女神様から同情された結果こうなった

回復師

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学園ロワイヤル編 1日目

1-1-1 学園転移?説明は?

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 俺は今、先日買ったロープワークの本を見ながら、首吊り用の輪っかの部分を作製中だ。

 これで何をするのかって?
 首を吊るんだよ……もちろん自分用だ。

 どうして? どうしてだろう……なんでこうなってしまったんだろう?

 今更だな、もう覚悟はできている。
 でもどうせなら楽に死にたいので、その為の下準備は万全だ。

 滑りが良くなるように蝋を塗るといいと書いていたのでちゃんとロープに塗ってある。
 腕にかけて試しに引っ張ってみると、良い感じにシュルッと滑って簡単に輪っかの部分が絞まった。

 うん、良い感じだ。

 もし途中で引っかかって上手く絞まらなかったら苦しむだろうと、念のために通販で7万もするハンティングナイフを買ってある。

 この世での最後の買い物だ。失敗の時はロープをこれで切って脱出するためだ。
 これで自分を刺すのじゃないよ……もう痛いのや苦しむのは極力嫌なのだ。
 上手く首の頸動脈が絞まると、脳に酸素が供給されなくなり酸欠で苦しむ前にすぐ気を失なえるらしい。
 気を失っている間に死亡できるならさほど苦しまなくて良いかもと考えたのだが、上手くいくと良いな。



 さぁ準備はできた、最終確認だ。

  ・パソコンに入っている人に見せたくない、ムフフな動画は全部消去
  ・絞まる輪っか付きロープ
  ・失敗時脱出用のよく切れるハンティングナイフ
  ・死亡時垂れ流さないように浣腸完了、排泄OK
  ・部屋の掃除もよし
  ・遺書も書いた
  ・俺に死を決意させた奴らへの仕返しも準備万全

 最後に安定剤を5錠ほど水で飲んで完了だ。
 べつに5錠飲んでもちょっとふわふわ感があるぐらいのもので、市販の薬で痛みを感じないほどの効果があるものは売っていなかった。

 少しでも死への恐怖や痛みが軽減できればいいかというぐらいのものだ。




 学校の裏山を少し登った所にある大きな木の枝にロープを吊るして、その木の枝の上から海に沈みゆく夕日を見ていた……綺麗だな。

 夕日なんか暫らく見ていなかったのに、死を覚悟したらとても美しいものに感じるから不思議だ。
 後は首に輪っかを通して飛び降りればいいだけだ。



 その時、急に視界が歪み地面が大きく揺れた。地震だ!

 しかもかなりデカい。震度6はありそうだ! 俺は当然その揺れで枝から落っこちた。
 運が良いのか悪いのか、腕が輪っかに通っていて枝に宙ぶらりんになっている。

 クソッなんて間が悪い! どいつもこいつもバカにしやがって! 天災まで俺をコケにするのか!

 揺れが収まった後、ロープは切らずにつたって登っていき、枝の上で輪っかを腕から外した。

 擦れて少しだけ血が滲んでいる腕を確認して顔を上げたのだが、直ぐにいくつかおかしな点に気付いた。
 うん? さっきまであった夕日がない。いや正確には見ていた逆の位置に太陽が出ている……夕日ですらない。

 海が見えないといけない筈なのに草原が地平線まで広がっている。
 校舎裏の山手には本来すぐに山頂が見えていたのだが、樹齢数百年規模の大森林かと思えるほどの広大な緑が生茂る山がそびえたつ。海どこ行った?……俺、知らない間に死んじゃったのかな?

 当然そんな風に考えたのだが、山の上の方から誰かが下りてきている。今の状況はおかしな事だらけなのだが、とりあえずこの現場を見られるのはまずい。自殺現場を見つかって止められたら学園中の大騒ぎになる。なんとかごまかさないと!

 俺はぶら下がっているロープを手繰り寄せ、このまま木の上でやり過ごそうとロープを枝から外し、息をひそめて通過するのを待った。

 俺の居る木から20mほどにまで近づいた辺りで、人でないのが目視で分かった。

 なんだあれ?……ゴブリン? いやオークだ!

 体高は2mちょっと、緑色した肌に相撲取りのようなでっぷりした体型だが、筋肉質で相当力がありそうな体。顔は豚8:人2ぐらいの割合の風貌をしている。

 耳は豚耳、鼻は豚鼻で下顎には牙がある……全く可愛くない。

 短い脚だが二足歩行で獣道を下ってきている。
 警戒しながらのゆっくりした足取りだが、こちらに向かってきているのだ。

 どうなっているんだ? 何が起こっている?

 オークは手に槍を持っている……訳分かんないけど絶対見つかったらヤバいよな?
 大抵のゲームやラノベだとオークやゴブリンは最弱の部類……でも、奴は俺より遥かに強そうだ。

 どうしよう、もうすぐ下に来る。
 状況が分からないうちは隠れてた方が良いと判断し、じっとしてやり過ごす。

 あ! 目が合ってしまった。じっとしてたのに何でこっち見るんだよ!
 オークは駆け寄ってきて、ブヒブヒッと言いながら槍を突き出して木の上の俺に攻撃してきた。

 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!

