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初めての朝
29.夜のお仕事(オメガ視点)
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※オメガが具体的な自死の方法をほのめかす記述があります。
苦手な方は飛ばしてください。
誤解はすぐ解けますので、自害する心配は暫くしなくて大丈夫です。
僕の為に朝も夜も一生懸命に働いてくれる、良い主人に買われて良かったなで、次の話に移ります。
--------------------------
<蒼空視点>
なんかとんがったもので、喉とかを一突きすればいいかな。
後でキッチンを探してみよう。
お箸くらいはあるはず。
あ、そういえば、ちょっと怖いけれど下から目を突けば、そのまま脳まで突き刺さって、お箸でも死ねると聞いた事があったかもしれない。
もう具体的な死に方まで考え始めた僕には、次の一言は全くの想定外だった。
「だから、恥ずかしながら、夜勤の仕事を追加しようと思って、今日面接に行くんだ。
本当はこんなこと恥ずかしいから黙っていこうと思っていたんだけど、これからもしかしたら夜は内線に出られないかもしれないから。黙っていたら心配させてしまうんじゃないかと思って、正直に蒼空くんに話すことにしたよ。」
え。あなたが夜に働くんですか?
と危うく口から出そうになったが、なんとか口を噤んだ。
じゃあ、君が夜に働いてくれるかい?と言われたら困るからだ。
「その、食べ物とかも、質素倹約になってしまうが、誓って、自分より良いものを蒼空くんには食べさせてあげるつもりだから。
自分だけ贅沢をしたりは絶対にしないと誓う。
私はアルファだから、量は蒼空くんより多く食べてしまうかもしれないけれど、朝と夜は出来る限り同じものを用意して、蒼空くんには一品多く食べさせてあげるつもりだから。
だから、その、蒼空くんに質素な食事しか与えないのは、蒼空くんを軽んじている訳ではなくて、本当にお金が無いというか、なんというか…。
恥ずかしいんだが、そんな感じなんだ。
だから、絶対に、絶対に、勘違いしないでほしいんだ!」
彼は必死に言い募ってくる。
余りに予想外の展開に話が進むものだから、なるほど。それで朝ご飯は僕の分だけリンゴが付いていたのか。なるほどな。とどうでもいいことをつい考えてしまった。
「私がもっと資産家でお金持ちのアルファだったらよかったんだが、私の両親兄弟みんなベータの普通のサラリーマン家庭でね。父だけの稼ぎでは足りなくて、母もパートに出て家計を助けている位にはお金がないんだ。
オークションの司会が言った煽り文句が現実になるのが怖くて、蒼空くんを助けなければと、資産も無いのについ無謀な入札をしてしまった。
私の中途半端で自分勝手な正義感のせいで、お金持ちのアルファに買われていたらしなくてもよかった苦労を君にさせてしまう。
本当に申し訳ない!
でも、絶対に蒼空くんを大切にするから!
私は、もう生涯君だけを愛すると誓うし、絶対に他のオメガになびかないし、本当に蒼空くんだけを大切にするから、だからどうか許してほしい!」
目の前のご主人様は、そう言ってまた僕に頭を下げた。
さっきから何回この人に頭を下げられたのだろう。
謝罪の文句を言う度に頭を下げてくる。
その必死さと真摯さに、あぁ、僕はいいご主人様に買われたんだなと実感が湧いた。やっと本当の意味で心の荷が下りた気がした。
苦手な方は飛ばしてください。
誤解はすぐ解けますので、自害する心配は暫くしなくて大丈夫です。
僕の為に朝も夜も一生懸命に働いてくれる、良い主人に買われて良かったなで、次の話に移ります。
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<蒼空視点>
なんかとんがったもので、喉とかを一突きすればいいかな。
後でキッチンを探してみよう。
お箸くらいはあるはず。
あ、そういえば、ちょっと怖いけれど下から目を突けば、そのまま脳まで突き刺さって、お箸でも死ねると聞いた事があったかもしれない。
もう具体的な死に方まで考え始めた僕には、次の一言は全くの想定外だった。
「だから、恥ずかしながら、夜勤の仕事を追加しようと思って、今日面接に行くんだ。
本当はこんなこと恥ずかしいから黙っていこうと思っていたんだけど、これからもしかしたら夜は内線に出られないかもしれないから。黙っていたら心配させてしまうんじゃないかと思って、正直に蒼空くんに話すことにしたよ。」
え。あなたが夜に働くんですか?
と危うく口から出そうになったが、なんとか口を噤んだ。
じゃあ、君が夜に働いてくれるかい?と言われたら困るからだ。
「その、食べ物とかも、質素倹約になってしまうが、誓って、自分より良いものを蒼空くんには食べさせてあげるつもりだから。
自分だけ贅沢をしたりは絶対にしないと誓う。
私はアルファだから、量は蒼空くんより多く食べてしまうかもしれないけれど、朝と夜は出来る限り同じものを用意して、蒼空くんには一品多く食べさせてあげるつもりだから。
だから、その、蒼空くんに質素な食事しか与えないのは、蒼空くんを軽んじている訳ではなくて、本当にお金が無いというか、なんというか…。
恥ずかしいんだが、そんな感じなんだ。
だから、絶対に、絶対に、勘違いしないでほしいんだ!」
彼は必死に言い募ってくる。
余りに予想外の展開に話が進むものだから、なるほど。それで朝ご飯は僕の分だけリンゴが付いていたのか。なるほどな。とどうでもいいことをつい考えてしまった。
「私がもっと資産家でお金持ちのアルファだったらよかったんだが、私の両親兄弟みんなベータの普通のサラリーマン家庭でね。父だけの稼ぎでは足りなくて、母もパートに出て家計を助けている位にはお金がないんだ。
オークションの司会が言った煽り文句が現実になるのが怖くて、蒼空くんを助けなければと、資産も無いのについ無謀な入札をしてしまった。
私の中途半端で自分勝手な正義感のせいで、お金持ちのアルファに買われていたらしなくてもよかった苦労を君にさせてしまう。
本当に申し訳ない!
でも、絶対に蒼空くんを大切にするから!
私は、もう生涯君だけを愛すると誓うし、絶対に他のオメガになびかないし、本当に蒼空くんだけを大切にするから、だからどうか許してほしい!」
目の前のご主人様は、そう言ってまた僕に頭を下げた。
さっきから何回この人に頭を下げられたのだろう。
謝罪の文句を言う度に頭を下げてくる。
その必死さと真摯さに、あぁ、僕はいいご主人様に買われたんだなと実感が湧いた。やっと本当の意味で心の荷が下りた気がした。
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