【完結】会社をクビになったら異世界で追放魔術師に性処理係として拾われました

夜曲

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第二章ーー招かれざる客

好々爺

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 ブルエ卿の質素な馬車に揺られ、一路王都へ向かう。

 初めて目にするこの世界の外の景色は長閑だった。延々と続く田畑に、時々放牧されている牛や羊。途中で立ち寄った村も古き良き時代の面影をそのまま残していて、陽向はこの旅をとても楽しんでいた。



 王侯貴族というのは平民にとっては厄介で、失礼がない様に常に気を遣わなければならない。そのため、貴族が視界に入れば必ず注目を集め、警戒される。
 それを避けるために、ブルエ卿は貴族に見えるようなものは避け、わざと中堅商人に偽装している様だった。

 例え装飾が少なかったとしても、馬車は高級品だ。質素ながらも仕立てが良い品を所持する様な、信用を大事にする商人の子弟ならば盗みや悪さをする可能性も少なく、余り警戒されないのだろう。

 ネオや陽向がフードを被って歩いていても、誰も気にしていなかった。もしかしたら、背が低い陽向と手をつないでいるから、二人は兄弟もしくは親子だと思われていたのかもしれないが。

 この世界では、髪色も瞳の色も違う二人だったが、堂々と道を歩いていても、フードを被っている二人の瞳をわざわざ覗き込む者はいなかった。

 それに加えて、顔を出しているブルエの好々爺な振る舞いも、偽装に一役買っていたのかもしれない。

 ブルエは町に着けばヒナタを屋台に案内し、まるで孫にするかの様に、あれやこれやと買い与えていた。


 二人だけの旅だったらこうスムーズにはいかなかっただろう。全てブルエのおかげで、道中で楽しく過ごせたと言っても過言ではない。

 気が進まないのかネオの足取りは、少し重そうではあったが。


 だが、王宮に着いてフードを外すと、人々の態度は一変した。

 人々は深く頭を下げたままビクビクとしながら通り過ぎ、視線が交わることは決してなかった。
 案内係も「お部屋へご案内いたします」の一言しか発さず、部屋に案内するとすぐに下がっていった。

 一目で、歓迎されていないことが分かり、陽向はこの豪奢な王宮を堪能するどころではなかった。早く帰りたい。

「謁見は明日になるでしょう。まずは旅の疲れを癒して、英気を養って下され」
 道中でだいぶ打ち解けたブルエまでもが、そう言って下がっていき、部屋にはポツンとネオと陽向だけが取り残された。

 ネオは、この冷たい王宮で育ったのかと思うと、胸が張り裂ける。ネオを一刻も早くこの場から逃がしてあげたい。王様との謁見を無事に済ませて、無事に恐竜保護区に帰りたいと陽向は思った。

「ヒナタ、陛下に会う前に一つ話しておかねばならないことがある」

 陽向が旅装から着替えると、ネオが神妙な顔をして切り出した。その尋常ではない雰囲気に、陽向もつい構えてしまう。

「なんだ?」
「その……」

 しばらくもごもごとして、やっと口を開いたネオの口から飛び出したのは、恐るべき家庭環境だった。
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