 ロープの輪っかを広げてオークの首に投げ縄のように投げて引っ掛け、そのまま反対側に飛び降りて首を吊ってやろうとしたのだが、重くて吊り上げられない。しかもオークは槍先の刃で、ロープを切ろうとしている。

 俺は腰のハンティングナイフを抜き、オークの腕を切りつける。腱まで達したのかオークが槍を落とした。

 チャンスは今しかない!

 必死でロープを引き、木に巻き付け、梃子の要領で引くのだが、つま先立ちからどう頑張っても持ち上がらない。

 早々に吊るすのはあきらめ、そのまま爪先立ちの状態になるように木にロープを固定する。
 オークが落とした槍で心臓付近を3回ほど刺しているうちにヤツは動かなくなった。

 次の瞬間、オークが光とともに消えて無くなった。
 同時に俺の体も光源とともに消えて、どこかの部屋に一瞬で転移した。


 光が治まって真っ先に目についたのが、畳の部屋の中央でこちらに土下座をしている小さな女の子だ。

「………………」
「………………………………」

「其方、なぜ何も言ってくれないのじゃ!」
「そっちから話すのが道理でしょ! なに切れてるんですか! それに『そなた』とか『じゃ』ってナニ!?」

「其方らには本当にすまぬことをしてしもうた。謝って済むことではないのじゃが許しておくれ」

 見た目は可愛い子供だが、何か神々しさを感じる存在だ。

「さっぱり状況が分からないのですが? 説明はちゃんとしてくれるのですよね?」

「もちろん懇切丁寧に説明させてもらうが、その前にそちに質問して良いかの?」
「何でしょう?」

「学園を転移させてしまってから、すぐに観察し始めたのじゃが、其方は木にぶら下がって何をしておったのじゃ? 最初に見た光景があれだったので不謹慎じゃが思わず笑ってしまったぞ」

「転移させてしまった? つまり、あなたが何かやってしまったが、それは意図して行った事じゃないということですか? う~ん、学園転移? 気になるワードが盛り沢山ですね……」
「えっ! 其方、自殺しようとしていたのか! なぜそのような愚かな事を!? 自殺など絶対ダメじゃぞ!」

「あなた、心が読めるのか!? 勝手に覗かないでください!」
「今は心までは読めぬ……それほど大した能力ではない。其方が考えた事が分かる程度じゃ」

「十分凄いじゃないですか。それに今はって……今も後も勝手に人の考えを読まないでくださいね」
「でもなんで自殺なんかしようとしたのじゃ? 絶対ダメじゃぞ」

「仕方がないのです……それより説明の続きをお願いします」
「虐めじゃと……? 妹の為? 世話になった養父の為? どういう事じゃ?」

「だから勝手に思考を読まないでください!」
「妹をあいつらに見られてしまった? 奴を殺そうと決意したけど家族に迷惑がかかるから……」

「それ以上覗くな!!」
「ほう、凄い殺気じゃの……じゃが妹を見られたくらいでどうして……」

「いい加減にしろ! お前なんかこうしてやる!」
「キャッ! 其方なんてものを妾に見せるのじゃ!」

 見た目10歳ぐらいの可愛い女の子を殴る訳にもいかず、俺の取った行動は昨晩死ぬ前にと全て消したハードディスクに入っていた、最後に楽しんだムフフなお楽しみ動画を頭に思い浮かべたのだ。

 そう、つまりは18禁なやつである。
 いや正直に言う……18禁じゃない違法なモザなしの裏動画だ!

 10歳くらいの女の子になんて事するんだと我ながら思ったが、効果はてきめんで顔を真っ赤にして俯いてしまった。俺が何で10歳ぐらいの女の子に敬語で話しているのかは、人間より遥かに上位の神的な者だと何となく感じてしまったからだ。

「ごめん、ちょっとやり過ぎた。ごめんよ……でも、もうこれ以上俺の心を抉らないでよ」
「妾こそすまなんだ。じゃが自殺は絶対ダメじゃぞ。この世界は弱肉強食の世界じゃ。自殺するくらいなら戦って死になさい」


 目の前の少女は自殺するくらいなら戦って死ねという。
 時代錯誤なおかしな口調の痛い少女は、自分が何者かの説明もなく、只、可哀想な者を見るようにこっちを見つめている。

「人の考え読んでないでちゃんと説明しろよ!」

 少女が居る部屋で俺の叫びが虚しく木霊する。


   *********************************************************
 お読みくださりありがとうございます。
 この作品は私の二作目にあたるものです。

 この作品の元ネタは『JKとオーク兵団』という少し前のエロアニメを参考にしています。



 ただ女子高生を犯すだけの中身のないエロアニメでしたが、参考にしたのは、イジメ・学園転移・オーク凌辱といったところです。のちに出てくる美弥ちゃんのロッカーに隠れるシーンとかもそうですね。



 中身のないエロモノに、よくある鉄板的内容の話を肉付けしていってできた物語です。

 できるだけリアリティーを出したかったので、不快になるシーンもあると思います。
 18禁に該当しそうなシーンは随時カット改稿しています。


 誤字脱字、句読点のおかしな場所も多々あります。
 どこかおかしな箇所を見つけたら、ご指摘くださると作者的に大変助かります。


 チート・ハーレムタグを付けています。
 チーと過ぎて面白くない。ハーレムキモッて方はそうそうにご退場ください。
 努力して徐々に強くなるような育成系ではありません。


 拙い文章ですが、楽しんでもらえたら幸いです。 
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