主人様? この魔法スティックで魔法がうてるの?」
「そうだぞ。魔力を込める時に狙う場所をよく見てイメージすると、そこにちゃんと当たるからな。狙うなら頭が良いぞ」

 杖と言わず、魔法スティックと言う辺り、既に魔法少女に毒されている証拠だ。

 取り敢えず安全なバスの屋根に窓からフヨフヨと飛んで上がり、その上から練習させてみた。
 初級魔法だが、最下級魔獣のゴブリンなので1発で倒せている。

「ご主人様! チロル1人で倒せたよ! あっ、レベルも上がった! ヤッター!」

 チロルは可愛く大はしゃぎだ。

「龍馬! チロルだけずるいのじゃ! 妾にも造って欲しいのじゃ!」
「ん! 私も欲しい!」
「龍馬先輩! 私も欲しいです!」

 バス内に戻ると、フィリア、雅、沙希が自分も欲しいとねだってきた。

「中1にもなって魔法少女は止めようよ!」

「ん! 30過ぎの痛いコスプレイヤーも居る! 魔法少女は永遠の憧れ!」
「そうです! 龍馬先輩は分かってないです!」

「「ご主人様……私も欲しいです……」」

 参ったな……一緒に踊っていたベルとリリーまで、言いにくそうにおねだりしてきた。

「杖はともかく、魔法衣裳はちょっと時間が要る……」

「「「リョウマ君! それ、私も欲しい!」」」

「レイラさんたちは却下です!」
「「「ケチ!」」」



『ナビー、フィリアはブルー、雅はグリーン、沙希はホワイト、ベルはイエロー、リリーはピンクで衣装を作ってやってくれるか?』

『……各自の得意属性の色ですね……了解です。杖の付与はどうしますか?』

『フィリアには上級と中級の氷系、雅は風系、沙希は回復とアイス系、ベルは雷系の初級のみ、リリーは土系の初級のみの付与魔石で良いだろう』

『……マスター、どうしてベルとリリーは初級のみなのですか?』
『獣人はMP量が少ないだろ? 中級魔法を連発していたらレベルも低いのだからぶっ倒れるぞ』

『……確かに……了解しました。一度造ったものなので、【プランクリエイト】ですぐにできます。染色に少しお時間を頂きますね』


 1時間後に魔法少女隊が出来上がった―――

 今バスの外でキャッキャと6人の魔法少女がオークとゴブリンの混成部隊に魔法を放っている。
 どう見ても過剰戦力だ……【フロート】で空中に居るので、オークたちは何もできず殺されていく。

 一分もしないで、8頭居たオークの混成部隊は倒された……そして6人が並んで決めポーズまでしている。

「龍馬君……あれどうするの? 可愛いんだけど、ちょっとあれはどうなの……」

 桜が半笑いで俺に言ってきた……。

「チロル以外は想定外だった……どうせあんなおもちゃすぐ飽きるだろう……放っておこう……」

 他の獣人たちもめっちゃ欲しそうにしているけど……気付かないフリをしよう。

「旦那様、他の獣人たちも欲しそうにしていますよ。獣人は魔法適性が低いので、魔法を放てるあのステッキは魅力的なのでしょうね」

 セバス……俺が気づかないフリをしているのを知っていて、何故話を振ってくる!

『……ミーニャ、ルフィーナ、アルヴィナも凄く欲しいのに、マスターに声を掛けられないでいるのをセバスは不憫に思ったようです』

『成程……でもあの衣装はちょっと彼女たちには痛々しいだろ?』
『……彼女たちには幼児向けアニメとかの概念は無いので、可愛いドレスとしか認識されていませんよ。しかも付与付きの高級装備なので尚更声を掛けられないでいるのです』

 どうやらチロルの為に造った俺のお遊び装備は、この世界ではレジェンド級の装備品になるようだ。


「フィリア、雅、沙希……悪いが飽きたらフィリアはアルヴィナに、沙希はルフィーナに、雅はミーニャにその玩具をあげてくれないか?」

「そうじゃな……解かった……妾も欲しいが、確かに妾たちからすれば戦力を下げる玩具にすぎん」
「ん……刀の方が遥かに攻撃力は高い……解かった、ミーニャにあげる」
「…………」

 そういえばC班だった沙希には何もまだ特別な武器はあげてなかったな。

「ヒーラーの沙希には、後で全属性の上級魔法を放てる魔法の杖を造ってあげるからね」
「本当ですか!? はい! ならこれはルフィーナさんに差し上げますね!」


 他にも何人かに武器を造る事になった。
 王都に着いたらレベル上げに行くので、元々戦力アップの為に造るつもりだったので良しとしよう。

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 お読みくださりありがとうございます。

 チロルのオモチャに1話まるまる使ってしまったw
 作者的には面白いのではないかと思って書いたのですが……どうでしたでしょうか?
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