【完結】もう一度君に蒼空を見せたい〜奴隷オークションで高額な処女地下オメガを買ってしまったので借金返済に追われています〜

世界恐慌

81．売却先決定2

　俺は蒼空の姿は見せたくなかったから、地下室を見せる時には男には一旦外に出ていて貰い、職員立ち合いの元で蒼空を二階の書斎に避難させた。
　にも関わらず、その男は地下室に入るや否や不思議な事に手を振っている。なんだ？と思ったら、地下の監視カメラに向かってだった。
　まぁ、気持ちは解る。なんかカメラに気付くと手を振りたくなる時もあるよな。


　ソイツは一通り地下室の中を見ると、何故か地下の食卓に腰かけて俺にも席を勧め、地下オメガとの生活はどうかと聞いてくる。
　俺は戸惑ったが、オークション組織の職員も頷くので、まぁ順調ですと言葉少なげに話した。

　ソイツは余程誰かに自分の地下オメガの事を話したかったのか、ベラベラと自分が地下で飼っている子はうんちゃらなんちゃらと話してきたが、凄いな。見た目五十代後半のその男と同い年の地下オメガを飼っているらしい。
　相当長く大事にしているんだな。この家も大事にしてくれそうで良かった。


　ソイツはかなり話し好きであれこれ聞いてくるものだから、俺はチラチラとオークション職員の反応を見ながらも、蒼空くんとのことをそれなりに話してしまった。俺も誰かに話を聞いて欲しかったのかもしれない。


　なるほど。今回はオークション組織の職員がＧＯサインを出してくれたから多分いいんだろうが、他人に話してはいけないというオークション規約があるし、こういう機会でも無ければ飼っている地下奴隷の事は人には話せないんだな。
　それに、確かに地下オメガの話はお互いに地下オメガを持っている者同士じゃないとなかなか話せないよな。気持ちは解る。
　と思ってうんうんと聞いていたら、相手が飼っていたのはなんと地下アルファだった。え！？五十代後半の地下アルファ？凄い趣味をお持ちだ。

　なんとなく寒気がする。もし俺が家を売る選択肢を思いつかなければ、俺もそうなっていた可能性がある訳だ。なんとも恐ろしい。


　変なところで後味は悪かったが、そんなこんなで無事トントン拍子に家は売れた。


　それでも平常時の土地の評価額4千万円、建築費3千万円から比べると大分割安ではあるが。不動産市場が暴落している今、都心から1時間半以上離れているこの家が5千万円もの値段がついたら万々歳だ。


　仲介手数料は法定満額の3パーセント＋6万円だったため、売り買い両方で230万円の仲介手数料がかかるし、なんやかんや引っ越し費用などもかかるが、それでも購入不動産との差額は2,400万円程ある。


　これだけの金額を一括返済すれば、現在月々88万支払っているローン金額が、10万円も減る。
　それによって、なんとかローンの返済額を月の手取り給与の範囲内で納める事が出来る。
　あとは俺が土日の資材バイトを頑張ればいい。本業の仕事の方も交渉が一巡して落ち着いてきたし、またイベント設営の夜勤も本格的に再開できそうだ。ギリギリになるかもしれないが、ボーナス払いもどうにか出来そうだと俺はほくそ笑んでいた。


　しかし、この一件はそんなに簡単には終わらなかった。