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第一章
三つ指
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『いいかとはなんだろうか。まさかまさかもう俺を食おうというのか。俺もまだ食ってないのに』
「二日間何も食べてなくてお腹が空いているんです。まずは食事をさせてくれませんか?」
今にも服をはぎ取ろうとしていた手をやんわりと制しながら、陽向は上目遣いを意識してみた。少しは性処理係っぽく、しおらしく見えるだろうか。
ネオはそのあまりのかわいさに言葉を失いながらも、すくっと潔く立ち上がった。
「悪い。そこの机に置いてあるものは自由に食べてくれ。少し出てくる」
もちろん、大きく膨れ上がりビンビンに主張しているナニかを処理する為である。
「ありがとうございます! 助かります!」
陽向は大人の包容力を駆使した。怖いほど立ち上がっている一点は見ずに、相手の気が変わらないうちにとすぐにテーブルにかじりついた。
『アレの対処についてはまた後だ。今は何も考えまい。
腹が減ってはなんとやらだ』
とりあえず一口。
『うま~~い!
五臓六腑に染み渡るとはまさしくこのこと。優しい味付けと薄めのスープがうれしい。やっぱりアイツは良いやつだ!』
野菜も肉もほろほろに崩れ、とろみのついたスープが胃の奥で膨らむ。一度はこぼれ出した生命力が、また身体に戻ってくるかのようだった。
勢いよく食べ終わって陽向が匙を置くのと、ネオが扉を開けて戻ってくるのはほぼ同時だった。股間の膨らみもだいぶ落ち着いている様に見える。
『お? 危機は去ったか?
安心したらもっとお腹が空いてしまった』
「おかえりなさいませ。その……大変厚かましいお願いなのですが、おかわりを頂戴することはできますでしょうか」
「それは構わないが……。あまり一度に食べ過ぎるとお腹を壊すぞ」
そうは言っても、陽向はまだまだお腹が空いている。もっともっと食べたい。
「っすみません! はしたないことを申し上げました。でも、その……まだ……」
「いや、いい。あと少しだけ、よそおう。
食べ物は常に豊富にあるから心配しなくても良い。それくらいの甲斐性はある。もう一生飢えさせることはないと誓うよ。」
『今一生って言った!? 言ったよな?
ってことは、年を取って、飽きられてポイされることは無いってことか?』
よもや自分が、男から飽きられて捨てられる心配をすることになるとは。
家に十分量がストックしてあるのはもちろんのこと。コンビニに行けば24時間いつでも食料が手に入る現代人にとって、飢えるというのは初めての経験だった。
むやみにこの家を飛び出して、仕事の宛てもないこの世界でその日の宿と飢えと戦うか。
この身体を差し出して、定宿と食料を取るか。
この二択で、陽向は後者を取った。
肉体労働が絶望的なもやし現代人29歳では、前者を選んでも明るい未来はない気がしたのだ。
それに……この目の前の青年が、悪い人には見えない。
服の上からでも解るあの立派な膨らみをもつ男の中の男に、身体を差し出すのは怖い。だが、少し接した感じは温厚そうで、そう無体なことはされない気がした。
少なくとも、この世界のことや恐竜のことをもっと知ってから、逃げることを選んでも遅くはないだろう。
だって、この世界には恐竜がいるのだ!陽向は願わくば、この恐竜保護区でネオと過ごすことで、恐竜博士的な立ち位置を手に入れたいという野望があった。
突然こちらに来れたのだ。ならば、突然戻れることもあるだろう。
もしそうなった時に、世紀の大発見の数々を現代に持ち帰れる。とても夢がある道だ。
大好きな恐竜の為ならば、この身の一つや二つくれてやろう。
「ありがとうございます! 末永くお世話になります。
不束者ですが、何卒よろしくお願いします!」
陽向はテーブルにちょこんと三つ指を付くと、深々と頭を下げた。
『バタンッ』
急に立ち上がったネオの後ろで、椅子が大きな音を立てて倒れたかと思うと、次の瞬間にはもうネオの腕の中にいた。
まるで獣の跳躍のようなスピード。動きが早すぎる。
『この運動神経と反射神経の持ち主から逃げおおせることは、難しいだろうな』
荒い鼻息から、相手の興奮が伝わってくる。
やはり、もう今日からお勤めを果たさないといけないだろうか。初日くらいは多めにみてもらえないだろうかと陽向が懇願の目で見上げると、ギラギラと輝く燃ゆるような瞳とかち合った。
『あぁ……。食われる』
外はもうすっかり暗くなっていた。長い長い夜のはじまりだった。
「二日間何も食べてなくてお腹が空いているんです。まずは食事をさせてくれませんか?」
今にも服をはぎ取ろうとしていた手をやんわりと制しながら、陽向は上目遣いを意識してみた。少しは性処理係っぽく、しおらしく見えるだろうか。
ネオはそのあまりのかわいさに言葉を失いながらも、すくっと潔く立ち上がった。
「悪い。そこの机に置いてあるものは自由に食べてくれ。少し出てくる」
もちろん、大きく膨れ上がりビンビンに主張しているナニかを処理する為である。
「ありがとうございます! 助かります!」
陽向は大人の包容力を駆使した。怖いほど立ち上がっている一点は見ずに、相手の気が変わらないうちにとすぐにテーブルにかじりついた。
『アレの対処についてはまた後だ。今は何も考えまい。
腹が減ってはなんとやらだ』
とりあえず一口。
『うま~~い!
