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第一章
*下準備
しおりを挟む腹の中は空のままの方が良いだろうと、陽向は夕食前に準備に取り掛かることにした。
男同士の交わりの知識が全くないネオには、陽向の意図は解らないだろうがそれでいい。陽向自身でもまだ、この準備が成功するかわかっていないのだから。
「じゃあ、僕が上がってくるまで待っててね。冷めても食べられる料理を作っておいてくれると助かるかな」
それが陽向の精一杯の夜のお誘いなのだと的確に理解したネオは、冷めてもおいしい夕食をルンルン気分で作り始めた。いつものように陽向がベッドの上で動けなくなった時用に、ネオが食べさせやすい一口サイズの軽食だ。
さて、浴室で一人になった陽向は考える。一人暮らしを始めた頃に、興味本位で後孔を使った自慰をするために洗浄をした経験はあるのだが、シャワーというものが無いこの世界で、どうやって洗浄をしたら良いのだろうかと。
そう。陽向は今夜、ネオと繋がりたいと考えていた。
湯船に浸かったり、桶でお湯をかけるだけの設備では、後孔に入れられる水流がない。やはり指を突っ込んで物理的に掻き出す以外方法はなさそうだ。
そのためには何かぬめりになりそうなものをと考えたが、この世界の昔ながらの石鹸は後孔に入れたらキシキシしそうだ。
ということで、陽向は台所から植物油をくすねてきていた。我ながら準備が良いぞと幸先の良いスタートに陽向は少し満足気だ。
少量を手に取り、まずは人差し指を油に浸した。粘度が足りないが、他に方法はない。
陽向は、震える手を十数年ぶりに後孔に伸ばした。
『最初が一番緊張するんだよなぁ』
まずは一本。入口を軽くほぐす様に押し広げる意識で指を出し入れしてみる。もう若くないからと思っていたが、身体はまだ柔軟だったようだ。指一本を難なく受け入れた。
油を足して、指を二本に増やしてみる。
一応過去には一度バイブが入ったところだ。それも問題はなかった。
だが、指を三本に増やそうとしたところで、浴室の入口に立ちすくむネオの存在に気が付き、陽向は大きな目をこれでもかと見開いたまま凍り付いた。
「え……」
「ヒナタ、これは一体……」
『見られた! 見られた見られた見られた見られた!』
陽向は、どうして良いか解らず、湯船に逃げ込んでネオに背を向けた。手に残っていた油が水と反応して、白く滲む。
ネオは、予期せず見てしまった陽向の痴態に放心状態だった。料理で使おうとした植物油の瓶の行方を陽向に聞きにきたというここにきたという目的も忘れてしまうほどに。
「えっと……これは。っその……」
突然のこと過ぎて、何と言ったらよいのか陽向も解らない。
でも、どうせ後で言うのだ。見られてしまったからには、もう今言ってしまっても良いだろう。
「今日は、ネオと繋がりたいと思って……」
「俺も同じ気持ちだ。油を使うのは良い案だが、一人で楽しもうとしていたのなら感心しないな」
「ちがっ!これは一人で楽しんでたんじゃなくて、洗浄と拡張をしよう……と」
急いで否定する陽向の声が、だんだん小さくなっていく。
『恥ずかしいっ。なんでこんなことを説明しようとしているんだ』
陽向は穴があったら入りたいほどだった。油でべとついた手に構う余裕もなく、両手で顔を覆って羞恥に耐える。
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