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オラネコBL編
9.スズメ(アーティ視点)
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~アーティ視点~
俺はコイツが行きたいと言った観光地を全部案内してやった。と言っても、あれだ。俺も行ったことは無かったから、そこらへん歩いてる奴に聞いてなんとか辿り着いたり、ちょっと通訳してやったりしただけだけど。
アイツは俺と外を歩いたりはしなかったから、俺は外食をしたことも殆どない。
前から食ってみたいと思っていたものややってみたいと思っていた事も、名物だなんだと理由を付けて、色々とやらせてもらった。
ゴーゴーバーやゲイバーにだって行ってみた。俺が働こうと思っても働けない、憧れの場所。
しかも、服屋で替えの服も何着か買ってもらった。俺の様な人間が一人で服屋に入ったらまず追い出されるだろうから、俺の人生で、服屋で服を買える日が来るなんて思わなかったなぁ~。
フルーツが好きだと言うコイツに、初めてドリアンを食べさせて大笑いしたり、普段は食べられない高級フルーツをおねだりしてみたり。コイツが取る観光地の写真に、ふざけて映ってみたり。
あ~楽しかった。こんなに楽しかったのは、人生で初めてかもしれない。俺は一生分笑った気がする。
でも、不満な事が一つだけある。それは、コイツが俺にさっぱり手を出してこない事だ。
俺ってそんなに魅力ないか?
前の日本人だって、一応俺の事は可愛い可愛いと言ってくれていた。確かにちょっと歳をとっちゃったけど、抱けない程って訳じゃないと思う。
ゴーゴーバーやゲイバーでのコイツのスケベな顔を見るに、性欲はあるはずだ。なのになんで、俺には手を出さないんだ?
毎晩同じベッドに寝ているのに。なんで?
正直に言おう。俺は衣食住が満たされて、今は心の余裕がある。そこに漂ってくる男の匂いに、後孔が疼くんだ。アイツに調教された身体が、男を求めているんだ。
こんな立派なタッパがあるんだ。きっとあそこも立派なんだろう?この前ケツで確かめた時には、結構な重量があった。それを俺にくれたっていいじゃないか。ケチ。
聞けばコイツはまだ学生らしいし、そんなに頻繁にはクイに来られないだろう?
だから、一応俺は気を効かせて、ストリートチルドレンの後輩、この地域の一番の期待の星を紹介してあげたりもした。
でも、コイツは会って早々年齢を聞いたら血相を変えて、「イヤイヤイヤイヤ」しか言わずに逃げ帰ってきた。なんとも情けない奴である。
でも、ホッとしている自分も居て驚く。俺、コイツにちょっと惹かれてるのかな。やめてくれよ。
三年前、アイツにまるで拾ってきた猫か何かの様に捨てられた時、誓っただろう?もう客の事は好きにならないって。
いや。猫でも次の里親を探すか。
アイツにとっては、うちに住み着いたスズメをまた自然に戻しただけ。ただそれだけだったんだ。
そのスズメはもう人の匂いが付いてしまっていて、群れには戻れないのに。餌の取り方さえも忘れてしまっているのに。
ダメだ。コイツに少しでも心動かされたら絶対にダメだ。だってコイツはもう明日には帰ってしまう。そして、俺たちはもう二度と会えない。
でも…でも…どうせもう会えないのなら、最後に俺がしたい事をしても、良いよな?
俺は静かにシャワーで準備をして、コイツが寝付くのを待つことにした。
俺はコイツが行きたいと言った観光地を全部案内してやった。と言っても、あれだ。俺も行ったことは無かったから、そこらへん歩いてる奴に聞いてなんとか辿り着いたり、ちょっと通訳してやったりしただけだけど。
アイツは俺と外を歩いたりはしなかったから、俺は外食をしたことも殆どない。
前から食ってみたいと思っていたものややってみたいと思っていた事も、名物だなんだと理由を付けて、色々とやらせてもらった。
ゴーゴーバーやゲイバーにだって行ってみた。俺が働こうと思っても働けない、憧れの場所。
しかも、服屋で替えの服も何着か買ってもらった。俺の様な人間が一人で服屋に入ったらまず追い出されるだろうから、俺の人生で、服屋で服を買える日が来るなんて思わなかったなぁ~。
フルーツが好きだと言うコイツに、初めてドリアンを食べさせて大笑いしたり、普段は食べられない高級フルーツをおねだりしてみたり。コイツが取る観光地の写真に、ふざけて映ってみたり。
あ~楽しかった。こんなに楽しかったのは、人生で初めてかもしれない。俺は一生分笑った気がする。
でも、不満な事が一つだけある。それは、コイツが俺にさっぱり手を出してこない事だ。
俺ってそんなに魅力ないか?
前の日本人だって、一応俺の事は可愛い可愛いと言ってくれていた。確かにちょっと歳をとっちゃったけど、抱けない程って訳じゃないと思う。
ゴーゴーバーやゲイバーでのコイツのスケベな顔を見るに、性欲はあるはずだ。なのになんで、俺には手を出さないんだ?
毎晩同じベッドに寝ているのに。なんで?
正直に言おう。俺は衣食住が満たされて、今は心の余裕がある。そこに漂ってくる男の匂いに、後孔が疼くんだ。アイツに調教された身体が、男を求めているんだ。
こんな立派なタッパがあるんだ。きっとあそこも立派なんだろう?この前ケツで確かめた時には、結構な重量があった。それを俺にくれたっていいじゃないか。ケチ。
聞けばコイツはまだ学生らしいし、そんなに頻繁にはクイに来られないだろう?
だから、一応俺は気を効かせて、ストリートチルドレンの後輩、この地域の一番の期待の星を紹介してあげたりもした。
でも、コイツは会って早々年齢を聞いたら血相を変えて、「イヤイヤイヤイヤ」しか言わずに逃げ帰ってきた。なんとも情けない奴である。
でも、ホッとしている自分も居て驚く。俺、コイツにちょっと惹かれてるのかな。やめてくれよ。
三年前、アイツにまるで拾ってきた猫か何かの様に捨てられた時、誓っただろう?もう客の事は好きにならないって。
いや。猫でも次の里親を探すか。
アイツにとっては、うちに住み着いたスズメをまた自然に戻しただけ。ただそれだけだったんだ。
そのスズメはもう人の匂いが付いてしまっていて、群れには戻れないのに。餌の取り方さえも忘れてしまっているのに。
ダメだ。コイツに少しでも心動かされたら絶対にダメだ。だってコイツはもう明日には帰ってしまう。そして、俺たちはもう二度と会えない。
でも…でも…どうせもう会えないのなら、最後に俺がしたい事をしても、良いよな?
俺は静かにシャワーで準備をして、コイツが寝付くのを待つことにした。
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