五臓六腑に染み渡るとはまさしくこのこと。優しい味付けと薄めのスープがうれしい。やっぱりアイツは良いやつだ!』
野菜も肉もほろほろに崩れ、とろみのついたスープが胃の奥で膨らむ。一度はこぼれ出した生命力が、また身体に戻ってくるかのようだった。
勢いよく食べ終わって陽向が匙を置くのと、ネオが扉を開けて戻ってくるのはほぼ同時だった。股間の膨らみもだいぶ落ち着いている様に見える。
『お? 危機は去ったか?
安心したらもっとお腹が空いてしまった』
「おかえりなさいませ。その……大変厚かましいお願いなのですが、おかわりを頂戴することはできますでしょうか」
「それは構わないが……。あまり一度に食べ過ぎるとお腹を壊すぞ」
そうは言っても、陽向はまだまだお腹が空いている。もっともっと食べたい。
「っすみません! はしたないことを申し上げました。でも、その……まだ……」
「いや、いい。あと少しだけ、よそおう。
食べ物は常に豊富にあるから心配しなくても良い。それくらいの甲斐性はある。もう一生飢えさせることはないと誓うよ。」
『今一生って言った!? 言ったよな?
ってことは、年を取って、飽きられてポイされることは無いってことか?』
よもや自分が、男から飽きられて捨てられる心配をすることになるとは。
家に十分量がストックしてあるのはもちろんのこと。コンビニに行けば24時間いつでも食料が手に入る現代人にとって、飢えるというのは初めての経験だった。
むやみにこの家を飛び出して、仕事の宛てもないこの世界でその日の宿と飢えと戦うか。
この身体を差し出して、定宿と食料を取るか。
この二択で、陽向は後者を取った。
肉体労働が絶望的なもやし現代人29歳では、前者を選んでも明るい未来はない気がしたのだ。
それに……この目の前の青年が、悪い人には見えない。
服の上からでも解るあの立派な膨らみをもつ男の中の男に、身体を差し出すのは怖い。だが、少し接した感じは温厚そうで、そう無体なことはされない気がした。
少なくとも、この世界のことや恐竜のことをもっと知ってから、逃げることを選んでも遅くはないだろう。
だって、この世界には恐竜がいるのだ!陽向は願わくば、この恐竜保護区でネオと過ごすことで、恐竜博士的な立ち位置を手に入れたいという野望があった。
突然こちらに来れたのだ。ならば、突然戻れることもあるだろう。
もしそうなった時に、世紀の大発見の数々を現代に持ち帰れる。とても夢がある道だ。
大好きな恐竜の為ならば、この身の一つや二つくれてやろう。
「ありがとうございます! 末永くお世話になります。
不束者ですが、何卒よろしくお願いします!」
陽向はテーブルにちょこんと三つ指を付くと、深々と頭を下げた。
『バタンッ』
急に立ち上がったネオの後ろで、椅子が大きな音を立てて倒れたかと思うと、次の瞬間にはもうネオの腕の中にいた。
まるで獣の跳躍のようなスピード。動きが早すぎる。
『この運動神経と反射神経の持ち主から逃げおおせることは、難しいだろうな』
荒い鼻息から、相手の興奮が伝わってくる。
やはり、もう今日からお勤めを果たさないといけないだろうか。初日くらいは多めにみてもらえないだろうかと陽向が懇願の目で見上げると、ギラギラと輝く燃ゆるような瞳とかち合った。
『あぁ……。食われる』
外はもうすっかり暗くなっていた。長い長い夜のはじまりだった。
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