仮タイトル 異世界転生？

第五章

何ができる？

ひよこ的何かは何かを感じ取っているのか、じっとしている。
俺はそれを良いことに、水晶玉に映る白妖を茫然として見つめていた。
確かに、何も抵抗しなければこのひよこっぽい古代兵器は奪われてしまうだろう。
しかし、殺す必要はあるのだろうか。
否、殺さなければこちらが殺される。
それは、頭では理解しているつもりだった。
だが、俺はやはりできることなら一人も死なせたくない。
白妖も、ひよこっぽいこいつも、敵国の人間も。
俺の考えは甘いのかもしれない。
それでも、誰も死なない世界、誰も死なない未来を求めてしまう。
誰も死んでほしくない。
敵も味方も。
『ぷう？ぴよわ！』
急にひよこ的何かが喋り出した。
『ぴゅわ！ぴぴぴ！ぴよぴ！』
何事か捲し立てているが、さっぱりわからない。
「待て待て、俺にはお前の言葉わかんないんだって」
頭を掻きながらそれでもどうにか理解しようと頭を回らせていると。
『ぷうわ！』
ひよこの全身が青く光ったかと思うと、少し宙に浮いた。
しかし、すぐに床に落ちてしまう。
『ぴぴぴ！』
どうやら俺を白妖のところへ連れて行こうとしているのだと、その様子を見てやっと理解した。